伊藤亜紗のレビュー一覧

  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    目が見えないことが当たり前の日常ではどのように物事を捉えているのか、目の見えない人に対して目が見えている人が(無意識のうちに)陥りやすい誤解などにはどういったことがあるのかが知りたくて読みました。少し物足りなさを感じましたが、触れずに楽しむ美術鑑賞(本書では「ソーシャル・ビュー」と呼んでいる)については知らなかったので、知ることができて良かったです。「見えないことと目をつぶること」の違いについては、三脚と四脚の椅子が例に挙げられて上手く説明されており、なるほどと腑に落ちました。目が見えないこととは関係ありませんが、著者の専門である「美学」というのも初めて知りました。

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    2024年11月24日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    数年前にNHKスペシャルか何かで生命をテーマにした番組に出ていた著者がずっと気になっていて、何か一冊読んでみたいなと思って読んだ本です。
    期待を裏切らず、面白く興味深く読みました。
    著者は「視覚障害者」と言わず「見えない人」と言っている意味が、とても分かりやすく述べられています。
    見えないことが全て悪いことではない、捉え方が違うだけで、むしろ晴眼者(見える人)よりも多角的に事物をとらえ理解していることは尊敬に値すると思います。
    見える人向けに作られた社会なので不便なことがあるだけで、見える人より劣っているわけではない。私たちは見えているけれど、それは一部分でしかないということを感じ、世界が少し

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    2024年10月15日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    自分が気付かぬうちに持っていた目の見えない人に対する偏見に気づかせてくれた。
    目の見えない人には目の見えない人の感じ方や世界があって、晴眼者が一方的にサポートしなければと思い込むのは傲慢なのかも。
    見えないからこそ、聴覚や触覚から様々なことを鋭く感じ取る。
    見える人が視覚情報に依存し、知らぬ間に固定化して捉えていることを柔軟に分析している。
    弱視や途中失明など、色んな種類があって色んな人がいるからこそ一概には言えないが、こういう人生を歩んでる人もいるのかと新鮮な視点を与えてくれた一冊。

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    2024年10月13日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    障害者と聞くと重く感じてしまいがちだが、本書は視覚障害を1つの特性、生き方として軽やかな語り口で綴っている。
    著者の見える人と見えない人の違いを面白がる、見えない人を特別視するのではなく、ご近所さんのように捉えるという視点がとても良かった。
    見えない人がハンデを負っているのは事実だが、彼らは彼らの生きる術を持っている。制限がある分、主観を交えずに客観的に物事を捉えると同時に、柔軟に対応してある。
    「自立とは依存先が多いこと」という文章にハッとさせられた。これは健常者も同じである。人は1人では生きて行けず、社会は支え合いによって成り立っている。
    本書を通して、今まで知らなかった生き方、世界の捉え

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    2024年10月10日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    白杖を使ってる人をたまに電車で見かける。なにか目の見える私に手伝えることがあれば、と思うけど逆に突然私が入ると困ることもあるんだろうなぁと思った。
    この本とは全く関係ないが、盲目の漫才師の濱田祐太郎さんのネタはまじで面白いから見てほしい。

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    2024年10月05日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    これでいい、と自己肯定すると
    安心するけど成長はしない
    これじゃだめだ、と自己否定すると
    努力や工夫によって成長するけど不安なまま

    この二項対立のその先を考える

     これじゃだめだ、と努力する自分そのものを
     これでいい、と肯定できたら

    10本の指が独立して動くように、ハノンを繰り返す
    音楽をさまたげないように

    手癖、指癖で、いびつなドレミを並べる
    体をさまたげないように

    この二項対立のその先を考える

     癖になるほど好きな音に出会って
     その音に近づこうとするなら

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    2024年09月30日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    目が見えない人の視点で世界をどのように感じているのか知ることができて面白かった。
    視覚が使えないからこその感じ方があるのだなと知った。
    また、障がいがあるとどうしても助けなきゃという福祉の精神が働いてしまうが、それが対等ではないというのもそうだと思った。

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    2024年09月29日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    「できるようになる」とはどういうことなのか。様々なテクノロジーを駆使して「できる」という身体感覚の解明に取組む5人の研究者、エンジニアへの取材を通して考察していく。身体が意識の完全なコントロール下にない「からこそ」技能習得ができるというのは言われてみれば納得だし非常に面白い。身体がテーマということで身体的な技能習得が基本軸だけれども身体的なものだけでない幅広い技能やスキルの習得、習熟にも広がりうる話で、職業面での教育・育成という自身の関心テーマとも非常に重な刺激をたくさん受けることができた。

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    2024年07月27日
  • 「利他」とは何か

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     中島は人間の意思に還元できない利他的行為が存在するのだと言う。利他が宿る器になるために我々がすべきことはなんだろうか。

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    2024年07月01日
  • 手の倫理

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    NHK Eテレ 『理想的本箱』で紹介。

    「日本語には触覚に関する2つの動詞があります。 ①さわる②ふれる 英語にすると どちらも「 touch」ですが、それぞれ 微妙に ニュアンスが異なっています。 傷口に「さわる」というと、なんだか痛そうな感じがします。 さわってほしくなくて、思わず 患部を引っ込めたくなる。 では「ふれる」だとどうでしょうか。 傷口に「ふれる」というと、 状態をみたり 、薬をつけたり、さすったり、そっと手当をしてもらえそうなイメージを持ちます‥」


    こんな、書き出しで始まります。何やら興味を持ちませんか?

    「ふれる/さわる」「ふれられる/さわられる」とはどういうことな

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    2024年06月23日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    読みやすかったし面白かった。
    できないことができるようになる瞬間の「あ、こういうことか」をサポートするテクノロジーが書かれていた。
    ニューラリンクのように脳にインプラントを埋め込んで考えるだけで色々できる、みたいなのは正直言って少し怖い。
    でも、装着することでプロと同じ指の動きでピアノが弾ける器具だったら面白い。試してみたいと思う。

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    2024年04月07日
  • 「利他」とは何か

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    うつわ的存在であることが大事

    今までは、「意思」という概念を使って帰責(その人に責任を押し付ける)ことが責任の概念のコアだと思っていたけど、國分功一郎さんは、中動態の概念を用いることにより、その「意思」を否定することで、神的因果性(人は運命に巻き込まれて行為させられる、あるいは、自らの行為かわ思ってもいなかった効果をもたらしてしまうこと)と、人間的因果性(その行為をその人間がなしたこと、加害者として人間を捉える)の両方を肯定し、責任を考えることができるという考え方には感銘を受けた。

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    2024年03月11日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    複数の理系研究者を現代アートの研究者がインタビューし、気づきを横展開しつつ「できるようになる」意義や醍醐味を取り戻す文脈に整理する

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    2024年02月17日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    目の見えない人は~を書いた人だったと読み終わって気づきました

    できる、とはどういうことなのか?
    できるようになる、とは?
    といったことが科学的視点から考えられていてとても面白いです
    たしかに、意識しなくてもできるようになっていることは沢山あるよなぁと思いながら読みました

    エレクトーンを習っていたことがあるので、一番最初のピアノから書かれている章は興味深かったです

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    2023年10月28日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    これまでの筆者の本とは少し様子の違う内容となっています。主に体の学習やできるようになることについて、最近のテクノロジーを通して見えてきたことについて書いている印象です。
    紹介されているテクノロジーが興味深いことはもちろん、それを通して身体がどのように学習をしており、できるがどのように作られていくのかを見る視点となっている気がしています。
    特に技能向上の行き詰まりに対して自分のこれまでの運動の枠から出た運動の仕方を示すことで枠から出ることなどは興味深かったです。自分だけの理論では自分の枠から出れず、言葉だけだと枠から出難いが、即時性を持ったテクノロジーによる学習がそれを可能にするなどは可能性を大

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    2023年10月14日
  • 感性でよむ西洋美術

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    大塚国際美術館に行くにあたり、今まで全く縁のなかった西洋美術について色々勉強していた時に出会った本。
    ギリシャ神話や聖書、画家たちの経歴などを知ることで鑑賞に厚みが出てはきたけれど、この本に書かれてあるような視点こそ、美術鑑賞には必要不可欠な要素だと思う。世界史が好きで、それと結び付けて鑑賞出来たらいいなと思っていた。
    「美術って、その時代を生きた人の感じ方が真空パックされているタイムカプセルみたいなもの」
    史実だけでなく、その時代の人の感性までも感じ取ることができたら、こんな素敵なことはない。次回に美術館に行った時は、前回とは全く違う見方ができそうだ。

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    2023年08月12日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    5人の理工学者の体を使った研究がどれも面白く役に立つ様子も素晴らしい。特に脳との関連が強く障害者や機能を失ってのリハビリなどへの貢献など、期待が高まる。
    お猿のしっぽを動かす実験は特に面白かったです。
    体が「できるようになる」ということの不思議さに魅せられました。

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    2023年06月08日
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?

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    会話体でするすると読め、吃音について知ることができる。対象読者を過信しすぎない難易度と分量に感心する。ひろく中学生に読んでもらおうと思ったらこの程度のゆるさが必要。難しすぎ盛り込みすぎの子ども向け本があふれている中、しっかりと子どもを見ている人が書いている(もしくは編集している)のだろうなと感じる。

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    2023年06月02日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    「できる」ということはどういうことなのか、科学的な視点から論じている本。

    五人の科学者へのインタビューをもとに、著者が考える「できる」論が書かれていて、興味深い話が盛りだくさんでした。

    ピアニストの脳と指と「できる」ということ、桑田真澄の投球コントロールから得られること、リアルタイムにコーチングする技術、(ついていないはずの)尻尾をコントロールできるようになる不思議、声を出さなくてもアレクサに指示を出せる?…。

    昔なら、ドラえもんがポケットから出してくれたようなテクノロジーが、今は現実のものとなっていて、脳と体の関係が少しずつわかっていく。そして、その技術が、障害のある人への助けになった

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    2023年05月30日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    テクノロジーが身体の機能み拡大させていく。テクノロジーと身体反応との循環というかフィードバックがあるんですね。そのテクノロジーをどういう風に使っていくか、という発想も面白い。長嶋監督の指導の仕方も、意外と本質を捉えた指導かもしれませんね。変動の中の再現性。脳の可塑性。

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    2023年05月22日