伊藤亜紗のレビュー一覧

  • ヴァレリー 芸術と身体の哲学

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    ネタバレ

    ようやく読めた伊藤亜沙さんの著書。
    1900年あたりの詩人であるポール・ヴァレリーの詩感をまとめてくれている本。人間の感覚論・身体論のような生理学みたいなところから芸術を定義して、詩学へと発展する過程がわかりやすくまとめられ、身体-芸術を繋げる1つの考え方が書かれている。
    芸術を考えるスタンスとして、意味的なところからスタートせず、人間の知覚から立ち上げるところがかなり好み。
    詩(芸術)とは、身体機能の散文的な繋がりに違和をきたすことによって、各部位に備わる機能を開放し、その機能自体を知覚させる。そして、その知覚により、"真の行為"を読者に促すものだと僕は受け取った。
    僕は

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    2025年01月15日
  • 手の倫理

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    TVで観て気になり読みました。
    手の倫理とは何?何書かれていくのだろうと不思議に思い読み進めていくと、具体例にラグビー、伴走ランナー、介護、ボクシングなどが出てきて、納得させられ、倫理という難しいタイトルにも関わらず具体例がすごくわかりやすく楽しい一冊でした。

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    2025年01月01日
  • 手の倫理

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    倫理は原則として一般化されたことがらを対象とするのではなく、個別の文脈の中で極めて現実的な態度としてのジレンマ、悩み、迷いとともに生じるものであり、明確な答えがない不安定さと隣り合わせである。しかしこのような不確かな時代だからこそ、倫理的である姿勢は重要なのであり、またそうであることで創造的な議論ができるのであるから、私たちが倫理について考えることは極めて重要なことだろう。
    本書では、多様な意見があるときに、「多様性」という言葉をもって相対主義的な不干渉の姿勢を示すことの無責任さを、まさしく倫理の観点から指摘している点が印象深かった。つまりどれほど多様でも、私たちはなおも考え続け、語り続けなけ

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    2024年11月16日
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?

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    素敵な本でした。
    群像10月号で「悪は存在しない」の考察をされていたのを読み、どんな方なのかなと、著書を検索し読みました。
    気持ちが軽くなりました。
    最近思っていたことが出てこない、頭と口が連動していない経験をして、老化かなと思っていましたが、言い換えも頻繁に行っていて、何だかおんなじ!と。
    この本で引用されていた三島由紀夫の金閣寺は再読したいと思いました。こんな表現をされていたとは。発見でした。

    また著者の本を読んでみたいと思います。

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    2024年10月14日
  • 手の倫理

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    触覚をみくびっていた自分に気付かされた
    思い返せば印象強い記憶って触覚と共に残されている
    普段、人の体に触れさせていただく数少ない職種であるからこそ、触覚についてより意識をしていきたいなと感じた

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    2024年07月06日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    すごく良かった!令和6年今年読んだ本の中で一番良かった!今のところ。

    知識や発見だけでなく、よくこれだけのものを分かりやすく、まとめて表出できるなんて本当にすごい。勉強になった!

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    2024年06月20日
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?

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    30分〜1時間くらいあれば読み切れるくらい、中学生でも読みやすいライトな新書。
    最後の章がとてもよかった。メタファーか。考えたこともなかった。自分は左利きなので、ちょっと時間がある時に考えてみようと思う。

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    2024年04月30日
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?

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    ネタバレ

    思い通りにならない体と向き合う。吃音を例に話しているが、吃音の症状も向き合い方も一人ひとり違って、「吃音ってこういうもの」って決めつけない姿勢が全てに通じて大事だなと思った。思い通りにならない自分の体に、自分のメタファーを見つけること。鍵の錆びついた扉だったり、果汁たっぷりのゼリーだったり。メタファーは世界の見方を定義する。そして言葉にして自分で客観視できるようになるし、他者とも共有しやすくなる。最後のメタファーの章がとてもよかった。

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    2024年04月06日
  • 感性でよむ西洋美術

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    『感性でよむ西洋美術』
    とあるが、この本を読んだからといって、すぐに作品が伝えたいメッセージを読み取れるようになるわけではない。
    ただ、この本では古代から続く美術史を概説するとともに、各時代の作品の特徴を社会的背景をもとに読み解いていくもので、学生時代まったく世界史に興味がない人間でも、明日から美術館に行きたくなる本だった。

    第1章の冒頭、美術史は「神々の時代」→「キリスト教の時代」→「人間の時代」と変遷していった旨の話があるが、果たしてピカソの様な抽象画が人間の時代の芸術なのか、もはや人間でも解釈できないような時代に来ているのではないかと思った。
    しかし、読み進めていくうちに、この本の締め

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    2024年01月21日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    体が動くとき、脳がその命令を出し、力の入れ方や動き方をコントロールしている。――大筋ではそうなのだけど、実際に身体に起きていることを細かく見ると、事はそう単純ではない。頭で指の先まで考えてコントロールしているわけではないし、どころか、頭で理解できている動きと実際の体の動きが全然違っているなんてこともある。
    本書は、身体運動の技能獲得にまつわる不思議さと、それに関連したテクノロジーを、著者(自身も研究者)が様々な研究者と対談した内容をまとめたもの。「頭が体をコントロールする」という常識から、「体が頭を置いていく」という考えに誘うものとなっている。
    もっとも印象的だったのは、プロローグとエピローグ

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    2023年11月26日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    1章が最も分かりづらいという珍しい本だった。

    全体:テクノロジー、主にAI技術を用いて、ヒトが何か出来るようになることの方法、意味、段階を考察する。テクノロジーを、ひいては、自分の感覚を自分に取り戻す、研ぎ澄ますことに通じている。

    1章:ピアニストの手を自動で動かす機械。
    頭でイメージを掴む前に、カラダを先に動かし、感覚を掴む。動きを可視化する。

    2章:桑田のピッチングフォーム解析。
    毎回リリースポイントはブレブレ。意識とは違う動きをしていたカラダ。土地勘があるように、揺らいだ動きに対応出来る、カラダの動作の暗黙知が鍛えられている。
    カラダは、アタマの意識よりも、多くを知ることが出来る。

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    2023年11月22日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    何かが「できる」ようになるには、頭で理解できるより先に身体が理解している。さまざまな動きの試行錯誤から偶然に正しい動きができて、そこでようやく意識は「あ、こうするのか」ってなる。この発見をいかに早くできるかが鍵となっていると。誰かに教えてもらうことは、この気づきに早く近づくための方法。

    この本ではテクノロジーを使って、この習得時間をいかに短時間にできるか、いろいろなアイデアが出てきて面白い。
    個人的に特に気になったことは、脳の可塑性には自由度があるから習得できるけれど、間違った習得をした場合、それをキャンセルさせることが難しいこと。つまり一度ついてしまった悪い癖をを正しい動きに戻すには相当努

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    2023年09月24日
  • 手の倫理

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    倫理と道徳を区別して、倫理とは一般の存在しない、個人が線引きを行うことで作られる、ある種の創造性を含んだものであることが提示される。「多様性」のような、ビッグワードやスローガン的なものに吸収されていく、あわいのある存在を見落とさないようにしたいと考えようになったのは、本書の指摘が大きかったかもと思う。
    具体的な状況と普遍的な価値のあいだを行き来することで、倫理的な行為を深化させることや、他者性についても言及があり、一章だけでもパンチライン多数。ってかまえがきの時点でめっちゃおもしろい。

    ふれるという行為の相互性、また介入性が、いかにさわるという一方向的なものと異なるか。
    伊藤さんは利他という

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    2023年09月08日
  • 「利他」とは何か

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    そうそうたる顔ぶれがそれぞれに「利他」について説いているんだけど、何となく見えてくるものがある。特に、伊藤亜紗と中島岳志の利他論に学ぶところが大きい。すなわち……。
    利他とは、人のためになることのようなとらえ方が一般的だと思うけど、それを意識的にするのは「利他」ではない。何らかの気持ちのメカニズムが働くにせよ、本人的には説明がつかないうちに、自分のためでなく動いてしまうことが利他なのだ。
    一生懸命に利他的なよき人物であろうなどと努めてしまうが、そんなことを考えているうちはまだまだということだろう。考えてみれば、利己的な言動だってわざとそうしているのではなく、自然とそうしてしまうからこそ利己的な

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    2023年08月15日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    とても面白い読書体験だった!!
    工学、テクノロジーは機械や技術という側面から見ると「近未来的」「すごい」「難しい」と、自分ごとの延長として捉えにくいのだが、誰もが共通して持っている「肉体」というレンズを通して見るととても身近なものに思えてくる。

    障害や様々な面から日々人間の肉体について研究されている伊藤亜沙さんにしか書けなかった本だと思うし、伊藤さんが研究の過程で繋がりができた方々の研究を1冊の本としてテーマに沿ってまとめてくれているから事例紹介としても、読みものとしてもとても面白かった。
    これこそ理系と文系の理想的な融合を実現している事例だと思う。

    これから私たちはどこへ行くのか。
    肉体

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    2023年07月29日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    (今のところ)今年一番面白かった一冊。

    体がある技能を習得するとき、何が起こっているか。
    技術がそれにどう関与できるか。
    美学者である著者が、五人の工学系の研究者の試みを通して体の持つ可能性を探索する。
    最新の技術を、伊藤さんのナビゲートでその研究室に行って見学するような気分で読める。

    最初に登場する古屋普一さんの「エクソスケルトン」。
    一見ピアニスト養成ギプス。
    つけると、勝手に指が動き、弾ける人はこう体を使っていると疑似体験できる装置。
    テレビで少しこの話を聞いた気がする。
    学習者が誤った体の使い方をして弾けなくならないようにという意図で作られたものらしい。
    つけた人は「あっ、こうなの

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    2023年07月16日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    「できるようになる」ことをテーマに身体とテクノロジーのこれからの関係を論ずる一冊。読み進めるに連れて自分がどう身体使ってきたか、使ってきてないかについて思いを巡らすことができる。

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    2023年07月05日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    ゲームには疎くて「バーチャル」の世界を体験したのはテーマパークや映画館くらいなものだから
    「ないしっぽをふる」訓練がどんなものか、想像するだけで気のせいか頭のてっぺんがむずむずするけど、面白そう!意識と体、運動の関係など
    5人それぞれの研究対象と経歴もとてもとても興味深い。ふだん音声入力をほとんどしないけれど、テクノロジーはこんなに進んでるのかとびっくり仰天しつつ、片耳の聴力低下がじわじわ進行中の私は音声入力の世界を使いこなせるか不安も感じ『サイボーグになる テクノロジーと障害私たちの不完全さについて』のことも思い出した。

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    2023年06月14日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    装丁を見る限り、表題等もやわらかい表現でイラストも緩いといった印象だったが
    各々の理工学系の専門家の研究領域は、単体でも一冊の紙幅を埋めるに足るほどの示唆に富んでおり
    それを人文学系の著者がうまく導入し引き出すことに成功している。

    AI等の人工的な超知性の進展がメディアでも取り沙汰されることが昨今多いが、ビジネス的な進捗が確立されていないせいかこれほど興味深い研究実践について専門知を積極的に訪ねることをしなければ触れられない部分が大きかった。
    身体における未知の淵源はなお一層探求の魅力を増しており、研究者は多様なやり方でそこに至ろうとする科学立国の矜持を感じられる。

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    2023年05月20日
  • 感性でよむ西洋美術

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    今まで何となく観ていた絵画を、時代ごとの枠組みで比較することで知らなかった新たな発見がたくさん生まれた。そして、感性で読むとあるように、アカデミックに比較しながらも、印象や感想を用いて比較する楽しみも味わえた。

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    2023年05月19日