伊藤亜紗のレビュー一覧

  • 身体の美学入門 感性から捉えなおす人間の本質

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    美しさや醜さを感じる働きを感性と呼ぶ。この感性について考察するのが美学という学問だ。本書は、私たちが人間の身体を美しいと感じたり見にくいと感じたりする事態について、何が起こっているのかを哲学的あるいは歴史的に検討する。
    著者が強調するのは、感性は個人的なものではなく、社会的・規範的なものだという点だ。すなわち、私たちが何かを美しいと思う時、私たちは社会で美しいとされる基準の影響を受けているということだ。このことを論じるために、本書は「太っていること」の日的評価が時代によって変遷したことが示される。時代=社会の変化によって、個々人の美醜の判断も左右されるのだ。
    現在醜いとされるものあるいは美しいとは捉えられないものも、違う美的評価へと開かれているというのが著者の主張である。
    私自身が興味深かったのは、現在は美しいと評価される「山」の風景がかつては醜いとされていたという指摘である。滑らかな球こそが美しく、でこぼこは醜いという価値観から、自然の美しさが認められるのも、歴史的な変化である。感性がいかに揺らぐものであるかよく伝わった。

    誤植・疑問メモ
    pp.81-2 「ホッテントット」の話。急にポルトガル人が出てきて、説明不足。
    p.83 『女性弄ぶ博物学』

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    2026年08月28日
  • 体の居場所をつくる

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    自分の体と心のずれ。それは症状であるとともに対処なのかもしれない。誰しも孤独で、思うように共感されうることはない。どう折合いをつけて居場所を見つけていくか、11人それぞれの向き合い方が自分へのヒントになるかも。

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    2026年08月23日
  • 「利他」とは何か

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    利他とは何か、という題名だったので利他の本質について追求していく本なのだと思っていたが、「利他」という事柄をそれぞれの専門家がそれぞれ定義づけし、考察するような内容となっており、「利他についての諸考察」等の題名の方がしっくりとくる気がしている。

    様々な角度から利他を語り、全体を俯瞰して見るとぼんやりと全体像が見えてくるような。
    まるで、ピカソの多視点画をみながら全体像を探っているような本だと思った。

    しかし、この本を読んで最終的に絵の全体像が見えてこない気がするのは、各専門家が利他について相互に刺激を受け、お互いの観点を踏まえた一段上の視点を提示するのが少ないからだろう。

    せっかくこれだけの人材を持ち寄り、研究しているのであればもっと各専門家の視点がクロスオーバーしながら語るような内容があつくても良かったのではないかと思う。

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    2026年08月13日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    見える人は視点があるため、裏面を無視し平面的に把握しがち。一方、見えない人は視点を持たないため、物体の全面を等価に触知し、立体的・俯瞰的に把握する。

    知覚は道具を介した物理的拡張から、美術館でのソーシャルビューのように他者の言葉から自分なりの像を組み立てる言語的拡張まで広がる。

    見えないことは障害というテーマとも重なるが、かといって機能的差異の話だけで終わらせず、重くなりすぎない「なるほど」と思わされる視点が多い一冊。audible。

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    2026年07月19日
  • 「利他」とは何か

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    筆者ごとに専門性が違うためか、書き味が章ごとにかなり違う。最後の二章は軽く読み飛ばしてしまったが、最初の方はなかなか良かった

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    2026年06月21日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    テクノロジーを使って、できなかったことができるようになる。医療現場でバリアフリーとして使われるのはいいけど、スポーツや芸術の分野で使われるのは、ちょっと興ざめだなぁと感じてしまった。

    人間って、いつの間にこんな異様な進化を遂げていたんだ。

    余談だが、第一章のダクティリオンを見て、『スパイキッズ2』に出てきたスパイツールを思い出した。高い場所を登るために主人公が両手の指につける道具で、子どものころ欲しくてたまらなかった。(なんなら自作していた)

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    2026年05月17日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    見えない人がどのように世界を見ているのか、を色んな視点(空間、感覚、運動、言葉、ユーモア)で語られており、個人的にはなるほど、確かにと、驚きや発見のある面白い本だった。

    特に空間、感覚の章はこれまで当たり前に思っていたことがちょっと違うのかも、と思えた新しい発見があり、少し視野が広かった(これも見える人の視点かも、、?)。

    この本を読んでみて、ちょっと美術作品に触れたいな、とも思った。

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    2026年05月05日
  • 「利他」とは何か

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    読む前
    利他はほとんど存在しないでしょう
    見返りを求めたり、「利他」的な行為をする自分に酔ったりしてるだけなのでは→結局は利己
    でも、親が小さな子を守るみたいな行動は利他だといってもいい?
    ↓
    いずれの章にも共通するものとして、「余白」「うつわ」、つまり自分の意志以外のものの介入を許しているということがあった。逆に、その介入を許さない場合、それは利他ではない
    利他が「生まれる」(「する」ではない)時は、自然に、すなわち「オートマチックに」生まれるものであり、それは自分の意志ではなく何か大きな力がはたらいてこそのものである

    3章〜5章で論じられていることが利他に結びついているのかあまりわからなかった。そもそも話の構造を理解できてないだけかもだけど
    当初の私は利他を否定しつつも、これは利他といえるんじゃないかと思える事例が何個か思いついていたので、「余白」という言葉がしっくりきた

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    2026年04月19日
  • 体の居場所をつくる

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    心を病んだことがある人は読むの注意。筆者の言語化がうますぎて、辛かった過去がある人は当時の記憶が呼び起こされて、一気に引き戻される可能性があると感じた。

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    2026年04月04日
  • 「利他」とは何か

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    第一章の伊藤先生のパートが1番分かりやすくて面白かった。
    利他にも色んな種類があり、それらを明確に定義づけし言語化されていたため、普段自分が考える利他がどれに当てはまるか考えながら読めた。

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    2026年02月27日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    ★見える世界と見えない世界、「うちはうち、よそはよその」の距離感があるから「面白いね!」という感想が生まれる。異国に行く「面白さ」。

    ・いったい、私が情報を使っているのか、情報が私を使っているのかわかりません。

    ★情報に踊らされない安らかさ。

    ・見えない人の色彩の理解。その色をしているものの集合を覚えることで、色の概念を獲得するらしい。

    ・進化することを意識して体を使うことは可能。

    ★障害とは無関係な人はいません。誰しも必ず年をとります。多かれ少なかれ障害を抱えた身体になるからです。

    ★社会モデルの定義にしたがえば障害だが、この障害をなくすことは、見えない人のユーモラスな視点やそれぞれが社会に与えたかもしれないメリットを奪うことでもあります。

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    2026年02月17日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    確かに、目の見えない人も見ている。むしろ目の見える人より自由かつ柔軟といっても良いかもしれない。
    自分の周りに目が見えない人がいないので、初めて知ったことが多かった。

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    2026年02月08日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    目が見えないから他の感覚で見える人とは全く違うふうに世界を見てる
    =不幸ではない

    ただ、ずっと同じことを言ってたから半分でも良かった

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    2026年01月07日
  • 感性でよむ西洋美術

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    建築科の学生向けに行われた美学の講義を元にした、初心者向けの美術鑑賞ガイド。


    表紙やタイトルから想像したよりずっとしっかり美術史の話をしていた。「感性でよむ」ためには、西洋美術史そして思想史のマインドマップが必要である、という前提から噛み砕いて説明していく感じ。建築科の学生ならではの遠近法へのビビッドな反応が面白かった。昔読んだ秋田麻早子の『絵を見る技術』の簡易版という印象。フェミニズム批評も拾いつつ、アートとは世界の見え方を変えようと企むこと、そしてそれがジョット以来の西洋の伝統でもあることを優しく解説している。

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    2026年01月02日
  • 目の見えない人は世界をどう見ているのか

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    仕事で触れているテーマなので目新しさはそこまでなかったが、視覚障害を例に自分自身がいかに世の中を自分自身のメガネをかけて見ているかに気づかされた。視覚は優位性とは限らない。むしろ視覚があることで失っているものもあるという見方、大切にしよう。

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    2026年01月01日
  • 「利他」とは何か

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    利他に関する論考集。
    第一章の伊藤亜紗氏は、合理的利他主義や効果的利他主義といった利他についてのトレンドを概観し、その根底には利他の効果の数値化があること、数値化により漏れてしまったり失われてしまったりすることがあると説く。利他の効果を数値化することは、自らの利他的行為が相手に与える影響を規定することに繋がり、押しつけや他者の支配に繋がる。そうではなく、予測不可能性を受け入れること。予想外の他者の反応によって、自らの方が変わること。これを「うつわ的利他」と表現しているが、相手を享けることのできる利他が、良き利他ではないかと述べている。

    第二章では、中島岳志氏が、贈与論から利他を考察している。贈与は暗黙に返礼を要求しがちであり、古来より相手の支配や権力に繋がってきた。利己的でない利他をするためには、返礼を前提とせず、しかし「不確かな未来」による結果論的な間接的互酬性によって、良いことが返ってくることが望ましい。
    インドで助けられたときに、ありがとうと言ったらかえって嫌がられたというのは、最近読んだ『ヘタレ人類学者、沙漠をゆく』にも繋がっていて、面白かった。

    第三章以降は、民藝・中動態や意思と責任・小説史について論じられる。…が、利他という本書のテーマから見ると、寄せ集め感、取ってつけた感があるというのが正直なところ。「はじめに」で、5名の著者が共同研究しており、単なる論考集ではないと説明されるが、やや無理がある印象。
    個人的には第四章の中動態の話は、その考え方のよい導入となったので興味深く読んだ。他の章も、読む価値が無いとは思わない。ただ、本書のテーマからは、やはり乖離がある内容だったとは思う。

    なぜ利他が必要なのか、という点をもう一度考えてみたいというのが読後の印象。利他の必要性も、個人と、社会システムなどとでは異なるだろう。「必要」という考え方そのものが、利他とはそぐわないような気もする。
    第一章で紹介された効果的利他主義は、共感を排除するという。共感ベースだと、身近な人や見えてる人以外への支援ができなくなってしまうからだという。一面では理解できると思う一方で、それは利他というより政治の領域なのでは?とも思った。政治に期待できないからそういうことになっているのかもしれないけど、でも、寄付や社会貢献的な文脈で利他を語るなら、政治や行政の働きとの区別については気になった。

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    2025年12月16日
  • 感性でよむ西洋美術

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    タイトルとは逆で「理性で西洋美術をよむ」をしていた自分、つまりキャプションや絵画のモチーフとなった宗教や神話、歴史を下調べしたうえで答え合わせをするように鑑賞することが好きだった自分に足りない部分が補えると思って読んでみた。
    結局やっぱり西洋絵画史をある程度知ってたほうが面白いのでは?と思ったけど、自分が苦手なジャンルである抽象絵画の”感じ方”はある程度学べて良かった。
    個人的には「感じて、考えて、答え合わせする」の順番で見るのがしっくりきそう。
    こんな授業学生時代に受けたかったです。

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    2025年09月06日
  • ひび割れた日常――人類学・文学・美学から考える

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    ネタバレ

    コロナ禍の社会の中にいる3名の視座、リレーエッセイ

    日常という状態とは?
    ウイルスと生活するとは?
    自然の営みとは?

    コロナ禍を捉え直す試みは、全体から見つめ直す作業になる
    僕らはどのように変わるのか、変わっていくのか

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    2025年04月26日
  • 体はゆく できるを科学する〈テクノロジー×身体〉

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    恥ずかしながら学問や先端技術とかわからんので、「へ〜、そういうことやってる人もいるのね〜」という反応。
    アンデシュハンセン系の自分で試してみようとか、そういう本ではない。

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    2025年03月13日
  • 「利他」とは何か

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    先日、ボランティアに参加する機会があった。
    その時の相手の反応が、自分が思い描いていたものとはちょっと違っていて、一人でモヤッとしていた。
    そう感じた気持ちの答えが、この本には書かれていたように思う。
    5人の著者の中で、伊藤亜紗さんが書かれた内容が一番しっくりきた。
    「他者のコントロールが利他の一番の敵」
    誰かの為に行動する→プラスの反応が返ってくると、知らず知らずのうちに期待してしまっていたのだと思う。
    「利他」という漠然としたものの輪郭が見えてきたようで、すっきりした。

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    2025年02月15日