伊藤亜紗のレビュー一覧

  • 手の倫理

    Posted by ブクログ

    書評を見て気になっていた。
    手で触れるとさわるとの違い。
    手を介したコミュニケーションと、人との距離の取り方。
    触感や皮膚感覚が人の感覚に働きかける割合。
    いろいろ考えさせられる。
    特に最終章の表現は見事だなぁと感心した。

    0
    2023年06月23日
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?

    Posted by ブクログ

    小中学生に本を紹介するにあたって、新しく出ている「ちくまQブックス」から選んで読んでみた。やさしく書かれてはいるけれど、中身は深いと思う。著者は吃音があるから大学の教員になるなんて思ってもいなかったようだ。僕も体について悩みがある。中3のときだったと思う。ものすごくトイレを我慢したことがあった。それからしばらくしょっちゅうトイレに行きたくなって困った。高校に入ってからは休み時間ごとにトイレに行っていた。で、体育とかで2時間続けての授業があると心配だったけれど、それは全く問題がない。他に気が行っていればトイレのことは忘れている。だから、これは精神的なものだったのだ。大学の90分授業とかはまあまあ

    0
    2023年05月28日
  • 感性でよむ西洋美術

    Posted by ブクログ

    展覧会では、展示作品の横に解説文が付いており、それを読みながら作品を見ているけど、それでは作品鑑賞というものは結局、解説に書いてあることの確認作業になってしまうのでもったいないと。図星でした。

    「感性でよむ」というと「センスを磨く」ことだと思うかもしれませんが、感性でよむとは必ずしも直感を鍛えることではなく、むしろ言葉をしっかり使うことで、感じ方も深まるし、言葉も磨かれる とのことで、類似した作品ではあるが、異なる時代背景や作風を並べて、それぞれの特徴を解説してくれる。

    中世絵画は宗教(キリスト教)画が中心だが、その終わり頃には宗教的な重しを取り払い、古代的(人間的)価値観の復活を意識した

    0
    2023年04月16日
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?

    Posted by ブクログ

    伊藤先生の他作も興味深いものが多く、この本もいいことはいいのですが、何故か共感はできなかった。多分、吃音はからだが思い通りにならないというよりはどちらかといえば脳の特性と自分が考えている為だと思う。

    0
    2023年04月08日
  • とがったリーダーを育てる 東工大「リベラルアーツ教育」10年の軌跡

    Posted by ブクログ

    文章がとても読みやすい。
    リベラルアーツが注目されて久しいけれど、
    そもそもなぜ学ぶ必要があるのか、
    変化の激しい世の中でどういった視点が求められているのか、
    そして自分で考えて行動するために、どんな学びが必要か。

    今の最先端技術は5年後陳腐化している。
    そうした技術ではなく、学び続け研究し続ける力を身につける、というのがとてもしっくり来た。

    0
    2023年01月15日
  • 「利他」とは何か

    Posted by ブクログ

    他社への関りはとても難しい。傍目に困っているように見えてもその人にとっては日常で、助けてもらう必要が無いと思っている必要もあります。
    せっかく助けてあげようと思ったのにと、どうしても善意を踏みにじられたような、恥ずかしい思いをさせられたような気になる事もあります。
    そんな他社への介在をどうやって考えていくか考えさせられる本です。

    0
    2022年11月30日
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?

    Posted by ブクログ

    普通に暮らしていると絶対に気が付かないこと。誰もが、歳を重ねていくと、自分のカラダは、なんて思い通りにならないと思い知る事になるでしょう。
    自分のカラダを研究し、自分のカラダを好きになろうという本。
    考えようによっては、思い通りにならないことが、思いがけない出会いを連れてくるとまで書かれています。ここまでいければすごいね。

    0
    2022年11月23日
  • 「利他」とは何か

    Posted by ブクログ

    利他という言葉を最近になってラジオで耳にし興味を持つようになりました。なんとなく自分よりも相手や周りのために尽くす意味合いかと思っていましたが、利他にも色々あるらしいです。
    本の内容は全体的に難しく感じましたが、利他について考える行為自体がとても大切な事なのだと感じた。何のための利他なのか、誰のための利他なのか。
    一章 伊藤亜紗さんの
    ・利他は自分のためになる?
    ・数値化によって消える利他の感情
    ・他者のコントロール
    ・信頼と安心
    が良かったです。
    利他的な行為を行う上で自身が気をつけること、利他的な行為を相手から押し付けられた時の考え方等自分と相手の関わりの中で客観視するヒントを貰えたように

    0
    2022年11月22日
  • 「利他」とは何か

    Posted by ブクログ

    利他について、さまざまな専門家がさまざまな視点で。
    利他とは自分の中にあり、本能的なものというのが私の受け取り方。

    全体の内容とは関係がないが。
    ブルシットジョブという仕事があることには気づいていて、それが単語化されていることに驚いた。

    0
    2022年10月30日
  • ヴァレリー 芸術と身体の哲学

    Posted by ブクログ

    68 読者を行為させる 装置

    74 ヴァレリーにとって詩とは「詩として表現された…生理学的生」

    「創造的誤読=読みの複数性」は「不可避の副産物」にすぎない

    109 反復や同化
    「他者と同じ状態になる」という私たちの衝動が、コミュニケーションの可能性を作っているとヴァレリーは考えている。

    130 詩をつくることは詩

    169
    ヴァレリーにとって注意の本質とは、注意の対象と注意のシステムの分離不可能性に、より単純に言い換えれば、注意の対象と注意する主体の分離不可能性にある。初期の『カイエ』で、ヴァレリーはこの分離不可能を「対象の受肉incarnation」と呼んでいる。

    184
    リズムと

    0
    2022年10月29日
  • とがったリーダーを育てる 東工大「リベラルアーツ教育」10年の軌跡

    Posted by ブクログ

    本来、自由人であるためのリベラルアーツだが、現代社会には自由市民など少なくなり、社畜と揶揄されるような(あるいは自嘲するような)都合良く洗脳された労働の奴隷が、別の奴隷のためにリベラルアーツを学ぶ時代。現代社会の悲劇として語る上田紀行氏、東工大のリベラルアーツ研究教育院長の発言は非常に考えさせられる。

    教育の名の下に奴隷を育ててはならない。しかし、そうは言うが、社会にとって有用な人材だから用いられるのであり、それが所謂労働ニーズになるなら、我々は奴隷たることから逃れられず、自由市民にはなり得ない。我々自身も社会からの期待を将来像に設定するから、とがった夢を見ることも叶わない。つまり、社会的動

    0
    2022年09月15日
  • 「利他」とは何か

    Posted by ブクログ

    伊藤亜紗の「利他」についての概論が一番よかった。
    なぜ今、「利他」なのか、ということが、まず知りたかったので、ジャック・アタリの合理的利他主義や効果的利他主義についての説明がありがたかった。

    中島岳志のいう「利他」は合理的利他主義とは違い、湧き起こるものであること、親鸞のいう若松英輔の「利他」は民藝の文脈からの「ウツワ」にその本質を見出すものであった。特に中島岳志に関しては、意外。ここだけではわかりにくいので、中島岳志の「思いがけず利他」もこの後読んでみようと思う。

    國分功一郎の言う中動態がなぜ「利他」と繋がるのか興味があったが、なるほど「義」がそうであったか。つまりはやむに止まれぬ、湧き

    0
    2022年08月26日
  • ひび割れた日常――人類学・文学・美学から考える

    Posted by ブクログ

    人類学者、作家、障害についての研究者三人によるコロナ後の日常についての刺激的なリレーエッセイ。
    同じテーマを語っていても、各々の感じ方や表現の個性がとても興味深い。類似性と違いが同時に目に入ってくるのが楽しい。

    0
    2022年07月03日
  • とがったリーダーを育てる 東工大「リベラルアーツ教育」10年の軌跡

    Posted by ブクログ

    日本のトップにこんなアツい教員がいる大学があって安心する。

    学び直す、考え直すとか肯定できたらなーと思ってたところにこの本来は刺さった感がある。

    1
    2022年05月24日
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?

    Posted by ブクログ

    吃音を一例に、人間に備わった、自身の身体に適応する能力が示される。思い通りにならなくても、次第にそれに順応する力が身についていく。

    0
    2022年05月02日
  • きみの体は何者か ──なぜ思い通りにならないのか?

    Posted by ブクログ

    さくさくぱらーと読める。「恥ずかしいのはやだ」の章が面白かった。

    なぜ恥ずかしいと思うのは、人の目を気にするからで、他人から見てこうありたいという自分をうまく演じられない時、恥ずかしいという気持ちが出てくる。それはとても自然なことで,自分をつくるということ。

    に唸らされた!たしかに!

    0
    2022年02月05日
  • 手の倫理

    Posted by ブクログ

    「ふれる」と「さわる」の違い、手や触感で感じることについて。
    人間は視覚に頼りがちで、動物的なイメージから五感の中でも下の方とと見なされているが、実際はどうなのか?ということを作者は様々な方にインタビューをして、掘り下げていく。
    全盲の方、目の見えない人の隣で伴走する活動をされている方や介護の現場で働く方など様々な視点を入れながら、本当にさわる・ふれるというのは意外と複雑な構図から成り立っていることをまとめている。
    面白かったのは作者も実際に目隠しをしてベテランの伴走者とランニングをした時、ロープで目の見えない人と伴走者を繋げるのだが、2人の息が合ってくるとお互いに走りやすくなり、走り終えても

    0
    2022年01月16日
  • 手の倫理

    Posted by ブクログ

    目が見えなくなってしまうことを想像すると、途方もなく不安になる。自分が思っているよりずっと、視覚に頼っている割合は高いのかもしれない。
    触覚によるコミュニケーションは意外にも未知の領域で、その豊かさに心強さを覚える。

    0
    2021年12月15日
  • ポストコロナの生命哲学

    Posted by ブクログ

    シブ知  7・3
    かかった時間 150分くらい?

    NHKの鼎談をもとにした新書。話題の3人がコロナについて語るなかで、自身の問題意識とか生命とか肉体とかについて語る。読みやすい。

    福岡伸一はまあ置いといて、伊藤亜紗の「ままならない肉体との共存」の話とか、藤原辰史の「きれいすぎるものはヤバい」という話は、発見があったり、共感できたりするものだった。

    3人の共通点として「ナウシカ」(漫画版)があったらしく、鼎談でも重要な話題になっていた。とても面白そうなので買おうかなと思った。

    0
    2021年10月03日
  • 目の見えないアスリートの身体論 なぜ視覚なしでプレイできるのか

    Posted by ブクログ

    当然ながら今の巷が大好きなお涙頂戴的感動話ではなく、パラアスリートの身体や脳の動きを科学的に分析するのが主題。たとえば視覚障碍者は健常者のようなイメージトレーニングは出来ないが、世界トップレベルのパラアスリートがしている代替手段などは一般市民アスリートである私にも目から鱗的なヒントとなった。

    0
    2017年06月25日