あらすじ
著者初、美術の入門書。
2500年もの歴史をもつ「西洋美術」。その膨大な歴史や作品を理解するのは至難の業だ。しかし、5つの様式から「大づかみ」で概観すれば、「この時代の作品はこんな感じ」という全体像が見えてくる。キーワードは「感性」。古代から20世紀まで、約40点の名作を鑑賞して、感じたことを言葉にしてみれば、作品理解がぐっと深まる。「ルネサンスはなぜ重要なの?」「マネの何が革新的なの?」「ピカソはなぜ不思議な絵を描くの?」。美術館に行くと、まず解説を読んでしまう鑑賞法から卒業できる、新感覚の美術入門! カラー口絵32ページ。
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Posted by ブクログ
展覧会に行ったとき、先に解説文ばかり読んでしまう鑑賞の仕方はもったいない。「考えつつ、感じる」を大事にして、言葉をしっかり使いながら感性でよむのが、この本です。読んでみて、一枚の絵画には、瞬間だけじゃなくて複数の時間の流れや物語が含まれてるんだなと思いました。だから、「みる」じゃなくて「よむ」なのかも。美術館に今度行ったときは、前とは違う楽しみ方ができそうな予感がします。ちなみに、ドアに美術館で買ったポストカードを飾るのも私の楽しみのひとつです。
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伊藤亜紗さん著『感性でよむ西洋美術』のレビューです。
モザイク画・ルネサンスから抽象画まで、西洋美術について広く扱われています。
ルネサンスの功罪、バロックの特徴、モダニズムの重要性、キュビスムの新しさ、抽象画の存在意義などを、絵どうしの比較を通じてざっくりと学べます。
およそ100ページあまりで1〜2時間あれば読めてしまうにも関わらず学びは多く、絵もカラーで極力大きめに載せてあり、非常におすすめです。
これが800円で買えていいの!?という気持ちになります。
類書と違うのは、タイトルにあるように見たときの感性を大事にしている点です。
美術館に行くと絵の横にある解説文にまず目がいってしまいますが、その前に自分が見た印象を言葉にして、時には他の人との違いを認識して、それを楽しもうと提言されています。
著者があとがきで述べているように、忙しい日々でもふと立ち止まって、「考えつつ、感じる」ことを大切にしていきたいと思いました。
Posted by ブクログ
『感性でよむ西洋美術』
とあるが、この本を読んだからといって、すぐに作品が伝えたいメッセージを読み取れるようになるわけではない。
ただ、この本では古代から続く美術史を概説するとともに、各時代の作品の特徴を社会的背景をもとに読み解いていくもので、学生時代まったく世界史に興味がない人間でも、明日から美術館に行きたくなる本だった。
第1章の冒頭、美術史は「神々の時代」→「キリスト教の時代」→「人間の時代」と変遷していった旨の話があるが、果たしてピカソの様な抽象画が人間の時代の芸術なのか、もはや人間でも解釈できないような時代に来ているのではないかと思った。
しかし、読み進めていくうちに、この本の締めにもあるが、結局は各個人の絵の受け取りかたで様々な解釈があるという。だからこそ、作品の解釈に正解がないという点では、人間にしかできない「解釈する」という行為ができているからこそ「人間の時代」はこれからも続くのではないかと思う。
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今まで何となく観ていた絵画を、時代ごとの枠組みで比較することで知らなかった新たな発見がたくさん生まれた。そして、感性で読むとあるように、アカデミックに比較しながらも、印象や感想を用いて比較する楽しみも味わえた。
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1人で美術館に行くのも好きだし、他者と行くのも好き。けれど「当時の人の感じ方を解凍する練習」「玉入れみたいにみんなでいろんな言葉を作品にぶつけていく」をやりやすいのは、見た作品を他者と共有することだと思う。
わたしはこう思うけれど、貴方はこう思うんだね、同じものを見ても感じ方がそれぞれ違って素敵だね、という「I am OK. You are OK.」の実践。それをどんな視点で感じたらよいのかのヒントが描かれている著作だった。
「『考えつつ、感じる力』は、贅沢な余剰品ではなく、自分を大切にし、よく生きるための力です。本書が、そんな時間のお供になることができたら幸いです。」
Posted by ブクログ
大塚国際美術館に行くにあたり、今まで全く縁のなかった西洋美術について色々勉強していた時に出会った本。
ギリシャ神話や聖書、画家たちの経歴などを知ることで鑑賞に厚みが出てはきたけれど、この本に書かれてあるような視点こそ、美術鑑賞には必要不可欠な要素だと思う。世界史が好きで、それと結び付けて鑑賞出来たらいいなと思っていた。
「美術って、その時代を生きた人の感じ方が真空パックされているタイムカプセルみたいなもの」
史実だけでなく、その時代の人の感性までも感じ取ることができたら、こんな素敵なことはない。次回に美術館に行った時は、前回とは全く違う見方ができそうだ。
Posted by ブクログ
西洋美術の入門書と言っても良いんじゃないでしょうかね。
実は、西洋絵画が好きで、コロナ禍前は、良く美術館に行っていました。コロナ禍になってからは、ちょっと足が遠のいていますが。
美術館では、横にある解説を読みながら絵画を見るわけですが、やっぱりさぁ、それだと頭に入らないわけですよ。常日頃「あぁ、自分で分かっていればなぁ」と思っていたんですが、これで少しは時系列的に西洋絵画の歴史が整理できた気がします。
Posted by ブクログ
巻頭に、本篇中で言及されている美術作品の写真が配されている。親切。内容の良さも合わせ、かなりお得な一冊。初っ端から示唆に富み、美術展ではつい解説に目が行ってしまう自分なんかは、ちょっと反省というか後悔もあったりして。今後の鑑賞に活かすべく、美術史とかそれぞれの特徴とか、いろいろ勉強になりました。下記は覚え書き。
古代、神々→中世、キリスト教→近代、人間
古代→実物を見て描く→遠近法
ルネッサンス→バロック、つきつめると両者の感性を揺れ続けている美術史
Posted by ブクログ
タイトルとは逆で「理性で西洋美術をよむ」をしていた自分、つまりキャプションや絵画のモチーフとなった宗教や神話、歴史を下調べしたうえで答え合わせをするように鑑賞することが好きだった自分に足りない部分が補えると思って読んでみた。
結局やっぱり西洋絵画史をある程度知ってたほうが面白いのでは?と思ったけど、自分が苦手なジャンルである抽象絵画の”感じ方”はある程度学べて良かった。
個人的には「感じて、考えて、答え合わせする」の順番で見るのがしっくりきそう。
こんな授業学生時代に受けたかったです。
Posted by ブクログ
文字を追うのが遅くなって、2時間では読めないよ〜ルネッサンス-バロック-モダニズムまではなんとかついていけました。マネのネイキッドについても少しわかりました。でも、キュービズム-抽象画はあんまり分かりません。抽象画の線や色、形が作者にとっての必然であるということが理解できません。
バウハウスの考え方は現在に合っていてわかりやすいと思いました。
Posted by ブクログ
ルネサンス前後の絵画を中心に解説をしてくれる本。
昔の絵画についてあまり知らなかったので、ためになりました。
他の比較しながら説明をしてくれるので結構わかりやすいです。
Posted by ブクログ
展覧会では、展示作品の横に解説文が付いており、それを読みながら作品を見ているけど、それでは作品鑑賞というものは結局、解説に書いてあることの確認作業になってしまうのでもったいないと。図星でした。
「感性でよむ」というと「センスを磨く」ことだと思うかもしれませんが、感性でよむとは必ずしも直感を鍛えることではなく、むしろ言葉をしっかり使うことで、感じ方も深まるし、言葉も磨かれる とのことで、類似した作品ではあるが、異なる時代背景や作風を並べて、それぞれの特徴を解説してくれる。
中世絵画は宗教(キリスト教)画が中心だが、その終わり頃には宗教的な重しを取り払い、古代的(人間的)価値観の復活を意識したルネサンス画が主流となる。遠近法を用い明瞭な輪郭線、層構造や整然、統一感、永遠がイメージされる。
続いてマニエリスム、そしてバロック。
バロックでは曖昧な境界、渾然一体、流動的、運動性、瞬間、アンバランスがイメージ。
その後は、より甘美な作風のロココ、続いて新古典主義、ロマン主義とバロック風とルネサンス風に行ったり来たりし、19世紀になると根本的に違うモダニズムが登場する。
19世紀後半から20世紀初頭にかけては、写実主義(クールベ等)、モダニズム(マネ)、印象派(モネ)、キャビズム(ピカソ)と絵画様式が移る。
このような作風の様式の特徴を伝えつつ、「この絵すごい」で終わらせるのではなく見るポイントを教えてくれるので、今後はもっと違う視点で捉えることが出来るようになるでしょう。(忘れそうだけど)