伊藤亜紗のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「利他」について様々な分野の方が論じた本。
ちょっと「利他」との結びつきがよく分からないとか取って付けたようとか思うところもあったが、それが利他という概念の広さや説明の難しさということか。
結論としては、利他とは「うつわ」とか「余白」であるということのようだ。
中動態についての話の中で「人間的因果性(=そ人が加害者として行う行為)」と「神的因果性(=運命の被害者としての行為)」は混じり合うが混同されない、というヴェルナンの定式が紹介されている。どういうことかというと、「人は加害者であり被害者であるという二律背反が肯定されている」ということ。被害者性をとらえることで、加害者性もとらえられるようになる。それにより「責任」という中動態的なものを感じる(応答する)ことができる。
(中動態とは、「能動⇔受動=する⇔される」ではなくて、「能動⇔中動」=主語の外で主語が完遂する⇔主語が過程の内部にある」というもの。たとえば「欲する」とか) -
Posted by ブクログ
展覧会では、展示作品の横に解説文が付いており、それを読みながら作品を見ているけど、それでは作品鑑賞というものは結局、解説に書いてあることの確認作業になってしまうのでもったいないと。図星でした。
「感性でよむ」というと「センスを磨く」ことだと思うかもしれませんが、感性でよむとは必ずしも直感を鍛えることではなく、むしろ言葉をしっかり使うことで、感じ方も深まるし、言葉も磨かれる とのことで、類似した作品ではあるが、異なる時代背景や作風を並べて、それぞれの特徴を解説してくれる。
中世絵画は宗教(キリスト教)画が中心だが、その終わり頃には宗教的な重しを取り払い、古代的(人間的)価値観の復活を意識したルネサンス画が主流となる。遠近法を用い明瞭な輪郭線、層構造や整然、統一感、永遠がイメージされる。
続いてマニエリスム、そしてバロック。
バロックでは曖昧な境界、渾然一体、流動的、運動性、瞬間、アンバランスがイメージ。
その後は、より甘美な作風のロココ、続いて新古典主義、ロマン主義とバロック風とルネサンス風に行ったり来たりし、19世紀になると根本的に違うモダニズムが登場する。
19世紀後半から20世紀初頭にかけては、写実主義(クールベ等)、モダニズム(マネ)、印象派(モネ)、キャビズム(ピカソ)と絵画様式が移る。
このような作風の様式の特徴を伝えつつ、「この絵すごい」で終わらせるのではなく見るポイントを教えてくれるので、今後はもっと違う視点で捉えることが出来るようになるでしょう。(忘れそうだけど) -
Posted by ブクログ
利他という言葉を最近になってラジオで耳にし興味を持つようになりました。なんとなく自分よりも相手や周りのために尽くす意味合いかと思っていましたが、利他にも色々あるらしいです。
本の内容は全体的に難しく感じましたが、利他について考える行為自体がとても大切な事なのだと感じた。何のための利他なのか、誰のための利他なのか。
一章 伊藤亜紗さんの
・利他は自分のためになる?
・数値化によって消える利他の感情
・他者のコントロール
・信頼と安心
が良かったです。
利他的な行為を行う上で自身が気をつけること、利他的な行為を相手から押し付けられた時の考え方等自分と相手の関わりの中で客観視するヒントを貰えたように思います。本の内容の中には心理学の返報性の原理やアドラーに結び付けられる箇所もあると感じました。
中島岳志さんの
・利他は私たちの中にはない
も良かったです。自分に置き換えて考えると分かりやすい。なるべく自然体でいたいですね。普段から気負わず背負いすぎず自分らしく過ごしていけば良いのだと思いました。