東直子のレビュー一覧
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歌人・作家・イラストレーターの東直子さんが、雑誌『公募ガイド』に連載された「東直子の短歌の時間」(2015年4月〜2021年10月号)に一部加筆、修正をしてまとめられたものになります。
東さん自身も、短歌をはじめられたのは雑誌の短歌の公募欄だったということで、「自分の作品が選ばれたこと。そこに込めた心をよんでもらえたこと。それは、この世の片隅で生きている自分と社会とがつながったと実感した一瞬でもありました。」とあります。選出にあたってはその責任の重さ、残酷さも痛感されたと。誌面の都合上、特選、秀逸、佳作とありますが、それが絶対のものではなく、「私はこの歌の方が好きだな、私はこう読む、などと、 -
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仏の態度
芥川龍之介の仏教説話の一つである。因果応報を説いたようであるが、芥川龍之介が本気でこの王な因果応報を信じていたのかは疑問に思う。むしろこの作品は、地獄と極楽の対比、特に最後の数行の地獄の亡者の失敗とはまるで無関係で無関心な、光と香りに満ちた極楽の描写と釈迦の態度の表現に真骨頂があるような気がする。
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女優や漫画化、絵本作家など異業種の言葉の天才たちが詠んだ短歌を、人気歌人がコメント。
様々な職業・年齢の方々が一つのテーマに対して詠んだ短歌に対し、歌人の穂村さん・東さんと雑誌編集者の沢田さんがコメント・批評をするという形式の歌集です。
それまでに積み重なったいくつもの歌から、詠み人の人間性まで丸裸にされてしまうようなコメントが、興味深いとともに少し怖い。言葉のプロフェッショナルってやっぱりすごい。
「べたべた」や「自慢する」、「芽きゃべつ」といった一風変わったお題や、特定のホラー映画などを詠むという題が出てくるのも面白いです。
読んでいて思ったのが、あるテーマに対して感じる事というの -
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人と人とが普段何気なく交わす言葉がタイトルの短編集。
「もういいよ」「なんで?」「ありがとうね」…それらのタイトルはとてもシンプルな言葉だけれど、見ただけでその背景がなんとなく伝わってくるから不思議。
これらの言葉は自分ひとりっきりではまず出てこないだろう。対話する相手がいるからこそ生まれる言葉だと思う。
そんな短編集の表題が『ひとっこひとり』とは。「ひとっこひとりいない」から「いない」をあえて失くすことに、東さんは意味を持たせているのかも。登場人物ひとりひとりが抱える想いを丁寧に掬い取った短編集だった。
『大丈夫』『ごめん』『覚えてる?』『きれい』が特に印象に残った。 -
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何気ないひとことだったり。
普段よく使うことばだったり。
必ず口にしたことのあるひとことでもある。
そんな言葉がもたらしてくれる不思議な奇跡。
言葉が繋ぐ想いもじんわりと感じる短編集である。
「大丈夫」のことばは、目が見えなくなるかもしれないと不安になっている私に夫がずっとそばにいるから心配しなくてもいいという大丈夫なのかもしれないし、夫や子どもたちに心配しなくても大丈夫だよと私が言うことばかもしれない。
「ごめん」のことばは、母が亡くなり実家に帰ったが兄には冷たいと言われて、母親からは会えば嫌みを必ず言われるので足が遠のいたからで、だけど兄嫁から先にお風呂にどうぞとゆっくり入って下さいね -
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7人の作家によるエッセイアンソロジー。
もともと『考えるマナー』『楽しむマナー』という本の中からエッセイを抜き出して、子どもの悩みや質問に対する回答という形式で再編集されている。
サブタイトルに「迷回答」とあるが、そもそも質問に答えるために書かれた文章ではないため、答えになっていない「迷回答」になるよね、とは思う。
子どもの素朴な質問に対して作家が答えてくれた本だと思えば肩透かしを食らうし、一方で様々な作家たちの気軽なエッセイだと思えば楽しめる一冊。
好きなエッセイは
三浦しをんの「ボウリング最弱王決定戦」
高野秀行の、ありがとうを言わない民族と褒めることについて。
角田光代のクヨクヨしてし -
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ネタバレこんな絵画教室が近所にあったら良かった、としみじみ思う。
蔦のからまる古い一軒家に開かれた絵画教室"アトリエ・キーチ"。
近所に住む小学生から大人までが集まり、一緒になって絵を描く。感性の赴くまま、無になって集中して。
自分の内面に眠っているものを、目の前にある真っ白な画用紙の上に、思い思いに表現する。
見えている色や形は人によってそれぞれ違う。
空の青さも葉っぱの色も、果物の形も羽の質感も。
自分が受け止めている色や形を、絵に表現することにより相手に伝える。互いの内側にあるものを周囲の人達と共感し合う。それはなんて素晴らしいことだろう。
自分の頭の中で生まれた世界、言 -
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子どもを二人生んだ山崎由美という女性の視点から描かれる物語。
由美は二人子どもを産み、一人は亡くし、もう一人を捨てて、この町にやってきた。
何かに耐えられなくなったからだが、それが何かは読者にはわからない。
店と家事の仕事をする代わりに、彼女は平山タバサを店主とする薬局に身を寄せる。
薬屋として代々町の人々の生と死の現場尾立ち会ってきたという平山家。
いったい彼は何者なのか。
彼の処方する薬はどういうものなのか。
そして、この町は、異界なのか。
異界、とすれば、これは「高野聖」の男女反転ヴァージョンか?
あるいは「砂の女」の?
ただ、母性の問題が底に感じられるところは、そういった先行作品 -
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絵を習うのって楽しそうだな。
水墨画の小説を読んだ時も思ったが、「絵が描けたなら。思いのすべてをキャンパスに乗せ」られたら、
なんて楽しい時間なんだろう。
そして、辛い時寂しい時も、絵を描くことで、心が救われることがあるのだろう。
物語を読んでいる間には、まるで自分が絵を描けるかのように、頭のキャンパスに次々にカラフルでステキな絵が描かれていく。楽しい時間です。
あー、本当に絵が描けたなら♪
・・・ピアノは少し弾けます。少しです。
一人は寂しい。
二人でも家族だった人がいなくなるのは寂しい。
家族を作れなかった自分は歯がゆい。
東日本大震災の時もそうだったが、コロナの今も、一人は寂しい、と感