東直子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
東直子の、大人の童話。
すがすがしい筆致で描かれています。
あいまいな人間関係の中に、不思議な存在ミトンさんが投げかける波紋。
それは‥
アカネは、海外赴任の長いミキヒコ叔父さんの家に住めることになった。
5年3ヶ月暮らした狭い部屋を出て、綺麗な白い家に。
台所の床下収納を開けたら、梯子を降りていくと、赤い服を着た50センチぐらいのおばあさんが眠っていた‥!
叔父さんに電話すると、「アカネ、駄目だよ、ミトンさんは起こさなければ10年ぐらい寝ていたのに」と言われてしまう。
家の守り神というか住む人の守り神なんだという。
自分のことは「オレ」と言い、フルーツが好き。すぐに寝てしまうが、外に連れ出すと喜ぶ。
顔を隠す帽子を買って抱っこしていると、赤ちゃん連れで通るのだが、子供が出来たという妙な噂も一部に広まったり。
2年以上付き合った庄司くんとの、くっついたり離れたりの仲は、リアル。
頼りない彼は最初ミトンさんのことをまったく受け入れないのだが、なぜか戻ってきてからは世話を焼いたりしてくれるように。
学生時代の友人みほさんと思わぬ再会。
すぐにミトンさんの存在を受け入れる彼女。ほんわりした人だけど、孤独な状況。
なかなか連絡が取れないミキヒコ叔父さんも、何をやっているのやら、ちょっと怪しい存在。
日常的なような全然そうでないような出来事がゆるゆる絡まりあって‥
寂しいような、そうでもないような、でもミトンさんに会えたのは良かったね、と思える読後感でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ帯タイトルは、
「西加奈子さん推薦!
‘ふわふわしている癖に、
どうしたって胸を掴んで離さない’」
「眠れないなら、またなにか話をしてあげようか」
眠る前に一編ずつ味わいたい、現代の「千夜一夜物語」
文章の感じが小説っぽくないなーと思っていたら、
歌人の方だったんですね。
ゆうちゃんときいちゃん。
気弱で生真面目で甘えん坊。
たぶん、苛々する人もいるんでは。
私は好きです。
こーゆー、淡い感じの本。
文章がまぁるい感じです。
本当物語というか絵本というか、
小説!って感じがしない一冊です。
外では居場所を見つけられずに
唯一自分でいられる場所が
恋人である美容師ゆうちゃんの住むアパート。
眠れないきいちゃんのために、
ゆうちゃんが話す不思議な物語が主軸で
展開していきます。
ゆうちゃんが話す物語が
きいちゃんの現実に少しずつ影響していき
不思議な出来事も起こります。
最後、
きいちゃんも
ゆうちゃんも
自分自身や相手を見つめて
動き出すように
切なくて優しいハッピーエンドでした。
最初の一編が「青鬼」でしたが、
最後まで読むと、
すごく納得なんです。
一冊全部読み切って
青鬼を読み返すと、
そーなのかあ、最初が青鬼だったのって
意味があったのかな、って。
やさしくて綺麗で愛しいだけではなくて、
どこか終わりや最後を感じさせてくれるスパイスが入っています。
「どっかにぶつかってもさあ、
気がつかなくて、
どんどん当たっちゃって、
こうなっちゃうんだよね。
痛くなさすぎて、
生きてるかどうかも分かんないって感じ。
もう人生そのものがわけ分かんない」
愛しく不器用な人ばかり。
優しくて不器用な人ばかり。
自分勝手でワガママで憎めない人たち。
青鬼はどうなったんだろう。
どんな気持ちだったんだろう。 -
Posted by ブクログ
歌人の著者。
小説は初めて読んだ。
雰囲気がすごく好き。
なんだろ、色で言ったら、薄い水色か緑色な
さやさや~とした感じの文章がとてもここちよかった。
登場人物がみんなどこか不思議だけど優しくて、好きです
引用。
「仕方のないことって、どうしてこう、人生にまとわりついてくるんだろう、とため息をつきそうになった。」
「あたしとゆうちゃんも、の続きは『ジャムみたいだね』だった。
でも、そう言ったとたん、今のできごとが全部ジャムみたいにかたまって、
思い出にかわってしまいそうでこわくなったのだ。だから、言わなかった。
あたしとゆうちゃんの時間は、小さな炎で煮続けていくんだ。
ずっとずっと、どんなに小さな炎でも、かまわないから。」
「あたしの中に、『加減のわかる装置』のようなものがあればいいのに。
いろいろなことの加減ができる装置。とくに心の加減の。」
「おれは、男のストーカーなんかじゃなくて、この世でたった一人の、
ずっとそばにいてくれる女の子が欲しいんだよ」
「ゆうちゃんがあたし一人のものじゃないってこと、分かってる。
よく分かってる。でも、今はここにいてほしい」
「ゆうちゃん、好き。大好き。ゆうちゃんも、あたしのこと、ずっと好きでいてね。ウソでもいいから」 -
Posted by ブクログ
ちょっとワケありな家族と離れ、美容師をしている恋人の部屋に居候している女子大生が主人公です。彼女は少しばかり心のバランスを崩していて、大学も休学中。何をするでもなく、ただただ日々をやり過ごしています。そんな彼女が眠れない夜は、恋人がお話を聴かせてくれます。それは、子供の頃の友人の話であったり、むかし近所に住んでいた人の話であったり、アルバイトをしていた頃の同僚の話であったりです。著者は歌人でもありますから、言葉の使い方がとても巧みです。どれも取り留めのないお話のようですが、なんだか妙に心に引っ掛かります。
ときには、なんだかおかしな人と関わりを持ったりしながら、少しずつ前に歩み始める主人公なのですが、得てしてこの世に命を繋ぎとめるもととなっているのは、取るに足りない日常的なことなのかもしれませんネ。 -
Posted by ブクログ
自分と食に関するいろんなお話しとそれにまつわる短歌が
書かれている前半と,ご自分の食生活を日記形式で書かれている後半。
どちらも食を丁寧に考えていらっしゃるのだなぁと,感心しながら
読みました。
私はずっと同じ地域に住んでいるので,他の地方の食文化に触れるのは
なかなか苦手なので,東さんのチャレンジ精神?にはびっくりです。
食べるのは好きですが,すごく偏食で,
食材にも別にこだわりのない自分は
自分で良くない体を作っているのかな・・・なんて
少し心配になってしましました。
なんかほっこり,手間?心をかけたものを作って食べたくなりました。