東直子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
少し昔の糸島で、同級生の咲子ちゃんや素敵なおばあさん・ハルさんと過ごした加奈子の濃密な1年。
1年か…と驚くほど、糸島に来る前と後では加奈子は成長したと思います。
おハルさんの、戦中戦後の辛い経験と、死刑囚を慰問しているという活動と、可愛いものや素敵なものが好きというおおらかであたたかいところと…魅力的でした。
たぶん子ども向けなのでしょう、罪や罰や死について考えさせられるところもありましたが、重すぎず、ほのぼのと明るく読めるところがほとんどでした。
おハルさんを樹木希林さんが演じられたというドラマも観てみたいです。
せっかく近いんだから、糸島市も行ってみたいな。 -
Posted by ブクログ
歌人であり、小説家の東さんの初めての食のエッセイ。
各作品に、歌一首つき。
作者の人柄が表れているのだろうか、優しくて自然な文章。
食べ物の味を感じるのは、舌にある味蕾だから、おいしい食べ物の文章は舌で味わうものが多い。
あとは、目?
東さんの食べ物への向き合い方は、体ごとである。
体に流す(流し込む)、もしくは通す、という言い方がされる。
とても素直だ。
たとえば、色インクに切り花を挿しておくと、その色水を吸い上げて花弁が同じ色に染まるような。
ただ、極端に“体にいいもの”を追及しているわけではない。
無理に30品目の食品を摂るようなことは、人間を生き物としてとらえれば不自然な事、と考え -
Posted by ブクログ
東直子の、大人の童話。
すがすがしい筆致で描かれています。
あいまいな人間関係の中に、不思議な存在ミトンさんが投げかける波紋。
それは‥
アカネは、海外赴任の長いミキヒコ叔父さんの家に住めることになった。
5年3ヶ月暮らした狭い部屋を出て、綺麗な白い家に。
台所の床下収納を開けたら、梯子を降りていくと、赤い服を着た50センチぐらいのおばあさんが眠っていた‥!
叔父さんに電話すると、「アカネ、駄目だよ、ミトンさんは起こさなければ10年ぐらい寝ていたのに」と言われてしまう。
家の守り神というか住む人の守り神なんだという。
自分のことは「オレ」と言い、フルーツが好き。すぐに寝てしまうが、外に連れ