東直子のレビュー一覧
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東直子さんによる文庫版あとがきより引用します。
P206~
前略
「とりつくしま」とは、命をなくした人がこの世に戻ってきて魂を宿すモノのことをそのように呼びならわすよう設定したのですが、「とりつくしま」を考えるということは、死んで間もない人のことを考える、ということになります。誰でもその身に潜ませている「死」を考えることでした。実際に書きはじめる前に、頭の中で、なんらかの未練を残して亡くなった人を想定し、さらにその人が生前一番大事に想っていた人のことを考えました。物になって大切な人に再会した死者たちが、どんなことを呼びかけたいと願うのかを。
後略
全十一話の連作短篇集なのですが、全話 -
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朗読劇で知ってから原作を読もうと購入。こんなにも原作が朗読通りだったとはと衝撃。作者が歌人なので必要な分だけそり落とされた言葉たち。でもまるで1人1人が語っている様な文体に心奪われました。短編でここまで書き分けられる人がいらっしゃるとは!東さんのご本、もっと沢山読みたい!!と魅力にとりつかれてます。
どのお話も好きだけれど
特に「名前」と「レンズ」はキラキラした希望の中で終わる感じが優しくあたたかい光が見えて好きでした。
逆に「青いの」と「ささやき」は辛かった。
私は何にとりつきたいかなと考えながら読み進めて、母の眼鏡かなという結論に。
そう考えてるうちに、「今」ときちんと向き合って惜しみな -
Posted by ブクログ
刺繍や編み物など手芸をモチーフとした短編集。ホッコリと優しい気持ちになれる、大人のための絵本のような物語が、18編紡がれていました。ひとつひとつの物語の最後には、素敵な歌が一首。100頁ちょっとの本ですが、なんどでもゆっくりと楽しみたい本です。
この本を読みながら思い出したのは、子どもたちに何度も読み聞かせをした『わたしのワンピース』(絵と文、にしまきかやこ)という絵本でした。『フランネルの紐』は、自分で自分に読み聞かせをしているような感じがしました。
この本は、様々な色や素材のものを吟味して、出来上がりを楽しみながら作ったり、喜ぶ顔を思い浮かべながら作ったり、そんな気持ちも思い出させてく -
Posted by ブクログ
私は今まで短歌を読んでも、分かったふりをしていた。
この本で、歌人たちが表現をどれだけ工夫して読者に伝えようとしているかが少し分かった。
・助詞にこだわる も、だけ、さえ…など強い助詞には要注意。読み手がそうですか、と引いてしまう。
・短歌は具体的に(心情的)、俳句は抽象的、感情表現を差し込む余地が少ない。だから短歌は癒される?自分のことを歌うことができる。
・同じ音数でも、ひらがな、カタカナ、漢字、どれを使うか吟味する。一度両方で書いてみるとよい。
・短歌の表現の軸には「共感」と「驚異」がある。しかし、本当に共感性の高い歌は背後に「驚異」をもっている。わざと特殊な表現…「しぼりこみ」をする -
購入済み
知っている様で知らない
羅生門も蜘蛛の糸も、大抵の人は内容を知っている。
羅生門に至っては、複数の漫画で攻撃技にもなっているし、蜘蛛の糸は無慈悲な鬼にぶった切られたり仏がクレーンゲームで景品ぎちぎちにさせたりする。
けれど、どちらの小説も真面目に読んだのは何時の日か。
難しい漢字も読み仮名が振られているから安心。
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Posted by ブクログ
歌人の東直子さんが子どもの頃から歌留多として親しんできた百人一首を今改めて全首をじっくりひもとき、現代の言葉で五七五七七の現代歌集として再構築した歌集。
私は子どもの頃、百人一首を覚えるような宿題はなかったため百人一首、全首をまとめて読んだのは初めてでした。
東直子さんの訳した歌と訳文も付いているので、とてもわかりやすくてよかったです。
その中から東直子さんの訳文の方がよかった、わかりやすかったと思った歌と本歌をいくつか載せます。
比べ読みしていただけたら嬉しいです。
○大空をふりあおいだらああ春日、三笠の山に出ていた月が
安倍仲磨
○天野原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出で