あらすじ
イラストレーターの実弥子は、下町の古い民家を借りて絵画教室を始める。ひっそりと開いた教室だったが、類まれな絵の才能を持つ少年、長いつきあいの編集者、近所の子どもたち、隣家の母娘など、さまざまな人たちが訪れるようになっていく。画家だった夫の突然の死を受けとめきれずにいた実弥子だったが、絵を教え、ともに描くことで、次第に生きる力を取り戻していく。街の片隅で紡がれる人の営み、再生の時間を丁寧に描いた物語
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Posted by ブクログ
実弥子さんはとても素敵だなと思った。絵の中の思いをしっかり汲み取って、それぞれに褒められる。人に対してとても優しくて癒された。
みんなで想像を膨らませて楽しいことを次々と思いつく感じが楽しくて、どんどん読み進められた。
想像力、発想力、観察力…みんな凄かった。日常をこんな風に切り取れたら楽しいだろうなと思った。絵に書き起こすことで、こんなにもストーリーや思いの乗ったものになるなんて、面白い。私は絵が苦手だけど、描かなくても、着眼点、想像力、発想力、観察力は見習って、楽しく過ごしたいし、キレイなものや心動かされることに素直でありたいと思った。そういうものに触れる時間って凄く大切だと思う。
Posted by ブクログ
登場人物が皆楽しそうに絵を描くから、
いったいどんな絵を描いているのか、
思わず想像してしまう。
上手く描くことより、自由に描く。
大人も子どもも関係なし。
そうやって、いつの間にか心のしこりが消えていて、
すべての人が優しくなっている。
Posted by ブクログ
イラストレーターの実弥子は古民家を改装して絵画教室を始めた。年齢層が幅広く和気あいあいと絵を描くことを楽しんでいる様子が伝わってきた。絵を楽しめるとはどういう感じなんだろう?自分の生活の中にはないジャンルでした
Posted by ブクログ
こんな絵画教室が近所にあったら良かった、としみじみ思う。
蔦のからまる古い一軒家に開かれた絵画教室"アトリエ・キーチ"。
近所に住む小学生から大人までが集まり、一緒になって絵を描く。感性の赴くまま、無になって集中して。
自分の内面に眠っているものを、目の前にある真っ白な画用紙の上に、思い思いに表現する。
見えている色や形は人によってそれぞれ違う。
空の青さも葉っぱの色も、果物の形も羽の質感も。
自分が受け止めている色や形を、絵に表現することにより相手に伝える。互いの内側にあるものを周囲の人達と共感し合う。それはなんて素晴らしいことだろう。
自分の頭の中で生まれた世界、言葉ではなかなか表現できないものが、絵になって外の世界へ広がっていく。こういう自分の気持ちを言葉や形に変えることは大人でも難しい。子供なら尚更そうだろう。
言葉数の少ない子供の気持ちも、絵を描くことで周囲の大人がもっと受け止められるといいのに。
そのためには大人も想像力を鍛えないといけない、と自戒を込めて思った。
Posted by ブクログ
絵を習うのって楽しそうだな。
水墨画の小説を読んだ時も思ったが、「絵が描けたなら。思いのすべてをキャンパスに乗せ」られたら、
なんて楽しい時間なんだろう。
そして、辛い時寂しい時も、絵を描くことで、心が救われることがあるのだろう。
物語を読んでいる間には、まるで自分が絵を描けるかのように、頭のキャンパスに次々にカラフルでステキな絵が描かれていく。楽しい時間です。
あー、本当に絵が描けたなら♪
・・・ピアノは少し弾けます。少しです。
一人は寂しい。
二人でも家族だった人がいなくなるのは寂しい。
家族を作れなかった自分は歯がゆい。
東日本大震災の時もそうだったが、コロナの今も、一人は寂しい、と感じている人は多い。
けれども、色々な事情から、一人で生活している人は多い。
そんな時に、実弥子のような人がいてくれたら、どんなに救われることか。
現実世界では、なかなか、会ったばかりの他人同士がこんな風には難しいだろうが、、いや他人だからこそできることもあるのかな、、、
そんな家の1階がアトリエで週に2回の絵画教室に子供や大人が集まる空間だったら、本当に素敵。
ルイが、これからも母親や実弥子、登美子や真由子に見守られながら、ずっと絵が好きでいて、それが強みになって、楽しい人生を歩めることを祈っている。