【感想・ネタバレ】階段にパレットのレビュー

あらすじ

イラストレーターの実弥子は、下町の古い民家を借りて絵画教室を始める。ひっそりと開いた教室だったが、類まれな絵の才能を持つ少年、長いつきあいの編集者、近所の子どもたち、隣家の母娘など、さまざまな人たちが訪れるようになっていく。画家だった夫の突然の死を受けとめきれずにいた実弥子だったが、絵を教え、ともに描くことで、次第に生きる力を取り戻していく。街の片隅で紡がれる人の営み、再生の時間を丁寧に描いた物語

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Posted by ブクログ

ネタバレ

こんな絵画教室が近所にあったら良かった、としみじみ思う。
蔦のからまる古い一軒家に開かれた絵画教室"アトリエ・キーチ"。
近所に住む小学生から大人までが集まり、一緒になって絵を描く。感性の赴くまま、無になって集中して。
自分の内面に眠っているものを、目の前にある真っ白な画用紙の上に、思い思いに表現する。

見えている色や形は人によってそれぞれ違う。
空の青さも葉っぱの色も、果物の形も羽の質感も。
自分が受け止めている色や形を、絵に表現することにより相手に伝える。互いの内側にあるものを周囲の人達と共感し合う。それはなんて素晴らしいことだろう。

自分の頭の中で生まれた世界、言葉ではなかなか表現できないものが、絵になって外の世界へ広がっていく。こういう自分の気持ちを言葉や形に変えることは大人でも難しい。子供なら尚更そうだろう。
言葉数の少ない子供の気持ちも、絵を描くことで周囲の大人がもっと受け止められるといいのに。
そのためには大人も想像力を鍛えないといけない、と自戒を込めて思った。

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2021年04月25日

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