東直子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
めーっちゃ良かった。ほっこり、泣ける部門で下半期ベストに入ってくると思う。文体もものすごく好みだった。ずっとうるうるしていた。
亡くなった人が無機物にとりつく。大切な人のすぐそばにある無機物に。無機物だから、こちらの声は届かない。
自分は亡くなっているから、大切な人にとっては過去になって、大切な人は少しずつ新しい環境に慣れていく。切ない。でも亡くなった側からしたら嬉しいのかな…。
特に好きだったのはロージンと青いのとマッサージと日記かなぁ。子供が出てくるのには弱すぎた。親目線も子目線もしんどいて。泣くて。
私がもし先に亡くなったら、なんにとりつこうかなぁ。我が家のフェイクグリーンにでもなろうかしら。娘と夫をずっと見守りたいな。 -
Posted by ブクログ
喜怒哀楽がありつつも、下手くそでも
"一緒に生きる"努力を怠らない。
子どもにイライラしてしまったり、時にはダメなことはダメ!と言わなきゃ行けない役回りだったりするけど、"一緒に生きる"のが親にできる唯一のことなんじゃないかなぁ
素敵なタイトル。
東さんが、子育て真っ最中だった自分にかけてあげたかったという言葉たち、たくさーん。
私は本当の育児の大変さに足を踏み入れてない。
余裕を持って子育てに向き合えている今だからこそ、本を読む余裕がなくなった時のために「言葉の貯金」をしておきたい。
育児はグラデーションの日々だなぁと思う。
数ヶ月前と比べると、明らかに子どもは成長しているんだけど明確に「この日に変わりました!」というのがない。
あれ、そう言えば…と言いながら、
たくさんの"おしまい"とともに過ごしているのだと思う。
子育ての終わりってどこなんだろう?
卒業したら、社会人になったら、結婚式したら、、、?
いきなり終わりってわけじゃないよなぁ。 -
Posted by ブクログ
Threadsで紹介
・(子育ては)この瞬間必要なことをすれば、それでいい
・一番嫌われることをしても、一番好かれることをしているから大丈夫
・なんの不満も持たない子どもはいない
・我々は近代化された社会で無理をしている生き物なのだ、という意識は持っていた方がいいと思う。
その子が悪いのではなく、生き物として不自然な環境に置かれたら、泣いているだけ
・生きているから傷つくけれど、生きているからやり直せる、くらいに思いつつ、適当に、かつ繊細に、毎日を過ごしたいと思う
・お母さん同士ではなくても、共通の知人の話題で盛り上がる、というのは、他に話すことがないときである。
いい噂ならいいが、あまりよくない噂を推測で広げてしまうことは、なるべく避けたいものである。
逆に考えれば、噂以外のことで楽しみが見つけられる関係であれば、その楽しみに集中して有意義な時間が持てるというものである。
・小さい子に、遊びと家事の区別はつかない(中略)(子どもがやった家事はあとでこっそり直さなくてはいけないが)それがめきたことを、まずはほめてあげたい。
家事は楽しい、という気分を記憶にしっかり刻み込むことが、その子の将来にとって、とても重要
・なにをしていても、楽しいなぁという気分を親が持続し続けること
子どもは、親の心をとっても敏感に感じとる生き物だから
・無理してでもどこかに行ったのは、子どものためではなく、親のその時の満足、および記憶の充実のためだったのかと思う
・長い人生からすると、とても短く期間なのに、永遠に続くしんどい時間のように感じることもあった。
必ず終わってしまう時間なんだよ、もっと楽しみなさいよ、とあのときの若い自分に耳打ちしたい
・育児をした人には、育児をしたことである人でなければ身に付かないスキルが備わる。
充分に誇りに思っていいことだと思う。
スキルが備わるということは、その期間を自分の貴重なキャリアとして考えていいと思う。
子育てが正式なキャリアとして、社会的にも認知される世の中に早くなってほしいと切に願う。
・身体が疲れ、ストレスが溜まりすぎて逃げ出したくなることもあると思うが、これを乗り越えれば自分自身がレベルアップするのだ、と思うことが力にもなるのではないか
・人生を最初からやり直すことはできないが、人生を反芻することはできる
・子どもとの関係は永遠に続く -
Posted by ブクログ
東直子さんによる文庫版あとがきより引用します。
P206~
前略
「とりつくしま」とは、命をなくした人がこの世に戻ってきて魂を宿すモノのことをそのように呼びならわすよう設定したのですが、「とりつくしま」を考えるということは、死んで間もない人のことを考える、ということになります。誰でもその身に潜ませている「死」を考えることでした。実際に書きはじめる前に、頭の中で、なんらかの未練を残して亡くなった人を想定し、さらにその人が生前一番大事に想っていた人のことを考えました。物になって大切な人に再会した死者たちが、どんなことを呼びかけたいと願うのかを。
後略
全十一話の連作短篇集なのですが、全話がとてもいい話ばかりで、どれがよかったかは選べないので前から順番に三篇挙げると
「ロージン」
ピッチャーの息子を見守るため、野球の試合で使うロージンになった母。
これはもう切なかったです。
「トリカラトプス」
夫のお気に入りのマグカップになった妻。
これはちょっと最後にスカッとするいい話でした。
「青いの」
いつも遊んでいた大好きなジャングルジムになった男の子。
優しい優しいお話で涙が出そうになりました。
全部の話がよくて、はずれは一話もありませんでした。全部説明したいくらいですが。
この本は明日、作者の東直子さんのオンラインの講座に出るために少し前から積んでいたのですが講座の前に拝読しておけて本当によかったです。
歌人としての東直子さんの歌集や詩集はほとんど拝読していましたが、小説は初読みでした。
歌人という個性を活かされた、どこの誰とも違う個性的な作風に思えました。
天は二物も三物も与えられるのですね。
講座に参加するのは昨年の穂村弘さんの対面講座以来で一年ぶりです。
明日の講座がとても楽しみです。
何だかドキドキ、ワクワクします。 -
Posted by ブクログ
朗読劇で知ってから原作を読もうと購入。こんなにも原作が朗読通りだったとはと衝撃。作者が歌人なので必要な分だけそり落とされた言葉たち。でもまるで1人1人が語っている様な文体に心奪われました。短編でここまで書き分けられる人がいらっしゃるとは!東さんのご本、もっと沢山読みたい!!と魅力にとりつかれてます。
どのお話も好きだけれど
特に「名前」と「レンズ」はキラキラした希望の中で終わる感じが優しくあたたかい光が見えて好きでした。
逆に「青いの」と「ささやき」は辛かった。
私は何にとりつきたいかなと考えながら読み進めて、母の眼鏡かなという結論に。
そう考えてるうちに、「今」ときちんと向き合って惜しみなく生きようと思えました。