東直子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
歌人でもある東直子さんの短編集。まだ3冊読んだだけですが、最近、お気に入りの作家さんです。
ひと言の言葉をモチーフに綴られた物語は、どれもがとても印象深かったです。様々なシチュエーションでのひと言がもたらす気持ちの表現に、引き込まれました。短編なんだけれど、充実した感じがしました。大丈夫?と言われたときの気持ちとか、スッとその気持ちに入り込めるような感じでした。寂しかったり、孤独だったり、そんな気持ちに優しく寄り添うことについて、思ったりしながらの読書でした。
装画・挿画の三好愛さんのイラストも、かわいらしくて、ほっこりしました。
大丈夫
ごめん
覚えてる?
もういいよ
なんで?
つれて -
Posted by ブクログ
ネタバレ結末は委ねられるものの、読後感はさほどモヤらないのが不思議。
自分の身に起きたら中々にしんどい状況を、自然体で軽やかに乗り越える人々の強さがそうさせるのか。私なぞ一話目の夫のズレた優しさだけでも嫌になるというのに、「的に当たらなくても前に飛ばせばいい」と前向きに受け取るシーンはかなり刺さった。
辞書を丸暗記する少年の描写も良かった。
大人っぽさと子供っぽさの混ざり具合がリアル。祖父が受けた裏切りや帰宅部を作ろうと言い出す少年など、背景が気になる登場人物にもっと読みたくなったがそこは短編。やはり読み手の想像力に託すということか。
もっともっとと思ってしまうという事は面白かったという事。 -
Posted by ブクログ
「晴れ女の耳」 紀ノ国奇譚
著者 東直子
【目次】
イボの神様
ことほぎの家
赤ベベ
晴れ女の耳
先生の瞳
サトシおらんか
あやっぺのために
緑涙
参考文献に『読みがたり 和歌山のむかし話』とありました。
八篇から成る短編集ですが、題材となっているのが、和歌山の民話や実話ということで、古い日本の風習やその土地の文化のようなものが根底に感じられます。人柱や神かくしなど、どのお話にも、そうしなければ生きていけなかった切なさがあります。
どのお話にも、人の想いが込もっている様に感じられました。
表題作、『晴れ女の耳』を出来るだけネタバレのない範囲でご紹介させてください。
『私が外に出る時は必 -
Posted by ブクログ
公募ガイドの選歌欄「短歌の時間」のオムニバスですね。
メメさんの本棚登録で知りました。とても素敵な本です。メメさん、ありがとうございました。
雑誌『公募ガイド』連載「東直子の短歌の時間」(2015年4月号~2021年10月号)を纏められた一冊です。七十九のお題で、特選一首、秀逸二首、佳作六首。それぞれに[評]を添えて、[全体評]でまとめ。エッセイのような短歌についてのコラムが寄せられています。
とてもおしゃれで、東さんのイラストも味わい深く華を添えています。
東さんの短歌も私には馴染みやすいのですが、文章も柔らかく親しみやすく、短歌の選も共感を呼ぶものでした。ちょっと嬉しい本です。
や