ピエール・ルメートルのレビュー一覧
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ネタバレそうよ、あのルメートルよ!と覚悟はできていたはずなのに、またしても絶望の底に叩き落とされました。
プレイステーションを持っていないせいで友達のいない12歳のアントワーヌ。そんな彼に唯一なついていた6歳のレミを故意ではないとはいえ殺してしまった。いつバレるのだろうかと、私たちはアントワーヌと共に緊張を強いられることになります。
しかしバレない。ずっとバレない。その年も、10年以上が経過しても。けれど、バレていなかったわけではないと知ったら。
彼のことは好きになれません。でも、彼がこの先どう生きていくのかは気になる。確かにあの時、あの森で死んだも同然。 -
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ネタバレヴェルーヴェン警部シリーズ三部作完結編。つらいけど面白かったです。
カミーユ、こんな仕打ち(?)受けるほどの事したっけ、という思いが拭えません。今回の真犯人も逆恨みだろう……「えっ貴方なの!?」ってとてもびっくりした。
アルマンが食道癌で退場したのも悲しいし、ヴェルーヴェン班もうルイしかいない。カミーユもいなくなるんだろうし……ル・グエンが上司のままなら違ったかもだけど、彼は昇進したからカミーユの上司はミシャールっていうわからない人になってる。
北欧の警察小説の上司、だいたいこういうわからない人だからそういう風土なのかな。特捜部Qもそうだ。
カミーユの傷だらけの暴走に心を痛めながらも、ちゃん -
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第一次大戦時にフランス東部の農地に降り注いだ砲弾の不発弾が、この物語を形作る道具になっている。カミーユ作品の番外編だが、「天国でまた会おう」「炎の色」執筆で得た材料から拾ったという意味でも大戦関連作品番外編でもある小作品。短いから一気読みできる。
パリで爆破事件が発生し、出頭した青年、ジャンはあと7発が次々に爆発するから、その情報とひきかえに自分と母親ロージーを釈放してオーストラリアに逃がせという。ロージーは、以前ジャンの恋人を轢いて収監されていた。
原題はRosy&John。歌のタイトルからつけられたジョンという名前に、息子はジョンと書いてジャンと読む、とこだわる場面がある。母親への -
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ネタバレ『その女アレックス』の著者ピエール・ルメートルの作品。
物語は『その女アレックス』と似たように1人の女性ソフィー物語から始まる。
ソフィーの記憶障害や過去の近親者の死から彼女に良い感情は抱かないのだが139ページから物語は雰囲気を変える。
ソフィーの忘れ癖や近親者の死はフランツに仕組まれたものだった。フランツは自殺した母親の原因がソフィーの母親であるとし恨み、そのソフィーの母が亡くなっていたことでソフィーに狙いを変更していた。
フランツによるソフィーへの嫌がらせが想像を超えていてざわざわする。
ソフィーがフランツの正体に気づき、父の手助けもあり、フランツを自殺させることに成功し、ソフィ -
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フランスの作家ピエール・ルメートルの長篇ミステリ作品『監禁面接(原題:Cadres noirs)』を読みました。
『傷だらけのカミーユ』、『わが母なるロージー』に続き、ピエール・ルメートルの作品です。
-----story-------------
『その女アレックス』の鬼才ルメートル、最新作。
徹夜必至。一気読み保証。
どんづまり人生の一発逆転にかける失業者アラン、57歳。
愛する妻と娘たちのため、知力と根性とプライドをかけた大博打に挑む!
鬼才のノンストップ再就職サスペンス!
リストラで職を追われたアラン、失業4年目。
再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今は倉庫での -
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ネタバレ悪夢に苦しめされて眠れず、何でもすぐに忘れてしまう。思いもよらぬミスをする。幸せなキャリアウーマンだったソフィーは記憶にない奇行を繰りかえし、おぞましい汚名を着せられて逃亡する。
転落して行く女性の軌跡を追うサスペンス小説。
一章は最近気鬱や物忘れ、放心状態などの症状に悩まされているソフィーという女性の姿を描いており、ある日目が覚めると、ソフィーがベビーシッターをしている家庭の子どもが首を絞められて死んでいる。記憶がないうちに自分がやってしまったのかと逃亡するのですが、その先々でも次々と死体が転がる事に。ソフィーは狂気と不安に苛まれながらも身分を偽って生きるためある事を計画します。
そこ -
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久々のルメートル
あれ、でもこれミステリーじゃないんだねとちょっとがっかり、壮大な復讐劇といったところか
主人公のマイヤールはなんとなくぐずでのろまな印象、機転が利かないくせに、じっくり考えることもせずに自分からどんどん落とし穴にはまっていくタイプ、人はいいけど全くの善人でもないし
ヒーロー要素のかけらも無い主人公だがそれだけに自分と重なる部分もたくさんあるな
そんなマイヤールは戦場で上官のプラデルの悪事に偶然気付いてしまい、殺されそうになる
九死に一生を得てパリに戻った彼だが、何もかも失ってぐすぐずと思い悩んで躓きまくり貧乏生活が続く
一方でプラデルは悪事を重ねてのし上がって行くのだが -
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「ピエール・ルメートル」の長篇作品『天国でまた会おう(原題:Au revoir la-haut)』を読みました。
『死のドレスを花婿に』に続き「ピエール・ルメートル」作品です。
-----story-------------
膨大な犠牲者を出して、大戦は終わった。
真面目な青年「アルベール」は、戦争で職も恋人も失ってしまう。
画才に恵まれた若き「エドゥアール」は顔に大怪我を負い、家族とのつながりを断つ。
戦死者は称揚するのに、生き延びた兵士たちには冷淡な世間。
支え合いながら生きる青年たちは、やがて国家を揺るがす前代未聞の詐欺を企てる!
第一次世界大戦後のフランスを舞台に、おそるべき犯罪の -
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「ピエール・ルメートル」の長篇作品『天国でまた会おう(原題:Au revoir la-haut)』を読みました。
『死のドレスを花婿に』に続き「ピエール・ルメートル」作品です。
-----story-------------
膨大な犠牲者を出して、大戦は終わった。
真面目な青年「アルベール」は、戦争で職も恋人も失ってしまう。
画才に恵まれた若き「エドゥアール」は顔に大怪我を負い、家族とのつながりを断つ。
戦死者は称揚するのに、生き延びた兵士たちには冷淡な世間。
支え合いながら生きる青年たちは、やがて国家を揺るがす前代未聞の詐欺を企てる!
第一次世界大戦後のフランスを舞台に、おそるべき犯罪の -
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ネタバレ「天国でまた会おう」の三部作の最終作。
小学校の教師で週1回レストランでウエイトレスとして働いているエレーヌ。
レストランに訪れた客の男から、裸を見せてくれと頼まれる。
逡巡したあげく望みに応じると目の前で拳銃自殺をされてしまう…。
一方、ドイツ軍の侵攻に備える軍隊の軍曹。
調子が良く賭け事や物資の横流しに長けている部下に振り回される。
三部作のはずがどこにつながりが、と思っていたら、
エレーヌが「天国でまた会おう」に登場した、
二人の主人公が住んでいた家の貸主の娘だった。
拳銃自殺をした男が母の昔の恋人であり、
二人の間に息子、エレーヌの兄がいるとわかり、
探そうとするエレーヌ。
だ -
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読み終わった後に、「何かに似てるな...」と思っていたのですが、ドラマのブレイキング・バッドに似てます(賛否両論あると思いますが)。
ブレイキング・バッドのほうがよりクレイジーだし、失業が始まりだったわけではないけど、これまで地道に頑張ってきた中年男性が、貧乏がきっかけでどんどん邪の道に逸れていくという所はそっくり。
人間追い込まれると思いもよらないことをする、という点は鮮やかに描写されていますが、採用面接のために、「流石にそこまでする?!」というツッコミが最後まで消えなかったので、若干評価は低めです。
でも失業という社会問題については共感するところが多分にあったので(私も今は仕事あるけ