ピエール・ルメートルのレビュー一覧
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ピエール・ルメートル『監禁面接』文春文庫。
ノンストップ再就職サスペンスとは一体どんな物語なのだろうか。同じようなテーマの作品で、ダグラス・ケネディの『仕事くれ。』があったのを思い出す。
これまでの作品に比べると、全く面白くない。美味しい話には裏があるという教訓を再確認出来たのが唯一の成果。4年もぷらぷらしていた57歳のおっさんが一流企業から声が掛かる訳が無いし、就職試験で拉致監禁なんて有り得ないということに気付かぬ愚かさ。
リストラにより職を追われ、実業4年目となる57歳の主人公、アラン・デランブリは再就職のエントリーを繰返しながら、製薬会社の倉庫のバイトで糊口をしのいでいた。ある日、バイト先のいけすかない上司のメフメトに頭突きを食らわし、暗澹たる気持ちで自宅に帰ると、一流企業の最終試験に残ったという報せが入る。しかし、最終試験の内容は『就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ』という異様なものだった。
本体価格880円
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Posted by ブクログ
ネタバレモノローグでテンポのいい筆致のため一気に読み進められるけど、リアリティがなくていまひとつ。
フィクションだから非現実的なこと自体は否定しないけど、何となくの印象で言うと、こうしようという設定が先にあって、そのおぜん立てをするために無理なストーリを前に持ってきているような感じ。私立探偵のメスタクや元警察特別介入部隊警部のカミンスキーはその後の展開のために必ず必要になってくるけど、彼らを登場させるまでの設定があまりにも雑すぎる。
アランがロマンと共謀してエクシャル・ヨーロッパの裏金を盗んだという話も設定が雑すぎるし、裏金を追っているフォンタナや捜査をしていたはずの警察、検察がロマンのことを疑っている様子がまったくなく、それどころかロマンの存在に気づいてすらいないのではないと思われるぐらいまったく言及もしないというのも不自然でリアリティがない。実弾入りの拳銃を提供したはずのカミンスキーについて裁判でまったく触れられないことについては言うに及ばず。
不自然な説明的台詞もたびたびあって、拘置所の面会室でフォンタナがアランのやったことについてよくしゃべるし、次女のリュシーも父親であるアランの裁判での意図についてよく話す。漫画やアニメならまだ受け入れられる程度かもしれないけど、このあたりはもう少しうまくやってほしいなと。
もろもろの穴を埋めるかのように、ロマンは田舎にひっこませ、ゲノーは再就職を望む失業者に仕立て上げ、シャルルやフォンタナはあっけなく死なせるのだけど、埋められずに残されたままの穴がたくさんあるし、穴の埋め方も突貫工事のために埋めたあとの見栄えがよくない。
語り手の心情描写についてはあえて書かないでおく。そこは作者が書きたいように書いて、読者が読みたいように読めばいい。
この作品を読みながら真保裕一の『奪取』にすごく似ているなと感じていた。もちろん『奪取』も終始ぶっとんでいるし、そういう意味ではリアリティはないのだけど、それでも緻密な取材に基づいて作品を書く作者だけあって細部まで作りこまれている。ルメートルの『監禁面接』も全体としてはさらっと読んで楽しめるものではあったのだけど、個人的には神が宿るぐらいには細部までこだわってほしかったなと。
2020年1月4日(月)MARUZEN & ジュンク堂書店梅田店にて購入。同日読み始め、6日(水)に読み終える。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「その女アレックス」を中心としたヴェルーヴェン警部シリーズとは全く趣向の違った作品でした。
後書きでは冒険小説とのワードもありましたが、それもしっくりこない。
舞台はまさに第一次世界大戦が終わろうとしているフランス。
そこで戦った兵士(アルベール)が戦場で見た光景と自身の体験。
命を救ってくれた戦友(エドゥアール)と、その際におってしまった人生を狂わせる大怪我。
その後、始まった共同生活の中で彼等が取り戻す日常は、国中を巻き込む一大詐欺事件へ...
後半に入り、少し世界観には入り込めたが、暗いイメージは今までの著者の作品と同じとは言え、期待していただけに全体を読み終えても残念な気がしてならない。
説明
内容紹介
膨大な犠牲者を出して、大戦は終わった。
真面目な青年アルベールは、戦争で職も恋人も失ってしまう。画才に恵まれた若きエドゥアールは顔に大怪我を負い、家族とのつながりを断つ。戦死者は称揚するのに、生き延びた兵士たちには冷淡な世間。支え合いながら生きる青年たちは、やがて国家を揺るがす前代未聞の詐欺を企てる!
第一次世界大戦後のフランスを舞台に、おそるべき犯罪の顛末を鮮やかに描き上げた一気読み必至の傑作長篇。ゴンクール賞受賞作。
内容(「BOOK」データベースより)
第一次世界大戦直後のパリでのしあがる実業家プラデルは、戦没者追悼墓地の建設で儲けをたくわえていく。一方、アルベールは生活のため身を粉にして働いていた。そんな彼にエドゥアールが提案したのは、ある途方もない詐欺の計画だった。国をゆるがす前代未聞のたくらみは、はたしてどこにたどりつくのか?日本のミステリ・ランキング一位を独占した人気作家が放つ、スリルと興奮に満ちた群像劇。一気読み必至の話題作。
著者について
1951年、パリ生まれの作家、脚本家。2006年にカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの第一作となる『悲しみのイレーヌ』でデビュー。2011年に発表したシリーズ第二作『その女アレックス』は、リーヴル・ド・ポッシュ読者大賞、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー賞に輝いたほか、日本では『このミステリーがすごい! 』、「ミステリが読みたい! 」、「週刊文春ミステリーベスト10」、本屋大賞(翻訳小説部門)などのランキング一位を独占し、ベストセラーとなった。2013年に発表した初の文芸作品である本書は、フランスで最も権威ある文学賞ゴンクール賞を受賞した。現在フランスで最も注目される作家である。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ルメートル,ピエール
1951年パリ生まれの作家、脚本家。2006年にカミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズの第一作となる『悲しみのイレーヌ』でデビュー。2011年に発表したシリーズ第二作『その女アレックス』は、リーヴル・ド・ポッシュ読者大賞、英国推理作家協会(CWA)賞インターナショナル・ダガー賞に輝いたほか、日本では『このミステリーがすごい!』、「ミステリが読みたい!」、「週刊文春ミステリーベスト10」、本屋大賞(翻訳小説部門)などのランキング一位を独占し、ベストセラーとなった
平岡/敦
1955年生、早稲田大学文学部卒、中央大学大学院修士課程修了、フランス文学翻訳家、中央大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
Posted by ブクログ
ネタバレ「その女アレックス」と比較したが故の☆3つであり、本作も読み応え十分。
ソフィーとフランツの心理戦は読んでいてしんどくなる程に。
ストーカーってこんな風に相手(被害者)の肉体、精神、人間関係等を破壊出来るって事に恐怖を覚える。
説明
内容紹介
『その女アレックス』の原点となる恐怖のイヤミス
狂気に駆られて逃亡するソフィー。聡明だった彼女はなぜ全てを失ったのか。悪夢の果てに明らかになる戦慄の悪意とは。驚愕の傑作。
内容(「BOOK」データベースより)
『その女アレックス』の原点となる恐怖のイヤミス
狂気に駆られて逃亡するソフィー。聡明だった彼女はなぜ全てを失ったのか。悪夢の果てに明らかになる戦慄の悪意とは。
ソフィーは怯えていた。かつては優秀なキャリアウーマンだった彼女には秘密があった。ときに奇行を起こし、そのことをまるで記憶していないのだ。そのせいでソフィーは職も地位も失ったのだった。自分は正気を失ったのか。恐怖を抱えながらも、高名な政治家の家でベビーシッターをつとめるソフィーだったが、ある日、決定的な悲劇が訪れ、彼女は恐慌にかられて逃亡を開始した。自分は人を殺したのか? 自分は狂気に捕らわれてしまったのではないのか? そんな彼女をずっと見つめるフランツ。彼の暗い歩みとソフィーの狂気の逃亡が交差するとき、おそるべき罠が全貌を明らかにする!
底知れぬ狂気と悪意が織りなす恐怖の犯罪計画。驚愕の四部構成の最後に浮かび上がるのは恐怖の肖像――
あなたの心を凍らせる衝撃と恐怖の傑作サスペンス。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
ルメートル,ピエール
1951年、パリに生まれる。教職を経て、2006年、カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作Travail soign´eで作家デビュー。同作でコニャック・ミステリ大賞ほか4つのミステリ賞を受賞。シリーズ第2作『その女アレックス』は、イギリス推理作家協会賞を受賞したほか、日本で「このミステリーがすごい!」など4つのミステリーランキングで1位となり、ベストセラーとなった
吉田/恒雄
1947(昭和22)年、千葉県生まれ。市川高校卒、フランス文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) -
Posted by ブクログ
ネタバレ*1918年11月、休戦が近いと噂される西部戦線。上官プラデルの悪事に気づいたアルベールは、戦場に生き埋めにされてしまう!そのとき彼を助けに現われたのは、年下の青年エドゥアールだった。しかし、アルベールを救った代償はあまりに大きかった。何もかも失った若者たちを戦後のパリで待つものとは―?『その女アレックス』の著者が書き上げた、サスペンスあふれる傑作長篇。フランス最高の文学賞ゴンクール賞受賞*
とても壮大でスリリングな展開。最初はややまったりとしたテンポなのですが、途中から一気に加速し、この後どうなるのか見当もつかないワクワク感でいっぱいです。早く下巻読みたいです。