【感想・ネタバレ】監禁面接のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年06月03日

2023.06.03
もし、「ワタシが今リストラされたら4年後にちょうどアランと同じ状況になる。」
読み終えてそんなことを思わず考えてしまった。ルメートルにしては流血量が少ないため、そんな妄想を呼び起こす。
しかし、解説で諸田さんが述べているように、カミーユのシリーズとどちらが「怖い」かというとなか...続きを読むなか判断に迷う。
違うステージの怖さだからである。血を流すことだけが「怖さ」を表現するものではないとわかる良作。

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Posted by ブクログ 2024年04月15日

その女アレックスが面白かったので期待を込めて読んだ。
アレックス同様、どんでん返しの連続であった。タイトルは暗いが陰惨な物語では無い。

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Posted by ブクログ 2024年04月06日

失業中の主人公が受けた就職試験の内容が「重役会議を襲撃して監禁・尋問しろ」というものだった…という設定がぶっ飛んでいるが、その監禁中から主人公が暴走しだして、はちゃめちゃな展開に。
何も知らされないまま騒動に巻き込まれる妻が不憫だ。

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Posted by ブクログ 2022年07月21日

あれ?なんか面接に行ったけど面接じゃなかった的な?
ルメートルファンでハードカバーで買った。
面白かったけどそんなアホなーって思ってたかな?
もう1回読み返さないと思い出せない。
グロとか胸糞はあんまりなかったはず。
主人公がなんか切ない。

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Posted by ブクログ 2021年12月09日

スピーディーで予測のつかない展開、綿密なストーリー、さすがルメートル!とても面白かった。
失業中のおじさんが社会復帰するために必死に努力するが、やること全てが裏目に出て思いもよらぬ事態に発展してしまう。

主人公が最初から最後まで一貫していたのは、家族のために働きたいという想いだったのに…
仕事を勝...続きを読むち取るために嘘に嘘を重ね、その大切な家族を傷つけ自分自身も追い詰められていく。

この人いったいどこまで堕ちてしまうのかと、ずっと心配しながら読んでしまった笑

追い詰められていたとはいえ、割とすぐに人を殴ってしまうところだけは共感できなかったけど、失業というテーマは他人事ではない。
本当に、安心して誰もが働ける社会になってほしいと思った。

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Posted by ブクログ 2021年09月18日

現代ミステリの最重要作家、2010年発表作。私の場合、購入した本はしばらく〝寝かせる〟のが常だが、ルメートルだけは早々に積ん読から外している。一旦、冒頭を読み始めたなら、最終頁に辿り着くまで片時も本から手を離せない。しかも、一度も期待を裏切られたことがない。本作もプロットの骨格自体に大胆且つ斬新な仕...続きを読む掛けを施しており、劇的変転の見事さに圧倒された。物理的/心理的トリックを偏重する旧態依然のミステリでは味わえない重量級の読み応え。先鋭的アグレッシヴさでは当代随一だろう。

アラン・デランブル、57歳。大企業で管理職にまで昇り詰めたが、会社買収であっさり解雇される辛酸を嘗めた。失業して4年目、雑多なアルバイトを掛け持ちしていた男は、またとないチャンスを掴む。奇跡的に漕ぎ着けた一流企業の最終面接。役職は人事副部長でアランの経歴を生かせた。しかし、事前に告知された試験内容は前代未聞だった。同社の精鋭エリート数人が出席する重役会議で、誰が冷徹に〝近々断行する大量解雇の陣頭指揮を執れるか〟見極めろ。当然、彼らは己の危機管理能力が試されていることを知らない。
具体的なロール・プレイングは、さらに異常だった。会議の場を正体不明の武装グループが襲撃して監禁、一人一人を順に隔離し、企業の命運を左右する内部情報を漏らすように脅す。擬装した襲撃者への指示は、別室に居るアランら新規採用候補が行い、その的確さを競う。つまり、同時に二つの〝採用試験〟を実行する訳だ。甘い希望は脆くも崩れたものの、この仕事を手にするためには、どんな手段も厭わないと男は固く誓う。後日、安易な想像を遙かに超えた狂乱の場で、アランは〝主役〟を演じることとなる。

三部構成。ストーリーは激しく変調し、読み手を翻弄する。
「そのまえ」と題した第一部は、主人公アランの一人称語り。これまでの道のりを振り返りつつ、最後の賭けとなる最終面接までの日々を追う。この準備段階から既に尋常ではない。アランは、試験を少しでも有利に運ぶため、重役会議に出席するメンバーを推定し、素性や人格などの情報をあらかじめ入手しようと考えた。そのためには探偵を雇い、さらには監禁事件に詳しい警察関係者にアドバイスをもらう必要があった。問題は軍資金だった。男には愛する妻と娘二人がいた。長女の夫は消費者金融会社の支店長。アレンは娘婿に借金を申し込むがあえなく拒否された。切羽詰まった男は、娘夫婦の貯蓄を騙し取るように奪う。当然のこと無謀な行動によって、家族は崩壊寸前となった。信頼を取り戻すためには、何が何でもこの仕事を手に入れなければならない。試練はさらに続いた。

家族を裏切ってまで就職活動に執念を燃やすアランのエゴイズムは加速する。その姿は鬼気迫るというよりもシニカルな滑稽さが滲み、平凡な中年男が次第に狂気を帯びる過程を強烈に印象付ける。やがては理性を失い、抑えが効かなくなった果てに〝内なる暴力〟が姿を現すこととなる。
物語は重苦しい焦燥を抱えたまま、怒濤の第二部「そのとき」へと突入。語り手は、まやかしの武装集団を率いる元軍人へと代わり、第三者の冷徹な視点からアランの異様な言動を書き記す。最終面接当日の地獄絵図の如き顛末。この擬装襲撃でのテンションは凄まじく、読み手を一気に狂躁へと引き摺り込んでいく。この臨場感に溢れた極めてドラスティックなパートは本作最大の読みどころであり、ルメートルの超絶技巧が炸裂している。
第三部「そのあと」は、やや冗長で失速するとはいえ、綿密に練り上げられたストーリーの全体像とアランの〝真意〟が明らかとなる。退路を断ち、前進し続けた男の最終目標とは何だったのか。
主要な登場人物が物語の中で何度も相貌を変えていく構造は、後の「その女アレックス」などで更に磨きを掛けるルメートルの真骨頂だ。どこまでも動的に変幻する独自の世界で描く人間模様。主人公を取り巻く端役も手を抜くことなく個性豊か描き分けている。中でも主人公を影で支え続ける友人シャルルの造形が深く、クライマックスでは心震わすシーンを演じている。何かを得ようとすれば、必ずその代償として何かを失う。甘さと苦さの交差する結末には、人間の業がもたらす因果が刻印されているのだろう。
本作を単純に要約すれば、落ちぶれた男が再生への足掛かりとなる仕事を得るために孤軍奮闘する物語となる。だが、ここに仕上がった作品は、かつて誰も読んだことのない小説だ。ありふれた日常が、ネガの反転によって全く違う情景となって現れている。ユニークな着想を破綻無く構成する力。この作家は、やはりズバ抜けている。

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Posted by ブクログ 2021年02月16日

いくら一流企業とは言え、そんな面接はごめんです!
アランさん、あなたのやり方は「妻と子供のため」に大義を借りた自己中にしか思えません。

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Posted by ブクログ 2021年02月01日

邦題がイマイチなうえに、残酷な描写は今は見たくないな…と読むのをためらっていたけど、読み始めるとやっぱり止まらない。
ルメートルお得意の残酷シーンはなかったものの、怒涛の展開はさすがだった。

コロナウィルスによって人々の価値観と世界情勢が大きく変わった今だからこそ、痛烈な批判と皮肉を盛り込んだのか...続きを読むと思ったら、実は『その女アレックス』より前の2010年にフランスでは出版されたというのだから驚きだ。
同時に、エンターテイメントが求められる今、Netflixでドラマ化して配信中だというから、これまたぴったりだと思った。

ところで、フランス語の原題はなんというのでしょうか?

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月17日

物語の構成がシンプルと見せかけて、興味を引く緻密な仕組みになっている。もうやめてー!と家族が叫ぶのも聞かない主人公。人間の暴走って怖すぎる。こんな家族絶対いらない(涙)

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Posted by ブクログ 2024年01月10日

期待していたほどではなかった。監禁面接というタイトルほど、監禁も面接もしていなかったし、そこに重きは置かれていなかったような気がしたし、原題の「黒い管理職」にあるほど、それぞれの闇が注目されることもなく…世間に暴かれ、裁かれることもなく…

一部を読み終えるのが、大変苦痛で。でもあのルメートルだから...続きを読むすごい伏線があるのかもしれないって頑張って読んだ。

無職の主人公が冷静になったり、やけっぱちになったりして、状況がコロコロ変わるのがおもしろいのかもしれない。
結末はややご都合主義な感じもした。
シャルルは本当に聖人だった。

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Posted by ブクログ 2024年01月08日

三部構成「そのまえ」「そのとき」「そのあと」。
主人公は57歳失業者、元人事部長。愛する家族のために求職中。ある企業の採用試験にうまく進みだしたことで、貧しいながらも平和だった一家がジェットスター並みの展開に飲み込まれる。
読者は「そのとき」の章で、ちょっと、いったい、主人公はどうなっちゃったの!と...続きを読む慄くことだろう。
元同僚のシャルル、妻のニコルの存在が良い。
「その女アレックス」を読んだことはあるが、本作が同じ作家だってことは知らずに読んだ。なるほど、途中からページターナーっぷり発揮している。

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Posted by ブクログ 2023年08月16日

フランスの作家ピエール・ルメートルの長篇ミステリ作品『監禁面接(原題:Cadres noirs)』を読みました。
『傷だらけのカミーユ』、『わが母なるロージー』に続き、ピエール・ルメートルの作品です。

-----story-------------
『その女アレックス』の鬼才ルメートル、最新作。
...続きを読む徹夜必至。一気読み保証。

どんづまり人生の一発逆転にかける失業者アラン、57歳。
愛する妻と娘たちのため、知力と根性とプライドをかけた大博打に挑む!
鬼才のノンストップ再就職サスペンス!

リストラで職を追われたアラン、失業4年目。
再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今は倉庫でのバイトで糊口をしのいでいた。
だが遂に朗報が届いた。
一流企業の最終試験に残ったというのだ。だが最終試験の内容は異様なものだった。

〈就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ〉

重役たちの危機管理能力と、採用候補者の力量の双方を同時に査定するというのだ。
アランは企業人としての経験と、同じく人生どんづまりの仲間たちも総動員し、就職先企業の徹底調査を開始した。
そしてその日がやってきた。
テロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに、アランは重役室を襲撃する!

だが、ここまでで物語はまだ3分の1。
「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成を操って名手はアランと読者を翻弄する。
残酷描写を封印、ルメートルが知的たくらみと皮肉なブラック・ユーモアを満載して送るノンストップ再就職サスペンス!
解説・諸田玲子
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2010年(平成22年)に刊行された、『死のドレスを花婿に』に続く2作目のノンシリーズ長篇作品です。

アラン・デランブルは57歳、安定した仕事を失って4年、職探しに奔走して物流会社のアルバイトにありついたものの、トラブルを起こしてそれすら失いかねない… 訴訟沙汰にもなっていて、人生最大の窮地に陥っている、、、

共稼ぎの妻ニコルと独立した娘マチルドとリュシーという愛する家族のためにも、金が要る、仕事が欲しい、プライドも保ちたい… そんな彼が、BLCコンサルティングが企画した大手企業エクシャル・ヨーロッパの人材採用試験の最終候補に残ったことから、予想外の事態に巻きこまれてゆく。

実は、最終試験は、武装グループに重役会議を襲撃させて、重役たちの反応から的確な人物評価を導くという奇想天外なもの… 悩みぬいた末、アランは涙ぐましい準備をかさね、偽物の武装グループをあやつって芝居を粛々と遂行すべく試験にのぞもうとするのだが…… 。

『第1部 そのまえ』と『第3部 そのあと』をアランが語り、『第2部 そのとき』は人質拘束RPGを進行するダヴィッド・フォンタナが語るという構成になっており、読後に振り返ったとき、これがなかなかに効果的だったことに気付かされましたね… 『第1部 そのまえ』は、リストラされアルバイトも暴力事件で解雇、損害賠償訴訟を起こされたアランの焦燥が中心で、やや沈滞気味な展開ですが、『第2部 そのとき』からは一気にスピード感が加速、、、

2転3転する展開に、着地点が全く見えないサスペンスが連続… この辺りは、ピエール・ルメートルらしい展開でした。

短気で、つい手が出てしまうアランは、感情移入しにくい性格なのですが… 同世代なことや、家族を大切に思う気持ち等、環境面で共感できる部分が多く、自分の姿を投影しながら、そして、いつの間にか応援しながら読んでましたね、、、

こんな状況に陥ったら、自分ならどう行動するだろう? 考えさせられながら、そして、意外な展開を愉しませてもらいながら読みました。

エネルギッシュで、個人で大企業に立ち向かうアランの挑戦… 結末は、現実感がなく、やや物足りなさを感じましたが、何だかページを捲る手を止められない、そんな魅力がありました、、、

映画にすると面白そうですねー 残酷描写を封印した、ノンストップ再就職サスペンスでした。

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Posted by ブクログ 2022年05月22日

読み終わった後に、「何かに似てるな...」と思っていたのですが、ドラマのブレイキング・バッドに似てます(賛否両論あると思いますが)。

ブレイキング・バッドのほうがよりクレイジーだし、失業が始まりだったわけではないけど、これまで地道に頑張ってきた中年男性が、貧乏がきっかけでどんどん邪の道に逸れていく...続きを読むという所はそっくり。

人間追い込まれると思いもよらないことをする、という点は鮮やかに描写されていますが、採用面接のために、「流石にそこまでする?!」というツッコミが最後まで消えなかったので、若干評価は低めです。

でも失業という社会問題については共感するところが多分にあったので(私も今は仕事あるけど、40,50代になって急になくなったらどうするんだろう。。と非常に考えさせられました)、時間さえあれば読んでみて欲しい作品です!!

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Posted by ブクログ 2021年09月11日

今作は、「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部で構成されている
そして一部と三部と二部の語り部が変わる
主役は57歳で四年前から無職の元人事部長アラン
その彼の努力も虚しく、家族の為に再就職を頑張っているがどんどん空回りと共に生活が落ちていく
そんな彼にチャンスが? 一流企業の人事担当の募集の審...続きを読む査に通っていくが…
やはり中高年の失業者が主役なので、何とも気持ちが落ちて行く
そして、ネタバレになるかもしれないが主役アランが面接に臨むにあたり、借金を重ね、元警察官から数回のレクチャーを受けただけで銃の扱いや元傭兵と対峙できるほど凄腕になるところに嘘臭さが漂う
そしてフランス人の作者だからか、妻への愛にやたら拘っているが、当の妻は気持ちにどんどんズレを生じて行くあたりが読んでいてさもありなんという気持ちになる
ストーリーとしての奇想天外さはルメートルの真骨頂と言えるだろう

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月09日

映画を見ているような内容だったなぁ。
本当にあっても、おかしくない話。
ハッピーエンドとは思えないけれど、アランが自由になれただけ良いと思おう…

そういえば、ハッピーエンドなんて、ルメートルに求めてはいけないんだった!

そして、まさか涙ぐむシーンがあるとは思わなかった!(シャルル)

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Posted by ブクログ 2021年01月12日

ピエール・ルメートルの長編。

時期的には、「死のドレスを花婿に」の翌年、「その女、アレックス」の前年に刊行された作品。

今ひとつ主人公に共感できず。
他の作品と比べると、ストーリーもイマイチ。
だから、翻訳されるのが、他作より遅かったのかな?

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年01月06日

 モノローグでテンポのいい筆致のため一気に読み進められるけど、リアリティがなくていまひとつ。

 フィクションだから非現実的なこと自体は否定しないけど、何となくの印象で言うと、こうしようという設定が先にあって、そのおぜん立てをするために無理なストーリを前に持ってきているような感じ。私立探偵のメスタク...続きを読むや元警察特別介入部隊警部のカミンスキーはその後の展開のために必ず必要になってくるけど、彼らを登場させるまでの設定があまりにも雑すぎる。

 アランがロマンと共謀してエクシャル・ヨーロッパの裏金を盗んだという話も設定が雑すぎるし、裏金を追っているフォンタナや捜査をしていたはずの警察、検察がロマンのことを疑っている様子がまったくなく、それどころかロマンの存在に気づいてすらいないのではないと思われるぐらいまったく言及もしないというのも不自然でリアリティがない。実弾入りの拳銃を提供したはずのカミンスキーについて裁判でまったく触れられないことについては言うに及ばず。

 不自然な説明的台詞もたびたびあって、拘置所の面会室でフォンタナがアランのやったことについてよくしゃべるし、次女のリュシーも父親であるアランの裁判での意図についてよく話す。漫画やアニメならまだ受け入れられる程度かもしれないけど、このあたりはもう少しうまくやってほしいなと。

 もろもろの穴を埋めるかのように、ロマンは田舎にひっこませ、ゲノーは再就職を望む失業者に仕立て上げ、シャルルやフォンタナはあっけなく死なせるのだけど、埋められずに残されたままの穴がたくさんあるし、穴の埋め方も突貫工事のために埋めたあとの見栄えがよくない。

 語り手の心情描写についてはあえて書かないでおく。そこは作者が書きたいように書いて、読者が読みたいように読めばいい。

 この作品を読みながら真保裕一の『奪取』にすごく似ているなと感じていた。もちろん『奪取』も終始ぶっとんでいるし、そういう意味ではリアリティはないのだけど、それでも緻密な取材に基づいて作品を書く作者だけあって細部まで作りこまれている。ルメートルの『監禁面接』も全体としてはさらっと読んで楽しめるものではあったのだけど、個人的には神が宿るぐらいには細部までこだわってほしかったなと。

 2020年1月4日(月)MARUZEN & ジュンク堂書店梅田店にて購入。同日読み始め、6日(水)に読み終える。

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