ピエール・ルメートルのレビュー一覧
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久々、のピエール・ルメートル。
そもそもこの本も、だいぶ前に買ってはいたものの、なんとなく冒頭を少し読んだだけで中途半端に放置していた。(←今思うと、趣がそれまでの三部作とちょっと違っていたからかも。)
比較的先が読みやすい(※悪い意味ではない)中編。猟奇殺人とか謎解きではなく、犯人が確定している爆弾魔の話なので、重厚ミステリ系を期待していると拍子抜けしちゃうかも。
長編よりもサクッと読めて、でも節々のブラックユーモアやちょっと気の利いた語り口はいつもの感じのままなので、気軽に楽しめる感じの一冊。気分転換に喫茶店で珈琲片手にどうかしら。
ラストは、読めていたとは言え、メールの文面にせつな -
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ネタバレ久々のピエール・ルメートル作品。
衝撃を受けた「その女アレックス」シリーズです。
正しくは「悲しみのイレーヌ」「その女アレックス」「傷だらけのカミーユ」の三部作。
身長145cmのヴェルベーン警部が活躍するシリーズは三部作だと思っていたら、出ました!続編となる本作。
期待していた割に積読期間は長かったですが、前三作と比較すれば半分程度のページ数、サクッと読み終えた分どうしても前三作と比較した時に物足りなさを感じてしまいました。
本作は著者が偶然道路脇に空いた穴を見かけ、すでに読み終えた「天国でまた会おう」を執筆中にインスピレーションを受け生み出された作品。
もうヴェルベーン警部に会 -
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主人公の女性ソフィーは、あることがきっかけで精神的に異常な状態であった。そんなソフィーは、ベビーシッターの仕事の最中、子供が死んでいることに気づき、自分が殺してしまったのだと思い込み、逃亡した。
フランツという男性は、ソフィーの精神を壊した犯人である。フランツは、緻密かつ精巧な手口でソフィーの精神を壊していった。
そんなふたりの過去や、今後の運命を描いた狂気的なストーリー。
フランツの手口は、恐怖を感じるほど緻密かつ精巧で、現実に起きたら精神が崩壊するのも納得できます、、、。
ソフィーの心境の変化や様子がとても明確に伝わってくるような絶妙な表現で、作品の世界観に引き込まれてしまいました。
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今作は、「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部で構成されている
そして一部と三部と二部の語り部が変わる
主役は57歳で四年前から無職の元人事部長アラン
その彼の努力も虚しく、家族の為に再就職を頑張っているがどんどん空回りと共に生活が落ちていく
そんな彼にチャンスが? 一流企業の人事担当の募集の審査に通っていくが…
やはり中高年の失業者が主役なので、何とも気持ちが落ちて行く
そして、ネタバレになるかもしれないが主役アランが面接に臨むにあたり、借金を重ね、元警察官から数回のレクチャーを受けただけで銃の扱いや元傭兵と対峙できるほど凄腕になるところに嘘臭さが漂う
そしてフランス人の作者だからか、妻 -
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2002年5月ソフィーはジェルヴェ家で長男レオのシッターをしていたが、ある朝気がつくとレオはベッドで絞殺されソフィーは記憶が曖昧だったが、心の悪魔が逃げろと叫ぶ。
ソフィーは逃亡するが途中で知り合った女性ヴェロニックにもてなされ自宅に招かれるがここでも記憶障害で気がつくとヴェロニックは刺殺されていた。
更に夫の交通事故、転落死、バイト先の上司の殺害、ソフィーの身の回りには不幸しか存在して居ない様だ。
ソフィーは何者? 二重人格者? 悪魔の手先?
ソフィーの悪魔的な行動と逃亡生活には原因が有った、、異常なフランツの行動には読み進めるのが辛くなる程に陰湿で執拗で変質的だ。また、ソフ -
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ピエール・ルメートル『われらが痛みの鏡 下』ハヤカワ文庫。
3部作の完結編の下巻。戦火の中で運命に翻弄されながら、歴史の1ページを刻んだ登場人物たち。ミステリーの要素は希薄で、歴史大河小説のような趣の作品だった。はっきりとしたテーマや結末は見当たらず、読み終えても満足感は得られなかった。
密林では評価が高いようだが、レビューは無いという不可思議。ステルス・マーケティングなのだろう。
レストラン店主のジュールと共に戦火を逃れ、兄のラウールを捜すためにルイーズはパリを後にする。ラウールはガブリエルと共に捕らえられていた軍から脱走する。そして、終盤にルイーズはラウールと会うのだが……
本体価 -
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ピエール・ルメートル『われらが痛みの鏡 上』ハヤカワ文庫。
『天国でまた会おう』『炎の色』に続く3部作の完結編。前2作とは間接的には関連するが、全く独立した物語である。
ミステリーなのか、歴史小説なのか、どういう展開になるのか全く読めない展開の作品。一応、乗り掛かった船ということで完結編も読むことにしたが、期待はしていない。
ドイツが進行し、戦火が迫る1940年のパリが舞台。『天国でまた会おう』に登場した戦争で顔を半分失ったエドゥアール・ペリクールが身を寄せた下宿先の娘、ルイーズ・ベルモンの数奇な運命とフランス軍の兵士、ガブリエル、ラウール・ランドラードの物語、天才的な詐欺師デジレの物語 -
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1918年第一次世界大戦、銀行の会計係だったアルベール・マイヨールは今は前線でフランス軍兵士となっている。
ドイツが降伏し戦争終結というタイミングで事件が起きた。中尉ブラデルは終戦後の地位を求めて兵士達に更なる戦いへ奮い立たせる為に部下2人をドイツ兵の仕業に偽装して射殺し、兵士の怒りをドイツ兵に向けさせた。
前線で事実を知ったアルベールはプラデルに殺されかけ、更に救おうとし重症を負ったエドゥアールをも見殺しにしようとしている。
奇跡的に助かった2人だが、エドゥアールは亡くなった兵士の身分を偽装して家族には亡くなったと伝わっている。アルベールは命の恩人エドゥアールの面倒を見ているが悲惨な -
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ピエール・ルメートル『監禁面接』文春文庫。
ノンストップ再就職サスペンスとは一体どんな物語なのだろうか。同じようなテーマの作品で、ダグラス・ケネディの『仕事くれ。』があったのを思い出す。
これまでの作品に比べると、全く面白くない。美味しい話には裏があるという教訓を再確認出来たのが唯一の成果。4年もぷらぷらしていた57歳のおっさんが一流企業から声が掛かる訳が無いし、就職試験で拉致監禁なんて有り得ないということに気付かぬ愚かさ。
リストラにより職を追われ、実業4年目となる57歳の主人公、アラン・デランブリは再就職のエントリーを繰返しながら、製薬会社の倉庫のバイトで糊口をしのいでいた。ある日、