あらすじ
『その女アレックス』の鬼才ルメートルが描く、戦慄の犯罪文学
『その女アレックス』で世界中を驚愕させた鬼才ルメートルが放つ、極上の心理サスペンス。
あの日、あの森で少年は死んだ。 ――僕が殺した。
母とともに小さな村に暮らす十二歳の少年アントワーヌは、隣家の六歳の男の子を殺した。森の中にアントワーヌが作ったツリーハウスの下で。殺すつもりなんてなかった。いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまったことと、心の中に積み重なってきた孤独と失望とが、一瞬の激情になっただけだった。でも幼い子供は死んでしまった。
死体を隠して家に戻ったアントワーヌ。だが子供の失踪に村は揺れる。警察もメディアもやってくる。やがてあの森の捜索がはじまるだろう。そしてアントワーヌは気づいた。いつも身につけていた腕時計がなくなっていることに。もしあれが死体とともに見つかってしまったら……。
十二歳の利発な少年による完全犯罪は成るのか? 殺人の朝から、村に嵐がやってくるまでの三日間――その代償がアントワーヌの人生を狂わせる。
『その女アレックス』『監禁面接』などのミステリーで世界的人気を誇り、フランス最大の文学賞ゴンクール賞を受賞した鬼才が、罪と罰と恐怖で一人の少年を追いつめる。先読み不可能、鋭すぎる筆致で描く犯罪文学の傑作。
文庫解説・三橋暁
※この電子書籍は2021年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
心の拠り所を目の前で喪い、衝動のままに12歳の少年アントワーヌは6歳の子を殺害してしまい・・・・・・おやおや、なんとショッキンな展開。
一瞬にして自分の人生が狂ってしまう絶望、12歳の少年が背負うには重過ぎる十字架。
隠したレミの死体がいつ見つかり、どのタイミングでアントワーヌが逮捕されてしまうかというハラハラ感やアントワーヌの抱える地獄のような苦しみ・怯えなどがたまらなく、神か悪魔か・・・運命の悪戯が介入しているかのようなストーリー展開も面白かった。
一夜の過ちとか何しとんねん、アントワーヌ・・・・・・。
Posted by ブクログ
ルメートルデビューでした。
吸い込まれるように一日で読み切ってしまった。
途中で先の展開が気になって数ページめくったら「白旗を掲げた」と書いてあって、見なきゃ良かったなとカンニングした自分を一瞬呪ったけど、思ってたのとは全然違った。これが2011年の章の話。
2015年の最後のページでは思わず「うぁーーー」と声が出た。
こんなに集中して本を読んだのはかなり久しぶりな気がする。しばらくルメートル特集になりそう。
Posted by ブクログ
小学生、中学生の頃の自分を思い返すと、当時は当然だが未熟で今思い返すと恥ずかしいことばかりある。そんな中で主人公のように事故のような形で人を殺してしまうことが絶対にないと言えるだろうか、そしてあるとしたら、主人公のような人生を歩む可能性もあるのではと思ってしまう。
人間描写が価値観同じ気がして好き
Posted by ブクログ
12歳のアントワーヌは、森で衝動的に隣家の少年を殺してしまう。死体を隠して慌てて立ち去るが、幼い子供の失踪に村は騒然となり、やがて憲兵も訪ねてきて……。
追い詰められた少年の人生は、一体どこに向かうのか。
衝動的に隣家の子どもを殺してしまった12歳の少年の、罪と罰の物語。
保身に走り事件の隠ぺいを図りながらも、罪の意識に苛まれ人生を狂わせていく少年の心理が詳細に書かれていて、最初から最後までずっしりと重苦しい雰囲気。
自分が殺してしまった被害者が、いつしかどれだけ時間が経っても自分を責め苛む加害者へと変わってく心理描写など、細々と嫌~な気分になる表現が気分を沈ませます。ただ、ずっと暗いのにとても読みやすい。
どんどんと深みにはまっていくアントワーヌの姿は自業自得で自己中心的ではありますが、それと同時に痛々しく、どうかはやく自首をしてくれたら。あるいは、はやく真実が明らかになって捕まってくれたら。きっとそうはならないだろうとは思いつつも、そう願わずにはいられませんでした。
原題のほうは、直訳すると『3日間と人生』となるらしく、そちらも内容にぴったりの良いタイトルだなと思います。
ちなみに、推し登場人物は村の医師であるデュラフォア先生。陰鬱な空気の中、先生の見せる慈愛や密やかな優しさが癒しでした(倫理的に正しかったのか否かは別として)。
Posted by ブクログ
衝動的に犯してしまった少年期の罪。良心の呵責に支配されるその後の人生が刻々と描かれ、読み手を引きこむ。登場人物が大人になっても続いていく小さなコミュニティの中の人間関係。「最後に明らかになる真実」と書くと平凡だが、ここまで引っ張れる力量と明るみに出る話の中身は、さすがルメートルとしか言いようがない。
Posted by ブクログ
主人公であるアントワーヌの心情が細かく書かれていて、ドキドキがこちらまで伝わってくる
どういう結末になるか気になってどんどん読んでしまう。
そして結末…超びっくり!って感じではないけど、想定外の結末だった。
面白かった。
海外ミステリーは苦手だけど、こちらはとても読みやすい。
Posted by ブクログ
一九九九年/二〇一一年/二○一五年
十二歳の少年の偶然の犯罪。彼は時をどう過ごしていくのか。
罪を犯した事実は彼の中から消えることはない。けれど、時は過ぎ彼も成長していく。
そして、彼の知らなかった事実を知ることになる。
その後は??
Posted by ブクログ
ピエール・ルメートル『僕が死んだあの森』文春文庫。
最初から最後まで息が詰まるような重い雰囲気の中で物語は展開していく。主人公の12歳の少年が抱え続ける罪の意識が彼の人生を少しずつ狂わせていく何ともイヤな話だ。
夫と離婚した母親と共に2人きりで小さな村に暮らす12歳の少年アントワーヌは、森の中で隣家の6歳の男の子を誤って殺してしまう。
死体を隠して家に戻ったアントワーヌは大切にしていた腕時計を失くしてしまったことに気付き、愕然とする。そして、小さな村は幼い子供の失踪に騒然となる。
いつ、男の子の死体が見付かり、自分の犯行が発覚するかと怯えるアントワーヌだったが、その3日後に村を嵐が襲い、男の子の死体が発見されることはなかった。
それから時は流れ、アントワーヌは医者となり、村を離れて暮らすが……
男の子の死体が発見されると……
本体価格810円
★★★★
Posted by ブクログ
衝撃のラストが!
ルメートルさん、相変わらず、人生は厳しいんですよ。を突きつけてくる。
前半、あまりにもつらかった。
どうしたら良かったのか。
嘘をついて事故にしてしまえば良かったのか。
最終的に、アントワーヌはどんな人生を送るんだろう。ほっとできるのは、死ぬ時だけかも?
Posted by ブクログ
フランスの作家ピエール・ルメートルの長篇ミステリ作品『僕が死んだあの森(原題:Trois jours et une vie)』を読みました。
ピエール・ルメートルの作品は2年前に読んだ『炎の色』以来ですね。
-----story-------------
『その女アレックス』で世界中を驚愕させた鬼才ルメートルが放つ、極上の心理サスペンス。
あの日、あの森で少年は死んだ。 ――僕が殺した。
母とともに小さな村に暮らす十二歳の少年アントワーヌは、隣家の六歳の男の子を殺した。
森の中にアントワーヌが作ったツリーハウスの下で。
殺すつもりなんてなかった。
いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまったことと、心の中に積み重なってきた孤独と失望とが、一瞬の激情になっただけだった。
でも幼い子供は死んでしまった。
死体を隠して家に戻ったアントワーヌ。
だが子供の失踪に村は揺れる。
警察もメディアもやってくる。
やがてあの森の捜索がはじまるだろう。
そしてアントワーヌは気づいた。
いつも身につけていた腕時計がなくなっていることに。
もしあれが死体とともに見つかってしまったら……。
十二歳の利発な少年による完全犯罪は成るのか?
殺人の朝から、村に嵐がやってくるまでの三日間――その代償がアントワーヌの人生を狂わせる。
『その女アレックス』『監禁面接』などのミステリーで世界的人気を誇り、フランス最大の文学賞ゴンクール賞を受賞した鬼才が、罪と罰と恐怖で一人の少年を追いつめる。
先読み不可能、鋭すぎる筆致で描く犯罪文学の傑作。
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2016年(平成28年)に刊行された作品です。
■1999年
■2011年
■2015年
■謝辞
■解説 三橋暁
母ブランシュとともに小さな村に暮らす12歳の少年アントワーヌ・クルタンは、隣家の6歳の男の子レミ・デスメットを殺した……森の中にアントワーヌが作ったツリーハウスの下で、、、
殺すつもりなんてなかった……いつも一緒に遊んでいた犬が死んでしまった悲しみと、心の中に積み重なってきた孤独と失望とが、一瞬の激情になってしまっただけだった。
でも幼いレミは死んでしまった……死体を隠して家に戻ったアントワーヌ、、、
だが子供の失踪に村は揺れる……警察もメディアもやってくる。
やがてあの森の捜索がはじまるだろう……そしてアントワーヌは気づいた、、、
いつも身につけていた腕時計がなくなっていることに。もしあれが死体とともに見つかってしまったら……じわりじわりとアントワーヌに恐怖が迫る。
12歳の利発な少年アントワーヌによる完全犯罪は成るのか? 殺人の朝から、村に嵐がやってくるまで3日間……その代償がアントワーヌの人生を狂わせる、、、
『その女アレックス』『監禁面接』などのミステリで世界的人気を誇り、フランス最大の文学賞ゴンクール賞を受賞した鬼才が、罪と罰と恐怖で一人の少年を追いつめる……先読み不可能、鋭すぎる筆致で描く犯罪文学の傑作。
これまでに読んだピエール・ルメートルの作品は予測不可能な大どんでん返しが特徴だったので、本作品は少し違った作風でしたね……少年が犯した罪と、その後の人生を心理描写を深く掘り下げた犯罪文学で、12歳で殺人を犯してしまった少年アントワーヌの少年時代から青年、そして大人になるまでの時間に沿って、大きく揺れ動く心の葛藤が描かれ、ひとつの罪が個人の人生にどれほどの影響を及ぼすのかを深く考えさせられる展開でした、、、
殺人のような悪質なものではないにしても、子どもの頃の忘れ去りたい記憶って、みんな大なり小なり持っていると思うんですよね……そういう点では、アントワーヌに気持ちをシンクロして読むことができました。
ピエール・ルメートルの作品としてはまずまずだったかな……ピエール・ルメートルは「もうミステリを書かない」と公言しているらしいので、少し寂しいですね。
Posted by ブクログ
他のルメートルと比べると(どんでん返し中毒)期待が大きかったのかも。主人公がしでかしたこと、またしでかしたこと、周りを不幸にしていくのに、常に自分だけを可哀想と思ってる(タイトルしかり)ところが神経を逆撫でする感じ。
Posted by ブクログ
いやいや、毒がある。その癖読みやすいからもう勘弁して欲しい。
ひょんな事から手を染めた殺人、そして流れていく殺人者の人生。だが彼はそれが明らかにされるのではないか、気が気ではなかった……。
人生とは偶然という名の必然と神の悪戯によって成り立つ。綱渡り、いいや、これはもっと細い。まるでワイヤーを渡るかのようなスリルがある。
Posted by ブクログ
そうよ、あのルメートルよ!と覚悟はできていたはずなのに、またしても絶望の底に叩き落とされました。
プレイステーションを持っていないせいで友達のいない12歳のアントワーヌ。そんな彼に唯一なついていた6歳のレミを故意ではないとはいえ殺してしまった。いつバレるのだろうかと、私たちはアントワーヌと共に緊張を強いられることになります。
しかしバレない。ずっとバレない。その年も、10年以上が経過しても。けれど、バレていなかったわけではないと知ったら。
彼のことは好きになれません。でも、彼がこの先どう生きていくのかは気になる。確かにあの時、あの森で死んだも同然。