黒川博行のレビュー一覧
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「黒マメコンビ」第2作。
1985年6月刊行。
第1作と同樣にサントリーミステリー大賞(第2囘)で佳作となつた作品。
またも大賞を逃した理由は「華がない」だつたさうな。
第1作での批評を受けて、作者は主人公を獨身に設定變更して名前も黒田から黒木に變更したのだが、どうも安直すぎて、この解決策は效果を發揮しなかつたやうだ。
ちなみに、第4囘ミステリー大賞でついに大賞を受賞したのだが、その時の主人公の探偵役は「華のある」女子美大生だつたとのこと。
さて、この作品も面白い。
大阪弁による輕妙な會話の面白さもさることながら、金融システムや日本畫の商品としての流通のしくみなど、普段なかなかわからないこ -
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黒川博行の作品を讀むのは、これが初めて。
この作品は、1983年の第1囘サントリーミステリー大賞で佳作となつたさうである。
大賞を逃した理由として、「刑事コンビに華がない」といふことがあげられたさうだ。
さて、この作品、讀んでみて面白かつた。
ストーリーとしては、銀行強盜事件とそれに引續く人質誘拐事件を搜査するといふことになるが、面白さの一つには、主人公の刑事コンビの會話がある。
主人公は大阪府警搜査一課の黒田憲造とそのコンビの龜田淳也、通稱マメちやん。
此の二人を稱して「黒マメコンビ」といふ。
黒田の視點で描かれてゐるので一人稱小説だが、マメちやんとの大阪弁の輕妙な會話が樂しい。
しかも -
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ネタバレ黒川博行氏が送る『疫病神』シリーズの第一弾。
建設コンサルタントの二宮は産業廃棄物処理場をめぐるトラブルに巻き込まれる。巨額の利権が絡んだ局面で共闘することになったのは、桑原というヤクザだった。金に群がる悪党たちとの駆け引きの行方は――。
『二度のお別れ』に続いて黒川作品を読んでみた。
例によって大阪が舞台であり、大阪弁が飛び交う世界。そしてこのシリーズは裏社会(主にヤクザ)がじゃんじゃん出てくるのでそっちの用語も普通に使われる。
となると大阪弁にも裏社会用語にも馴染みのない自分としては、まず読み進めるのにやや苦労を要した。
海外の翻訳物を読んでいるような感覚とでも言おうか。
そして裏社会 -
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黒川博行デビュー作。
銀行強盗が客の一人を拳銃で撃ち、人質として連れ去る。その後身代金要求の脅迫状が届き、大阪府警捜査一課と犯人との駆け引きが展開していく。
作中どこでもたばこをスパスパやってるのが時代を感じて良いです。テンポのいいコッテコテの大阪弁のやり取りが魅力的。犯人に翻弄され、最後はしてやられた。悲しい物語だった。
身代金の受け渡しについて、行く場所行く場所にメモが貼られていて…みたいな実際の事件あったよなぁと思ってたら、グリコ森永事件だ!と途中で気付いた。この本はそれをモデルに書かれたのかなぁと思ってたら、後書きでその事件より前に書かれていたと知って驚いた。作者の方はそれで犯人との -
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疫病神シリーズ第5弾。
「疫病神」→「国境」→「暗礁」→「螻蛄」と計6冊を連続して読み、そして本作。本作で直木賞受賞。なので、タイトルだけは以前から知っていた。
今度は映画プロデューサーを追いかけて、香港、マカオへ。
桑原と二宮のコンビのやり取りは相変わらず楽しい。
シリーズ7作を連続して読んでいるので、若干のマンネリ感は拭えないが、それでも楽しい。ずっと2人のやり取りを読んでいられる。
いつものように移動、カチコミ、病院、移動という展開だが、面白いのだから構わない。
タイトルにもあるように桑原が二蝶会を破門になってしまったが、次作どうなるのか。しかし、本シリーズは残り「喧嘩」と「泥 -
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建設コンサルタントの二宮と二蝶会幹部の桑原。
二宮は重機の輸出で、桑原は組の若頭がカジノ建設の投資話で
それぞれ詐欺に遭い、企んだ男・趙成根を追って
趙の逃亡先である北朝鮮へと向かう。
平壌に降り立った二人だが、そこには想像以上に厳しい現実と監視が待っていた。
そんなあらすじ。
まずあまりにも詳細でリアルな北朝鮮の描写に息を呑む。
現実でも何の情報も入ってこない北朝鮮という謎に満ちた国。
恐怖というイメージがかなり先行してるが、
小説の中で描かれる描写は想像以上に厳しく過酷である。
よくここまで詳細に描写できるものだと驚かされる。
ニュースなどで知る現実の倍をいく過酷な北朝鮮の国民の現状。
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この作家の書く警察小説はいつも面白くハズレがない。
バディものが定番で、大阪の警察署が舞台。
なんといっても二人の関西弁の軽妙な会話が面白い。
ここがいつも一番の楽しみ。
風采の上がらないカッコ悪いおっさん二人が、実は刑事としてのスキルが高く、犯人達を追い込んでいく。コレが妙にカッコいい。
警察内部事情や道路事情、展開する各地の地理的詳細描写が綿密でリアリティがあるので、ドンドン物語に引き込まれて行く
大阪府警の管轄に京橋署は無くあるのは都島署、また都島署の管轄の中に善法寺町はなく実際は尼崎にあるなど、重要なポイントは実際とはちょっと変えている所も心にくい。
真須美の実家が多治見という -
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ネタバレ面白かった。
犯罪者側の計画や手口が巧妙で、唸るばかり。1件目と2件目で手口を変えるというのも、頭イイ!また、それらを可能にする能力の高さもすごい。つよい。殺傷シーンの描写が痛々しい。
玉川と舘野のキャラクターも良かった。いきいきと魅力的であった。玉川のような役割の人間がきちんと有能であると安心する。
Audibleで聞いたが、関西弁に違和感がなく聞きやすかった。
箱崎は、捜査の手が迫ってきたために慌てて逃亡を試みた、ように読める。そうでなければ、あらかじめ偽造パスポートも航空券ももっと安全な方法で用意できるはず。警察の動きが遅かったら、もっと消したい人間はいたのか、それとも海棠まで倒せた -
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シリーズ物なので買った一冊
大阪府警シリーズの黒マメコンビ編
遺跡発掘現場での遺体発見から始まる話
この作者の話は登場人物が多く混乱するが何とか読み終えた。
会話が軽快で面白い
会話で話が進むのでスラスラ読み進めてしまう。
地道な捜査とそれによる発想、ひらめきで事件解決に進んで行くのは読んでて楽しいしスッキリする。
年が変わりいろいろ自分自身にいろいろあって本を読む事がなかなか出来ない中、スラスラ読めたこの本はありがたかった。
シリーズまだ続きある。
この黒マメコンビが次どの様な事件を解決するより会話をするのかが楽しみになった小説でした。