【感想・ネタバレ】切断のレビュー

あらすじ

《黒川博行警察小説コレクション》 病室で殺された被害者は、耳を切り取られ、さらに別人の小指を耳の穴に差されていた。続いて、舌を切られ前の被害者の耳を咥えた死体が見つかり、猟奇的な連続殺人事件に警察は色めき立つ。見えない犯人像、はたして次に狙われるのは誰か? 被害者同士にどんな繋がりがあるのか? 大阪府警捜査一課海部班の久松刑事を中心とした地道な捜査は実を結ぶのか? 犯人側と捜査側、過去と現在の視点が複雑に交わりつつ、事件の全貌が明らかにされていく――。これまでの警察小説コレクションとは一線を画す、ノワール趣向の強い著者渾身の初期作品。

※本作品は東京創元社、KADOKAWA / 角川書店で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ミステリーもののドラマを
あまりやってない頃、
「ミステリーを読めるようになりたいなぁ」と購入し、ハマった最初の本です。

最近、この小説によく似たドラマ?映画?YouTube?(それすら忘れた)を見て、久しぶりに思い出しました。

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2023年03月21日

購入済み

内容から行けば、凄惨なシーンも多いのだけど、文章でそれを感じさせない。人の心の奥底に潜む執念のようなものを克明に描写されてるけど、それがまた重苦しさを感じさせない。それだけ黒川博行さんの執筆がそうさせるのでしょうけど、読みながら次は、次は、とぞくぞくさせられました。単行本と文庫本ではラストが異なるので、両方読むのも細やかな楽しみでもあります。

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2021年06月25日

Posted by ブクログ

テンポの良さと町の風景描写でハードボイルド物としてまず一級なうえに、本作はトリックが秀逸。ミソは読み進めていくうちに、なんとなく読者は犯人らしき人物に予測がつくように書かれていること。なんだが、どうしてもひっかかる事実がある。それが分かった時に、トリックの意図が想像していたものと異なったものとして立ち現れる。その鮮やかさが醍醐味。

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2017年02月07日

Posted by ブクログ

第2の被害者水谷は、第1の被害者沢木の小指を耳の穴に差しこまれて殺されていた。第3の被害者篠原は、第2の被害者水谷の耳を口にくわえて殺されていた。そして第4の被害者となる赤峰は、第3の被害者篠原の舌を……

このリレー式の猟奇的連続殺人事件に色めき立つ警察。被害者同士にどんなつながりがあるのか?登場人物の誰が犯人か?犯行の動機は何なのか?

「彼」で語られる犯人の視点と、大阪府警捜査一課・海部班の久松を中心とする刑事たちの視点、さらに過去と現在の時間軸、これらが章を分けることなく入り混じりながら進む物語の果てに読者が見るものとは……

東野圭吾がその自叙伝の中で絶賛した本書は、彼が容疑者Xの献身や白夜行を書く際の手本にしたのかとさえ思えるほど。
文体の切れ味は鋭く、ムダがない。特に犯人が殺害を犯す描写は、息を呑む。

他者の体は切断しておきながら、自身の体は、ある人物との血や肉や細胞を断ちがたく切れない。夜の底でほどかれる二つの心が甘やかに月光の声と重なる時、読者の朝は終わり、「彼」の華は悪と咲き始める。それは同時に、読み手の共感を「彼」から切断する書き手・黒川博行のねらいなのだ。

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2010年12月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。現在と過去を上手に織り込ませ、最後までページをめくる勢いが止まらなかった。関西弁のボヤキもいつものことながら絶妙。犯人は途中で予想できるものであったが、だからこそか次の展開を読まずにはいられない。ラストも満足。

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2012年05月31日

Posted by ブクログ

犯人が半分ほど読まないと見えてこず、
次々と殺人が起こっていく様が、よかったです。
ただ、(´-ω-`)ンー
近親相姦はチョット嫌悪感があります。

府警の捜査員の活躍の場があんまりない。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

ハードボイルドと警察小説の並行。そしてちょいと本格の味付けも。
本格のトリックについては最初にわかってしまったのでちょっと残念だけど、それでもなかなか楽しめた。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

黒川博行初期作品集シリーズの一角。解説にもあるが、著者作ではかなり異色。
犯人・捜査・過去の三視点を五月雨に綴っていくスタイルは、スピーディな展開と合間って、読み込んでしまう。
そんな完成度の高いスリリングな犯罪小説でありながら、相当に斬新なトリックがはさまれているのだが、個人的にはこれがマイナスに働いた。
前者の魅力だけで充分よい作品であるのに、それだけで短中編が書けるようなネタを入れているのは、なんとも勿体ない。
しかしながら、初期作品をいくら読んでも、なんとも安定しているのがすごい。
3+

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2016年03月30日

Posted by ブクログ

黒川博行さんの警察小説。でも、今まで読んだものと少し毛色が違っていました。

私が今まで読んだのは、「2度のお別れ」「雨に殺せば」「八号古墳に消えて」「絵が殺した」などなど。殺人トリックも素晴らしいのだろうけれど、私が黒川さんの小説で面白いと思っていたのは、登場する刑事たちの関西弁による軽快で味のある会話とキャラクタでした。

その系列の警察小説だと思って読んだら、この小説は違う。今まではあまり記述されなかった犯人側の視点や、時系列をさかのぼった出来事と、現在の犯人や被害者視点での出来事と、刑事たちの捜査の物語が交互にすすんでいく。いままでとは違って、刑事たちは、むしろ脇役。

今まで私が読んだの黒川博行さんの作品とはずいぶん違う作風だけれど、どんどん物語に引き込まれていく面白い作品でした。犯人は最後のほうまで明かされず「彼」と記述されるのですが、途中から誰もが犯人の正体に気がつく。それを確かめたい、そしてどうしてこの物語につながっていくのか確かめたい、と、あっという間に読み終えました。

解説を読んでみると、この作品から少しずつハードボイルドな犯罪小説に移行した作品を発表しているとか。そちらの系統も読んでみようと思わせた作品。

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2010年10月31日

Posted by ブクログ

無駄のない筆致で、ぐいぐい読ませる。
淡々と作業を進める犯人の描写に引き込まれます。これまでの作品と違って娯楽色は弱い。
ラストを単行本と書き換えているらしいが、この文庫版の終わりの方がすっきりとしていてベター。

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2009年10月04日

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