黒川博行のレビュー一覧
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『疫病神』シリーズ第4弾。
今回の舞台は、500万人もの信徒を
抱える巨大宗教法人。
その裏側では、信仰とはほど遠い
骨肉の権力争いが繰り広げられ、
誰につけば一番自分の懐が温かくなるのかと、
そろばんを弾く生臭坊主たちが蠢いている。
宗教法人を利用しようとする輩、
そこに金の匂いを嗅ぎつけた桑原、
そしてまたしても巻き込まれる二宮。
さらに古物商のいい女(笑)まで加わるが、
これまた一筋縄ではいかないのが疫病神シリーズ
建設業界、北朝鮮、企業と警察、
そして今回は宗教法人と、
毎回まるで別世界のような題材に
二宮と桑原と一緒に自分も放り込まれるため、
同じコンビを追いかけているのに
物語の景色はまったく違うし飽きない。
まぁシリーズも4作目になると、
主要人物の説明やおなじみの関係性について
「はいはい、知ってます」と斜め読みする部分も出てきたけれど、ご愛嬌。
今回も欲と金にまみれた人間たちの思惑が
複雑に絡み合い、
その中心で桑原は相変わらず怖いもの知らずに突っ走り、二宮は文句を言いながら結局ついていく。
もはや事件そのものだけでなく
「今回はどんな世界にこの二人が首を突っ込むのか」を楽しみに読んでいる。
シリーズものなのにマンネリを感じさせず、
毎回違う“異世界”へ連れていってくれる。
そこが、この『疫病神』シリーズの強さなのだと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ北朝鮮へ渡った二宮と桑原は、強力な助っ人を得て、次々と降りかかる災難をかわしながら、逃げた詐欺師を追い詰めていく。
緊張感に満ちた北朝鮮情勢が描かれる一方、怖いもの知らずの桑原と、何かにつけて怯える二宮が繰り広げるドタバタ劇は、相変わらず抜群に面白い。
前作『疫病神』では、桑原に振り回される二宮という印象が強かった。だけど本作では、悪態をつき合いながらも互いを頼り、危険を切り抜けていく。いつの間にか二人は、立派なバディになっているように?
友情が芽生えた?
いやそれを言うには、この二人には少し綺麗すぎる(笑)
腐れ縁、奇妙な信頼関係、あるいは「結局、こいつを放っておけない」という情。それくらいの距離感が、二人にはちょうどいいかな。
何より印象的なのは、二人の窮地を救った李との再会
しかも、その再会を二宮に内緒で桑原が仕組み、女好きの李をキャバクラに呼ぶという展開が、最後までこの物語らしい(笑)
壮絶な逃亡劇の果てに待っていた、笑えて少し泣ける再会。
事件を追う面白さ以上に、二宮や桑原、彼らを取り巻く人々の間に流れる“情”に惹きつけられた。
『疫病神』から続けて読んだからこそ、二人の関係の変化も含めて、より深く味わえた一冊だった。 -
Posted by ブクログ
前作『疫病神』では、入り乱れる組織と大量の登場人物に翻弄されたけれど、本作ではそこは少し落ち着いた……と思いきや、今度は北朝鮮情勢が絡んできて、また別方向にややこしい(笑)。
それでも前作よりスイスイ読めたのは、黒川博行の作風や独特の世界観に慣れてきたこともあるけれど、何より二宮と桑原の関係性が面白くなってきたからだと思う。
平穏に暮らしたいはずなのに、結局また桑原に振り回される二宮。文句を言いながらも行動を共にし、互いに遠慮なく悪態をつく二人のやり取りは相変わらず絶妙で、前作以上にいいバディ感が出てきた。
もはや単なる「疫病神と巻き込まれた男」ではなく、なんやかんやで互いを理解し始めているようにも見える二人。
北朝鮮を舞台に話はさらに複雑になってきたけれど、気づけば事件そのもの以上に、この二人が次に何をやらかすのかを楽しみに読んでいる自分がいる(笑)さぁ、下巻に突入 -
Posted by ブクログ
ネタバレそんなコテコテの大阪弁、最近じゃ聞きませんよ(笑)。
とにかく登場人物が多いうえ、極道の世界も一枚岩ではなく、枝だの直系だのと派閥が入り乱れる。そこへデベロッパー、不動産、土建、解体、産廃の仲介屋まで加わるものだから、「この組とあの組の関係は?」「この人どっち側だっけ?」と相関図が欲しくなるほど。途中から多少わからないまま突き進みました(笑)。
そんな複雑な世界の中で抜群に面白いのが、堅気の建設コンサルタント・二宮と、疫病神のようにつきまとうヤクザ・桑原のやり取り。
「平穏に暮らしたい」と願いながら、賭場で借金を繰り返し、高額報酬につられて危ない案件に首を突っ込む二宮。平穏とはほど遠い泥沼にはまっていく姿は、まさに“欲をかくとロクなことにならない”を絵に描いたようだった。
そして何より、二宮と桑原のコテコテの大阪弁で繰り広げられる丁々発止が楽しい。この二人、もはやどちらが疫病神なのかわからない(笑)。
本作は「疫病神シリーズ」の第一作。
第二作『国境上下巻』で映画化も決まっているとのことで、伊藤英明×染谷将太がこのバチバチの関西弁をどう演じるのか、今から楽しみで仕方ない。 -
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読書録「後妻業」3
著者 黒川博行
出版 文藝春秋
p140より引用
“耕造の通夜と葬儀はどう考えても盛大で
はなかった。祭壇こそ大きくて花も多かっ
たが、親戚を除いて参列者は三十人に満た
ず、通夜の料理も出来合いの弁当と吸い物
だけの簡単なものだった。あれで三百八十万
というのは、阪南祭典がよほど悪質な業者
なのか、それとも小夜子が裏でなにか操作
をしたのかもしれない。”
資産家の老人の遺産を巡って繰り広げら
れる、遺族たちと奪おうとする者共の闘争
を描く、長編サスペンス。
同社刊行作文庫版。
耕造という名の老人が倒れた報告を、
小夜子から受けた柏木。二人の電話での会話
は、あまりにも不穏なもので…。
上記の引用は、資産家の葬儀についての
娘が抱いた感想。
この娘は建築事務所を経営していて、普段
から金に関する明細を見慣れているとのこ
と。どのような事でも、実務に携わるとい
うのは大切な事なのかもしれません。
それよりも、少し計算すれば分かってしま
うような嘘や誤魔化しを行うのは、詐欺師
としてどうなのでしょう?何千万円もの遺産
を狙うにしては、中抜きのやり方があから
さまで分かりやす過ぎではないでしょうか。
登場人物のうっとおしさや、口の悪さに
耐えて前半を乗り越え、胸糞悪さを踏み破っ
て慣れてきたくらいから、スリリングな
サスペンスとして楽しめるようになってく
るのではないでしょうか。
後は、関西弁の会話が馴染むかどうか辺り
が、好みの分かれどころとなる作品かと。
実際にあった事件が題材のようです。
事実は小説よりも奇なり、を思い出さざるを
得ない作品。
ワイドショーを面白く見られる人だと、もっ
と評価は高くなるかと思われます。
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Posted by ブクログ
シリーズということを知らずに本書を手に取りました。
ある程度前提があったのかも知れませんが、特に情報の不足で気になることはありませんでした。
内容は、893者に振り回されるカタギのお話。ひょんなことから金を持ち逃げされ、あちこち自分の足で奔走して張り込みするような、ガッツのあるお話。主人公はカタギと言い張ってはいましたが、作中でもツッコまれるように一般人のタフさではありません。しかし実際情けなかったりよくわからんこだわりを持っていたり博打が死ぬほど下手だったり、節々に見せる哀愁はとても面白かったです。基本的に小清水を捕まえて逃げられて途中敵の組と小突き合いする、というドタバタを繰り返しているだけなのですが、関西弁の小気味いい掛け合いや人間味がクセになりました。 -
Posted by ブクログ
【2026年70冊目】
小説を映画化する話が浮上し、舞台となる北朝鮮に行ったことがあった建設コンサルタントの二宮は、ヤクザの桑原と共にネタの提供を行うことに。だが、話はそれだけでは終わらず、プロデューサーが映画の制作費を持ち逃げしたことから、半ば桑原に引きずられるように二宮も金の行方を追うことになり――疫病神シリーズ第5弾。
シリーズものですが、第4弾までを読んでいなくても問題はありません。読みやすい文体なので、するすると読めました。とにかくずーっと追いかけているお話です。どこで落とし前つけるのか、タイトルの意味はなんだろう?、と思いながら読んでいましたが、なるほどでした。
ヤクザものが好きな方なら、楽しく読めると思います。映像化しても映えそうです。 -
Posted by ブクログ
疫病神シリーズ5作目。これで直木賞を受賞したらしい。疫病神シリーズなので前に一度読んでいると思うが、全然覚えてないなぁ…。
女性陣が全然魅力的じゃないのが残念だけど、まあ、そもそもがお飾りとしてちょろっと作品に花を添えるために出てくる程度の存在なので、こんな感じになるのは仕方ないんかな。10年ほど前の作品だけど、今やったら女性の描き方の点で受賞はちょっと難しいのではないかという気がする。というか、なんで『国境』でとらなかったのか…。
話自体はいつものごとく、二宮が桑原の儲け話にのって(ほぼ巻き込まれて)詐欺にあい、その金を取り戻すためにみんなでドンパチする。
カジノのシーンがやけに詳しく書かれてるけど、カジノ全然分からない&興味ないので、ちょっと読むのが苦痛だった。
会話はあいかわらず抜群の軽快さで楽しい。 -
Posted by ブクログ
下巻。
裏金を管理していた男を追って、桑原・二宮コンビ、沖縄へ。
沖縄でも現地のやくざとバチバチにやりあって桑原は結構な傷を負ったりしたが、その合間に二宮がのんびり観光している様子なんかはほのぼのとしていて旅情を感じる。このシリーズ、合間に挟まれる食事のシーンがなんか好きなんだよな。
ステゴロでわしに勝てる極道はおらんわい。と断言する桑原、かっこいい!!そんな桑原をうまいことおだててことあるごとに金をくすねようとする二宮。やっぱりいいコンビだ。お互い毛嫌いしあってるけど、この先のシリーズ君ら長い付き合いになるねんでとニヤニヤしてしまう。
あっちこっち走り回って傷だらけになった割には手元に入った金はさほど多くなく、骨折り損のくたびれ儲けになってしまった。最後はヤクザの上層部同志が出てきての話し合い(金のやりとり)で無理やり幕を引いた感じ。世の中何でも金なんだなぁ。こんな風にうやむやのまま闇に葬られてる事件っていっぱいありそう…。田端と嶋田の静かなやり取りの中に一触即発の空気を感じてピリピリした。ヤクザ怖い。それにしても嶋田さんはかっこいいな。