黒川博行のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
職を転々とし、鉄屑屋をやっていた友永のところに、流れ者の稲垣が現れ、誘拐を計画する。標的は、身代金を巻き上げてからも警察には行かない、ヤクザの首謀者だった…。
のっけから、助走もつけずに突然ヤクザを誘拐してしまうので、始終ピリピリとした緊張が続く。少なくとも、身代金を取ることなど無理な話であるのは、予想に難くないであろう。
ストーリーとしては、ヤクザの組長を縛り上げておいて、事務所とやり取りをして、失敗してが延々と続くため、いつもの黒川作品のようにハイスピードで景色が変わっていくような爽快感はあまり無いかもしれない。
しかしそこは黒川博行、ピリピリがビリビリになって、読むのが辛くなろうがなんだろうがストーリーを展開していく。ヤクザの車から取ってきたものが、ひょんなところから役に立つも、ピンチに次ぐピンチ。さてどう切り抜けるのか。
読ませる作品であるが、年度末のただでさえ胃が痛い時。なかなか辛(カラ)くてヒリヒリの、激辛カレー風味。飽きさせはしない。 -
Posted by ブクログ
滋賀の余呉湖で、身元不明で顔や指が切断された下が見つかった。その死体の胃から、宝石キャッツアイが見つかった。その後インド帰りの美大学生が毒殺され、口の中にはまたキャッツアイが…。
黒川博行らしい、関西弁バリバリの警察と一筋縄では行かない関係者の化かし合いをネックとする推理小説。しかし、警察側からはほとんど解決の糸口が見つからないというところが、展開の醍醐味である。
美大の後輩女性2人が無謀にも犯人探しのためにインドに旅立ち、なんとなく真相を掴んでしまうのだが、なんかスラスラと進みすぎてしまって、物足りない部分が強い。
警察の捜査の過程で、宝石などの取材した知識が違和感なく紹介されて厚みを出しているあたりは、1980年代の推理小説という感じで好感が持てる。その反面、大学生の部分の情報量の少なさよ。
事件の真相は、さらりと回想で明らかにされてしまうので、謎解きという部分も少々物足りないかなあ。
以前に読んだ『二度のお別れ』と同様、ちょっと物足りないなあとはおもうがそのへんは古い、初期の作品だから仕方がないのであろう。 -
Posted by ブクログ
【オレオレ詐欺】【振り込め詐欺】総じて「特殊詐欺」呼ばれる社会問題となって久しい詐欺を扱った本作、徹底したリアリズムで読者をぐいぐい引っ張る手腕には安心感がある。「劇場型犯罪」と言われるだけあって、手口、システム、手順すべてに手が込んでいて、「自分は騙されるはずはない」と思っている人(主に年寄り)でも、これは騙されるかもしれない、と逆に勉強になる。
貧困ビジネスと特殊詐欺がワンセットになって暴力団の資金源になっているという設定(というより、現実?)も、現代社会の闇を見るようで背筋が寒くなる。
物語は、〈主人公〉の橋岡がいわゆる「ちょっとしたボタンの掛け違え」から、逃げ場のない状況へと追い詰められていくさまがテンポよく描かれる。オレオレ詐欺(オレ詐欺)集団を追う大阪府警特殊詐欺班の刑事たちの泥臭く地道な捜査に敬服しながらも、どんどん悪い方へと転がっていく橋岡になんとか逃げ切ってほしい、などと妙な感情移入してしまうのも黒川マジックの醍醐味といったところか。
映画か連続ドラマでぜひ見てみたいと思うのは私だけではないだろう。橋岡は波岡一喜でぜひ! -
Posted by ブクログ
黒川さん得意の大阪府警の刑事物、大阪出身ノンキャリ刑事の文田(ブン)、総田(総長)コンビに東京出身の若手キャリア係長荻原警部補の3人が織りなす事件解決小説。
ブン(コテコテの大阪人で30目前でお袋さんと同居の寡男)と荻原係長(東京出身のキャリア上司)との良くある大阪vs東京の掛け合い口論に年配の総長が間を取り持つ関係で話が進む。
事件は、高速道路で若い男女が乗った車が爆破され事件が始まる。事件を追う大阪府警捜査本部の中に総長、ブン、荻原の3人トリオも居て犯人を追う。総長とブンのコンビは足で事件を追い、キャリア荻原は多少自由が効く事から独自の推論から事件を追う。事件の裏には過去発生した船舶沈没事故が絡んでおり保険金や権利が絡む詐欺事件が明かになり3人が解決する