黒川博行のレビュー一覧
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冒頭───
街灯に明かりが入った。降りはじめた雨がルーフを叩き、フロントガラスにはじける。エンジンをかけてワイパーを作動させ、デフロスターのスイッチを入れる。
「見えんな------」稲垣が助手席のウインドーを下ろして、油膜とりのスプレーを吹きつける。白い泡が散り散りになって流れ落ちた。
「そろそろ一時間やで。いったい、いつになったら出てきよるんや」
じりじりする。友永はステアリングを強く握りしめた。
黒川博行、1995年の作品。
スピード感あふれたクライムサスペンス。
堅気の男たちがヤクザの組長を誘拐し身代金をせしめようという物語。
誘拐を企てた主要人物ははどうしようもないハグレ三人。 -
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冒頭───
大阪難波、淀屋デパートに着いたのは十時五分前だった。タクシーを降りて新館に向かう。玄関前には七、八人の女性客が並んでいた。待っているはずの美術部長の姿が見あたらない。
「どうしたんや、伊谷は。おらんやないか」
腕の時計に眼をやって、いらだたしげに室生がいう。
「おかしいですね。十分前には新館の前にいるというたんですけど」
大村は室生のそばを離れた。小走りで『虹の街』のほうへ行く。カフェテリアの向かいにもう一カ所、淀屋の入り口があったが、そこにも伊谷はいなかった。
黒川博行の作品は特徴がいくつかある。
一、常に関西が舞台である
二、主人公と連れ添う相方が存在し、二人を中心に話が展 -
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疫病神シリーズの四作目。
五作目が先日直木賞受賞ということで、おめでとうございます。
そのニュースを見て久々にこのシリーズを読もうと思って購入。
相変わらず桑原と二宮の掛け合いが面白かったです。
『国境』を読んでからなので、そうすると少しインパクトとかスケールが小さく感じるかもしれませんが、登場人物がなんとか把握できる程度だったので読みやすかったです。いや、それでも多いほうだとは思うけど…。
あとは、東京が舞台のシーンが多くて、今まで大阪の描写はわからないとこが多かったけど東京は「あぁ」となれたのでその辺も読みやすさの一因だったのかも。
それにしてもなんだか二宮がほんとに意地汚いというか -
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冒頭───
風呂あがり、やっとありついた晩飯。冷めたアサリの吸物をひとすすりして、さてこれからと箸をとりあげた時、電話が鳴った。反射的に壁の時計を見る。もう午後十時、こんな時間の電話にろくなものはない。
「おーい、電話やでー」
ちょっと振り向けば電話に届くものなぜかおっくうで、隣の部屋にいるはずの佐智子に声をかけた。返答がない。代わりに、ザーッと水の走る音のするところをみれば、残り湯で洗濯でもしているのであろう。
「えーい、しゃあないなあ」
受話器をとる。
「破門」で直木賞を受賞した黒木博行さんの、正真正銘のデビュー作。
第一回サントリーミステリー大賞佳作賞受賞作品である。
キレのあ -
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ネタバレ相変わらずややこしい話だが、それがいい。
2人の会話も面白い。
疫病神コンビもいけるが、このコンビも
これからも続けていって欲しい。
しかし、警察辞めた彼らは、いちいち大変そうだ。
よく考えたら、気軽に個人情報を元同僚から
とってるが、最近メチャクチャ問題になってる情報漏洩じゃないか。
前作やこの作家の他の著作を読んだときは、
不良警官なんて小説の世界と思っていたが、こういう小説の話は
やっぱり現実なんだな。
繚乱に関しては、面白くて読み終わるのがもったいないと思う反面、
冗長にも感じたし、終盤は、単なる強盗みたいになってるのが残念。 -
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疫病神シリーズ第4弾。
これまでと同じく金の臭いを嗅ぎつけて桑原が暴れまくり、二宮がぼこぼこにされ、騙し騙されてバイオレンス溢れる楽しい1冊でした。
毎回複雑な人間関係と利権争いを描いているシリーズで、今回は巨大宗教組織を相手に悪徳坊主がわんさか出てきます。ばちがあたるぞおまえら!という感じです。
神も仏も恐れぬ桑原の清々しいほどの暴力と、貧乏で暢気な二宮のへたれっぷり、そしてこの二人の関西弁での漫才のようなやりとりはこのシリーズの最大の魅力です。何度読んでもおもしろい。
桑原と二宮、二人ともお互いを「疫病神」だと思っていますが、わたしはこれまではどちらかというと桑原が二宮の疫病神という -
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第2の被害者水谷は、第1の被害者沢木の小指を耳の穴に差しこまれて殺されていた。第3の被害者篠原は、第2の被害者水谷の耳を口にくわえて殺されていた。そして第4の被害者となる赤峰は、第3の被害者篠原の舌を……
このリレー式の猟奇的連続殺人事件に色めき立つ警察。被害者同士にどんなつながりがあるのか?登場人物の誰が犯人か?犯行の動機は何なのか?
「彼」で語られる犯人の視点と、大阪府警捜査一課・海部班の久松を中心とする刑事たちの視点、さらに過去と現在の時間軸、これらが章を分けることなく入り混じりながら進む物語の果てに読者が見るものとは……
東野圭吾がその自叙伝の中で絶賛した本書は、彼が容疑者Xの献