黒川博行のレビュー一覧
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大阪府警の捜査員を描いた短編集。
2話目と6話目は容疑者や事件関係者の視点で、残り4話は捜査員の視点で描かれている。全6話。再読。
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個人的に気に入っているのは「黒マメ」コンビが捜査に当たる話。(1・4・5話)
マメのマメさと卓越した推理力が痛快なのはもちろんだけれど、黒マメの会話が何と言っても軽妙でおもしろい。テンポがよくてユーモラス。往年のオール阪神巨人の漫才を彷彿とさせるしゃべくりです。
そして全編に渡って、会話部分で物語を展開させる手法も見事です。もちろん会話でごまかしてしまうような作りではありません。
短編で勝負を早くしなければいけないという縛りがあるにも関わらず、どの話も読み応えがあり、謎解きが納得いく展開だったのもよかった。
ぜひ黒マメコンビの長編を読んでみたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
ロードショーされてる時に映画を見に行ったことがありすごく面白かった記憶があるが、原作もかなり面白かった。
欲に塗れた悪人たちを徐々に追い詰めていく展開はスカッとしたが、追い詰めていく側の人間も実は...。
金銭に突き動かされる人間って、ここまで罪悪感なく罪を犯してしまうのか。逆に清々しいというか。(身近には絶対いてほしくないけど)
そういう人間は、傍から見ると本当に滑稽だし、哀れだ。
結局最後は全部自分に返ってくるんですよね。世の中そんなうまいこと行きません。
地元周辺が舞台になっていて、今自分が住んでいる周辺に小夜子が住んでいたり、その辺も面白かった。
解説でもあるように、リアリティがあり土地の匂いを感じることができた。違和感のない大阪弁も相まってテンポが良く、スピード感もあり読みやすかった。
面白い本をちびちび読み終えると、一気読みすればよかった...と後悔することがよくあるが、後妻業もそう感じた一冊。
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Posted by ブクログ
ネタバレこないだ吉本興業がつくった映画『文福茶釜』を楽しく見ちゃったんですが、わりと評価低くてね。駿河太郎の熱演とぽっちゃり小芝風花ちゃんが可愛くて良かったんですよ。そしたら原作が素晴らしいっていうんで、これ。
言っちゃえば古美術を小道具に人の騙し合いを愛でるといったところでしょうか。もうやんなっちゃう。あたし呑気に暮らしすぎ。凄いんですね贋作の世界! まずは相剥。和紙は重ねてあるのでそれを剥いで1枚目を真本として2枚目を相剥本(正確には贋作ではないみたい)としてお金儲ける人がいるんだとか。
茶杓、茶碗、茶釜といった茶道具も贋作の宝庫。これは「誰がどこで使っていたか」が重要になるんだとか。信長が武功をあげた部下にあげる土地がなくなっちゃったんで「名物」として茶器を与えるとかってもうちょっとした詐欺よね。
最後のお話はタイムリー。新興宗教の教祖が持っている中国の古い焼物について。あの詐欺師どもは税金がかからないことを良いことに信者さんから集めたお金でごっそり買うんでしょうねぇ。「信者」を縮めて「儲ける」だもんなぁ。昔っからこの関係はあるんでしょうね。
好きなところいくつか。
「美術品なんてもんは、所詮は金ですわ。値段が上がった下がったで、持ち主は一喜一憂する。ただ好きなだけで、何百万、何千万とする絵を買う人間はいてません」
「あの番組はヤラセやから派手な値がつく、売るとなったら半値ですわ」
「偽物を買ってしまったときはどうするんです?」「贋物は天下のまわりもの、いうてね、目利きの甘い道具屋に売りつけるんですわ。道具屋が道具屋を騙すのは褒められこそすれ、非難されるもんやない。騙されるほうが悪いんでっせ」
「お客さんに売ったりはしないんですか?」
「そら、売りますがな。きれいごとはいうてられへん。その代わり、客にクレームつけられたら、売値で買いもどすのが道具屋の仁義ですわ」
「我々のような素人が掘り出し物を手に入れることはないんですね」
「道具屋が掘り出しもんを客に売ってどないしますねん。飯の食い上げですがな」 -
Posted by ブクログ
病室にて、血の海の中無惨にも首をほぼ切り落とされた状態で発見された男。耳は削がれ穴には別人の小指が詰められていた。その後、舌を切られその耳を咥えさせられた死体が発見される。この猟奇的な連続殺人は本当にヤクザ抗争故の惨劇なのかーー。
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日文では中々お目にかかれない大胆且つ高レベルの猟奇的な殺人鬼に久々に遭遇した私の昂りを分かっていただけるだろうか。引かないで下さ...(以下略)
タイトルは「切断」。この飾り気の無さと、美味しそうで平和的なバナナの装丁を目に焼き付けてから背表紙の作品紹介を読んでみて欲しい。すると、もうバナナが禍々しさの象徴にしか感じられなくなるかと思う。皆大好きバナナさんは特に本書と関係はないんですけどね。そうです、ただのとばっちりです。愛だね。
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主に三つの視点から物語は語られる。
・進行形で進む上記連続殺人事件の捜査パート。主に刑事視点。命名ハードボイルドステージ。
・ターゲットの殺害からそれに至るまでの犯人視点。犯人の行動全てが丸見えのボーナス枠。命名血みどろステージ。
・第一の被害者で切断された小指の所有者、沢木昌哉の過去視点。命名アウトローステージ。
最初こそ時系列の前後に混乱するやもしれないがメリハリがあるので読みやすい。読み手のスイッチを切り替えやすくしてくれている。
ミステリの観念で見るなら、事の発端である昌哉の死体が発見されない時点で犯人感漂うベリベリイージーな謎解きに感じるのだが、残念 彼の切断された小指に生体反応は無い。とは言え彼の行動が特別枠な時点で事件の鍵を握る人物なのは間違いない(と思った)のだが、全く考察は進まないままクライマックスを見届ける事となった。
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真相は置いといて、黒川博行作品はよく場面が切り替わり、更には名乗らず語り出す登場人物達に混乱する事が多いので、今回は軽く人物プロファイルを作りながら読み進めてみた。
するとまぁ面白い。主要人物を理解していれば差し支えなく楽しめるのだが、整理してみるとより鮮明に背景が浮かんでくる。決して少なくない登場人物達がギチギチに相関図に詰め込まれていて、それを熟知している事が気持ち良い。.....これをして獲られるのは本書への愛情と孤独な優越感です。
ミステリーとして読み進めた場合、犯人の正体と動機、物語の結末は賛否別れるだろうと思う。何を隠そう私もミステリを求め手に取った内の一人だ。しかし、昂っている。なにより、集大成感が全く無いのにいとも簡単にヤクザの構造を作り上げ、巧妙に複雑な謎を産み出し、最 & 高な猟奇殺人鬼を作り出した著者の力量に惚れてしまった。ミステリー ハードボイルド アウトロー を一気に体験してしまったのだ。
こんな贅沢覚えちゃって...もう普通の飯が食えなくなるではないか... -
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ネタバレ「螻蛄」のあと「破門」と続き、本作という順番です。くーさん、破門されてもうて本作ではカタギということになってるのですが、イケイケ度はまったく変わらず。ただ、数十万のシノギにも手を出すくーさんに、二宮が「こんなはした金のシノギ、以前の桑原なら鼻もひっかけんやった」的な慨嘆があって、ニコとしてもちょっと寂しくなってしまいましたわ。んで、喧嘩(けんか)と書いて「すてごろ」と読む。くーさんの業界では喧嘩することを「ゴロをまく」というらしいんですわ。くーさん、もうけっこういいトシなのに、イケイケで喧嘩も滅法強い。ただ、絶賛破門中で、組の後ろ盾がないもんだから、あんま調子こくとマジで消されてしまう状態。それでも、金に貪欲なくーさんはいけすかない議員秘書が絡むシノギに首をつっこんでいくのですが、果たして。
詳細は忘れてしもうたんやけど、無問題。くーさん、最後は二蝶会に無事、復帰です。いやー、ヨカッタ。 -
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大好きな疫病神シリーズの第6弾。前作で二蝶会を「破門」された元極道の桑原と「サバキ」を生業とする建設コンサルタント二宮が巨大利権を背景に、悪徳議員秘書を追い込む姿を描きます。
今回もテンポ良く読め、一気読みでした。このシリーズの読みどころは、イケイケ極道の桑原と桑原から逃げようとあがく二宮の微妙な関係。大阪弁の2人のやり取りを読んでいると大阪弁を話せる人が羨ましいと思ってしまいます。
ドタバタしながらも一応の戦略を練り「悪」を追い詰めるという本シリーズは冒険小説であり、しかも良く出来ていると思います。やはり、読み始めたらやめられなくなりました。
毎回、魅力的なキャラクターが登場しますが、今回はオカメインコのマキが印象的でした。
お勧めのシリーズ。未読の方はもちろん第1作「疫病神」からお読みください。
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推理ものの感想は、下手するとネタバレの方向に走ってしまう…先走る気持ちに待ったをかけながら本書をプレイバックしたい笑
選んだ理由はズバリ!インドにまで舞台が及んでいて、何だか壮大そうだったから!笑
推理小説は今まで数えるくらいしか読んでこなかったが被害者の発見からインド行きに至るまでがキュッと引き締まっており、真相に近づく前に息切れ…なんてことがなかった。
緊迫した捜査会議からインド女子旅へと切り替わる瞬間が個人的に震えた。
「お啓」が本当に頼もしい!(プラス敵に回しちゃいけないタイプだと段々明らかになっていく…)
一般的な推理小説好きのはずなのに、推理や行動力がずば抜けていた。小説を読む際話の流れを追うだけではここまで鋭くならないだろうな。人助けじゃなくてただの好奇心からインド行きを決行するのだって普通なら出来てもしない。そこが彼女ならではだし、探偵と一線を分つところだろう。『ダ・ヴィンチコード』みたく、捜査のプロ達より何歩も先を進んでいるところも…おっと、誰か来たようだ。
考えてみれば、たとえリアリティがあってもフィクションの世界は大それたことが平気で出来るから凄いよね。(以上ノンフィクション派より)
芝居めいた関西弁は多少引っかかりはしたが笑、弘美との夫婦漫才なみに息ピッタリな会話も楽しい。凄惨な事件簿における、一服の清涼剤以上の役割も果たしてくれている。
作中の刑事達同様、宝石通の気分になった笑 タイトルのキャッツアイをはじめ、流通経路に産出国の事情までを彼らと一緒にサクッと学習。(80年代の話だから多少変わっているだろうけど) 宝石商から漂うあの独特な陰が何なのか、今なら何となく分かる気がする。
序盤であれだけ鮮烈な印象を残した村山だから、終盤でももーちょい会話が欲しかったこと以外は満足!
たまたま知ってからいきなり良質なミステリーに出会えた。そのまま開拓に乗り出したいところだが、お啓みたいな度胸が自分にはない…推理ものを気軽に読めるタイプじゃないから、今回みたいにたまたま良い感じのが転がっていてくれないかなーと密かに願っている笑 -
Posted by ブクログ
『スカッとする本教えて下さい!』と
ブク友のbera5227さんにオススメしてもらい
手に取った本。『疫病神』
根っからヤクザ、桑原と
黒ではないけれど真っ白でもない
建設コンサルタント二宮。
正反対の2人のタッグがサイコー‼︎
2人の独特の会話リズムがとにかく面白く、
一体どんな人がこんなに面白い会話を思いつくんだろう⁉︎とまだ本書を読んでいる途中で、
作者のインタビュー記事を読みあさってしまった。
二宮は危険な匂いのする
産業廃棄物処理場をめぐる依頼を請け負う。
その仕事にのっかり一儲けしようと
ヤクザの桑原も参戦。
仕事を受けてから任務完了まで、ヤクザや政治家、建設会社を相手に怒涛の5日間。
2人は裏切り裏切られながらも協力し合う。
先手必勝の頭脳プレイの桑原に二宮は激しく
巻き込まれながら
拉致監禁あり、逃亡劇あり、ステゴロあり、賭場での緊迫シーンあり…
次から次へとスピーディーに手に汗握るシーンが続く。
ハードボイルド好きにはたまらない
ボロボロになっても、最後の最後まで
クライアントに筋を通そうとする二宮が格好いい!
そしてその結末に…ふふふ、大満足‼︎
お互いを疫病神呼ばわりする、
この2人のタッグがまた早く見たい。
続きが楽しみー‼︎