黒川博行のレビュー一覧
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病室にて、血の海の中無惨にも首をほぼ切り落とされた状態で発見された男。耳は削がれ穴には別人の小指が詰められていた。その後、舌を切られその耳を咥えさせられた死体が発見される。この猟奇的な連続殺人は本当にヤクザ抗争故の惨劇なのかーー。
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日文では中々お目にかかれない大胆且つ高レベルの猟奇的な殺人鬼に久々に遭遇した私の昂りを分かっていただけるだろうか。引かないで下さ...(以下略)
タイトルは「切断」。この飾り気の無さと、美味しそうで平和的なバナナの装丁を目に焼き付けてから背表紙の作品紹介を読んでみて欲しい。すると、もうバナナが禍々しさの象徴にしか感じられなくなるかと思う。皆大好きバナナさんは特に本書と関係はないんですけどね。そうです、ただのとばっちりです。愛だね。
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主に三つの視点から物語は語られる。
・進行形で進む上記連続殺人事件の捜査パート。主に刑事視点。命名ハードボイルドステージ。
・ターゲットの殺害からそれに至るまでの犯人視点。犯人の行動全てが丸見えのボーナス枠。命名血みどろステージ。
・第一の被害者で切断された小指の所有者、沢木昌哉の過去視点。命名アウトローステージ。
最初こそ時系列の前後に混乱するやもしれないがメリハリがあるので読みやすい。読み手のスイッチを切り替えやすくしてくれている。
ミステリの観念で見るなら、事の発端である昌哉の死体が発見されない時点で犯人感漂うベリベリイージーな謎解きに感じるのだが、残念 彼の切断された小指に生体反応は無い。とは言え彼の行動が特別枠な時点で事件の鍵を握る人物なのは間違いない(と思った)のだが、全く考察は進まないままクライマックスを見届ける事となった。
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真相は置いといて、黒川博行作品はよく場面が切り替わり、更には名乗らず語り出す登場人物達に混乱する事が多いので、今回は軽く人物プロファイルを作りながら読み進めてみた。
するとまぁ面白い。主要人物を理解していれば差し支えなく楽しめるのだが、整理してみるとより鮮明に背景が浮かんでくる。決して少なくない登場人物達がギチギチに相関図に詰め込まれていて、それを熟知している事が気持ち良い。.....これをして獲られるのは本書への愛情と孤独な優越感です。
ミステリーとして読み進めた場合、犯人の正体と動機、物語の結末は賛否別れるだろうと思う。何を隠そう私もミステリを求め手に取った内の一人だ。しかし、昂っている。なにより、集大成感が全く無いのにいとも簡単にヤクザの構造を作り上げ、巧妙に複雑な謎を産み出し、最 & 高な猟奇殺人鬼を作り出した著者の力量に惚れてしまった。ミステリー ハードボイルド アウトロー を一気に体験してしまったのだ。
こんな贅沢覚えちゃって...もう普通の飯が食えなくなるではないか... -
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ネタバレ「螻蛄」のあと「破門」と続き、本作という順番です。くーさん、破門されてもうて本作ではカタギということになってるのですが、イケイケ度はまったく変わらず。ただ、数十万のシノギにも手を出すくーさんに、二宮が「こんなはした金のシノギ、以前の桑原なら鼻もひっかけんやった」的な慨嘆があって、ニコとしてもちょっと寂しくなってしまいましたわ。んで、喧嘩(けんか)と書いて「すてごろ」と読む。くーさんの業界では喧嘩することを「ゴロをまく」というらしいんですわ。くーさん、もうけっこういいトシなのに、イケイケで喧嘩も滅法強い。ただ、絶賛破門中で、組の後ろ盾がないもんだから、あんま調子こくとマジで消されてしまう状態。それでも、金に貪欲なくーさんはいけすかない議員秘書が絡むシノギに首をつっこんでいくのですが、果たして。
詳細は忘れてしもうたんやけど、無問題。くーさん、最後は二蝶会に無事、復帰です。いやー、ヨカッタ。 -
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大好きな疫病神シリーズの第6弾。前作で二蝶会を「破門」された元極道の桑原と「サバキ」を生業とする建設コンサルタント二宮が巨大利権を背景に、悪徳議員秘書を追い込む姿を描きます。
今回もテンポ良く読め、一気読みでした。このシリーズの読みどころは、イケイケ極道の桑原と桑原から逃げようとあがく二宮の微妙な関係。大阪弁の2人のやり取りを読んでいると大阪弁を話せる人が羨ましいと思ってしまいます。
ドタバタしながらも一応の戦略を練り「悪」を追い詰めるという本シリーズは冒険小説であり、しかも良く出来ていると思います。やはり、読み始めたらやめられなくなりました。
毎回、魅力的なキャラクターが登場しますが、今回はオカメインコのマキが印象的でした。
お勧めのシリーズ。未読の方はもちろん第1作「疫病神」からお読みください。
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推理ものの感想は、下手するとネタバレの方向に走ってしまう…先走る気持ちに待ったをかけながら本書をプレイバックしたい笑
選んだ理由はズバリ!インドにまで舞台が及んでいて、何だか壮大そうだったから!笑
推理小説は今まで数えるくらいしか読んでこなかったが被害者の発見からインド行きに至るまでがキュッと引き締まっており、真相に近づく前に息切れ…なんてことがなかった。
緊迫した捜査会議からインド女子旅へと切り替わる瞬間が個人的に震えた。
「お啓」が本当に頼もしい!(プラス敵に回しちゃいけないタイプだと段々明らかになっていく…)
一般的な推理小説好きのはずなのに、推理や行動力がずば抜けていた。小説を読む際話の流れを追うだけではここまで鋭くならないだろうな。人助けじゃなくてただの好奇心からインド行きを決行するのだって普通なら出来てもしない。そこが彼女ならではだし、探偵と一線を分つところだろう。『ダ・ヴィンチコード』みたく、捜査のプロ達より何歩も先を進んでいるところも…おっと、誰か来たようだ。
考えてみれば、たとえリアリティがあってもフィクションの世界は大それたことが平気で出来るから凄いよね。(以上ノンフィクション派より)
芝居めいた関西弁は多少引っかかりはしたが笑、弘美との夫婦漫才なみに息ピッタリな会話も楽しい。凄惨な事件簿における、一服の清涼剤以上の役割も果たしてくれている。
作中の刑事達同様、宝石通の気分になった笑 タイトルのキャッツアイをはじめ、流通経路に産出国の事情までを彼らと一緒にサクッと学習。(80年代の話だから多少変わっているだろうけど) 宝石商から漂うあの独特な陰が何なのか、今なら何となく分かる気がする。
序盤であれだけ鮮烈な印象を残した村山だから、終盤でももーちょい会話が欲しかったこと以外は満足!
たまたま知ってからいきなり良質なミステリーに出会えた。そのまま開拓に乗り出したいところだが、お啓みたいな度胸が自分にはない…推理ものを気軽に読めるタイプじゃないから、今回みたいにたまたま良い感じのが転がっていてくれないかなーと密かに願っている笑 -
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『スカッとする本教えて下さい!』と
ブク友のbera5227さんにオススメしてもらい
手に取った本。『疫病神』
根っからヤクザ、桑原と
黒ではないけれど真っ白でもない
建設コンサルタント二宮。
正反対の2人のタッグがサイコー‼︎
2人の独特の会話リズムがとにかく面白く、
一体どんな人がこんなに面白い会話を思いつくんだろう⁉︎とまだ本書を読んでいる途中で、
作者のインタビュー記事を読みあさってしまった。
二宮は危険な匂いのする
産業廃棄物処理場をめぐる依頼を請け負う。
その仕事にのっかり一儲けしようと
ヤクザの桑原も参戦。
仕事を受けてから任務完了まで、ヤクザや政治家、建設会社を相手に怒涛の5日間。
2人は裏切り裏切られながらも協力し合う。
先手必勝の頭脳プレイの桑原に二宮は激しく
巻き込まれながら
拉致監禁あり、逃亡劇あり、ステゴロあり、賭場での緊迫シーンあり…
次から次へとスピーディーに手に汗握るシーンが続く。
ハードボイルド好きにはたまらない
ボロボロになっても、最後の最後まで
クライアントに筋を通そうとする二宮が格好いい!
そしてその結末に…ふふふ、大満足‼︎
お互いを疫病神呼ばわりする、
この2人のタッグがまた早く見たい。
続きが楽しみー‼︎ -
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大阪は今里署の暴力団担当刑事である堀内は、情報屋から近々賭博が行われるという情報を入手する。その中には、学校法人の代表であり、不動産屋の森本が含まれていた。逮捕の後、森本をゆすりに行った経済誌の社長が、交通事故で死亡する…。
「堀内・伊達シリーズ」とされるものの1作目だったらしい。何も考えずに読んで買っているので、もう1冊持っているのが3作目で、2作目は買っていなかった。最初に1作めで良かった。
それはともかく、600ページに文字も小さめのギッシリの内容であるが、最初から最後まで全くだれずに読みきれる内容で、やっぱり黒川博行はうまいなあと思わされる1冊である。ハードボイルドの背景を持つ作品で、堀内もその相棒の伊達も、警察ではあるが勤務中に酒を飲み、女を囲い、逮捕者やそのつてから金(シノギ)をまきあげる。
初期の黒川作品で、なんか物足りないなあと思うのは、主人公が悪くないからなのではないかと思う。
全編、いつものコッテコテな関西弁の応酬であり、この辺に乗れなかったらやっぱり難しいだろうとは思う。乗れる人にはたまらないものがあるだろう。
ト書き文も勢いを重視し、主語がなかったり、芸術的な表現もなかったりするが、それが黒川節とも言えるハイスピードな文章のテンポを落とさないことにもつながっている。
最後に突然1年後になってしまったけど、これ続くんよね?で、なんで続編がことごとく別の出版社なんや? -
Posted by ブクログ
あらすじ
建設コンサルタントの二宮は、二蝶会のヤクザ・桑原から映画製作を手伝って欲しいと頼まれる。小清水という映画プロデューサーが二蝶会に持ち込んだ、映画「フリーズムーン」の企画書。二蝶会の若頭・嶋田が映画に出資したので、何としても売れる映画にしなければならないという。しかし小清水は、嶋田や他の出資者から集めたカネを持って愛人の玲美と失踪する。小清水の行方を追う二宮と桑原だったが、その途中、桑原が尼崎の亥誠組と揉め事を起こしてしまう。亥誠組は二蝶会が属する神戸川坂会の本家筋で、二蝶会よりも格上。亥誠組副本部長の滝沢は、桑原のことを不問にする代わりに「フリーズムーン」製作委員会の手形の決済を求める。実は「フリーズムーン」の詐欺は、滝沢組が裏で糸を引いていた。小清水がマカオにいるという情報を入手した二宮は、騒動を収束させるため、小清水を捜して桑原とマカオを奔走する。
感想
任侠物語、意外に面白かった。 -
Posted by ブクログ
桑原と二宮の疫病神コンビが関わるトラブルと、(悪)知恵を絞ってピンチを切り抜けていくさまを描く、バイオレンスサスペンス。
シリーズ第6作。
◇
二宮は、元同級で議員秘書の長原から相談を受け、暴力団絡みの依頼を請け負った。
大阪府議会議員補欠選挙での票集めをめぐり麒林会という暴力団組織とトラブルになった、その収拾をつけるというものだ。
議員事務所に火炎瓶が投げ込まれるほど関係が拗れているばかりか、調べるうちに麒林会のケツ持ちとして大きな組織が付いていることに気づいた二宮は、やむを得ず破門中の桑原を担ぎ出した。
イケイケの桑原は、二宮の話から大儲けの匂いを嗅ぎ取りさっそく動き出すのだが……。
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黒川作品で最も好きな『疫病神』シリーズ。
組の後ろ盾を失い憮然としていた桑原だけれど、二宮と組むと元気が復活。悪知恵の限りを尽くしてシノギに突っ走る。やはり名コンビなのでしょうね。
テンポの速い手に汗握る展開にハラハラしつつも、桑原と二宮とのやりとりに思わず笑ってしまういつもの流れに。
それにしても桑原のとばっちりで受ける二宮の生傷が毎回ひどい。少し手加減してやって欲しいと思うほどです。まあ2人とも死ぬことはないという安心感が救いではあるのですが。
今回も十分楽しめました。