黒川博行のレビュー一覧

  • 泥濘

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    相変わらず2人のやり取りは面白い。イケイケの桑原といつもババを引く二宮。二宮と桑原との報酬交渉のシーンは、まさに漫才さながらで笑い無しには読めません。今回は悪徳警官の中川の絡みも多く、悪党3人が警察OBを向こうに回し、一物持ちながらシノギを進めていきます。ただ、シノギの構造が複雑な為、2、3回読み直しが必要かも。
    ブラックユーモアではありますが、コロナ禍の現在では、こういったカラっと笑える小説は貴重な存在と思いました。

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    2021年08月12日
  • 悪果

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    人間の業が剥き出しで描かれている。金、女、暴力。大阪府内の土地勘があると、よりこの話の設定を堪能できる。
    地域性を押し出しながら矮小化せずに、読み物として機能させているところが、海外のハードボイルド的だ。
    黒川作品は、大阪を世界に売る方法のひとつになりえるのではないだろうか。

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    2021年08月10日
  • 疫病神

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    疫病神シリーズ第1弾!
    ドラマがおもしろすぎて原作購入!逆輸入(笑)ナポリタンと髪かきあげシーンは原作になしで残念。

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    2021年07月24日
  • 泥濘

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    自堕落でダメ人間を絵に描いたような主人公二宮、破門された後、復帰した途端、元のイケイケ全開のヤクザ桑原。
    経済小説とまではいかないものの、桑原が金の匂いを嗅ぎつけた先の登場人物の関連は複雑。ただ物語の中心は、桑原と二宮のドタバタ劇。
    2人を繋げる糸は欲。
    二宮を利用する為に、飯に誘う桑原、今度こそその手には乗らんと断る二宮、そこで出る桑原の心にもない桑原の一言にニヤけてしまう。「二宮くん、ワシは君と飯が食いたいんや」

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    2021年07月19日
  • 悪果

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    大阪府警の暴力団担当刑事、堀内。彼とその相棒、伊達は正義感あふれ、悪を許さないありがちなイメージの刑事像とはほど遠い。出世のためには裏社会の情報は欠かせない。情報のためには金と汚い付き合いも欠かせない。というのが彼らの理論。

    そんな2人が賭博場開催の情報を掴み、大勢の現行犯逮捕。事件は一件落着、署内での2人の評価は大幅アップ。となるはずだが、堀内は新たなカネのなる木を見つけ出す。

    凄まじくカネに執着する悪徳刑事2人。チームワークも正義もあったもんじゃない。彼らの行動原理は犯人逮捕ではなく、安い給料以外のシノギを得ること。そこに同情すべきところはない。が、それでも彼らを憎めないのは大阪弁のトークのおかげか。やっぱり大阪弁は最高や。

    落ちるところまで落ちていく2人には爽快感すら覚える。そして、正義ではメシを食えないことにも納得。

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    2021年06月23日
  • 後妻業

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    映画を見てから読んだ。映画はラストが違ってたしブラックコメディみたいになっていたけど、小説のほうはさすがにより現実感がある感じ。おもしろかった。
    世のなかいろんなワルがおるもんや。出てくる人、出てくる人、まったくの善人はいなかった感じがする。身内のことやお金のことがからんでくるときれいなままではいられないってことかな。

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    2021年05月08日
  • 絵が殺した

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    岬で墜落死した日本画家の死体が筍山で白骨死体として発見される。大阪、京都、金沢、山口と捜査は続く。贋作と画商、美術界という狭い世界の醜い関係が謎を作っていく。主人公の刑事が食いしん坊で食事の表現が面白い。
    携帯電話のない時代のミステリー。
    今にないよさがあった。

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    2021年05月04日
  • 二度のお別れ

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    1983年の第一回サントリーミステリー大賞佳作にして黒川さんのデビュー作。
    その手口が「グリコ・森永事件」に似ていたために当時警察から事情聴取されたという曰く付きの作品でもある。
    久しぶりに再読した。

    銀行で強盗事件が発生。犯人は現金約四百万円を奪った上、勇敢に飛びかかってきた男性客に発砲し怪我を負わせ、男性客を人質に取って逃亡した。その後、男性客の自宅へ身代金一億円を要求する脅迫状が届く。

    一番の山場は一億円の身代金を巡る犯人と警察との攻防。逆探知を避けるため、事前の指示は基本的に手紙や伝言。長くなりそうな電話については男性客宅ではなくその隣家や銀行を通じて行う。
    身代金の運搬もまるで警察を弄ぶかのように振り回す。行く先々に伝言メモが置いてあったり中継先の店に電話が掛かってきたり、実に入念な計画がされていたことが分かる。
    同時に人質の指や耳を切り落として送り付ける残忍さも見せつけ、人質の家族や警察へ犯人の指示通りにしないと最悪の事態になる恐怖心を植え付ける。

    大阪府警黒豆コンビシリーズでもあり、会話の軽妙さはデビュー作から光っている。特にマメちゃんこと亀田の舌の止まらなさは後の様々なシリーズに通じるところを感じてニヤニヤしてしまう。しかもマメちゃんは単におしゃべりなだけでなく頭が回るのが良い。
    一方先輩の黒さんこと黒田は年齢もあってか疲れ切っている感じ。五歳の娘の声を聞けば元気を取り戻したり娘となかなか遊べないと心の中で零しているあたり、子煩悩な父親ということか。

    改めて読み返してみれば最初から怪しさがあちこち見えている。しかし現代の振り込め詐欺のように冷静に考える隙を与えなかった犯人の方が上手だったと言えるだろうか。

    最後がバタバタしていたのが残念。しかしこれは解説にも書いてあるように、応募作品ということで締め切りも迫っていたらしいし原稿枚数の制限もあっただろう。取材も十分に行えなかっただろうから色々粗も見えるがそれもあって今の黒川さんがある。
    アナログ感満載なのも今読み返せば楽しいし、犯人の動機も後の黒川作品に繋がるところがあって興味深い。『二度のお別れ』というタイトルの意味と共にラストの虚無感を置いていくところも良い。

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    2021年07月09日
  • 離れ折紙

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    古美術、骨董品を巡り、欲望渦巻く者たちの騙し合いの世界。そう言うとダークなイメージになりがちだが、テンポの良い関西弁が飛び交い、短編ならではのスピード感ある展開が一瞬の爽快感をもたらす。
    関西のの洛鷹美術館の学芸員が何かと絡む連作短編集となっている。ガラス工芸品、刀剣、浮世絵、絵画、焼き物等作品毎に取り上げられる美術品の薀蓄、制作工程(贋作づくり)の描写も興味深い。
    タイトルの離れ折紙という言葉、知らないとなんとも意味深な感じだが、これも作品の中でちゃんと説明されている。

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    2021年03月20日
  • ドアの向こうに

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    1989年初版の大阪府警ブンと総長シリーズ。久しぶりの再読。

    工事現場で見つかったバラバラ死体は、首が腐敗、脚はミイラ化という奇妙なものだった。その数日後に起きた男女の無理心中事件の現場の部屋から、バラバラ事件の記事の切り取りが多数発見される。バラバラ事件の被害者と無理心中した男女はどう繋がっているのか。

    以前読んだのが10年近く前なのですっかり詳細を忘れていて、新たな気持で楽しめた。
    <疫病神>シリーズや悪徳警官シリーズと違って、こちらは真正面に事件にぶつかる刑事たちの話なので読みやすい。
    しかし後のこうしたアクの強いシリーズに繋がりそうな部分もちらほら見えて思わずニヤついてしまう。

    例えばブンこと文田。京都出身の同僚・五十嵐にやたらと突っ掛かり、その度に大阪京都対決が始まる。あまりのしつこさに総長こと総田から諌められる始末。
    家では母と二人暮らしで母親ベッタリ、捜査の話をしては(捜査情報を漏らして良いのか?)母親が素人探偵推理を展開したり、二人で花札勝負をすることもある。
    文章全体から漂う小者感といい、母親との距離感の近さといい、なのに何故か総長の娘で魅力的な伶子と婚約していたりと、後の<疫病神>シリーズの二宮を彷彿とさせるキャラクターだ。

    一方の総長こと総田。ブンの婚約者伶子の父だけにかなり年上であることもあり、落ち着いているし事件も冷静に俯瞰している。
    事件の絵解きをするのもトリックを解き明かすのも総長で、いわば総長が探偵役、ブンがワトソン役といったところか。

    ブンと五十嵐の掛け合いは時に読むに耐えないほどしょうもないこともあるが、これもまた後の<疫病神>シリーズに通じていそうなところがある。

    肝心の事件の方は、犯人は中盤で見当が付くものの、なぜその犯人がバラバラ死体の被害者と無理心中の男女の計三人を殺さなければならなかったのか、その繋がりを見つけるところが面白い。この辺も後のアクの強い方の黒川作品に繋がる部分が見える。
    もう一つ、意外なところでは密室トリックにも力が入っている。

    創元推理文庫版に収録されたあとがきにて『改めて読み返してみると、なんとガチガチの本格派パスラーではおまへんか』とご自身でも驚くような、ちょっと毛色の違った作品と言えるのかも。
    個人的には大阪府警シリーズはこうしたミステリー寄りの作品が多いイメージだが、どうだっただろう。改めて読み直していこう。

    読み終えてみれば、犯人が策を弄しすぎて自滅してしまった感もあるし、最初の時点で素直な方法を取っていればこんなにたくさんの人が亡くなることも破滅することもなかったのでは?と皮肉に思ったりもする。
    そんな犯人に対する警察官とも思えない無慈悲な言葉など、総長もなかなか腹の座ったキャラクターだ。

    事件現場だろうが食堂だろうが、張り込み中だろうがどこでもタバコを吸ってポイ捨てしたり、携帯電話もなくて公衆電話や家の固定電話が活躍したりと、たった三十年で色々変わったなと感慨深くなったりもする。

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    2021年03月16日
  • 文福茶釜

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    古美術品に絡めて、ひと儲けを企む海千山千の山師達が繰り広げる古美術ミステリの連作短編集。
    舞台は関西。美術系出版社社員、古道具屋、表具屋、ブローカーと言った金の匂いに敏感な登場人物たちは悪徳業者ばっかりかといえばそうでもなく、読んでるうちに読者は彼らに味方してしまうのが不思議。活き活きとした関西弁の台詞は、ガツガツとした雰囲気もありながら人間味を感じる。そしてオチには思わずニヤリ。
    黒川博行というとハードボイルドよりのミステリ作家という印象が強いのだが、美大を卒業して高校の美術教師というと経歴の持主だという。その経験を存分に活かした傑作だと思う。

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    2021年03月14日
  • ドアの向こうに

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    だいぶ前の作品やけど、黒川君の作品やし安心して読めるなぁ。全編大阪弁の会話てんこ盛りでスピーディーやけど、誰の会話か考えんでも良えしな。
    大沢君のなんか、一体誰の会話やねんと考えなあかんの多いし疲れるわ。最近こういう手合いが多いのが嘆かわしい。
    ブンのオカンに逢うてみたいわ。

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    2021年03月07日
  • 海の稜線

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    疫病神シリーズや一連の大阪刑事物の原点
    黒川独特の大阪弁のやり取りは秀逸
    東京者と大阪者の対比
    ミステリーとしての要素も十分

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    2021年02月19日
  • ドアの向こうに

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    ネタバレ

    1989年の作品。新しく文庫化されたので読んでみた。
    悪徳警官はまだ登場せず、真っ当な捜査をする警察小説で、意外にもガチの本格の密室ものだった。

    捜査の過程も謎解きも、警官たちの会話も面白く、とても満足度が高い。
    さらに関西に馴染みがあると、大阪vs京都も楽しめる。

    『悪果』より前のものは読み残しているものもあって気になっていたのだが、こんなに面白いなら全部制覇しなくちゃと改めて思った。

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    2020年12月07日
  • 海の稜線

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    大阪府警捜査一課の文田と総田(通称“ブンと総長”)は、高速道路で乗用車が爆破された現場に来ていた。東京から来た新人キャリアの萩原警部補は何かにつけ関西人をこき下ろすため、文田たちはこの年下の上司と反りが合わない。続いてマンションで起きたガス爆発から、過去の海難事故が捜査線上に浮かぶ。複雑に絡まった糸をほぐすように捜査を続ける文田たちは意外な事実に近づく。

    創元推理文庫版は読んでいないので、講談社文庫版以来、30年ぶりの再読だと思う。社会派でもあり本格派でもある、美味しい一冊でした。

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    2020年12月03日
  • ドアの向こうに

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    大阪の工事現場で発見された、男のバラバラ死体。
    首は腐敗、足はミイラ化という奇妙な姿に、府警一課の刑事たちも困惑する。
    さらに数日後、マンションの一室で男女の密室心中事件が発生。
    現場からはバラバラ事件の記事の切り抜きが何枚も見つかった。
    2つの事件は繋がっている?
    直情型の若手・文田と冷静沈着なベテラン・総田の刑事コンビ「ブンと総長」は、文句を垂れ、軽口もたたきながら、地道な捜査で着実に真相へと迫っていく!

    初期の黒川作品は何冊か読んだが、この作品は記憶がない。軽妙なテンポの警察小説だが、結構本格ミステリ仕立て。

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    2020年11月23日
  • 切断

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    ネタバレ

    大阪府警シリーズ。

    かなりのバイオレンス作品に仕上がっている。

    スピード感があり、面白かった

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    2020年09月21日
  • 八号古墳に消えて

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    ネタバレ

    考古学会を舞台にしたミステリー。

    大学内の権力争いを軸にストーリーが進む。

    現代の中で死因が「餓死」はかなり凄惨だろう。

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    2020年09月14日
  • 喧嘩

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    疫病神シリーズ第6弾という事で買った一冊。

    今回は政治家がらみの話だった。

    やっぱりこのヤクザとコンサルタントのコンビは楽しい。

    今回も登場人物が多くごちゃごちゃしがちだが、今回はまだわかりやすかった。

    ヤクザがらみの話しでいつも暴力が出てくる話だが、やっぱり死人は出なかった。

    次の話しも楽しみな小説でした。

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    2020年08月26日
  • 海の稜線

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    ネタバレ

    被害者が特定できない連続爆破殺人事件。
    被害者が不明の中操作していくと意外なつながりがあった。

    二転三転展開していくストーリーは面白い。

    意外な人物が真相に迫っていく。

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    2020年08月22日