黒川博行のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
毎日の楽しみは就寝前の1時間、発泡酒を飲みながら読むエンタメ本。亀田の6:4ではなく、私の理想とする3:7の柿ピーをアテに飲む淡麗ほど美味しいものはないと思います。
で、黒川博行さんの後妻業。面白かったーー!読み始めたらやめられず、寝る時間を削ってしまいました。
とにかく、登場人物殆どがクセがありキャラが立っています。本作は69歳の小夜子が結婚相談所を根城に、相談所の所長と組んで再婚を希望する資産家を物色することが物語の中心。小夜子の全財産掠奪を阻止しようとする資産家の娘、興信所の探偵が絡み、先の展開が気になる一級の娯楽小説になっています。会話は99%大阪弁。この大阪弁がエグい物語展開をさら -
Posted by ブクログ
1983年の第一回サントリーミステリー大賞佳作にして黒川さんのデビュー作。
その手口が「グリコ・森永事件」に似ていたために当時警察から事情聴取されたという曰く付きの作品でもある。
久しぶりに再読した。
銀行で強盗事件が発生。犯人は現金約四百万円を奪った上、勇敢に飛びかかってきた男性客に発砲し怪我を負わせ、男性客を人質に取って逃亡した。その後、男性客の自宅へ身代金一億円を要求する脅迫状が届く。
一番の山場は一億円の身代金を巡る犯人と警察との攻防。逆探知を避けるため、事前の指示は基本的に手紙や伝言。長くなりそうな電話については男性客宅ではなくその隣家や銀行を通じて行う。
身代金の運搬もまるで警 -
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1989年初版の大阪府警ブンと総長シリーズ。久しぶりの再読。
工事現場で見つかったバラバラ死体は、首が腐敗、脚はミイラ化という奇妙なものだった。その数日後に起きた男女の無理心中事件の現場の部屋から、バラバラ事件の記事の切り取りが多数発見される。バラバラ事件の被害者と無理心中した男女はどう繋がっているのか。
以前読んだのが10年近く前なのですっかり詳細を忘れていて、新たな気持で楽しめた。
<疫病神>シリーズや悪徳警官シリーズと違って、こちらは真正面に事件にぶつかる刑事たちの話なので読みやすい。
しかし後のこうしたアクの強いシリーズに繋がりそうな部分もちらほら見えて思わずニヤついてしまう。
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Posted by ブクログ
古美術品に絡めて、ひと儲けを企む海千山千の山師達が繰り広げる古美術ミステリの連作短編集。
舞台は関西。美術系出版社社員、古道具屋、表具屋、ブローカーと言った金の匂いに敏感な登場人物たちは悪徳業者ばっかりかといえばそうでもなく、読んでるうちに読者は彼らに味方してしまうのが不思議。活き活きとした関西弁の台詞は、ガツガツとした雰囲気もありながら人間味を感じる。そしてオチには思わずニヤリ。
黒川博行というとハードボイルドよりのミステリ作家という印象が強いのだが、美大を卒業して高校の美術教師というと経歴の持主だという。その経験を存分に活かした傑作だと思う。