黒川博行のレビュー一覧
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既に長い活動歴を誇る黒川博行の「初期作品」と呼び得る小説だ。
1980年代の作品なのだが、「現在では当り前のツール―例えば携帯電話やパソコン等―が使われていない…そう言えば…」という感はするのだが、全然古くない。興味深い謎解きである。続きが気になってドンドン読み進めてしまう。
物語は京都に在る芸術大学から起こる。
彫刻学科に学ぶ冴子が恒例の展覧会に向けた制作に勤しんでいれば、日本画科に学んでいる仲が好い美和に声を掛けられた。美和の姉が料理を用意してくれることになっているから、一緒に訪ねようと誘われたのだ。
美和に伴われて冴子は出掛けた。京都市内から、阪急電車を乗り換えながら足掛け2時間程度も進 -
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かの黒川博行による、刑事コンビが活躍する物語の小説だ。書店で文庫本を視掛けて迷わず入手した。そして頁を繰る手が停まらなくなった。
表紙イラストが沖縄の衣装の女性である。沖縄方面が作中の出来事の主要な舞台にもなっている。
大阪市大正区の警察署で、新垣遼太郎刑事と上坂勤刑事が、告訴状が提出されている一件の捜査を命じられる辺りから物語は起こる。
比嘉という男が、“模合”(もあい)という仲間の集まりの金を持ち逃げしてしまって行方が知れないので、同人を詐欺で告訴するということだった。所謂「オレ詐欺」の捜査に倦んでいた2人はこの事案に邁進することになる。
「遼さん」こと新垣刑事は沖縄県出身で、兄弟等は那覇 -
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ネタバレ後妻業 (文春文庫) 文庫 – 2016/6/10
2019年5月31日記述
黒川博行氏による著作。
2016年6月10日第1刷発行。
初出別冊文藝春秋2012年3月号~2013年11月号
単行本2014年8月 文藝春秋刊
参考文献
黒い看護婦 福岡四人組保険金連続殺人 森功 新潮社
木嶋佳苗法廷証言 神林広恵+高橋ユキ 宝島社
装画・黒川雅子
デザイン・多田和博
社会的な事件となった婚活詐欺とも呼べる事件を調べ作品化している。
舞台が大阪を中心とした場所で個人的に大阪市在住なのでよりリアリティを持って楽しめた。
作者曰く知らない土地に関しては匂いと言ったものを
文章で表現しにくいか -
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なんでこの本読むことになったんかは、よう覚えとらん
直木賞作品
たぶんそれが理由や
内容はやくざのはなしや
飛田新地やら新世界やら釜ヶ崎やらジャンジャン横丁やら
大阪のディープな場所がようさん出てくる
アメ村、心斎橋、道頓堀、よ~お知っとる場所も
尼の七松町や立花や、兵庫でもガラの悪い場所も
そこらにも組の事務所があるんやな~
ええんかどうか知らんけど、親近感湧くわ
なんか血が騒ぐんやな
文章のほとんどが「○○○○。。。」
なんせ8割ぐらいかっこつけた文章
格好ちゃうで、「」やがな
シナリオかいな?潔くシナリオゆうたらええのに
それもどぎつい大阪弁ばっかりで
わしは、ここちよかったわ
会話の -
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前作「繚乱」でヤクザに刺された堀内は運良く一命をとりとめた。が、片足に障害が残り、杖が欠かせなくなる。妻、自宅、職、愛人も失い障害者となった堀内だが、そんなことで落ち込む男じゃない。
不動産屋で反社会勢力の窓口を担当する伊達と再びタッグを組み、突入するのはパチンコ業界。客へ還元される手玉の操作制御から、警察とヤクザとの癒着など、リアルなパチンコ業界の裏事情が描かれ、その世界観で堀内と伊達の元悪漢警官コンビが縦横無尽に暴れ回る。そして、2人は仕事にキリがつけば、美味い飯を食べながら、反省会兼スケジュール確認。
よく食べて、よく働き、行動に無駄がないし、記憶力も抜群。ここ一番の判断力も正確だし -
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大阪を舞台にした作品らしく、「何を食べるか」とか「いくら儲かったか、あるいは損をしたか」ということについて描写を決しておろそかに
していないのも、私が、黒川作品で好きだと思うところの一つだ。桑原や、二宮も結構金遣いが荒いところが、やはり一般人でないという -
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今までとはちょっと行動パターンや思考が異なっているようにも思える。友達のいない桑原(二宮曰く)はきっと二宮が大好きなんだろうという
場面が何度も出てくるが、相変わらず金にはシビアである。いつも金欠病の二宮は少しでも分け前が欲しいが、この二人の金に纏わるやり取りが
また面白い。この疫病神シリーズ、もう次回作「泥寧」が刊行されている。文庫になるのが待ちきれない(二宮みたいにせこくなってきたなあ)。 -
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黒川作品「疫病神」シリーズと肩を並べる「堀内伊達」シリーズは、同じ大阪を舞台とする不思議な時系列。
どこかでこのコンビ同士がすれ違っているのでは?と想像するとさらに面白い! -
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テンポが小気味良くて、いつのまにか作品に引き込まれます。これも同じで、大阪弁で交わされる互いに引かない会話が面白くて読み進んでしまいます。癖になりそうなのであまり読まないように気を付けている昨今です。
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異常な連続殺人事件。同時進行の詐欺事件。じわじわ進む殺人計画。
少しずつ進む警察の捜査に早く!早く!と焦る思い。
最後の最後までドキドキハラハラさせられました。
とにかく先へ読み進むのが楽しみな作品でした。 -
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ストーリーの展開、人物造形、そして読後の哀しさ、切なさ、爽やかさ。秀作ぞろいの大阪府警シリーズの中でも一番の傑作ではないだろうか。
もうこういうの書かないのかな?今のアングラすっとこどっこい大阪人達も大好きだけどさ。 -
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何度目か読み返して、漸く理解しました。
この小説の真骨頂は、最後の七行にあります。
そしてこの小説は、ミステリーではなく、この作者特有の、家族愛に対する賛歌なのです。 -
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ホームタウンの大阪を飛び出て、二宮と桑原が東京で活躍する物語。お互いに毒づきながらも最高にして最強(凶)のコンビ。こんなに面白いシリーズは、そうはないと思う。大阪の風俗・文化と大阪弁がベースにあるので、やっぱり関西系の人が読んだほうが面白さ倍増だと思う。