黒川博行のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ悪逆の刑事2人が食ったり駄べりながら捜査する系の小説です。ほんとに最高ですね!
犯人視点と刑事視点が行き来するのも同じやし、最後にしっかり事件解決されるのも当たり前だけど嬉しい。
前半は匿流の男が手際良くポンポン犯罪を積み重ねていくのが気持ちいいです。
やられるのが同じ犯罪者同士になってるのも読みやすいポイント。犯人の一応の言い訳みたいなのか読み手にも心理的負担がないようにしてるし、こいつの行く末を応援したくなる気持ちにもさせる。
皆木と迫田の2人組が着々と調べ尽くして行く過程も気持ちがいい。
今作で最高に良かった所は2人が仕事についてサラッと話している部分で、なぜこの仕事をしているのか、薄給で勤務時間が長いからプライベートもないしめっちゃ大変そうやなと思ってたらこの仕事は楽しいとサラッと言うんですよね。ほんといい言葉で感動した。決めて言うわけでもないし。こういうのがカッコイイんよなー。あと込み中に2人で来るんかいと聞かれて刑事は2人でくるんやと返すとこもいいですね。
あとは嫁とか子供とかが割り込んで来ないのも最高。こういう話に家庭の場面とか要らんし。
あったとしても生活が破綻しててほしい(笑)と思ってるからこの小説は見たいもの、読みたいものしかなくて最高すぎました。
今回は犯人と刑事視点の交互描写はそのままにどんどん視点が引き継がれていくのも楽しいポイントでした。
特に沖視点のところと長田と一緒に回る皆木視点ら辺からは面白すぎた。
シゲルが行き当たりばったりなのに意外にも良いとこまでいけちゃうのもおもろいです。
またこんなの読みたい〜! -
Posted by ブクログ
「トクリュウ」を舞台に繰り広げられる、大阪の街並みと道路を縦横無尽に駆け回り関西弁が飛び交う、著者十八番のクライムエンタメ小説。著者のファンならその期待を100%裏切らない面白さだと思う。匿名・流動型犯罪であるから、ただでさえ多い登場人物が本名・偽名を使い分け、彼らがまたさまざまな接点で繋がって行く筋運びになるのだが、読者が混乱しないように捌いているのが巧いなあと思う。ネット社会がもたらした、顔と意思のない、システム化あるいはビジネス化した犯罪こそトクリュウの本質ではあるが、そういう冷え冷えとした社会を描くほうには行かず、コテコテの男たちの熱い戦いになっちゃう当たりが好き。
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Posted by ブクログ
極上に面白く、物語の展開が絶妙に上手く、614ページを滞る事なく一気に読んでしまった。
宗教2世で偽造した身分証を使いトクリュウ犯罪をしている青木慶彦。
青木が狙うのは資金を纏めるトクリュウの幹部であり、偽造身分証により追われる気遣い無く大胆な犯行で大金を収奪していく。
物語は青木が次々とトクリュウ幹部を襲う手際の良さを描き、ヤクザや警察からの追及を躱していく緊張感で読ませてくれる。
ところが青木の物語だけでも十二分に面白いのに、物語は青木の視点から前半では後手に回っていた警察が次第にその存在感を増していく。
この切替が意外性を伴い、物語を次の段階へとグイグイ引っ張り、読み手はいつの間にか警察の視点から物語に没入していく。
量と質の双方を備えた犯罪小説であり、警察小説でもある本作に⭐️は5つでは足りないと思う。
とにかく面白かった。 -
Posted by ブクログ
阿刀田高、黒川博行、佐藤正午、西村京太郎、馳星周、星新一、夢枕獏『一か八か ギャンブル傑作コレクション』角川文庫。
ギャンブル小説のアンソロジー。7編の短編を収録。西村京太郎、星新一のギャンブル小説はかなり珍しいのではないか。
自分はギャンブルは余りやらない。遥か昔、20代から40代の頃はパチンコをやっていたが、主に羽物という極めてギャンブル性の低い機種であった。羽物だと打止め台の開放を狙えば、少額ながらほぼ勝てた。
7編の短編のいずれも、麻雀、競輪、競馬、カジノ、賭け将棋とバレエティに富んだギャンブルをテーマにしており、いずれの作家も勝つか負けるかの真剣勝負のジリジリした感じを見事に表現しているのが面白い。
阿刀田高『ギャンブル狂夫人』。阿刀田高は久し振りに読んだ。最後に阿刀田高らしいオチが待ち構える短編であった。結婚1年目の夫婦が記念に奈良と京都に旅行する。旅先で見掛けた中年の夫婦は2人が行く先々に現れ、少しずつ挨拶を交わすようになる。結婚1年目の夫がホテルのバーで1人飲んでいるとそこに件の中年夫婦の夫人が現れる。夫人はタバコを吸っただけで銘柄を当てられると言い、30万円を賭けて勝負することになる。
黒川博行『東風吹かば』。昔、黒川博行はかなり読んでいたように思う。最後に読んだのは『後妻業』だったろうか。実を言えば、自分は関西弁の台詞が苦手で、次第に読まなくなったのだ。さて本作。バリバリの麻雀小説である。負けが混み、手持ちの資金も底を尽き、次第に焦る博打打ちの心情を上手く描いている。作家の黒田ヒロユキが編集者からの依頼で若手女性作家の花沢唯と麻雀を打つことになった。
佐藤正午『きみは誤解している』。佐藤正午の作品は余り読んだことがない。知らず知らずにギャンブルにのめり込んでいく浅はかな男の姿が残酷に描かれる。結婚を間近に控えたJR職員の男と車内販売員の女。男は父親の形見とも言うべき500円の当たり車券を元手に競輪で一点買いを続け、元手を200万円までに増やしていた。女はギャンブルにのめり込む男を諌めるが、男は言う事を聞かない。男は結婚とその後の幸せな人生を選ぶのかギャンブラーへの道を選ぶのか。
西村京太郎『三十億円の期待』。西村京太郎と言えば鉄道トラベルミステリーのイメージが強いが、ギャンブル小説も書いていたとは全く知らなかった。しかも、本作はディック・フランシスの競馬ミステリーのような味わいの短編だったことに驚いた。鉄道トラベルミステリーの傍らで、手慰みに書いた短編ではなく、レベルが高く、非常に面白かった。中央競馬会の職員である望月という男が本命馬に騎乗した佐々木騎手が落馬し、次のレースでも落馬、さらに次のレースでは手綱を引き、棒立ちになるというあり得ない失態を犯した原因を探るのだ。
馳星周『笑窪』。既読であった。『古惑仔』の中に収録されていた1編。まさに馳星周と言っても良いほどの馳星周らしいピカレスク小説。あらためてこういう類いの小説を読むと、最近は大人しい小説ばかり書いているような気がする。酒と博打と女に目が無い腕利きの板前が地下カジノでマレーシア人ディーラーの女にのめり込む。
星新一『四で割って』。星新一も物凄く久し振りに読んだ。ショートショートではなく賭け事をテーマにしたユーモラスな短編である。賭け事が好きな四人組が公営ギャンブル以外の様々な賭け事をする。やがて四人は賭博容疑で警察に捕まり、裁判に掛けられるが、ありとあらゆることを賭け事の対象にする。
夢枕獏『銀狐』。こちらも既読であった。真剣師の加倉文吉を主人公にした短編。『夢果つる街』に収録されていた1編。祭りで賑わう街の一角で金を賭けての詰将棋を商売をする木崎という男と加倉文吉が出会う。木崎の作った詰将棋を次々と詰んでみせる加倉に木崎は賭け金を釣り上げていく。
本体価格960円
★★★★★ -
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ノワールミステリーというジャンルらしい。
暗くて救いが少ない犯罪小説の類らしい。
たしかにw
ノワールは
・ダメ人間
・犯罪者
・欲望に流される人
とかが主人公になりやすい。
というChatGPTの説明がすごくしっくりきて思わずにやり。
お金という欲に駆られた色んなタイプの人間が出てくるため、常に不穏で常に何かが起こりそうな緊張感がある。且つ文章が読みやすくてあっという間に読めてしまった。
あまりに面白かったのと映画版の小夜子役が「大竹しのぶ」さんだと知って(めちゃくちゃあってる!)映画も観てしまった。
映画はどこに焦点を当てたいのかわからず、原作の良さを壊していて残念だったけど、大竹しのぶさんは小夜子そのもので素晴らしい女優さんだと改めて感じた。すでに2回は観てるけど再び「黒い家」が見たくなった。笑
あと私が買った文庫の表紙は黒背景に髪がほぼなく、血管が浮き出たお爺さんの悲しいような怒ってるような遠く昔を懐かしんでるような横顔が表紙のやつだったんだけど、今の?やたら奇抜な配色より「後妻業」の世界観に合ってると思った。
謎解き云々じゃないミステリーも面白いんだな。てか、黒川博行さんの作品が面白いのかも。他のも読んでみたくなりました。 -
Posted by ブクログ
ノワールミステリーというジャンルらしい。
暗くて救いが少ない犯罪小説の類らしい。
たしかにw
ノワールは
・ダメ人間
・犯罪者
・欲望に流される人
とかが主人公になりやすい。
というChatGPTの説明がすごくしっくりきて思わずにやり。
お金という欲に駆られた色んなタイプの人間が出てくるため、常に不穏で常に何かが起こりそうな緊張感がある。且つ文章が読みやすくてあっという間に読めてしまった。
あまりに面白かったのと映画版の小夜子役が「大竹しのぶ」さんだと知って(めちゃくちゃあってる!)映画も観てしまった。
映画はどこに焦点を当てたいのかわからず、原作の良さを壊していて残念だったけど、大竹しのぶさんは小夜子そのもので素晴らしい女優さんだと改めて感じた。すでに2回は観てるけど再び「黒い家」が見たくなった。笑
あと私が買った文庫の表紙は黒背景に髪がほぼなく、血管が浮き出たお爺さんの悲しいような怒ってるような遠く昔を懐かしんでるような横顔が表紙のやつだったんだけど、今の?やたら奇抜な配色より「後妻業」の世界観に合ってると思った。
謎解き云々じゃないミステリーも面白いんだな。てか、黒川博行さんの作品が面白いのかも。他のも読んでみたくなりました。
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Posted by ブクログ
大阪の警察官2人が関西弁をしゃべり、メシを食いながら、犯罪事件解決に奔走する、いつも通りの黒川博行作品。相変わらずブレない。そして、犯罪につながる現代社会システムのヤミにも迫る。本作品のヤミは金取引と宗教法人。さらに警察が犯罪捜査に多用するNシステムの説明は教科書ともいえるくらいの詳しさ。車を使った犯罪を考えている人は、絶対に知っておくべき。ITを使った車両ナンバー検索はここまで進んでいるのだ。
主人公2人の警官が追うのは連続強盗殺人犯。単独で緻密で残酷な計画を実行し、殺人と大金取得を繰り返す冷酷な犯人。と、その犯人に対して、組織の行動力と推理力で勝負する警察。この一進一退の攻防による緊迫感がたまらない。
ただ、犯人の事件への動機が説明されないのが残念。それもまた黒川作品ではよくあることではあるのだが。特に最後の殺人事件。充分なカネも得たし、警察にマークされていることもわかっている犯人が、さらに長距離移動の果に事件を犯そうとする動機がよくわからない。わざと破滅に向かって突っ走るシリアルキラーなのか? -
Posted by ブクログ
『破門』:直木賞受賞作
テンポとリアリティが炸裂する、
極道×カタギの凸凹バディ。
1.物語
建設コンサルタントの二宮と、イケイケヤクザの桑原。この「疫病神コンビ」が、映画製作への出資金詐欺被害をきっかけに、関西からマカオまでを詐欺師確保にむけて奔走する物語です。
2.選考委員(東野圭吾さん・浅田次郎さん)の書評
●浅田次郎さんの評
細密なディテールの集積は、まったく映像の表現しきれぬ、小説ならではの世界である。(中略)強く推した。
●東野圭吾さん
普通の人間社会の常識が通用しない異世界を見事に描いている。会話の練り方も半端ではない。(中略)作者にしか描けない独自の世界で、それを貫くことで勝ち取った受賞だと思う。
3.推しポイント
一気読み必至の「熱量」
読書のスピードを加速させるテンポの良さがこの本の最大の魅力です。
その要因は、選考委員の書評にもあった通り、まるで漫才のような会話中心の構成にあります。
二宮と桑原の関西弁による軽妙なやり取りは、緊迫した状況の中でも読者を飽きさせず、ページをめくる手が止まりません。
4.読みおえて
堅気の世界から想像できないほどのリアリティ
この小説の大きな醍醐味は、極道のリアルな世界の描写です。
・組同士の力関係
・仁義
・資金回収の手口
そのディテールは生々しく、読んでいるこちら側まで緊張感が走ります。
著者が、マカオまで数回取材に行かれているとのことで、海外パートも含めた描写のリアリティに圧倒されます。
その結果、「ありそう」と感じさせる描写が続き、頭の中で映像として甦るような感覚で読めました。