あらすじ
人間の尽きることない欲望をあぶりだす美術ミステリー!
技術の粋を集めて作ったヴィンテージアロハの精巧な偽物を売り捌く男は、やがて……(「ヒタチヤ ロイヤル」)。素人の蔵から出た重文級の屏風。協力者を仕立て、安く買い叩こうとするが(「栖芳写し」)。古美術業界を舞台に、尽きることのない人間の欲望と騙し合いを描く、著者十八番の傑作美術ミステリー連作集。解説・山村祥
価値を知らない素人に、親切を装って作品を売りさばく段取りをつけるが――「マケット」
阿漕なホストに画廊勤務があると知り、美術品を使って罠を仕掛ける――「上代裂」
技術の粋を集めてヴィンテージ・アロハの精巧な偽物を作るが――「ヒタチヤ ロイヤル」
資産家に偽物を掴ませた悪徳業者を懲らしめようと、ある策略をめぐらす――「乾隆御墨」
素人の蔵から重文級の屏風絵が出た。安く買いたたこうと芝居をうつが――「栖芳写し」
財政難に陥った美術館が極秘に青銅器のコレクションを売るという――「鶯文六花形盒子」
※この電子書籍は2020年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
もし黒川さんの本読んだことない人にはこれをオススメしたい!
色んな方法の詐欺手法が出てきます。
ハンターハンターの壺の話が好きな人にもオススメ。
こんなものまで取り引きされるんやと新しい世界が面白い。
ありとあらゆる方法で騙しにくるから、もし自分が狙われたらどうしたらいいのかと怖くなりました。対処法としたら作中でもあったお爺みたいにちょっと怒るとか警察に言うとか普通の方法が良さそう。
作中の流れもずんずん進むし、無駄なダラダラがなくて嬉しい。
地味に関西弁でこんなに面白い小説もあんましないから黒川さんの本はありがたい。
Posted by ブクログ
古美術売買を巡る騙し合い。関西弁の会話だけでグイグイ引き込まれる。表紙の日本画で、時代小説と思い込んでしまった私は、騙されやすいのかも。
Posted by ブクログ
表紙の絵が美しくて惹かれたのが手に取ったきっかけ、でも表紙と内容のイメージには大いにギャップあり
小悪党がたくさん出てきて古美術を取り巻く界隈にはこんな人達ばっかりなの?!と笑いたくなってしまう
関西弁や京都弁のせいでもあるのかなー
でも古美術への知識が深まってどのエピソードも楽しく読める!騙した側がそれとなく成敗されるのも気持ちいい
Posted by ブクログ
芸術や骨董、ファッションとそれにまつわる詐欺師の短編集。結局、われわれが「美」や「良さ」に見いだしているものは確固たる実際があるわけではなく感覚的なあやふやなものである。では、そのあやふやなものが詐術でもたらされたとき、その価値の実際はなんなのだろうか。派手なカタルシスはないが聞いた話としては面白いみたいな短編が多い。
Posted by ブクログ
アートの詐欺師ものの小説。
著者の黒川さんの本は初めて読んだのですが、
普通に面白くて、あっという間に読んでしまいました。
短編だけど、ストーリーもちゃんとまとまっている。
主人公の美術雑誌の編集者がまたいい味を出している。
イケメンと言うよりは、ブサメンで、
正義のヒーローという訳でもない。
むしろ、金儲けのことばかり考えるようなワルなのですが、
時々ヒーローっぽいこともする。
そのアンバランスさ加減が絶妙で面白かったです。
騙し騙され合いのアート・骨董の世界。
素人の自分は怖くて踏み出せないですね、
こんな小説を読んでしまったら(笑)
他にも関連作品があるみたいなので、
読んでみたいと思わされるような短編小説でした。