あらすじ
周到な準備と計画で強盗殺人を遂行する男──。府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン刑事・玉川が最初の事件を追うなか、手口の異なる新たな強盗殺人が起こる。さらに新興宗教の宗務総長が殺害され……。凶悪な知能犯による完全犯罪を突き崩すことができるのか? 新次元の警察小説。
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大阪の警察官2人が関西弁をしゃべり、メシを食いながら、犯罪事件解決に奔走する、いつも通りの黒川博行作品。相変わらずブレない。そして、犯罪につながる現代社会システムのヤミにも迫る。本作品のヤミは金取引と宗教法人。さらに警察が犯罪捜査に多用するNシステムの説明は教科書ともいえるくらいの詳しさ。車を使った犯罪を考えている人は、絶対に知っておくべき。ITを使った車両ナンバー検索はここまで進んでいるのだ。
主人公2人の警官が追うのは連続強盗殺人犯。単独で緻密で残酷な計画を実行し、殺人と大金取得を繰り返す冷酷な犯人。と、その犯人に対して、組織の行動力と推理力で勝負する警察。この一進一退の攻防による緊迫感がたまらない。
ただ、犯人の事件への動機が説明されないのが残念。それもまた黒川作品ではよくあることではあるのだが。特に最後の殺人事件。充分なカネも得たし、警察にマークされていることもわかっている犯人が、さらに長距離移動の果に事件を犯そうとする動機がよくわからない。わざと破滅に向かって突っ走るシリアルキラーなのか?
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ベテラン刑事と若手刑事の関西コンビが明快でとても良い。毎回食事シーンの場面が出てくるが、いつも美味しそうだし会話が人間じみていて親近感が湧く。
知能犯をじわじわと迫っていく地道な捜査が丁寧に描かれているなと感じた。面白かった。
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2025.02.03
傑作!
悪者がカッコよく描かれている。
次に玉川さんが良い。人間味もあり、熱意もあり、押しの強さも引きどころを知る、捜査のプロ、そして最後に現れる素敵な奥さん。本作の隠し味は玉川さんにあると私は思う。
Posted by ブクログ
警察と強盗殺人犯の攻防が、スリリングで目が離せない。警察側のストーリーを読むと、ホシまでもう少しと思うし、強盗殺人犯側のストーリーを読むと鮮やかすぎる手口に息をのみヘマをしないようにと願う。ついにはどう決着をつける?と落ちが気になり、かなりのボリュームにも関わらず、あっという間に読み終えてしまった。
初読みだったが、もっと早く読むべきだったと後悔する面白さだった。著者についてリサーチしようと思う。
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警察と犯人の視点を行ったり来たり。
箱崎の一切証拠を残さない殺しの手口が完璧でカッコイイ。
かたや警察側のたーやんとたまさんコンビの聞き込み100連発の合間に飯を食べたり、雑談したりがどんどん面白くなっていって、またこのコンビで捜査する小説を読みたい。
ラストは他の方法が無かったのかなとも思ったけど、ここまでが楽しかったから120点が100点になったくらい。
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今年読んだ警察小説のなかで、もっとも刺激的かつ読むページが止まらない一冊だ。
主犯の人を殺めるやり口には、えげつないものを感じるし、玉やんが作中で言うてたようにまさにサイコパス。
がしかし、その人物が元府警のエースという設定には驚いたものの、アリかなと。
面白いのはそんなサイコパスでも、わりとヘルシーな食生活を送っていて、非道さとのギャップを感じる。
とにかく知ってる地名がよく出てきて、それを想像するだけで親しみを感じることができ、どっぷりと黒川ワールドにハマってしまいましたね。
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やっぱり、刑事物は面白いな。500ページを超えるのに、1週間は掛からなかった。
にしても、この話、殺された人は皆悪党、殺した犯人は元刑事なんだけど、悪党だから殺すという理由だけでこんなにつき進むものなんだろうか。その先にある何かがあったのかよくわからないけれど、この元刑事には逃げおおせて欲しかった。
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強盗殺人とそれを追う刑事の両方を交互に追う、クライムストーリーだがユニークなのは、淡々と進むこと。淡々と犯罪をおこし、淡々とそれを追う。だんだんと両者が近づいていく。ドンデン返しとかトリックではなく、その両者が淡々と近づいていくところにリアリティと興奮があるというのがおもしろい
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夫の実家の辺りが舞台なのと、玉川さんのキャラが義父に被って、私にとって印象深い。玉川さん、いい味ですわ。犯人はどうしょもないやつだけど、いそうですよ、こうゆう人。
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連続強殺犯とそれを追う大阪府警捜査一課のクライムサスペンス。
犯人の動機が最後まで分からないのが残念ですが、事件の実況中継的なものは著者の真骨頂という感じです。
警察側では視点が捜査一課の舘野ですが相方の玉川がキレキレで敏腕刑事という感じでした。
特に玉川の調査の時の口調や態度に読者の自分も腹が立ちそうになりました。
とにかくラストの方は手に汗を握る攻防の展開で一気読みでした。
Posted by ブクログ
著者の疫病神シリーズが好きで、他の作品も読むようになりました。
読み応えがあって面白いです。
軽快な会話が子気味よく楽しいです。食事シーンも好き。
人物像の掘り下げがわりとあっさりしているので感情移入しにくいのですが、淡々と事実のみ描かれていくので場面の想像がしやすいです。
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周到な準備と計画によって強盗殺人を遂行していく男――。大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン刑事・玉川が、広告代理店の元経営者殺害事件を追うなか、さらに被害者と面識のある男が殺される。二人はそれぞれ士業詐欺とマルチ商法によって莫大な金を荒稼ぎした悪党で、情報屋の標的になっていた。警察は犯行手口の違いから同一犯による可能性はないと判断するが、いずれも初動捜査で手詰まりとなる。犯人像を掴むことができないまま、さらには戦時中に麻薬密売組織に関わり、政治家とも昵懇だった新興宗教の宗務総長が殺害される。警察の動きを攪乱しながら凶行を続ける男の目的はどこにあるのか? 舘野と玉川は、凶悪な知能犯による完全犯罪を突き崩すことができるのか?
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580頁の厚本だが一気に読めた.刑事の舘野と玉川が連続殺人事件を追う物語だが、玉川の的確な捜査と彼の大阪弁が何とも奇妙な取り合わせで楽しめた.周到な準備で獲物を確実に処理する犯人の実力は侮れないものがあり、捜査陣もアタフタしていた.犯罪を支援する闇の組織が大手を振って跋扈している世界があることを認識できた.最初の大迫健司に続いて成尾聖寿が無残に殺される.犯人の手口が詳細に記載されているのが面白かった.これまでの被害者は資産家で次が宗教家の田内.犯人が盗品の金塊を売に行った当たりから捜査陣が次第に的を絞り始め、元刑事の箱崎が犯人と見定めた.それでも箱崎は松山で海棠を殺す.玉川らの地道な捜査で箱崎に迫る過程が楽しめた.
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探偵社で擬態しながら殺人を犯す箱崎と、主に館野(大阪府警捜査一課)と玉川(箕面北署刑事課防犯係)ペアの応酬劇。お互いの目線で語りが変わっていくが、箱崎が残忍な殺しと鮮やかな手口で大金を奪っていく。前半は箱崎の完全勝利で進んでいくのだが玉川の経験豊かで老練な捜査が少しずつ実っていくのが面白い。また、箱崎の深淵は本人側から語られないが正体がわかっていき驚かされる。玉川が館野とご飯を食べるときのゆるっとした空気管やコロンボを思わせるかみさんトークがびりびりした内容に良い緩和剤となっていた。最後の最後まで息をつかせぬ展開で、これは映画やドラマになったら面白いだろうなあと感じた。
実際の現場をのぞいているような臨場感がよかった。犯罪者や追い詰める側の内面を掘り下げてあるような話が好みなので★は4つ。
殺害の現場は残忍な表現が多く、性的な犯行現場はないものの、中学校までNGだと思う。個人的に読ませるなら中学生以上で相手を見て判断。
Posted by ブクログ
リアリズムを追求する黒川博行さんの最新長編。いつもながらの大阪を舞台にした警察小説ながら独立した作品。本作がこれまでと少し違っているのは犯人側の視点が場面場面で挿入されている点。しかもその犯人がサイコパスのように感情を排した人間であるため非常に不気味にみえる。殺される人物も社会に巣くう悪者なので余計に恐怖心が煽られる。その雰囲気は推協賞を受賞した名短編「カウントプラン」をほうふつとさせる。地道な警察の捜査の行く末とラストまで痺れる展開が面白い傑作。
Posted by ブクログ
犯罪の手順とか、道具屋とか、蛇の道は蛇的な裏社会の流通が、人物像も含めてとても面白かった。
犯人があまりにも用意周到で、後始末まで徹底していたので、この通りにやったら現実でもうまくいくのではないかと思ってしまったくらいだ。
ただ、なぜに短期間に連続して犯行に及んだのだろう。
警察の交渉術はさすがだった。
隠そうとすると、自分の不利益になりそうなことで圧力をかけてくる。そして絶妙な間合いで、聞かれたことに答えれば、他の不都合は見逃すという揺さぶり。これはもう吐いちゃう。
結局、海棠はどうなったのかな。
Posted by ブクログ
マルチ商法や新興宗教の首謀者を狙った連続強盗殺人事件。
痕跡を残さず淡々と犯行を重ねる犯人と、長期化、迷宮入りの懸念を持ちながら地道に捜査を続ける警察。
きっかけを掴んでから一気呵成に犯人を追い詰める捜査側のスピード感がすごい。
最終盤、犯人が逃げおおせて続編の可能性もちらついたが、さすがにそれはなかった。
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クライム サスペンス
文句無し‼️面白い‼️よくできてる‼️
ドラマ化するとしたら 誰が良いだろう。犯人のあまりのカッコ良さに 読み終えるのが さびしくなった‼️
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感想
強盗シーンよりも警察が地道な足取りで捜査をするシーンが長いが、こちらがとてもリアルに書かれているように感じた。
最後は箱崎が逃げ切れるか〜!?ってやっぱりとなったが、最後まで盛り上がれた。
あらすじ
箱崎は探偵業を隠れ蓑にして世の中の悪党から強盗をする。最初のターゲットは詐欺を行い、金塊を溜め込んでいた大迫。外国人の犯行に見せて殺害する。大阪府警は足取りを追うが手掛かりがないことから捜査は難航する。
二人目は、仮想通貨などの詐欺を行っていた成尾。自宅の壁裏に隠していた現金を奪う。こちらは多数の物証が残されており、大迫とは別の犯人と見立てられ、警察の捜査が進められる。
三人目は滋賀県の新興宗教幹部の田内。覚醒剤を溜め込んでいたところを狙う。偽の隠し場所を教えられ、奪取に失敗する。
四人目のターゲットは、新興宗教教祖の海棠。こちらも覚醒剤の取り引きに絡んでいる模様。
警察は金塊の取り引きや中古車の売買から箱崎にたどり着き、彼が元刑事で警察の捜査手法を熟知してその穴をすり抜けるようにしていたことに気づく。
捜査網がどんどん縮まるも、箱崎は捜査網をすり抜けて、海棠を襲撃し、逃亡を図る。
Posted by ブクログ
久々ので刑事物。分量はかなりありましたが一気に読めました。
捜査の裏の裏を知り尽くした冷酷な強盗殺人犯とそれを地道な捜査で追い詰めていく刑事達。この両者のシーンを時系列で交互に描写するスイッチバック手法が用いられることによってさらに読みやすく、リアリティを持って迫ってくるものがありました。
極悪非道な事件に立ち向かう内容にも関わらず、悲壮な感じにはならなかったのは、ひとえにベテラン所轄刑事の玉川と大阪府警捜査一課の舘野のコンビの人間味とユーモア溢れるやり取りによるものかと思いました。
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黒川氏の小説の面白さはズバリ「大阪弁」。自分は小学5年性まで関西だったのでスルッと入るし、本書を読んでいると自分の頭での呟きが関西弁になってしまう。
これまでは面白さはそれだけだった(失礼)感じだったが、本書は当初から犯人を主人公の一人にすることで追う側と追われる側が同期してそれぞれに感情移入しながら読むことができた。どうやって犯人を追い詰めるか?これが残り数ページまで全然分からないのだが、多少「まぁそれね」という感じがないわけではない。
しかし大阪弁で(漫才のように)ツッコミ合う二人の刑事。一方の犯人は理知的な標準語。この対比が面白かったのか、止まらなくなった。
Posted by ブクログ
面白かった。
犯罪者側の計画や手口が巧妙で、唸るばかり。1件目と2件目で手口を変えるというのも、頭イイ!また、それらを可能にする能力の高さもすごい。つよい。殺傷シーンの描写が痛々しい。
玉川と舘野のキャラクターも良かった。いきいきと魅力的であった。玉川のような役割の人間がきちんと有能であると安心する。
Audibleで聞いたが、関西弁に違和感がなく聞きやすかった。
箱崎は、捜査の手が迫ってきたために慌てて逃亡を試みた、ように読める。そうでなければ、あらかじめ偽造パスポートも航空券ももっと安全な方法で用意できるはず。警察の動きが遅かったら、もっと消したい人間はいたのか、それとも海棠まで倒せたら満足だったのか。
どこかで動機が語られるかと思ったが、特にそのような説明も無かった。思想犯?地位を失ったことによる逆恨み?
ながら聞きした部分があり、聞き逃したかもしれないが、エピローグで「黙秘」とされている以上やはり謎のままなのか。
他の方の感想を読んだところ、なんと連載時とは結末が異なるらしい。そちらも気になる。
逃亡成功ENDなのかしら。
Posted by ブクログ
いらん情報多いなと思ったが捜査してる側から見るとこうなんだろうな
数ある情報の中から関係あるものを選りすぐって繋ぐのが捜査って感じなのかな
解決の取っ掛かりになった車の処分方法だけやけに荒いと思った
ナンバープレートの偽装に絶対の自信があったから本名で車を売ったのか?
Posted by ブクログ
王道の警察小説。
著者の疫病神シリーズがとても好きだったけど、あちらと比べると玉さんとたーやんのコンビは癖がなくあっさりしてる感じがした。
地道に捜査して行く中盤は同じことの繰り返しのようになるので(捜査ってそういうものだと思うけど)、多少飽きがきたりしたものの、後半の犯人を追い詰めていく場面はハラハラして最後まで楽しく一気に読めた。
Posted by ブクログ
一度食いついたら離さないいぶし銀の刑事と、関西弁との掛け合わせ。捜査はジリジリとしか進まないのに絶妙なテンポを持っていると感じました。
悪が悪を裁くストーリーですが、社会派というよりはクライム寄り。逃亡ルートまで細かく書き込まれていたらもっと楽しめたかなと思います。
昼飯が毎回漢気じゃんけんなのが笑いを誘いました。
Posted by ブクログ
こいつは驚いた!ラスト4ページまで犯人が捕まらないもんだから、これでどういうラストが待っているんだろう?とハラハラしながら読み終えた。
社会に巣食う悪党たちが次々と殺され、現金やインゴットが盗まれる事件が起こる。犯人は元刑事のエース、箱崎。箱崎は警察の動きを知り尽くしているため、その尻尾はなかなか掴ませない。
一方、箱崎を追い詰めていくのは玉川と舘野のコンビ。黒川博行ならではのテンポよい関西弁での掛け合いが楽しく、物語を進めてくれる。
ただ、事件が次々に起こるだけで、なんとなくただそれだけだったかなぁ。犯人や刑事に感情移入するでもなく、淡々と読み終えてしまった。
Posted by ブクログ
600ページ近くある長編刑事もの。
犯人は、一見悪を懲らしめる元刑事ではあるが、彼もなかなかの悪。
地元大阪を舞台に、知った地名が多く出てくるので、ふんふんと思いながらページをめくることが出来た。
殺しのシーンは、まるで映画を見ているような感じにさせる一方、犯人を追う玉川と舘野両刑事の少し脱線した会話は、逆に和ませてくれ、そのギャップが面白い。
上手く警察の裏をかいて逃げ延びる犯人であったが、最後は意外とあっけなく感じた。
帯には、ラスト5ページまで結末が読めない注目のクライムサスペンスとあるが、ここまで引っ張るのなら、もう少し捻ってよね と思ってしまった。
また、動機は何やったんやろとも。
ただの金目当てだったのだろうか?