黒川博行のレビュー一覧

  • 破門

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    ネタバレ

    登場人物の男性陣は誰1人まともな人がいない‥
    二宮の金魚の糞ぶりに呆れてしまうし、桑原の向こう水さは命がいくつあっても足りない!
    でも二宮も桑原も結局逃げずに戦い抜く姿に仁義を感じた。

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    2023年04月06日
  • 暗闇のセレナーデ

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    思った以上に本格的ミステリーで謎解きという点でも読み応えのあるものだった。初っ端から密室の謎を持ってくるだけでなく様々な擬装トリックを惜しげもなく披露していて楽しめた。そして冴子と美和の女子大生素人探偵コンビの軽妙なやり取りが絶妙なスパイスとなり物語のエンターテイメント性を高めていると感じた。

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    2023年01月25日
  • てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書

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    表題作「てとろどときしん」含む6作の大阪府警・捜査一課事件報告書
    「てとろどときしん」は、1987年2月オール讀物に掲載 黒川さん初の短編小説だそう
    2023年、令和5年に読むと36年も前になるのか
    いまの時代と合わない、だいぶ変わっているところもあるが、悪人のやることは同じ いまも昔も、犯罪は、手口は変わるが、なくならない 金に目がくらんでの殺人、下着泥棒、男女の愛のもつれ
    一つひとつ、裏を取り、聞き込みをして、真相に迫る、刑事とは大変な仕事だと毎回思います

    最近、黒川さんの初期の作品ばかり読んでいたので新作も早く読まなくては!

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    2023年01月15日
  • 後妻業

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    「ごさいぎょう」と読む。知らなかった。遺産やらの財産目当てに老人と婚姻、あるいは内縁関係を結び、その人が死ぬのを待つ。時に、早死にするように仕向けていく。高齢化社会で、どちらかに先立たれた老夫婦が再婚するケースも増えていくだろう。気をつけなければならないのは、お金の事だ。

    この小説のお陰で、公正証書遺言や遺留分減殺請求権の存在を知った。乱暴にいうと、遺言により血縁なき自らに遺産の相続権を公的に主張するためのものと、血縁ある遺族側が本来の自分の相続分を主張するためのもの。故人が近親者ではない仲の良い人に遺産譲るわーと亡くなった後、家族がそれは困るというケース、稀にあるのだろう。

    それを利用し

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    2022年12月25日
  • 二度のお別れ

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    黒川さんのデビュー作 もとは1982年刊行 3度目の文庫化だそう 人気の程がうかがえる
    JRがまだ国鉄のころのはなし でも、国鉄やスマホがないこと以外では、古さを感じさせるものはなく、令和に読んでも、私には謎解きが分からなかった
    捜査は難航 迷宮入りの未解決事件となってしまったが、最後に驚く展開 なるほど二度のお別れか
    大金を手に入れても、最後には悲しい結末
    惜しいところまで嗅ぎつけた、黒マメさんたち
    撃たれなくてよかった

    最新刊も読みたいし、過去の他のシリーズも読破したい
    黒川さんの妻雅子さんの果実の画も素敵で、見入ってしまう

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    2023年01月19日
  • アニーの冷たい朝

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    疫病神シリーズ以外を読んでみようと、手に取った
    若い女性を狙った同じ手口の猟奇的な殺人
    デート商法で着物、宝石などローンを組ませ、女性を次々に騙す
    高校教師の由美だけは、からくりに気づいてしまった 勇気ある行動だが、怪しいと調べた内容は、明かさないほうがよかった 
    本当の黒幕は、私が思っていた人と違っていた

    犯人を追い込むシーン、現代では、携帯電話を使い張り込んですぐに捕まえられそうなものだが、当時はやっと自動車電話があるくらいの時代背景 いま読むと違和感があるが、それを除いてもスリルがありリアルに状況を思い描くことができる

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    2022年11月09日
  • 後妻業

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    本を読んでいるというよりセリフを追っかけてるみたいな。勢いが。というか行間が端折られてるのを空気を読むみたいな。
    というわけで婆さんと爺さんの壮絶なる戦いである。老いてなお盛んと言葉にすると簡単だけど、特に舟山と小夜子とかもうなかなかのもの。いやあっちが良いから昨日は2回もやったのよと言われましても。というのはまだ小夜子の歳には遠い若造には分からぬ境地なのであろう。
    親がこんなのに引っかかったら、やっぱり泣けるよなぁ。いやー、色んな意味で精神的ダメージを与える後妻業、恐るべしである。

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    2022年10月29日
  • 桃源

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    上坂が通風になるところを読んでいる時、大阪から来ている同僚が通風を起こしリンクを感じ、のめり込むように読んだ。

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    2022年09月29日
  • アニーの冷たい朝

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    氏の作品は大阪弁の会話がテンポ良く楽しめる作品が多い。
    今作は珍しく猟奇殺人事件を扱った作品。犯人は意外な人物で氏らしくない洒落たセリフのない結末。
    と言っても読み出したら止まらないエンタテインメント作品であることに間違いないです。

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    2022年09月06日
  • てとろどときしん 大阪府警・捜査一課事件報告書

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     大阪府警の捜査員を描いた短編集。

     2話目と6話目は容疑者や事件関係者の視点で、残り4話は捜査員の視点で描かれている。全6話。再読。

         * * * * *

     個人的に気に入っているのは「黒マメ」コンビが捜査に当たる話。(1・4・5話)

     マメのマメさと卓越した推理力が痛快なのはもちろんだけれど、黒マメの会話が何と言っても軽妙でおもしろい。テンポがよくてユーモラス。往年のオール阪神巨人の漫才を彷彿とさせるしゃべくりです。

     そして全編に渡って、会話部分で物語を展開させる手法も見事です。もちろん会話でごまかしてしまうような作りではありません。
     短編で勝負を早くしなければいけな

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    2022年08月31日
  • 後妻業

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    ロードショーされてる時に映画を見に行ったことがありすごく面白かった記憶があるが、原作もかなり面白かった。


    欲に塗れた悪人たちを徐々に追い詰めていく展開はスカッとしたが、追い詰めていく側の人間も実は...。

    金銭に突き動かされる人間って、ここまで罪悪感なく罪を犯してしまうのか。逆に清々しいというか。(身近には絶対いてほしくないけど)
    そういう人間は、傍から見ると本当に滑稽だし、哀れだ。
    結局最後は全部自分に返ってくるんですよね。世の中そんなうまいこと行きません。


    地元周辺が舞台になっていて、今自分が住んでいる周辺に小夜子が住んでいたり、その辺も面白かった。
    解説でもあるように、リアリテ

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    2022年08月24日
  • 文福茶釜

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    ネタバレ

    こないだ吉本興業がつくった映画『文福茶釜』を楽しく見ちゃったんですが、わりと評価低くてね。駿河太郎の熱演とぽっちゃり小芝風花ちゃんが可愛くて良かったんですよ。そしたら原作が素晴らしいっていうんで、これ。

    言っちゃえば古美術を小道具に人の騙し合いを愛でるといったところでしょうか。もうやんなっちゃう。あたし呑気に暮らしすぎ。凄いんですね贋作の世界! まずは相剥。和紙は重ねてあるのでそれを剥いで1枚目を真本として2枚目を相剥本(正確には贋作ではないみたい)としてお金儲ける人がいるんだとか。

    茶杓、茶碗、茶釜といった茶道具も贋作の宝庫。これは「誰がどこで使っていたか」が重要になるんだとか。信長が武

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    2022年08月01日
  • キャッツアイころがった

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    タイトルは派手目だけど内容は結構地味。ただ地味だけどしっかり筑前煮のような味がついてるので美味しくいただけた。3府県警の捜査と探偵ごっことして楽しんでいる女子大生の2つの視点で描かれている点がユニークで良かった。啓子は口が達者で軽い感じもするけど、芯がしっかりしてるからこそ頭の回転が速く、機転も効くんだなと思わされた。やっぱり関西弁じゃないとあの軽妙なやり取りはできないな。

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    2022年07月27日
  • 泥濘

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    コロナ、ウクライナ、知床遊覧船…なんか、スカッとできる一冊!と、「疫病神」(笑)
    いやースカッとしましたぁ!桑原の容態は心配やけど、二宮との蜜月感は”過ぎる“と要注意です。

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    2022年05月09日
  • 破門

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    ヤクザと建設コンサルタントのコンビ
    サクサク進む展開と読みやすい文体

    まさに娯楽小説、気軽に読める

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    2022年04月17日
  • 果鋭

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    ネタバレ

     刑事のママの方が、読物としては安心出来た気がする。しかし、このように元になっても、2人の快進撃は止まらない。
     全くミステリーではなく、ユーモア・ハードボイルドやけどね。

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    2022年04月16日
  • 切断

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    病室にて、血の海の中無惨にも首をほぼ切り落とされた状態で発見された男。耳は削がれ穴には別人の小指が詰められていた。その後、舌を切られその耳を咥えさせられた死体が発見される。この猟奇的な連続殺人は本当にヤクザ抗争故の惨劇なのかーー。
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    日文では中々お目にかかれない大胆且つ高レベルの猟奇的な殺人鬼に久々に遭遇した私の昂りを分かっていただけるだろうか。引かないで下さ...(以下略)
    タイトルは「切断」。この飾り気の無さと、美味しそうで平和的なバナナの装丁を目に焼き付けてから背表紙の作品紹介を読んでみて欲しい。すると、もうバナナが禍々しさの象徴にしか感じられなくなるかと

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    2022年02月28日
  • 蒼煌

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    登場人物多すぎ!
    ・・・って読み始めてまず思ったこの作品の感想だが、
    読み進めていくと複雑に絡み合うこの登場人物たちが面白い。
    出世欲に駆られた主人公、その腰巾着の画家、実弾(現金)を受け取って一票を投じる芸術家etc・・・
    どいつもこいつもクズばっか。
    画家なら絵描いてろよ!って言いたくなる。

    バイオレンスばかりだけでなく、自分が知らないような美術界の裏事情も作品にできる黒川氏に改めて敬服。

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    2022年02月27日
  • 喧嘩

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    ネタバレ

    「螻蛄」のあと「破門」と続き、本作という順番です。くーさん、破門されてもうて本作ではカタギということになってるのですが、イケイケ度はまったく変わらず。ただ、数十万のシノギにも手を出すくーさんに、二宮が「こんなはした金のシノギ、以前の桑原なら鼻もひっかけんやった」的な慨嘆があって、ニコとしてもちょっと寂しくなってしまいましたわ。んで、喧嘩(けんか)と書いて「すてごろ」と読む。くーさんの業界では喧嘩することを「ゴロをまく」というらしいんですわ。くーさん、もうけっこういいトシなのに、イケイケで喧嘩も滅法強い。ただ、絶賛破門中で、組の後ろ盾がないもんだから、あんま調子こくとマジで消されてしまう状態。そ

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    2022年02月18日
  • 海の稜線

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    筆者の執筆時に綴った文を読み 海運業に従事していたこと、実父が船のブローカーをしていたとあり納得。事件の進展に伴う犯人グループの転変にまつわる手練手管の詳細に唸ったのも当然だ。

    直木賞を手にする時期に至る道のりの中 初期の傑作とあるのも然り。筆者は東西文化の温度差云々を書きたいとあるが、それを超えて事件の流れは無論、総長ブンのやり取り、絡めるキャリア萩原との会話の面白い事と言ったらない。

    現場も羽曳野から西宮、室津と飛び徳島、泉南市と来てワクワクする。しかも班ンンがころころ転変して行き、技巧捜査が光っていた。シリーズ次作を追いたい。

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    2022年02月13日