黒川博行のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「ごさいぎょう」と読む。知らなかった。遺産やらの財産目当てに老人と婚姻、あるいは内縁関係を結び、その人が死ぬのを待つ。時に、早死にするように仕向けていく。高齢化社会で、どちらかに先立たれた老夫婦が再婚するケースも増えていくだろう。気をつけなければならないのは、お金の事だ。
この小説のお陰で、公正証書遺言や遺留分減殺請求権の存在を知った。乱暴にいうと、遺言により血縁なき自らに遺産の相続権を公的に主張するためのものと、血縁ある遺族側が本来の自分の相続分を主張するためのもの。故人が近親者ではない仲の良い人に遺産譲るわーと亡くなった後、家族がそれは困るというケース、稀にあるのだろう。
それを利用し -
Posted by ブクログ
大阪府警の捜査員を描いた短編集。
2話目と6話目は容疑者や事件関係者の視点で、残り4話は捜査員の視点で描かれている。全6話。再読。
* * * * *
個人的に気に入っているのは「黒マメ」コンビが捜査に当たる話。(1・4・5話)
マメのマメさと卓越した推理力が痛快なのはもちろんだけれど、黒マメの会話が何と言っても軽妙でおもしろい。テンポがよくてユーモラス。往年のオール阪神巨人の漫才を彷彿とさせるしゃべくりです。
そして全編に渡って、会話部分で物語を展開させる手法も見事です。もちろん会話でごまかしてしまうような作りではありません。
短編で勝負を早くしなければいけな -
Posted by ブクログ
ロードショーされてる時に映画を見に行ったことがありすごく面白かった記憶があるが、原作もかなり面白かった。
欲に塗れた悪人たちを徐々に追い詰めていく展開はスカッとしたが、追い詰めていく側の人間も実は...。
金銭に突き動かされる人間って、ここまで罪悪感なく罪を犯してしまうのか。逆に清々しいというか。(身近には絶対いてほしくないけど)
そういう人間は、傍から見ると本当に滑稽だし、哀れだ。
結局最後は全部自分に返ってくるんですよね。世の中そんなうまいこと行きません。
地元周辺が舞台になっていて、今自分が住んでいる周辺に小夜子が住んでいたり、その辺も面白かった。
解説でもあるように、リアリテ -
Posted by ブクログ
ネタバレこないだ吉本興業がつくった映画『文福茶釜』を楽しく見ちゃったんですが、わりと評価低くてね。駿河太郎の熱演とぽっちゃり小芝風花ちゃんが可愛くて良かったんですよ。そしたら原作が素晴らしいっていうんで、これ。
言っちゃえば古美術を小道具に人の騙し合いを愛でるといったところでしょうか。もうやんなっちゃう。あたし呑気に暮らしすぎ。凄いんですね贋作の世界! まずは相剥。和紙は重ねてあるのでそれを剥いで1枚目を真本として2枚目を相剥本(正確には贋作ではないみたい)としてお金儲ける人がいるんだとか。
茶杓、茶碗、茶釜といった茶道具も贋作の宝庫。これは「誰がどこで使っていたか」が重要になるんだとか。信長が武 -
Posted by ブクログ
病室にて、血の海の中無惨にも首をほぼ切り落とされた状態で発見された男。耳は削がれ穴には別人の小指が詰められていた。その後、舌を切られその耳を咥えさせられた死体が発見される。この猟奇的な連続殺人は本当にヤクザ抗争故の惨劇なのかーー。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
日文では中々お目にかかれない大胆且つ高レベルの猟奇的な殺人鬼に久々に遭遇した私の昂りを分かっていただけるだろうか。引かないで下さ...(以下略)
タイトルは「切断」。この飾り気の無さと、美味しそうで平和的なバナナの装丁を目に焼き付けてから背表紙の作品紹介を読んでみて欲しい。すると、もうバナナが禍々しさの象徴にしか感じられなくなるかと -
Posted by ブクログ
ネタバレ「螻蛄」のあと「破門」と続き、本作という順番です。くーさん、破門されてもうて本作ではカタギということになってるのですが、イケイケ度はまったく変わらず。ただ、数十万のシノギにも手を出すくーさんに、二宮が「こんなはした金のシノギ、以前の桑原なら鼻もひっかけんやった」的な慨嘆があって、ニコとしてもちょっと寂しくなってしまいましたわ。んで、喧嘩(けんか)と書いて「すてごろ」と読む。くーさんの業界では喧嘩することを「ゴロをまく」というらしいんですわ。くーさん、もうけっこういいトシなのに、イケイケで喧嘩も滅法強い。ただ、絶賛破門中で、組の後ろ盾がないもんだから、あんま調子こくとマジで消されてしまう状態。そ