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誘拐された老人のためにその息子が20億円もの金塊を用意するところから物語は始まる。黒川作品らしいユーモアとペーソスあふれる人物描写と
漫才のような大阪弁のセリフのやり取りは相変わらず面白い。そして、この誘拐作品では、WhyとHowが最後まで謎として残る構成にしている。
Posted by ブクログ
相変わらず軽快な関西弁のやりとりは、リズムよく楽しく読ませてくれます。
しかし・・・肝心のストーリーが何というかパンチが効いてないです。
1、なぜあのチケット屋を狙ったのかのかの動機が最後に突然出てきて、主人公の動機に同感させるにはあまりにも少ないページ数だった。
2、金塊を屋敷から運び出す描写がいまいち掴みきれない。(自分の読解力に問題あり?)
3、刑事の其々のキャラがいまいち魅力的ではなく、感情移入しづらい。
4、泰三爺さんの最後の行動が不明。 動機を知ってからの行動なら、まあギリギリ納得。
誘拐ものの最大の見せ場は身代金の受け渡し場面にあるのはいうまでもなく、そこに作家たちは様々なアイデアを凝らす。しかし犯人と被害者、犯人と警察との人間ドラマが薄いとシステマチックなアイデア先行だけの小説になってしまう。
刑事である「私」と、犯人である「おれ」という一人称の二重構造をとり、追う者と追われる者のドラマをほぼ同等の寄りで描くことで、人間臭さを物語に反映させようとしたのではないかと思われる。
難をいえば、事件の渦中から物語を始めて、発端まで戻す手法にあまり意味を見出せなかったことと、「私」と「おれ」という一人称の二重構造が、どこかの場面で交錯すれば劇的だったのではないかという欲求が残ってしまったことか。
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