黒川博行のレビュー一覧

  • 文福茶釜
    さらに引續いて黒川博行。

    この作品は、古美術に關はる連作短篇集。
    「なんでも鑑定團」のお蔭で、書畫骨董に興味を持つ人が増えたといふが、この本を讀めば恐ろしくなること請合ひである。
    贋作の世界の、なんと奧の深いこと!

    京都市立藝大で彫刻を學び、高校の美術教師をしてゐた作者の面目躍如といつたところか...続きを読む
  • 二度のお別れ
    黒川博行の作品を讀むのは、これが初めて。

    この作品は、1983年の第1囘サントリーミステリー大賞で佳作となつたさうである。
    大賞を逃した理由として、「刑事コンビに華がない」といふことがあげられたさうだ。

    さて、この作品、讀んでみて面白かつた。
    ストーリーとしては、銀行強盜事件とそれに引續く人質誘...続きを読む
  • 雨に殺せば
    「黒マメコンビ」第2作。
    1985年6月刊行。

    第1作と同樣にサントリーミステリー大賞(第2囘)で佳作となつた作品。
    またも大賞を逃した理由は「華がない」だつたさうな。
    第1作での批評を受けて、作者は主人公を獨身に設定變更して名前も黒田から黒木に變更したのだが、どうも安直すぎて、この解決策は效果を...続きを読む
  • 海の稜線
    大阪府警搜査一課の「ブンと總長」シリーズ第一彈。

    黒川博行の警察小説には他に「黒マメコンビ」シリーズがあるが、いづれも面白い。

    この作品では、海運業の利權が問題となつてゐる。
    新しく船を造るためには、古い船を廢船しなければならない。
    廢船にした船の積み込みトン數に應じて、新しい船を建造することが...続きを読む
  • 八号古墳に消えて
    「黒マメコンビ」シリーズ第3作。
    1988年9月刊行。

    今度の舞臺は考古學界。
    遺跡發掘と大學のポストを巡る連續殺人事件である。
    第1作からいへることではあるが、この作品では、マメちやん=ホームズ、黒木=ワトソンといふ性格が一段とはつきりしてきてゐる。
    ただしホームズとは云つても、超人的な推理力を...続きを読む
  • ドアの向こうに
    「ブンと総長」シリーズ。

    頭は腐爛、足はミイラといふ、奇妙なバラバラ死體の謎を追ひかける。

    相變らず、大阪弁によるリズミカルな會話が秀逸。
    本格的な警察小説?でありながら、輕妙な味はこの作者ならでは。

    2004年7月24日讀了
  • 二度のお別れ
    結末の付け方には多少不満が無いでもないんだけど全体的にはかなり楽しめた。語り口は極めて軽く、ユーモアに溢れてて楽しい。それでいて警察内部のこともしっかりと書き込まれている点すごいと思う。また誘拐ミステリとしてもトリッキーで捻りが効いてて驚いた。さりげない伏線が誘拐計画のキモになってるあたり巧いと思う...続きを読む
  • 悪逆
    600ページ近くある長編刑事もの。
    犯人は、一見悪を懲らしめる元刑事ではあるが、彼もなかなかの悪。

    地元大阪を舞台に、知った地名が多く出てくるので、ふんふんと思いながらページをめくることが出来た。
    殺しのシーンは、まるで映画を見ているような感じにさせる一方、犯人を追う玉川と舘野両刑事の少し脱線した...続きを読む
  • 桃源
    いつもの安定な黒川博行。
    サクサク読めて面白いし、ストレスなく終われる。
    中身はあれだけど、会話が上手いし、キャラクター造形もベテランの技。警察官って、こんなに外食してて自費なら大変ですね。
  • 悪逆
    個人的な感想です
    自分と感覚が合わなかったのかと思います
    途中から少しずつ面白くなっていったが
    他の方みたいに深く入り込めなかった

  • 落英(上)
    長い前振りが終わってやっと始まった。
    点と点を結び線にして、
    線と線を結んで面にしていく。
    地道な作業こそ大事なんだな。
  • 騙る
    アートの詐欺師ものの小説。
    著者の黒川さんの本は初めて読んだのですが、
    普通に面白くて、あっという間に読んでしまいました。
    短編だけど、ストーリーもちゃんとまとまっている。

    主人公の美術雑誌の編集者がまたいい味を出している。
    イケメンと言うよりは、ブサメンで、
    正義のヒーローという訳でもない。
    ...続きを読む
  • 騙る
    この手の作品は普段読まないのですが表紙が美しくて購入しました。でも小悪人が出てくる話はあまり得意ではありません。
    美術は高尚なものだけれど、お金をうむところには必ず悪党が集まってくる。そんな様子がよくわかりました。
  • 勁草
    個人的には関西メイン=関西弁、あと土地名が何て読むのかわからなくなってこんがらがってしまう笑
    映画化された作品だからなんとなく本屋で手に取ってみた作品。
    時間はかかったけどなんとか読み切った、、、
    前半よりは後半の逃亡劇ごスリルとスピード感があって面白く楽しめた!
    まさか最後はあんなクライマックスに...続きを読む
  • 悪逆
    最近は犯罪物の刑事目線での作品が多い筆者だが、昔の犯罪者サイド目線の作品の方が好きだなぁ。。
    周到な準備と計画によって過払い金マフィア、マルチの親玉、カルトの宗務総長と社会に巣食う悪党が次々と殺害される。
    この凶悪な知能犯を大阪府警捜査一課の舘野と箕面北署のベテラン刑事・玉川のコンビが犯人を追うスト...続きを読む
  • 果鋭
    大阪の北新地に内藤医院と似た開業医があり、よくビタミン剤を打って貰いに行きました。体調が悪いと言うだけでいつも同じ注射で笑えますが、先生の机のガラス敷きに大阪府警の刑事さんの名刺が10枚位挟まっていて黒川博行さんもお世話になっていたので着想したのかな。
    なお、そこは保険が使えましたよ。
  • 勁草
    映画BAD LANDSの原作と知って読んでみた。お馴染みの黒川ワールド。勁草(けいそう)とは、風雪に耐える強い草のこと。何故この題名にしたのだろう?哀れな生き様の受け子役のイメージだろうか…。
  • 熔果
    2人とも元刑事なので捜査を積み上げていくストーリーが面白い。
    ところで私には伊達はサンドイッチマンの富澤たけしさんがイメージされ、読んでいてもより笑えます。
  • 疫病神
    建設コンサルタントとヤクザの凸凹コンビが織りなす狂騒曲。シリーズ第1弾。産廃を巡るゼネコンとヤクザの絡みに巻き込まれていく流れは難しいながらも軽妙で面白い。テーマが重いわりに会話がテンポ良い関西弁なので関西住民としてはサクサク読めて楽しい。作品当時にあたるこの業界は闇がかなり深そうで実際にあったら恐...続きを読む
  • 悪果
    大阪弁での会話がテンポよく進むので読みやすかった。
    シリーズものみたいなので、次も読んでみようかな?