黒川博行のレビュー一覧
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腐った組織の中で強烈な個性がぶつかり合う。
息はピッタリとあってはいるが、堀内は相棒である伊達のことも信じてはいない。
出世にしか興味がなく、自己保身に汲々としている奴ら。
濁りきった水の中で、堀内もまた自らの意思で汚れていく。
犯罪者は許せない。取り締まる側のはずの警察も、犯罪者に負けないくらいに腐っている。
社会のルールにも組織のルールにも堀内は縛られない。
自分だけが信じるルールの中で、悪徳警官として生きている。
やり方に問題はあるけれど堀内なりの「正義」がそこにはある。
まっとうではないけれど悪党だと決め付けることもできない。
グレーゾーンの中で椅子取りゲームをしているような毎日は、やがて崩壊していく。
現場を無視するような者が支配する組織は最低だ。
だが、そんな最低の奴らが幅を利かせているのも事実だ。
現実は理想には程遠い。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ二宮&桑原シリーズ、第2弾。
いきなり北朝鮮潜入から始まる。詐欺に引っかかった組の資金を回収するため詐欺の実行者を追う二人に、朝鮮総連や詐欺の実行グループ、そしてカモにされた他の組や警察が入り乱れていく・・・。
相変わらず凝ったストーリー展開も、物語が錯綜しすぎで疾走感に欠けてるし、何より北朝鮮が舞台というのがヤクザ者二人にはスケールが大きすぎて話のテンポがそがれた気がする。
北朝鮮の国体が丁寧に書かれているあたりは、その取材の細かさに驚くし緻密な取材をうかがわせるが、果たして舞台を北朝鮮に設定する必要があったのか疑問で、社会的なテーマをふくませると物語が重くなってしまう。
元来二人の達者な会話や巧妙な駆け引きが小気味よいピカレスク小説にはこういう重厚なテーマはなじまなかった。
テーマに力を割いた分、二人の描写が少し薄くなった。
本来、二宮が主人公で、彼にとっての疫病神としての桑原が存在した一作目に比べ、二人の立ち位置が均等になってきたうえ、桑原はスーパーマンのように強いし、二宮は性格が曖昧になってきた。ここらは今度どうなる?
次回作に期待。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大阪府警捜査一課シリーズ,「黒さん」と呼ばれる黒田憲造刑事と,「マメちゃん」と呼ばれる亀田淳也刑事が主人公のシリーズの最初の作品である。融資依頼に来て,担当者不在ということでロビーで待っていた「垣沼一郎」が,銀行強盗犯にとびかかり,銃で撃たれ,人質として連れ去られる。銀行強盗犯から,垣沼一郎の身代金として1億円を要求されるというストーリー。
誘拐モノの常で,身代金の引き渡しを求める犯人側と,捜査側の知恵比べの様相を見せるが,捜査側の様子が丁寧に書かれている。
キャラクターの描写も丁寧にされており,現場の捜査担当者,捜査指揮をするキャリア,たたき上げの課長などの捜査陣の思惑の違いなどがリアルに描かれている。
行き当たりばったりで始まった誘拐かと思っていると,警察の関与をはぐらかすために,犯人側の巧みに要求をしてくる。逆探知を避けるために,第三者を仲介して伝言をしてきたり,人質の指や耳を切って送ってくるなど…。身代金はマンホールを使って奪い取る。捜査側は完全に後手後手。人質だと思われる死体が発見され,事件は迷宮入りとなる。
その後,実は,誘拐が狂言であったとして,人質ではなく真犯人だった垣沼一郎から,黒田刑事のところに犯行を告白する電話が掛かってくる。真犯人からの犯行の告白で物語は終わる。その真相は,マメちゃんこと亀田刑事の推理と酷似したものだった。
テレビドラマの2時間サスペンスとして見れば良作の部類に入ると思う。分かりやすい筋書きで,テンポよく展開し,キャラクターの未了もある。小説として見ると,やや物足りない印象がある。捜査側としても,ここまで裏を掛かれると,垣沼側をもう少し疑いそうなものだが…。黒・豆コンビがあまり活躍しないのもイマイチ。犯人にやられっぱなしのストーリーは,ややフラストレーションがたまる。トータルの評価は★3か。つまらなくはないが,もう少し,何かがほしいところ。