あらすじ
有名彫刻家に嫁いだ姉の家を訪ねた、美大生・美和と友人・冴子。そこで瀕死の状態の姉・雅子を発見する。病院に運ばれた雅子は、一命は取り留めるものの記憶喪失に陥った。雅子が運び出された後のアトリエは密室状態、そして夫は行方不明。自殺未遂、殺人未遂の両面で警察の捜査が進む中、美和は、冴子とともに独自の調査をはじめる。姿を消した義兄の行方を追う中で、事件の意外な真相が明らかになっていく。美術界の暗部で起こった事件に、女子大生コンビはいかなる推理を導き出すのか――。軽妙なタッチでつづられた黒川博行の初期本格作品。
※本作品は東京創元社、徳間書店で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
黒川博行の、初期本格長編。
バランスがとてもよい。トリックのリアリティや、登場人物たちの掛け合い、美術界や技法の豆知識、当時の女子美大生の生態、刑事ものとしての各シーン…
様々な小さい魅力が上手く作用し合い、クオリティの高いエンタメになっている。
あとがきにもあるが、人物たちの肉付けとしか思えなかった美術談義が、事件の真相の一部に昇華するのはすごい。そうそう古びない傑作だと思う。
それにしても、1985年は国内ミステリの当たり年である。
4+
Posted by ブクログ
黒川博行の初期の作品。
美大の女子大生2人(美和と冴子)と警察が事件の謎に迫る。
美和の姉の自殺未遂(?)から始まり、事件が続いていくが、事件のトリックも美大出身の作家ならではのもので面白かった。
芸術系の大学の姿や芸術界の内部事情も少し伺えて読みごたえもあった。
Posted by ブクログ
「キャッツアイころがった」の続編ではないですが、刑事と女子大生が事件を追う話です。女子大生は「キャッツアイ〜」ほどの活躍はないものの、このシリーズはやはり双方の事件の追い方が良いです。解説にある「女子大生コンビが探偵だと、刑事は無能なのが定番だけど、本作にはそれが全くないのが良い」という言葉に大いに頷きました。
Posted by ブクログ
なんか知らんけど、一気読みとはいかんかったなあ。密室トリックなど文章では直ぐに理解できひんで。正直、読んでて何やら面倒くさかったというのが感想ですわ。
やっぱ、好きなんは後の作品やなぁ。
Posted by ブクログ
とある自殺未遂事件(他殺の可能性あり)に遭遇した京都の美大に通う2人の女子大生が。警察を出し抜こうと独自にデコボコ捜査をする、というミステリー。
1985年に出版された小説ということで、以前読んだ「キャッツアイころがった」よりも前に書かれたものみたい。京都、美術大学、女子大生2人が探偵役、と、共通点の多い物語。解説を読んだら「キャッツアイ〜の原型とも言える…」という記述も。
設定は似ているけれども、ミステリーとしては全然別もの。
時刻表トリックあり、ミスリードあり、密室トリックあり、と、トリックも盛りだくさん。活躍する2人の女子大生のキャラクタも面白いし、刑事たちのキャラもしっかり作り込まれていて面白い。
1つマイナスポイントがあるとすれば、題名にインパクトがないことかな。この題名だと、あとから物語を思い出せなさそう。