堀茂樹のレビュー一覧
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面白くてあっという間に読んでしまった。
英仏の黒人差別や「文化の盗用」論が中心でイメージしづらいところもあるが、ここ数年の世界で左派が負けるメカニズムが示されており、よくバズっている日本の(何ちゃって)フェミニズムの状況を適用して考えればかなり腑に落ちる。
かといって悲観せず、希望が持てる終わり方になっているのがよかった。
以下メモがてら。
『エスニシティを基準にして発言や想像への権利といった特別待遇を要求することで、人々が種々のカテゴリや、個々のエスニシティに固有の発想方法を維持すると、支配者たちがそれらを用いて自らの偏見を正当化し、被害者面をする。』
その結果、『アイデンティティ至 -
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ネタバレ
(※ネタバレ)
⚫︎受け取ったメッセージ
実際には離れ離れだった双子。
二人が一緒にいられた「悪童日記」は、
二人が一緒にいられない現実から逃避する手段であった
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
ベルリンの壁の崩壊後、初めて二人は再会した…。絶賛をあびた前二作の感動さめやらぬなか、時は流れ、三たび爆弾が仕掛けられた。日本翻訳大賞新人賞に輝く『悪童日記』三部作、ついに完結。
(あらすじネタバレ)
クラウスとリュカには悲しい事実(と思われる)があった。2人が4歳の時、父は浮気相手と一緒になりたいと話し、2人の母は父を撃った。その流れ弾がリュカの脊髄を損傷し、離れ離れに暮らすこととなった。2 -
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ネタバレ⚫︎受け取ったメッセージ
双子のひとり、リュカの暮らし
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
戦争は終わった。過酷な時代を生き延びた双子の兄弟の一人は国境を越えて向こうの国へ。一人はおばあちゃんの家がある故国に留まり、別れた兄弟のために手記を書き続ける。厳しい新体制が支配する国で、彼がなにを求め、どう生きたかを伝えるために―強烈な印象を残した『悪童日記』の待望の続篇。主人公と彼を取り巻く多彩な人物の物語を通して、愛と絶望の深さをどこまでも透明に描いて全世界の共感を呼んだ話題作。
(ネタバレ)
祖母のいなくなった家へ戻ったリュカ。15歳。知り合ったのは自らの父との子をもうけてしまったヤスミーヌとい -
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警告の書、世界経済という視点からグローバリズムという経済活動を検証する
グローバリズムがもたらしたものは、経済の自立を失い、国家主権さえ失ってしまう状況である。
EUは、グローバル資本主義のもとに完全な自由貿易、経済的国境の撤廃がもっとも進んでいる地域。
圏内で関税をなくし、通貨を統合した。しかし、その結果なにが起きたか。各国は通貨の切り下げなど金融緩和や財政出動もできず、独自の産業政策も不可能になりました。
EUでの勝者は、ドイツだ。ユーロ安でドイツの輸出産業は大いに潤った。経済危機に瀕した国々を低賃金で下請けのように使いユーロ圏がドイツにとって開かれた市場であることをフル活用している。
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別れた男の現在の彼女への嫉妬を描いた「嫉妬」、中絶が認められていなかった時代のフランスで中絶する「事件」2編のオートフィクション。
ものすごい解像度と赤裸々さで、感情とその流れが克明に記されていき、全て本当にあったこととしか思えない。
性愛を重視していることと、時々ある観念的な考え方はフランスっぽいなと思うが、どの国でも女の思考は共通しているところが多いな、と連帯感を覚えた。「嫉妬」なんて失恋した時に読んだら共感の嵐だと思う。
やはり衝撃的だったのは「事件」。
読んでいて自分まで下腹部が痛い気がしてくるほどだった。
中絶を禁じるって、本当に悪しき文化だと思う。胎児の命を軽視するのはもちろん良 -
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「嫉妬」も「事件」も女性として考えさせられる小説だった。アニー・エルノーの小説は自伝的。本当の所は知らない。淡々と書かれているけど、情熱的。その相反する読後の印象が自伝的だと思わせるのだろう。「事件」で知った、フランスは中絶が違法だった期間が長かったこと。フランスのイメージとは大きく異なるこの法律にヨーロッパがいかにキリスト教と結びついているのかを改めて見た気がする。
「嫉妬」の主人公。恐らく表面上は淡々と生活はしていたのだろう。だけど、内面は相手女性への執着でドロドロしている。それを伝える文章は全くドロドロしてはおらず、一歩間違えばメロドラマ的になってしまう内容をいたく知的で詩的なものに感じ -
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こんなに恋に溺れて、こんなに冷静に記述できるのか。
この恋は性的な行為を行うだけで、素敵な会話やデートやイベントなどは全くない。だけど恋する著者の頭は彼のことでいっぱいで、何をしていても彼のことばかり考えてしまう。
恋、恋情、激しい恋、情熱。様々な色のパッションが描かれる。
言葉が美しく飾らず荒々しくて直接的だったのが、新鮮に感じた。
特に91年2月の再会からラストの文章までは素晴らしく、恋の移り変わりは全くもってシンプルではなくそして美しいということがよく現れている。
著者の恋の感じ方記述の仕方に惚れ惚れとした作品
(そのため映画を観る意欲なし)