堀茂樹のレビュー一覧
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ネタバレ2022年 ノーベル文学賞受賞者アニーエルノーの1984年発行でルノードー賞受賞作。
シンプルな情熱は1991年発行。
物語は著者の父親の生涯を描いたようなもの。しかし、編年体で何をした何がおこったということよりも、フランス社会の階層、貧困、そのなかでの幸せ、人間関係、暮らしをその地域特有の問題としてではなく、人間の普遍的な問題として捉えている。そして著者であるエルノーは大学にすすみ、文学で大学に職を得ることで、父親との精神的距離が遠くなる。父の操る言葉は決して上流階級のそれでも、文学的レベルが高級なものでもないが、それがなんだというのだろうか。生活にねざした言葉であり、劣等感に起因するおかし -
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Posted by ブクログ
ウクライナ問題に関する著者の見解がユニークなものだったので、こちらも読んでみた。
これは2015年1月におきた『シャルリー・エブド』事件にともない起きたデモなどフランスの反応についての分析。
原著の出版は、その数ヶ月後であることから、エッセイとか、インタビューを集めたものかと思って、読み始めたら、一冊を通してなんか堂々した論考となっている。
まさに社会学的、人類学的な論考で、フランスの地域ごとの価値観の分布とデモへの参加率から、どういう人がデモに参加したのかという推計から始まるところが圧倒的。
脱宗教の度合い、平等主義、権威主義の度合い、社会階層、年齢による差など、定量分析を踏まえなが -
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新自由主義とかいうものが何なのかもよく分かっていない状況で読んだ。
経済に対する規制を外して、より開かれた状態にすること。そしてそれは、グローバリズムによって国外にも扉を開き、世界を組み込んだ市場経済を作り出す。労働力は自由に移動するし、企業はより広くマーケットを拡大できる!
やたら持ち上げられる新自由主義に対する切り込み。めちゃくちゃ要約すると、輸出にばかり目がいって、短期的な利益ばかり出そうとするから、内需を生む賃金の上昇が起きない(コストとしか見なされないから、労働力に投資しない)。大金持ちは簡単に株式で富を増やすが、その会社がどうなろうが責任は持たない。格差は大きくなるし、賃金上が -
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トッドにはかねてから興味はあったのだが、ぶあつい著作にはなかなか手が出なかった。これはインタビュー・講演や雑誌への寄稿をまとめたお手軽な新書。現時点で最新のようでもあるので気軽に手にとってみた。時事ネタを扱っているのも良いし、なるほどとうならせる箇所も多いのだが、一方で分量ゆえ仕方ないながら、踏み込み不足というか物足りない感じもある。なかなかうまい広告なのかもしれない。
1,2はBrexitに関する論考で、やや内容はかぶる。本書の中では小手調べ的なかんじ
3はトッド自身の仕事や方法論を振り返っており、初読の身には大変おもしろかった
4は人口学による各国近未来予測、これも興味深い
5は中 -
Posted by ブクログ
ネタバレ第7章の「富裕層に使える国家」が面白かった。その次が第8章の「ユーロが陥落する日」。前半のグルジア/ジョージア問題はあのあたりの地理や背景にもう少し私自身が詳しくなると面白さが増すのではないかと自分の力不足を感じているところ。
トッド先生は、ほんとにドイツの事嫌いなんじゃないかと思いますが、それ以上にフランスに歯がゆさを感じているのだとよく伝わってきます。あと、日本人がドイツと日本を同一視したり同カテゴリに置いたり、過度に親近感を抱く節があるのはちょっと本来のあり様から外れているよ、という指摘は結構重要だと思っています。
日本について論じているところが読みたい人は編集後記を先に呼んで参照ページ -
Posted by ブクログ
20180111〜0131 2015年1月の「シャルリ・エブド」襲撃事件を受けてフランス各地で行われた「私はシャルリ」デモ。「表現の自由」を掲げたこのデモは、実は自己欺瞞的で無自覚に排外主義であった-- と、著者は断じる。私も、これら一連の事件とデモは、とても違和感を覚えた。この事件の背景にある事象ーー宗教の衰退と格差拡大による西欧の没落について分析している。
以下、私の感想;
訳文がやや硬いせいもあるが、読むのに少し難儀した。この回りくどさはさすがフランス人の文章というべきか。
崩壊しつつあるカトリシズムを「ゾンビ・カトリシズム」と述べているが、ゾンビという単語が先走ってしまい、色物のように -
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