堀茂樹のレビュー一覧

  • 場所

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    アニー・エルノーの本は、2冊目となるが、彼女の書く文章がやはりどこか好きである。

    この一冊は、彼女の父が亡くなった出来事から始まり、彼が生きていた時代、つまり作者である彼女の幼い頃を小説を通して"書く"ことで、思い返す、そんな話である。

    私が1番面白いと感じた点は、過去の回想シーンと、彼女の書くという行為によって思い出される記憶と、時間が進むにつれて、これらが交錯していく点である。

    また、物語全体を通して、階級の違いが描かれ、とても納得できる部分が多く、客観的に読むことができたように感じる。

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    2023年04月01日
  • 嫉妬/事件

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    凄まじくリアルだが、小説でもノンフィクションでもないという一冊。

    女性の心情を事細かに書いてあるようだが、事実をベースに書いてあるため、非常に読みやすい。

    特に印象に残った文章は、

    ーー正常と言われている世界にいつ戻ってきたのかは、わからない。"正常な世界"とは曖昧な表現だけれども、その意味するところは誰もが理解している。つまり、ぴかびかの洗面台を見ても、列車のなかで旅行客の顔を見ても、もはや何の問題もなく苦痛も感じない世界のことである。ーー(事件)

    表現が分かりやすいのに、どこか奥が深い。そんな文章が最後まで綴られる。

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    2023年03月27日
  • 嫉妬/事件

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    映画の「あのこと」を見てから読んだ。
    映画では痛みをこらえて編み針で堕胎させようとしたり、中絶の費用を私物を売って自分で用意しようとしたりする強い姿が多かったが、この「事件」では不安や恐怖といった感情がよくでていたと思った。
    階級や性差による不自由さや理不尽がよくわかる話。
    「嫉妬」はその嫉妬という感情がこれほど生活に影響するのかと驚いたし、自分ではどうにもできないのだと感じた。

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    2023年03月26日
  • 第三の嘘

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    「んっ?」ってなって、「あぁ。」ってなって、最後は「えぇぇぇっ?」ってwww
    もしかしたら、コレも嘘かもしれない。

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    2023年02月23日
  • シンプルな情熱

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    本作の著者アニーエルノーは2022年のノーベル文学賞を受賞された方だったので、本書を読んでみましたが、まさにタイトル通り「とても激しい、パッション!」を感じる本でした。
    ストーレートで熱い熱を感じるような本で、火傷したような読後感になりました!
    賛否両論ありそうな作品だと思いますが、私は、とても印象的で、人間の本質を刺激する本で、素晴らしい本だと思いました。
    ぜひぜひ読んでみてください。

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    2022年12月26日
  • シンプルな情熱

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    情熱、とだけ聞くと
    何かほとばしるような、
    熱くて燃えるような、
    エネルギーに溢れる、
    そんなことをまず連想するのは、
    なんでだろう?

    熱、という字が入ってるからかな?

    一方で、熱いだけではない情熱というのも
    ある気がする。
    一瞬湧き出た後にも残るエネルギー?
    まだまだ消えないよ、という感じか?

    淡々と流れる時間の中に
    ポッと湧き出た情熱に対して、
    渦中から少し時が経ってるからこその
    シンプルなのかな。

    熱さと冷静さのちょうどよさ
    (けして、ぬるいわけではなく)
    を感じた。

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    2022年12月23日
  • シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

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    宗教というものは、一部の特権階級がその他の人々をコントロールするために発明されたもの。神話や信仰は知る価値のあるものだけど、それらはについて考える時に権力者の道具であることは常に意識する必要がある。

    「私はシャルリだ」運動は、社会的、歴史的な平等から出たものではなかった。あれは「表現の自由」の皮をかぶったイスラムフォビア、イスラム排斥運動だった。
    当時、イスラム教徒に対して踏み絵のようなことがフランスで行われていたとは知らなかった。

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    2022年12月30日
  • 場所

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    フランスの階層をまたがった親子の話。まず、フランスが階層社会だということに驚いた。しかし、日本とは違い、文化や教養面で階層の差がつく。親のいる下の階層から勉学によって上の階層に上がった娘は、親(主に父親、下の階層の人々)との間にある時から溝を感じつつも、突き放すでもなく取り入るでもなく客観的に見ている。
    自分も、子供の頃は親や先生が絶対的存在だったが、自分が大人になってみると、もっと広い視野を持ち、親世代、老人世代の考え方や行動に疑問を感じることが増えてくる。そういうことと似た側面がある。

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    2022年12月04日
  • シンプルな情熱

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    こんなに恋に溺れて、こんなに冷静に記述できるのか。

    この恋は性的な行為を行うだけで、素敵な会話やデートやイベントなどは全くない。だけど恋する著者の頭は彼のことでいっぱいで、何をしていても彼のことばかり考えてしまう。
    恋、恋情、激しい恋、情熱。様々な色のパッションが描かれる。

    言葉が美しく飾らず荒々しくて直接的だったのが、新鮮に感じた。
    特に91年2月の再会からラストの文章までは素晴らしく、恋の移り変わりは全くもってシンプルではなくそして美しいということがよく現れている。

    著者の恋の感じ方記述の仕方に惚れ惚れとした作品
    (そのため映画を観る意欲なし)

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    2022年11月01日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    こういう見方もあるのかと感心しました。

    ドイツについて、EU内の位置、ロシア、そして、アメリカや、日本との対比を語っています。

    ドイツは、すでに二度にわたってヨーロッパ大陸を決定的な危機に晒した国であり、人間の非合理性の集積地の一つだ。
    ドイツというのは、計り知れないほどに巨大な文化だが、人間存在の複雑さを視野から失いがちで、アンバランスであるがゆえに、恐ろしい文化である。
    ヨーロッパは、20世紀の初め以来、ドイツのリーダシップの下で定期的に自殺する大陸なのではないか。
    ドイツはグローバリゼーションに対して、特殊なやり方で適応しました。部品製造を部分的にユーロ圏の外の東ヨーロッパへ移転して

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    2022年10月12日
  • 第三の嘘

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    ストーリーの整合性を予め確保した、一般的な小説を目指し書いたのではなく、自身の内側に漂い続けているものを小説という形をとって表現したのだと思う。
    訳者の解説が巧みで素晴らしかった。


    双子の、「でも、あなたは、今しがたおっしゃいましたね。〝苦しみは減少し、記憶は薄れる〟って」という言葉に対し、不眠症の男の「そう、確かに私は、減少する、薄れると言った。しかし、消え失せるとは言わなかったよ」という一言が印象的だった。

    理不尽な力によって本来の自分から引き剥がされ、本来ならばそこに存在したはずの自分、家族、自然、国といった幻の中をさまよいながら、完治することのない傷と共に生き続ける人間の強さ、脆

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    2022年10月01日
  • 悪童日記

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    なんて読む手の止まらない文章だろうか。

    ぼくら、の目線で見る景色
    ぼくらが何とも斜に構えた感じで、起こったことに対する対応が読めない
    次はどんなクールを見せてくれるのかと手が止まらなくなる

    戦争下での悲惨さ、過酷な状況で生きる子どものたくましさ、適応した感情の起伏に心が打たれるとか言って人にオススメもしやすい。
    ただし本心では厨二心が揺さぶられまくっている。

    いやこれ続編ってどうなるのさ、ラストの鳥肌回収できるの?気になってしょうがない。

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    2025年07月24日
  • シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

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    翻訳,しかもフランス語の翻訳であることもあって読みにくいというのが率直な感想.自分の理解力不足ももちろんだけど.
    国内に住んでいる人々と移民の「同化」というのはこの国にいるとわかりにくいのだけど,著者はそこに希望を見出しているように読める.

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    2019年04月04日
  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論

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    ネタバレ

    遅ればせながら読み始め…前作を上梓してフランス国内では批判の対象となった著者。前作の前書きでは「読売と日経の記者が心のよりどころになったこともあった」と明かしていたが、今作では「あの本を出したことで今、自由に物が言える立ち位置になった」と話す。
    前回よりだいぶ読みやすくなって、持論の人口学的な話もわかりやすかった。

    トッドいわく、イギリス人のいないヨーロッパ、それはもはや民主主義の地ではない。1930年代の大陸ヨーロッパはポルトガルのサラザール、スペインのフランコ、ムッソリーニ、ヒトラー、チェコスロバキア以外はいたるところに独裁者がいた。

    フランス、アメリカ、イギリスは自由を強制されている

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    2018年11月28日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    フランス人の歴史人類学者による、ユーロ圏の政治・経済学的な現状について述べた本。あまり聞いたことのない内容であったが、これが事実なのかもと感じた。通貨ユーロによってドイツが1強状態となり、巧みな政治・外交と歴史伝統を引き継ぐ民族性とで欧州を席巻することを恐れている。中国はドイツとともに台頭を図る仲間となりつつあり、対抗勢力として鍵を握るのはロシアとアメリカだと言う。日本としては今後、ロシアとの連携が重要となると思料。
    「台頭してきた正真正銘の強国、それはロシアである前にドイツだ。ドイツが台頭してきたプロセスは驚異的だ。東西再統一の頃の経済的困難を克服し、そしてここ5年間でヨーロッパ大陸のコン

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    2018年10月24日
  • シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

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    フランス国内向けなので、地名とかピンとこない所も多いけど、フランスで起きているライシテを隠れ蓑にしたイスラム排除は、日本の嫌韓嫌中とよく似ている。その理由も、急激な世界との融合により自分たちの失われつつある昔の文化や価値観への郷愁で、高齢化がその一因でもあること、などよく似ている。世界中どこも同じ問題を抱えてるなとつくづく思う。

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    2018年01月28日
  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論

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    直系家族の社会は、アングロサクソンの核家族の社会ほど、国家を必要としない。直系家族自体が国家の機能を内部に含むから。核家族は個人を解放するかシステムだが、そうした個人の自立は、公的な、つまり国家の福祉を前提としている。ネオリベラリズムは、それを忘れている矛盾がある。この話は、奇しくも、渡辺京二の話と同じ結論になってる。

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    2017年11月17日
  • シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

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    翻訳本でもあり、そもそも学者の書いているいちいち論理にこだわっている本なので、実に読みにくいのですが、ようやく読み終えました(途中で他の本を読んでたりもしましたけどね)。

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    2017年10月31日
  • 悪童日記

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    本書は、戦争下においておばあさんの住む農村に疎開した双子の成長の話です。悪童なんてレベルじゃない。浦沢直樹 のMonster を彷彿させる双子の行動が凄まじく、相当な衝撃を受けました、特にラスト。本書は、三部作の第一巻ですが話の展開が全く予想がつきません 。

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    2025年12月21日
  • シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

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    「私はシャルリ」に感じた違和感がかなり明快に解説された感じがした。
    フランス社会はかつて平等を求めて大多数の人々が信じているキリスト教という強大な権力に立ち向かったけれど、それと同じやり方でイスラム教を批難することはできない。

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    2017年05月04日