堀茂樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こんなに恋に溺れて、こんなに冷静に記述できるのか。
この恋は性的な行為を行うだけで、素敵な会話やデートやイベントなどは全くない。だけど恋する著者の頭は彼のことでいっぱいで、何をしていても彼のことばかり考えてしまう。
恋、恋情、激しい恋、情熱。様々な色のパッションが描かれる。
言葉が美しく飾らず荒々しくて直接的だったのが、新鮮に感じた。
特に91年2月の再会からラストの文章までは素晴らしく、恋の移り変わりは全くもってシンプルではなくそして美しいということがよく現れている。
著者の恋の感じ方記述の仕方に惚れ惚れとした作品
(そのため映画を観る意欲なし) -
Posted by ブクログ
こういう見方もあるのかと感心しました。
ドイツについて、EU内の位置、ロシア、そして、アメリカや、日本との対比を語っています。
ドイツは、すでに二度にわたってヨーロッパ大陸を決定的な危機に晒した国であり、人間の非合理性の集積地の一つだ。
ドイツというのは、計り知れないほどに巨大な文化だが、人間存在の複雑さを視野から失いがちで、アンバランスであるがゆえに、恐ろしい文化である。
ヨーロッパは、20世紀の初め以来、ドイツのリーダシップの下で定期的に自殺する大陸なのではないか。
ドイツはグローバリゼーションに対して、特殊なやり方で適応しました。部品製造を部分的にユーロ圏の外の東ヨーロッパへ移転して、非常に安い労働力を利用したのです。
ユーロのせいで、スペイン、フランス、イタリア、その他のEU諸国は、平価切下げを構造的に妨げられ、ユーロ圏はどいつからの輸出だけが一方的に伸びる空間となりました。
ヨーロッパのリアルな問題は、ユーロ圏の内部の貿易赤字です。
エマニュアル・ドット氏は、ドイツが再びヨーロッパを自殺に追い込むのではないかと危惧をしているのです。
気になったことは、以下です。
・EUはもともと、ソ連に対抗して生まれた。ロシアというライバルなしでは済まないのだ。
・ごく単純に、紛争が起こっているのは昔からドイツとロシアが衝突してきたゾーンだということに気付く。
・ドイツが台頭してきたプロセスは驚異的だ。東西再統一の頃の経済的困難を克服し、そして、ここ五年間でヨーロッパ大陸のコントロール権を握った。
・ドイツが持つ組織力と経済的規律の途轍もない質の高さを、そしてそれにも劣らないくらいに、途轍もない政治的非合理のポテンシアルがドイツにはひそんでいることをわれわれは認めなければならない。
・もし、ロシアが崩れたら、あるいは譲歩しただけでも、ウクライナまで広がるドイツシステムとアメリカとの間の人口と産業の上での力の不均衡が拡大して、おそらく西洋世界の重心の大きな変更に、そしてアメリカシステムの崩壊に行き着くだろう。アメリカが最も恐れなければいけないのは、今日ロシアの崩壊なのである。
・果たして、ワシントンの連中は覚えているだろうか。1930年代のドイツが長い間、中国との同盟か、日本との同盟かで迷い、ヒットラーは蒋介石に軍備を与えて彼の軍隊を育成し始めた事があったということを。
・イギリス人は、ある種のフランス人とは違い、ドイツ人に従う習慣を持っていないのだ。「英語圏」つまり、アメリカや、カナダや旧イギリス植民地に属している。
・エネルギー的、軍事的観点から見て、日本にとって、ロシアとの接近はまったく論理的なのであって、安倍首相が選択した政治方針の重要な要素でもある。
・乳児死亡率の再上昇は、社会システムの一般的劣化の証拠なのです。ソビエト体制の崩壊が間近だという結論をひきだしたのです。人口学的データはきわめて捏造しにくいのです。
・ロシアでは、ソ連時代から、継承された高い教育水準が保たれていて、男子よりも女子のほうが多く大学に進学しています。また、人口流出よりも、流入のほうが多いことからも、ロシア社会とその文化が、周辺の国にとって魅力的なのだということが分かります。
・KGBとその現代版である、FSBはロシアのエリート育成機関なのです。
・日本社会とドイツ社会は元来の家族構造も似ており、経済面でも非常に類似しています。産業力が逞しく、貿易収支が黒字だということですね、差異もあります。この二国は、世界でも最も高齢化した人口の国です。人口構成の中央値が44歳なのです。
・ビスマルクに関して言えば、私はここで告白しておかなくちゃなりません。あれは実に見上げた人物だと思っているのです。いったんドイツ統一を成し遂げたとき彼はそこで止まりましたね。限定的な目標を達成して、そこで止まる器量のあった稀有の征服者です。
・EUの喫緊の問題は、ユーロではなく、債務危機です。明晰になろうではありませんか。主権国家の政府債務が返済されることは絶対にないのです。
・今日大陸全体にひろがる怒りのタネである単一通貨は、初めからヨーロッパなるものの否定だったのです。だから私は、はじめから単一通貨に反対でした。ユーロを救う必要が欧州レベルの保護主義を促すだろうと考えたのです。ですから、現段階で、私の選択は、ヨーロッパ保護主義によるユーロの救出ということになります。
・社会構造がすでに個人単位となり、いわば原子化sれているため、集団行動にブレーキがかかるのです。集団的な異議申し立ての持つパワーを私は信じません。
目次は次の通りです。
1.ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス
ウクライナ問題の原因はロシアでなくドイツ
ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る
アメリカとEUの産業上の不均衡
アメリカと「ドイツ帝国」の衝突
2 ロシアを見くびってはいけない
3 ウクライナと戦争の誘惑
4 ユーロを打ち砕くことができる唯一の国、フランス
5 オランドよ、さらば! 銀行に支配されるフランス国家
6 ドイツとは何か
7 富裕層に仕える国家
8 ユーロが陥落する日
編集後記 -
Posted by ブクログ
ストーリーの整合性を予め確保した、一般的な小説を目指し書いたのではなく、自身の内側に漂い続けているものを小説という形をとって表現したのだと思う。
訳者の解説が巧みで素晴らしかった。
双子の、「でも、あなたは、今しがたおっしゃいましたね。〝苦しみは減少し、記憶は薄れる〟って」という言葉に対し、不眠症の男の「そう、確かに私は、減少する、薄れると言った。しかし、消え失せるとは言わなかったよ」という一言が印象的だった。
理不尽な力によって本来の自分から引き剥がされ、本来ならばそこに存在したはずの自分、家族、自然、国といった幻の中をさまよいながら、完治することのない傷と共に生き続ける人間の強さ、脆さ、悲しさが物語の随所に滲んでいた。
緑色の鎧戸の家を見つめながら涙を流す双子の描写が辛く、なかなか読み進めることができなかった。
忘れられない本になった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ遅ればせながら読み始め…前作を上梓してフランス国内では批判の対象となった著者。前作の前書きでは「読売と日経の記者が心のよりどころになったこともあった」と明かしていたが、今作では「あの本を出したことで今、自由に物が言える立ち位置になった」と話す。
前回よりだいぶ読みやすくなって、持論の人口学的な話もわかりやすかった。
トッドいわく、イギリス人のいないヨーロッパ、それはもはや民主主義の地ではない。1930年代の大陸ヨーロッパはポルトガルのサラザール、スペインのフランコ、ムッソリーニ、ヒトラー、チェコスロバキア以外はいたるところに独裁者がいた。
フランス、アメリカ、イギリスは自由を強制されている。絶対核家族のアングロサクソン世界の平均的個人は権威主義を許されていない。
「自由」が強迫観念になっていない日本のような権威主義的社会のほうがトッドの「家族構造が政治的行動を決定する」という決定論を受け入れやすい。日本で最初の講演を終えたら「トッドさんは長男ですか、次男ですか?」と聞かれた。スキャンダル視されることなく受け入れられた。「人間の自由には限界がある」ことを認識できるという意味で日本のほうが実質的に自由なのかもしれない。そういう能力を今日の西洋人は失っている。自由が強迫観念になり、ゆがんだ人間観を持っている。リベラルと言われる社会が実はさほどリベラルでなく、先進国のナルシズムともかかわる問題。「シャルリとは誰か?」のテーマでもある。
日本は出生率を上げるには、女性により自由な地位を認めるためには、不完全さや無秩序も受け入れるべき、子供を持つこと、移民を受け入れること、移民の子供を受け入れることは無秩序をもたらしますが、そういう最低限の無秩序を日本も受け入れるべきではないか。
歴史学者、社会学者から見れば、ISは西洋が生み出したもの。ジハード戦士の大半は西洋から現地入りした者。アルジェリア人は「なんでヨーロッパ人は、あなた方のクソみたいなものをこっちへ送ってくるのか」イスラム社会から生まれたとはみなしていない。
グローバリズムへの漠然とした不満がイスラムヘイトにつながっている。社会と国際関係の安定を望む民衆は過剰なまでのグローバリズムの進展に小休止を呼び掛ける権利をもっている。経済格差の拡大はスケープゴートを求めてイスラム恐怖症という妄想のカテゴリーを生み出している。 -
Posted by ブクログ
フランス人の歴史人類学者による、ユーロ圏の政治・経済学的な現状について述べた本。あまり聞いたことのない内容であったが、これが事実なのかもと感じた。通貨ユーロによってドイツが1強状態となり、巧みな政治・外交と歴史伝統を引き継ぐ民族性とで欧州を席巻することを恐れている。中国はドイツとともに台頭を図る仲間となりつつあり、対抗勢力として鍵を握るのはロシアとアメリカだと言う。日本としては今後、ロシアとの連携が重要となると思料。
「台頭してきた正真正銘の強国、それはロシアである前にドイツだ。ドイツが台頭してきたプロセスは驚異的だ。東西再統一の頃の経済的困難を克服し、そしてここ5年間でヨーロッパ大陸のコントロール権を握った」p27
「ドイツが持つ組織力と経済的規律のとてつもない質の高さを、そしてそれにも劣らないくらいとてつもない政治的非合理性のポテンシャルがドイツには潜んでいることを、我々は認めなければならない」p28
「ドイツはロシアに取って代わって東ヨーロッパを支配する国になったのであり、そのことから力を得るのに成功した」p41
「新しいドイツシステムは基本的に労働人口の吸収によって成り立つ。最初の段階で使われたのは、ポーランド、チェコ、ハンガリー等の労働人口だった。ドイツはコストの安い彼らの労働力を用いて自らの産業システムを再編した」p50
「今日、二つの大きな先進的産業世界の存在を確認することになる。一方にアメリカ、他方に新たなドイツ帝国である。ロシアは第二次的な問題でしかない」p63
「今日、政治的不平等はアメリカシステムの中でよりも、ドイツシステムの中での方が明らかに大きい。ギリシア人やその他の国民は、ドイツ連邦議会の選挙では投票できない。一方、アメリカの黒人やラテン系市民は、大統領選挙および連邦議会選挙で投票できる。ヨーロッパ議会は見せかけだ。アメリカ連邦議会はそんなことはない」p67
「ユーロのせいでスペイン、フランス、イタリアその他のEU諸国は平価切下げを構造的に妨げられ、ユーロ圏はドイツからの輸出だけが一方的に伸びる空間となりました。こうしてユーロ創設以来、ドイツとそのパートナーの国々との間の貿易不均衡が顕著化してきたのです」p151
「ヨーロッパ各国の政府は、景気浮揚が中国とその他の新興国の経済ばかりを浮揚させるということを遂に理解しました」p188
「自由貿易は諸国民間の穏やかな商取引であるかのように語られますが、実際にはすべての国に対する経済戦争の布告なのです。自由貿易はあのジャングル状態、今ヨーロッパを破壊しつつある力関係を生み出します。そして、国々をそれぞれの経済状況によって格付けをする階級秩序に行き着いてしまいます」p218 -
Posted by ブクログ
ネタバレ現在の行き過ぎた(と個人的には思っている)グローバリズム、自由主義経済については懸念を感じている。という意味では自分は保守なんだと思う。一方で、本書にも書かれている通り、本来反対すべきグローバリズムを今の保守派が進めているのは、やっぱり謎。
言葉の響きで単純に「よいもの」と思い込んでいるわけではないだろうし、必ずしも個人(および企業)が自己の利益のためのみに利用しているだけだもなさそうな。そんな謎に対する1つの考えも述べられています。
個人主義、民主主義の行き過ぎ、識字率、劣化(本書ではエリート・指導層の劣化とあったが、国民全体の劣化ともいえるのではないか?)といったいろんな要素を絡めて考えていく必要があるようで。個人的にもちょっと今後も考えていきたいテーマ。 -
Posted by ブクログ
ウクライナ問題やトランプ現象等、昨今の大国は「グローバル」から「ネイション」へ回帰しつつある。言うなれば「ソフトナショナリズム」とでも言おうか。かりにそこまで大げさじゃなくとも、主権を守るためにEU離脱を決断した英国の姿勢はなんら不思議ではない。むしろ連合という名のドイツ支配圏と化してしまっているEUこそ危うく、国家的アイデンティティの見えない構成国こそ危険であると著者は説く。人口学という視点からソ連崩壊、リーマン・ショック等を予言し的中してきたからこそ、その説得力に鳥肌がたつ。だが一方で、ナショナリズムが善というわけではなく、むしろ暴走の危険をはらむことを忘れてはならない。そして著者がこのタイトルから本当に言いたかったのはおそらく「問題はISではない、フランスなのだ」。他人を侮辱することと報道の自由とを履き違えるフランスはいま、経済危機と宗教の空白を同時に迎えている。これはナチス台頭を許したかつてのドイツとオーバーラップする。そしてアジアでは中国による挑発行為の連続。ふたたび全体主義が台頭する暗黒の時代がやってくるのだろうか?
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Posted by ブクログ
経済音痴の私にとって衝撃的。確かに今の世界は何かがおかしいとはぼんやりと感じていた。本書は、現代の格差の拡大や危機の恒常化の原因がグローバリズムにあり、それが社会を破壊していることを、5人の筆者が座談を通じてわかりやすく説いている。新自由主義(ネオリベラリズム)が制約のない自由として席捲し、隣国同士の経済戦争につながっていることは、EUに見られる。われわれは真の民主主義を守るために、各国がネーションごとにまとまり、独自に規制を定め、グローバリズムから脱却することが必要。しかし世界のエリートの大半はグローバリズムを正しい方向に導く道だと信じているとのこと。…ところで情報のグローバル化は避けられない。経済の脱グローバル化はいかにして達成できるのだろうか?
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Posted by ブクログ
ネタバレグローバリズム、新自由主義を否定的に捉えた一冊。
普段からグローバル至上主義とも言える風潮に浸っているため非常に新鮮な内容であった。
本書を通じて、グローバリズムの弊害を以下のように捉えた。
・格差拡大
国境を越えて経済活動がされるため、資本を持つ大企業が残り中小企業は潰れる。
さらに大企業の中でも資本家と労働者の格差が広がる。
(さらに生産量が増え供給力が上がることでデフレに繋がる)
また、同様に大国が富み、小国は貧しくなる。(搾取される)
本書では、「経済戦争」というワードが使われていたのが印象的。捉えようによっては経済を武器にした帝国主義なのではないか。
・伝統や人間関係の崩壊
ヒトやモノが国境を越えて自由に行き来できるため、人間関係は希薄化し、伝統も無くなっていく。
これは伝統や人間関係を守ろうとする保守の考えとは対局の状況なのだが、なぜか保守主義者は新自由主義を信仰する。
・危機のグローバル化
国境の意味が希薄化しているため、ある国で起こった危機が他国に伝播しやすい。2016年6月に起こったイギリスのEU脱退が記憶に新しい。
ではどうするか。
一部の筆者はケインズのように保護政策をとるべきであり、政府が統制を取り、一定のルールのもと経済活動をするべきだと語る。
ただし、現在の問題として、近年のエリートが劣化し、新自由主義の旗印のもと現状を放置していると結論づける。 -
Posted by ブクログ
とても感動的な本。外部からの「苦痛」であるパッションを、それに捕らわれながらもなお明晰さを失わず、自立を保っている。そんな彼女の文体は、彼女のパッションに限りなく近い。書くことと愛することが同義であるように。シンプルな情熱、それはとても純粋で、冷たい透き通った水のよう。直截的な表現で少しも自分を誤魔化さず、真摯に自分と向き合うことは、ひどく恐ろしいことだ。一歩間違ってしまえば、狂人になりかねない。それでも彼女は真正面から自分を受け止める。甘いことも、苦いことも、激しいことも、捌け口のない欲望も、かっこ悪くみじめな自分も、しっかりとした目で見据え続ける。そこに留まり、パッションを受け続けた者だけがたどりつくことのできる境地を、ついに見出すことができるまで。すべてを奪われて恍惚と立ち尽くす自分の姿さえ、彼女の眼は冷静に見つめる。