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2022年、ノーベル文学賞受賞! 別れた男が他の女と暮らすと知り、私はそのことしか考えられなくなる。どこに住むどんな女なのか、あらゆる手段を使って狂ったように特定しようとしたが──。妄執に取り憑かれた自己を冷徹に描く「嫉妬」。1963年、中絶が違法だった時代のフランスで、妊娠してしまったものの、赤ん坊を堕ろして学業を続けたい大学生の苦悩と葛藤、闇で行われていた危険な堕胎の実態を克明に描き、オードレイ・ディヴァン監督により映画化され、ヴェネチア国際映画祭でも金獅子賞を受賞した「あのこと」の原作の「事件」の傑作二篇を収録。巻末には、獨協大学名誉教授の井上たか子氏による「事件」の解説も合わせて収録。
...続きを読むPosted by ブクログ 2024年04月06日
初アニー・エルノー。すごく良かった。小説ってこんなに生身の人間を直に曝け出すことができるんだと圧倒された。
恐らく筆者自身が経験したであろう出来事を深く正確に綿密に的確な言葉を重ねて描きつつも、決して感情だけに流されることのない冷徹とも言える明晰さ。個人的な出来事を突き詰め続けることで至る普遍。特に...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年12月09日
90/100
この話は男性には理解できないんだろうなと思う
性に対して様々な多様性が進んでる中、一貫して変わらないのは妊娠するのは「身体的構造が女性」である人たちだけ。
男性には分からない生理や妊娠などの苦しさ葛藤が、心情描写が細かい訳では無いのに切々と迫ってくるものがある。状況を淡々と文字で...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年09月23日
別れた男の現在の彼女への嫉妬を描いた「嫉妬」、中絶が認められていなかった時代のフランスで中絶する「事件」2編のオートフィクション。
ものすごい解像度と赤裸々さで、感情とその流れが克明に記されていき、全て本当にあったこととしか思えない。
性愛を重視していることと、時々ある観念的な考え方はフランスっぽい...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年06月30日
「嫉妬」も「事件」も女性として考えさせられる小説だった。アニー・エルノーの小説は自伝的。本当の所は知らない。淡々と書かれているけど、情熱的。その相反する読後の印象が自伝的だと思わせるのだろう。「事件」で知った、フランスは中絶が違法だった期間が長かったこと。フランスのイメージとは大きく異なるこの法律に...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月27日
凄まじくリアルだが、小説でもノンフィクションでもないという一冊。
女性の心情を事細かに書いてあるようだが、事実をベースに書いてあるため、非常に読みやすい。
特に印象に残った文章は、
ーー正常と言われている世界にいつ戻ってきたのかは、わからない。"正常な世界"とは曖昧な表現だ...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月26日
映画の「あのこと」を見てから読んだ。
映画では痛みをこらえて編み針で堕胎させようとしたり、中絶の費用を私物を売って自分で用意しようとしたりする強い姿が多かったが、この「事件」では不安や恐怖といった感情がよくでていたと思った。
階級や性差による不自由さや理不尽がよくわかる話。
「嫉妬」はその嫉妬という...続きを読む
Posted by ブクログ 2024年01月26日
この作品の言葉にはあまり感情が見られない。
出来事を言葉にすることで与えられてしまう、ある種のフィクション性がなるべく排除されている。
記憶がドラマチックに歪曲されてしまうことを作者は危惧しているように思う。
そういった意味で最もノンフィクションに近い小説だった。
印象的だった箇所
「当時真実だっ...続きを読む
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