堀茂樹のレビュー一覧

  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論
    トッド氏の著作3作目にして一番わかりやすく
    あっという間に読むことが出来た。

    個人的な難易度としては

    本作<「ドイツ帝国」が…<シャルリとは…

    トッド氏の著作は毎度だが
    客観的な数字、統計を基にしており
    大変説得力があった。

    盲信することというのは危険だと思うが
    トッド氏の言っていることは非...続きを読む
  • グローバリズムが世界を滅ぼす
    現在の行き過ぎた(と個人的には思っている)グローバリズム、自由主義経済については懸念を感じている。という意味では自分は保守なんだと思う。一方で、本書にも書かれている通り、本来反対すべきグローバリズムを今の保守派が進めているのは、やっぱり謎。
    言葉の響きで単純に「よいもの」と思い込んでいるわけではない...続きを読む
  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論
    ウクライナ問題やトランプ現象等、昨今の大国は「グローバル」から「ネイション」へ回帰しつつある。言うなれば「ソフトナショナリズム」とでも言おうか。かりにそこまで大げさじゃなくとも、主権を守るためにEU離脱を決断した英国の姿勢はなんら不思議ではない。むしろ連合という名のドイツ支配圏と化してしまっているE...続きを読む
  • グローバリズムが世界を滅ぼす
    経済音痴の私にとって衝撃的。確かに今の世界は何かがおかしいとはぼんやりと感じていた。本書は、現代の格差の拡大や危機の恒常化の原因がグローバリズムにあり、それが社会を破壊していることを、5人の筆者が座談を通じてわかりやすく説いている。新自由主義(ネオリベラリズム)が制約のない自由として席捲し、隣国同士...続きを読む
  • グローバリズムが世界を滅ぼす
    グローバリズム、新自由主義を否定的に捉えた一冊。
    普段からグローバル至上主義とも言える風潮に浸っているため非常に新鮮な内容であった。

    本書を通じて、グローバリズムの弊害を以下のように捉えた。

    ・格差拡大
    国境を越えて経済活動がされるため、資本を持つ大企業が残り中小企業は潰れる。
    さらに大企業の中...続きを読む
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告
    少し過激な口調で難しいこと話すがみんながわからないようにではなく頑張って調べればわかるように話す。
    ロシアは戦争する気はない、ロシアの出生率は伸びている、ロシアの大学は女子の比率が高い、フランスもイタリアもスペインも実質的にドイツに支配されている、などなどとても新鮮な情報にあふれてた。オランドの話で...続きを読む
  • シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧
    E.トッド氏の文春新書関連で一番この本が面白いと思った(前著は感情的な主張でややシラけた)。「第1章 宗教的危機」は何度か読み返した。
  • ある女
    「シモーヌ・ド・ボーヴォワールに一週間先だって死んだ」著者自身の母親の生涯を描いたもの。貧しい家庭に育ち、勤勉に働いて、一人娘を立派に教育し、出身階層よりも上昇させたこの母親がたくましく仕事(食料品店とカフェの経営)をこなし、老いては娘夫婦と同居して中流階級にも適応していく。そんな才気あふれる母親が...続きを読む
  • シンプルな情熱
    とても感動的な本。外部からの「苦痛」であるパッションを、それに捕らわれながらもなお明晰さを失わず、自立を保っている。そんな彼女の文体は、彼女のパッションに限りなく近い。書くことと愛することが同義であるように。シンプルな情熱、それはとても純粋で、冷たい透き通った水のよう。直截的な表現で少しも自分を誤魔...続きを読む
  • シンプルな情熱
    山田詠美と江國香織の対談で出てきて勧められていた恋愛小説。恋をしていてもたってもいられないもどかしさと愚かさと愛しさに打ちのめされた時に読むのにお勧め。
  • 第三の嘘
    「悪童日記」の続編。
    「ふたりの証拠」のラストにはかなりの衝撃を受けたけど、この「第三の嘘」では更に物語が二転三転する。クラウスとリュカの物語がパラレルワールドのように展開していき、まるで入れ子細工みたいな物語だった。
    この三冊目を読んで、リュカと血の繋がらないマティアスが不気味なほどリュカに似てい...続きを読む
  • ふたりの証拠
    「悪童日記」の続編。
    前作では一貫して「ぼくら」という描写しか出てこなかった双子だけど、国境を越え隣の国へ行った方がクラウス、元の国に留まった方がリュカという名前で登場する。本作はリュカの物語。リュカは国境を越えたクラウスの戻りを待ちながら、手記を書き続けている。
    リュカは色んな女(男も)に愛されて...続きを読む
  • 悪童日記
    海外文学はあまり読まないのだが、お勧めされたので読んだ。まず第一に読みやすい。理由は主人公の双子による口語体で
    また、少年の日記をそのまま読んでいるような、素直な文章だった。ただ一つ言えることは主人公の双子達に全く共感できないが突き放してみると非常に痛快な感覚を覚える。戦争、差別、貧困、暴力、死、こ...続きを読む
  • 我々はどこから来て、今どこにいるのか? 下 民主主義の野蛮な起源
    文化人類学から世界経済や社会の動向を捉えようとする意欲作。ところどころ、論理が飛躍しすぎているようにも思ったが、著者の広範な知識には驚嘆させられた。ところどころノーベル経済学賞に批判的なところが面白い。著者がフランス人の視点から記述していることが本書の魅力の一つと思う。とにかく読むのに時間がかかった...続きを読む
  • 悪童日記
    第二次世界大戦中「大きな町」から「小さな町」のおばあちゃんの家へ疎開してきた恐ろしく頭の切れる美しい双子の男の子。戦時下の厳しい環境を生き抜く様が、2人の書く日記という体でつづられている。
    笑いながら蟻を踏みつぶすような子供の残虐性…と言ってしまっていいものか…また彼ら子供が大人に性的に搾取されてい...続きを読む
  • ふたりの証拠
    前作とは異なり、本作では登場人物の一人一人が名前を持って現れる。身分証明書、労働、財産、子育て、と主人公の成長に従って取り巻く環境は社会性を帯び、登場人物たちの背負う人生の悲哀にしても、政治性が強いものが増える。しかし、双子という一人称複数形の特殊さがありながら「世界」は確固たるものだった前作とは異...続きを読む
  • 悪童日記
    戦時下の飢え、ホロコースト、見捨てられる障害者などの弱者たち、性的搾取…起こっている出来事は惨い以外の言葉がないが、双子はただあるがまま受容する。かといって黙って耐えるというわけでももなく、ホームアローンのように、知恵を駆使し、時には肉身すらも踏み台にして、生き抜いていく。感情を排しているが、淡々さ...続きを読む
  • ふたりの証拠
    ・あらすじ
    悪童日記の続編。悪童日記で別れた双子のうち地元に残った方のその後が綴られる。

    ・感想
    飾り気のない平坦な文章は相変わらずだけど日記形式の前回とは違った形態で、それがふたりで完結していたそれまでの世界との違いを感じた。
    相変わらず出てくる登場人物がみんな二癖くらいある人達で、唯一の良心(...続きを読む
  • 嫉妬/事件
    この作品の言葉にはあまり感情が見られない。
    出来事を言葉にすることで与えられてしまう、ある種のフィクション性がなるべく排除されている。
    記憶がドラマチックに歪曲されてしまうことを作者は危惧しているように思う。
    そういった意味で最もノンフィクションに近い小説だった。

    印象的だった箇所
    「当時真実だっ...続きを読む
  • 第三の嘘
    ふたりの証拠の最後で「えーっ?」と思って急いで読み始めた第三の嘘。疑問がするする解けると思いきや、更にえっ?あれ?と混乱。どこまでも陰鬱で、心を削られるような哀しみが続くのに読まずにはいられない魅力がある。