フランス女性作家として邦訳、これが4冊目というが・・全く 知らなかった。刊行は1981、当作の邦訳は30年弱前。
ありきたりの言い方ながら、さすがフランス女性としか・・言いようもない。
フランス女性と一括りにするのは大嫌い・・日本女性だって、同年代でもピンキリ、多種多様。ただ言えるのはフランス女性の
...続きを読むお手本と言われるのがボーボワール、日本女性のそれは円地文子、有吉佐和子。
読み始めて一驚するのは饒舌体。心に秘めた思いを吐き出すかのようにすごい勢いで語り続けて行くのが伝わってくる。改行はない、さすがに句読点はあるが、それだけで作家が内面に秘めたパッションを受けとめる。
巻末に有る訳者の解説中~
「筆者がこの作品を 『小説』と銘打ったのは 自らの軟弱性にある・・と。なぜなら、自分の歩んできた途をありのままに語り、想いを綴っているのに。それってノンフィクションであろう と。
題名の由来は「最初は同じスタートラインに立った男女 男と女が≪夫はエリート社員、妻は凍りついた女≫となっているニュアンスからだろう。
薄いとは言え一気に2時間もかからず読める。行間の空気が跳ねるのが分かり、ざわめき、におい、騒音、感情のうねりまで伝わってくるよう。
誰にでもあったであろう心身の疼き、自我の目覚め、そして性衝動~自らの性を語りはしても 徹底して生きる事が出来るとは思ってもみなかった・・と述べる。
男の子たちは「難しい事を考えない素っ裸の女に乾杯」し 「オスの自由に対して人びとはとても甘い」と綴る。
結婚して、家庭をすべからく動かすことは 女の仕事・・そんなシュールレアリスティックな生活を嘆く彼女に夫は「お前、トイレに立って小便しろ」という。
毅然として譲らない父親と一言も言わない母親・・子供の情緒安定に申し分ない環境・・なんだろう。奥さんが誇らしげに呼ぶ『男の人たち 食事よ」の空気感。
筆者の冴えたひりつく感性が溢れた絶妙な作品・・いや自叙伝だった。