堀茂樹のレビュー一覧

  • シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

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    「シャルリ・エブド事件」を軸に、フランス社会、ヨーロッパ社会に対する批判を展開する。
    その手法は、各地域の人口動態(デモ参加率、投票行動、信仰、階級等)や家族構造といったデータの分析に基づくものであり、説得的である。

    基本は現在のフランス批判であるため、フランスの地理、歴史、政治についての予備知識が無いと、十分に読みこなすのは難しいところがある。
    とはいえ、とりあえず通読して、「結論」を示した最終章まで辿り着けば、著者の主張はかなりclearに見えてくる。

    脱キリスト教化、不平等主義的価値観の蔓延、ユーロの隆盛、高齢化社会、中産階級による支配、宗教的なものに対する無理解や恐怖等が結びつき、

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    2016年03月06日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    大変興味深く面白い内容だった。

    丸丸全部言う通りということはないと思うが
    確からしいと思えた内容だった。

    面白かったなという点を抜粋しようと思ったら
    巻末の編集部の編集後記にすごくきれいにまとまっていた。
    ここまで綺麗に読んだ内容をまとめられないなと感じ
    歴史や現在の社会情勢に対する自分の知識のなさを特に感じた。
    それはさておき

    文中にあった

    直系家族構造は今では先進国にはもはや存在しないがそれでも長年の間に培った権威、不平等、規律といった諸価値つまりあらゆる形におけるヒエラルキーを、現代の産業社会・ポスト産業社会に伝えた。

    というところがまさに『ドイツとは』を知るベースの部分であり

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    2016年02月08日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    現代におけるドイツの擡頭(他の欧州諸国に対する経済的・政治的支配による「ドイツ帝国」化。ヨーロッパの危機)を軸に、EU問題(ユーロ問題)、フランス批判、ロシアの「健全さ」(女性の活躍率など)、アメリカ帝国の崩壊…等も描く。

    巻頭の「ドイツ帝国」の勢力図を見れば、まさにヨーロッパの現状が一目瞭然である。

    本書を読み、とりわけ、ドイツ、フランス、ロシアに対するイメージが大きく変わった。
    国家の基本的な性格は、歴史に学ぶことでよく知ることができると再認識した。

    ただ、「なぜそう言えるのか」というところの根拠、論理の説明が不十分なところが随所に見られる。

    また、翻訳が基本的に読みにくいのが大変

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    2016年02月13日
  • シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧

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    本書を駆け足で読み、エマニュエル・トッド来日講演を聴きに行った。サブタイトルが原題では「宗教的危機の社会学」であり、文庫化に際してこちらがメインタイトルとなったことから分かるように、トッドはシャルリ・エブド事件やそれに続くイスラム系組織によるテロを主題にしているのではない。現在のフランスが置かれた状況から、普遍的な公式を導き出そうとしている。その答えが「宗教の危機がイデオロギーの危機に転移する」ということだという。

    19世紀にパリ盆地においてカトリックのおよそ半分が消滅するという宗教的危機があった時には、フランス革命という人類史に残るイデオロギーの大転換があった。

    20世紀初頭には北部ヨー

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    2016年02月01日
  • グローバリズムが世界を滅ぼす

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    トッドの部分を抜き読みするだけでも、現代国際社会の問題点の一端を知る事ができる。

    『有効な手立てを打ちたいなら、方向転換を成功させるには、まず次の事実を受け入れなければなりません。多くの人は受動的で、現状に対して協力的であり、とりわけ高年齢層はそうだということです』

     日本の現状を言い当てているのか…

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    2015年01月04日
  • グローバリズムが世界を滅ぼす

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    グローバル化とよく叫ばれる中でグローバル化を分かりやすく批判的のとらえた一冊。
    読み進める前には国境が取り払われ、規制緩和が進む現代において、保護主義的な政策の重要性を説くのは一見ナンセンスに感じた。でも違った。決して保護主義政策をとって自国を鎖国状態にするということを主張しているのではなく、グローバル化の負の影響にも目を向ける必要性を訴えているように僕は感じた。なぜグローバル化が発生したのか?どうしてこれほど現代はグローバル化を謳うのか?グローバル化の正・負それぞれの影響は何か?こういった点を理解し、グローバル化の本質にせまる理解をしておくことが現代経済を見つめるためには必要だと感じた。

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    2014年11月29日
  • グローバリズムが世界を滅ぼす

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    自由貿易で世界経済が復活するということに対して警告を発する。世界の経済成長率が、新自由主義が勃興する前後で約3%から1.5%へと落ちている事実など、必ずしも寄与していないという。日本では、小泉政権、そして安部政権でも、これを称賛する動きがあったのも事実。企業が儲かれば、法人税も沢山入り、国も潤うかもしれない。しかし、利益の代償として働く者の給料が減ってしまっては、企業栄えて、国滅ぶにならないだろうか。一部の富裕層のために、それはあるというのは、アメリカ、西欧を見て納得してしまう。自由主義という言葉から連想するのは、解放、個人かもしれないけど、成熟した個人ばかりの社会とは限らない。むしろ、大多数

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    2014年09月22日
  • グローバリズムが世界を滅ぼす

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    京都大学で行われたシンポジウムの書籍化。
    グローバル化は、不可逆で必然的な流れなどではなく、抑制できる、すべきであること。
    ネオリベは、劣化したエリートが自己利益増大化に利用するために飛びついただけの空疎なイデオロギーであること。
    グローバリズムを抑制するには、保守に立ち返ることが議論されています。

    トッドの話を聞くと、フランスも同じなんだなとワロてしまいます。苦笑です。

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    2014年07月09日
  • シンプルな情熱

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    どなたか知識人の女性がテレビでお勧めしていた1冊。
    『ストレートに女の性を描いて話題騒然の書』と帯に書いてありますが性でびっくりしたのはプロローグだけ。
    読み進むうちに片思いの切なさ、待つこと以外何もしたくない時間、恋の終わりの予感の妄想や苦しみ、など本気で人を好きになったら勝手に訪れてしまう感情たちがありありと甦って来ました。あの時のあの感情を冷静に文章にしようとしたら、この本が一字一句違わない表現してくれているはず。
    自分ではどうにもできない苦しくて時間。アニー・エルノーは今の私位の年齢でこんな経験をしたんだなぁと思うとさっさと経験しておいて良かったかなと。今なら耐えられないよ、きっと私(

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    2010年07月25日
  • 悪童日記

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    第二次大戦下のハンガリーを舞台に、疎開して生きる双子の少年の力強い物語。短くも濃厚な数々の章に区切られて読みやすい。少年達の意思や判断が凄すぎる印象だが、戦争の一つの記録小説として読むと面白い。

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    2025年12月06日
  • ふたりの証拠

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    当時の世相を反映したものになっているのかなとも思いました。いろいろなエピソードを入れ込んでいますが、これが最終巻でどのように収めてゆくのかなぁと。

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    2025年12月05日
  • 嫉妬/事件

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    ネタバレ

    最も印象に残ったのは中絶の表現云々以上に、インターンの医師の態度。
    医学部生が文学部生のことを「自分と同じ側の人間」と捉えているのは今の日本社会、大学システムからするとかなり異質では?
    研修医が文学部生をアカデミックな仲間として受け止めるなんて考えられないよ。

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    2025年11月22日
  • 第三の嘘

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    「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く三部作の最終巻
    正直、「悪童日記」があまり好みではなかったので続きは読まなくていいかもと匙を投げかけたが、そういう人にこそ最後まで読んでほしい
    すべてを読み終えた今、「悪童日記」は救済の物語であったようにも思える

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    2025年11月21日
  • ふたりの証拠

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    なるほど、何を書いても何かしらのネタバレに触れてしまいそうだが、一つ言えるのは悪童日記とは明確にテイストが異なるということ
    前作のあの不気味で異様な平板さ、読者を突き放すような距離感とは違い、本作にはじわじわと迫ってくる現実味を帯びた不穏さがある
    次の最終巻はいったいどこへ着地するのか、いやでも気になってしまう

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    2025年11月20日
  • 「傷つきました」戦争 超過敏世代のデスロード

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    西洋圏において、文化的マイノリティを守るという名目のもと、マイノリティのアイデンティティを侵害する表現等がないか目を光らせ、引っかかった場合に執拗にその対象者をバッシングし、引きずり下ろすという、この傾向について述べたもの。
    この傾向が特に強いのがアメリカの大学生で、タイトルの「傷つきました」はマイノリティが差別発言等を告発する意味もあるが、大学へ講義の撤回等を要求するこの大学生のことも指す。大学側は傷つきやすいこの若者に配慮し、次回の講義の予告をして不愉快な内容だと思えば出席を回避できるよう配慮する等を行っているところもあるという。

    多文化主義に対する反発ってなんで起きるのだろうか、既得権

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    2025年10月12日
  • 嫉妬/事件

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    たまたま本屋でノーベル文学賞作家というフレーズに惹かれて購入。

    小説ではないため、物語としては今ひとつ。ただ、ノーベル賞受賞の理由を読み、納得した。

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    2025年09月28日
  • 嫉妬/事件

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    読んだ印象は、文学だった、ということ。

    訳者のあとがきを見ると、『嫉妬』も『事件』も小説ではないのだそうで、自伝的「文章」「テクスト」なのだそうだ。すごい。

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    2025年09月25日
  • 第三の嘘

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    前回とは打って変わって、全く違う方向に話が進み、一体何が正しいのか、よくわからなくなってしまった。
    正しいことは、それぞれの中にある。
    そういうことなのかもしれないが、それを本にしてしまうと何が何だか分からなくなってしまう。

    作者という立ち位置にあぐらをかいたように思えてしまったのは、奇抜な書き方が見慣れないからだろうか。

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    2025年09月22日
  • シンプルな情熱

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    自身の恋を剥き出しで語るところは確かに賛否が分かれそうと思いました。個人的にはあまりピンと来ないところが多かったですが、他の作品も読んでみたいです。

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    2025年09月15日
  • ふたりの証拠

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    やはりか…という結末で終わってしまったのは残念だが、3作目でこの「やはり」が間違っている可能性も否めないので、次作を楽しみにする。

    ただ、もし、次作で「やはり」じゃありませんでした!
    となると、本作の冒頭はいったい何だったんだという話になるし、そもそもどこからどこまでを切り取っているのかよく分からなくなってしまう。

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    2025年09月10日