堀茂樹のレビュー一覧

  • 第三の嘘

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    本当も嘘も何もわからない。たどり着いたところは失望とも絶望とも違う、あえて言うなら「疲れちゃったよ…」
    こんな陰鬱な物語がその昔、景気の良かった日本で大ヒットしたのはなんでだろう。宗教による救いも無い世界が日本人にフィットしたんだろうか。

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    2024年08月18日
  • 第三の嘘

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    「悪童日記」の続編。
    「ふたりの証拠」のラストにはかなりの衝撃を受けたけど、この「第三の嘘」では更に物語が二転三転する。クラウスとリュカの物語がパラレルワールドのように展開していき、まるで入れ子細工みたいな物語だった。
    この三冊目を読んで、リュカと血の繋がらないマティアスが不気味なほどリュカに似ていた理由がわかった。クラウスはリュカでもあってマティアスでもあったんだな。
    「悪童日記」も嘘「ふたりの証拠」も嘘、そしてこの三作目のタイトルが「第三の嘘」なんとも意味深。作中、リュカは手記の不要な部分は削除し書き換えている、というようなことが書かれていたので、今私が読んできた一連の物語は、クラウス、も

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    2024年05月01日
  • ふたりの証拠

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    「悪童日記」の続編。
    前作では一貫して「ぼくら」という描写しか出てこなかった双子だけど、国境を越え隣の国へ行った方がクラウス、元の国に留まった方がリュカという名前で登場する。本作はリュカの物語。リュカは国境を越えたクラウスの戻りを待ちながら、手記を書き続けている。
    リュカは色んな女(男も)に愛されているけど、リュカが本当に愛したのはヤスミーヌの子供のマティアスだけだったように思う。リュカとマティアスは血は繋がっていないけど、不気味なほど似ている。自分の子供時代を重ねて見ているのかな…なんて思って読んでいたら、ラストの展開には驚かされた。えっそういうこと…???前作の物語が続編で丸っと覆るような

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    2024年04月29日
  • 我々はどこから来て、今どこにいるのか? 下 民主主義の野蛮な起源

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    文化人類学から世界経済や社会の動向を捉えようとする意欲作。ところどころ、論理が飛躍しすぎているようにも思ったが、著者の広範な知識には驚嘆させられた。ところどころノーベル経済学賞に批判的なところが面白い。著者がフランス人の視点から記述していることが本書の魅力の一つと思う。とにかく読むのに時間がかかった。。。
    16章の日本の記述は最も興味深かった。少子化は本当に深刻な問題で、その回復のモデルはロシアにあるのかもしれない。移民に頼らず、自国の技術、エンジニアを大切にして、ユニークな日本の伝統・文化・治安が守られることを願いたい。

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    2024年04月11日
  • ふたりの証拠

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    前作とは異なり、本作では登場人物の一人一人が名前を持って現れる。身分証明書、労働、財産、子育て、と主人公の成長に従って取り巻く環境は社会性を帯び、登場人物たちの背負う人生の悲哀にしても、政治性が強いものが増える。しかし、双子という一人称複数形の特殊さがありながら「世界」は確固たるものだった前作とは異なり、本作では…一体この物語はどこに辿り着くのだろう。すぐに次作を読む。

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    2024年04月02日
  • ふたりの証拠

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    悪童日記の続編。悪童日記で別れた双子のうち地元に残った方のその後が綴られる。

    ・感想
    飾り気のない平坦な文章は相変わらずだけど日記形式の前回とは違った形態で、それがふたりで完結していたそれまでの世界との違いを感じた。
    相変わらず出てくる登場人物がみんな二癖くらいある人達で、唯一の良心(?)のペテールも実在してるの??してないの?
    前作の最後もあっと驚いたけど今回もあれは結局どういうことなの…そういうことなの?ってなった。
    なので読み終わったその日に続編を購入。

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    2024年03月06日
  • 嫉妬/事件

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    この作品の言葉にはあまり感情が見られない。
    出来事を言葉にすることで与えられてしまう、ある種のフィクション性がなるべく排除されている。
    記憶がドラマチックに歪曲されてしまうことを作者は危惧しているように思う。
    そういった意味で最もノンフィクションに近い小説だった。

    印象的だった箇所
    「当時真実だったただ一つのこと、私はそれをけっして口にしないつもりだったけれど、それは、「あなたと寝たい、そして、あなたにもうひとりの女性を忘れさせたい」だった。他のことはすべて、厳密な意味において、フィクションにすぎなかった」

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    2024年01月26日
  • 第三の嘘

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    ふたりの証拠の最後で「えーっ?」と思って急いで読み始めた第三の嘘。疑問がするする解けると思いきや、更にえっ?あれ?と混乱。どこまでも陰鬱で、心を削られるような哀しみが続くのに読まずにはいられない魅力がある。

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    2023年12月05日
  • ふたりの証拠

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    悪童日記では感情を持たないのかと思ったけれど、今回は小さなマティアスを慈しむ様子が意外であり救いにも思えた。とはいえみんな闇の中であることは変わらない。タイトルの意味が最後の方でつながったと思ったら、「あれっ?」・・・すぐ次の「第三の嘘」を読みます!

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    2023年12月02日
  • 「傷つきました」戦争 超過敏世代のデスロード

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    ネタバレ

    かつて検閲は保守的で道徳主義的な右派のすることであったが、今日では道徳主義的でアイデンティティ至上主義的な特定の左派が行っている。
    文化盗用の定義として、はじめは支配や搾取の要素が含まれていたものの、次第に失われてしまった。
    反レイシズムとして、普遍的なものの名において待遇の平等を要求するフランス的なものと、アイデンティティの名において特別待遇を求めるアメリカ的なものがある。後者は、差異への権利として、ステレオタイプをより強固にし、各々のアイデンティティを競争させる。すなわち、アファーマティブアクションの恩恵を優先的に受けるべき一番の犠牲者が誰かを決めるため、マイノリティ同士が喰いあうような事

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    2023年09月10日
  • ふたりの証拠

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    悪童日記の続編。
    国境を越えなかったリュカのその後の生活を描いている。
    悪童日記と比べ、ザ戦争描写は表立ってないが、
    初めて女性、子供を愛すること、そしてその葛藤等が綴られてる。
    と思ったら最後のどんでん返し!

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    2023年07月09日
  • 第三の嘘

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    「悪童日記」「ふたりの証拠」と3冊一気読みして、読後ゾワッとした。時系列、人物描写、思い出して辻褄合わせようとしてもグルグル合いそうで合わない、繋がらない。再読しても完全に理解できるかどうか…。作者の闇を感じたのは私だけかな。

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    2023年05月15日
  • 嫉妬/事件

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    ノーベル文学賞に身構えたが、非常に読みやすかった。

    作者の経験をから書かれた、ノンフィクションとも私小説とも言えない感じの文章。
    それだけに生々しく苦手な描写も有り。

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    2023年04月12日
  • 嫉妬/事件

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    『嫉妬』と『事件』の2作品。
    どちらも興味深いテーマだった。
    妊娠、中絶、出産。女性としての生殖機能があれば必ず考えなければならないできごと。
    何を選択してもみんなが幸せになれる世の中になればいいのにね。

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    2023年04月11日
  • 嫉妬/事件

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    私は終えた。嫉妬に囚われた想像界、ここではそれは、嫉妬の虜であり、かつ観客であつわた私自身よ想像界だったわけだが、そこに現れるさまざまな形象を抽出することを。

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    2023年03月25日
  • 凍りついた女

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    アニー・エルノー『嫉妬/事件』の次にこれを読んでみる。

    ひとりの女性の幼少から大人まで。
    独り言をまくしたててるような、短い分の連なり。

    特に少女から大人に移行していく十代後半の脳内は、特有の悩みが充満する。比較、否定、肯定…繰り返し。

    この十代の気持ちが必死に一つに、自分のアイデンティティにしようともがいている様子から引き込まれるように読んだ。自分にも覚えがあるからだろう。

    結婚してからの現実。よくある不満だ。女はこうであらなければならない、男はこうあるべきだからね。
    夫婦がどちらもバランスよく過ごすとしたら、話し合いしかない。
    話し合いができないなら、どちらかが我慢を強いられること

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    2023年03月24日
  • 第三の嘘

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    予想を裏切る展開と、ラスト。
    三部それぞれが、物語として成立していながら、通して読んだ時の、新たなる発見がすごい。
    2人のどちら側からの視点なのか、実際なのか創作なのか、その全部が、層になっていて、切ない。
     匂いや 温度 視覚を感じる描き方だった。

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    2023年03月01日
  • 嫉妬/事件

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    縁あって読む事になった小説。「嫉妬」「事件」の2作収録につき別々に感想を書く。

    「嫉妬」
    嫉妬に駆られている自分を冷静に見つめようとしながらもそれを失念し、ふと気付くと嫉妬が原動力になって色んな事をやらかしている、やらかそうとしていた事を冷静になった自分が書き記している、という作りになっていて面白いなと思った。
    嫉妬から解放された主人公(?)が、当時の心情を分析しながら回想する時の冷えた描写が中々刺さるし、明け透け過ぎて笑えてしまう事もしばしば。
    しっかり消化するには脂身多め(自分的に)だが、何度も再読する価値があるな、と思った。

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    2023年02月18日
  • 嫉妬/事件

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     映画「あのこと」を先に観てから原作読みました。映像が何せ衝撃だったので、小説はそれに比べると淡々と書かれていた印象。それでも、主人公の苦悩、女性だけが受ける苦痛はひしひしと伝わってきました。
     人工中絶が合法化されたのは日本の方が早かったことを解説を読んで知り、とても意外でした。未だ日本では経口妊娠中絶薬が認可されていないなど、海外より遅れている印象があったからです。でも、解説によれば、日本で中絶が合法化されたのは、優生保護法により不良な子孫を残さないために中絶が必要になったとのことで!ぞっとしました。
     本書により優生保護法についても考えるきっかけになりました。

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    2023年02月05日
  • 我々はどこから来て、今どこにいるのか? 上 アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか

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    冒頭に書いてあるが、トッドによる研究の全貌を一般の読者にも読みやすい形で示した「私にとって最も大事な本」だそうだ。全人類の歴史を、家族システムという補助線ひとつで整理しなおしてみせる手際はおみごと。経済学ばかりが重視される社会科学の現状への異議申し立ても傾聴すべきと思う。「反米を煽るものではない」と言いつつ、アメリカとドイツをディスるときの筆の冴えも面白い。

    日本やドイツの直系家族が経済的な効率性に優れると言いながら産業革命がテイクオフしたのは核家族のイギリスであったり、それはそれで理由が示されるのだが、全般を通して、ああ言えばこう言う的なところも多く、ウクライナ戦争にまつわる言説も含めすべ

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    2023年02月05日