堀茂樹のレビュー一覧
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だいぶ昔に読み、面白かったのだが消化不良であった本書を再読。果たして物語において双子は本当に「悪童」だったのか。
双子や母親、祖母との関係性を先の大戦における国家同士のアナロジーとして読んでみたいとも思った。双子の国とは。そこには確かに寓話性がありそうだが、本書だけでは読みきれぬ、しかし確かに何かを示唆する異物感が残る。その正体が何かを知りたく、検索すると『悪童日記』は三部作の一冊であった。そんなことも、今更知ることになる。
日記なのか。兎っこは何を意味するのか。双子は周到に自分たちを鍛え上げていく。物事を為すにも完璧に作戦を練り上げる。そんな双子が証拠となるような日記を残すという矛盾。異 -
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「彼をもう一度自分のものにしたかった」
当時真実だったただ一つのこと、私はそれをけっして口にしないつもりだったけれど、それは、「あなたと寝たい、そして、あなたにもうひとりの女性を忘れさせたい」だった。他のことはすべて、厳密な意味において、フィクションにすぎなかった。
これが嫉妬の誕生でしょう。
精神と肉体のステータスを満たすもの、満たしているものを喪失する、奪われる危険性にたいしてだとか、自分が手にできないものに対して抱かれるのではないでしょうか。
また、それにたいして"努力をしていない"であったり、"努力の程度"が低い者ほど強く抱く傾向にあると -
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このままではそのうちウォークと極右しかいなくなってしまうのではないかと恐れているので、本書やハイト&ルキアノフの『傷つきやすいアメリカの大学生たち』のような本を読むと安心するというか これもある意味「傷つき」の回避と言われればそれまでかもしれないが
「映画も料理も〈DNA〉で評価する」の章が特に面白かった ある映画作品あるいは制作陣やキャストが気に入らないこと(批判すること)と、上映を禁止させるのは違うと(当たり前のことだが)再確認してホッとした。「出自にかかわらずさまざまな役を演じることこそが、つまり、よりいっそう多様な表象によって普遍性を豊かにすることこそが、達成すべき目標なのに。(p. -
Posted by ブクログ
よく言われるのは、資本主義は格差を助長するが、民主主義がその抑止力になる。つまり、少数の富裕者に対し、多数の大衆層により民主主義的な手続きによって、資本主義の暴走にブレーキを利かせられるのではという発想だ。しかし、実感としてはあまりこれが機能している気がしない。本書を読むにあたり、サブタイトルの「民主主義の野蛮な起源」というのが何の事かと思った。革命を通じて成立させたというその起源の暴力性を指すだけなら、その革命の歴史を振り返るだけで、大した本にはならなかっただろう。トッドが指摘するのは、今も野蛮な側面がある、という点だ。
キーワードから考えるなら、メリトクラシーのような人類の序列化。これを -
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エマニュエル・トッドは乳幼児死亡率に着眼してソ連崩壊を予言した事で有名な歴史学者だが、その著者が、家族形態に注目し、覇権国との因果関係を探る本。序盤、核家族などの家族形態と文明の発展等の結びつきがピンと来なくて読み難い感じがしたが、識字率の解説などから一気に面白くなる。
集団が物理的、地理的条件から自然発生的に生じ、自他の区別は後付けで発生したと考えるのが無理のない解釈のように思う。地球の真反対に住む集団が繋がっているとは到底思えない。そこでは言語も風習も、恐らくは見た目も異なる。だから、元々一つだった集団が敢えて利権構造によって区別するために言語や風習を違えたというよりも、同族として認識不