【感想・ネタバレ】シンプルな情熱のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年04月06日

先に読んだ『嫉妬/事件』と比べるとやや印象が薄い。しかし両作品に共通する、自身を客観視し対象として公平に見つめ直し明確で簡潔な文章に表現できる筆者の姿勢に非常に好感を持った。

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Posted by ブクログ 2022年12月26日

本作の著者アニーエルノーは2022年のノーベル文学賞を受賞された方だったので、本書を読んでみましたが、まさにタイトル通り「とても激しい、パッション!」を感じる本でした。
ストーレートで熱い熱を感じるような本で、火傷したような読後感になりました!
賛否両論ありそうな作品だと思いますが、私は、とても印象...続きを読む的で、人間の本質を刺激する本で、素晴らしい本だと思いました。
ぜひぜひ読んでみてください。

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Posted by ブクログ 2022年12月23日

情熱、とだけ聞くと
何かほとばしるような、
熱くて燃えるような、
エネルギーに溢れる、
そんなことをまず連想するのは、
なんでだろう?

熱、という字が入ってるからかな?

一方で、熱いだけではない情熱というのも
ある気がする。
一瞬湧き出た後にも残るエネルギー?
まだまだ消えないよ、という感じか?...続きを読む

淡々と流れる時間の中に
ポッと湧き出た情熱に対して、
渦中から少し時が経ってるからこその
シンプルなのかな。

熱さと冷静さのちょうどよさ
(けして、ぬるいわけではなく)
を感じた。

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Posted by ブクログ 2022年11月01日

こんなに恋に溺れて、こんなに冷静に記述できるのか。

この恋は性的な行為を行うだけで、素敵な会話やデートやイベントなどは全くない。だけど恋する著者の頭は彼のことでいっぱいで、何をしていても彼のことばかり考えてしまう。
恋、恋情、激しい恋、情熱。様々な色のパッションが描かれる。

言葉が美しく飾らず荒...続きを読む々しくて直接的だったのが、新鮮に感じた。
特に91年2月の再会からラストの文章までは素晴らしく、恋の移り変わりは全くもってシンプルではなくそして美しいということがよく現れている。

著者の恋の感じ方記述の仕方に惚れ惚れとした作品
(そのため映画を観る意欲なし)

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Posted by ブクログ 2010年12月19日

とても感動的な本。外部からの「苦痛」であるパッションを、それに捕らわれながらもなお明晰さを失わず、自立を保っている。そんな彼女の文体は、彼女のパッションに限りなく近い。書くことと愛することが同義であるように。シンプルな情熱、それはとても純粋で、冷たい透き通った水のよう。直截的な表現で少しも自分を誤魔...続きを読む化さず、真摯に自分と向き合うことは、ひどく恐ろしいことだ。一歩間違ってしまえば、狂人になりかねない。それでも彼女は真正面から自分を受け止める。甘いことも、苦いことも、激しいことも、捌け口のない欲望も、かっこ悪くみじめな自分も、しっかりとした目で見据え続ける。そこに留まり、パッションを受け続けた者だけがたどりつくことのできる境地を、ついに見出すことができるまで。すべてを奪われて恍惚と立ち尽くす自分の姿さえ、彼女の眼は冷静に見つめる。

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Posted by ブクログ 2010年03月22日

山田詠美と江國香織の対談で出てきて勧められていた恋愛小説。恋をしていてもたってもいられないもどかしさと愚かさと愛しさに打ちのめされた時に読むのにお勧め。

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Posted by ブクログ 2023年01月28日

フランスらしい愛と性の話。24時間が不倫相手の男のためだけに使われている。男はそうではないけど。発展することはもちろんなく、肉体だけで繋がっている、ただそれだけの話。小説自体があっという間に終わるので、あとがきの長さに驚きました。

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Posted by ブクログ 2022年11月23日

〇〇してから何日たった、あと〇〇時間後には…など、時間を意識せざるを得ない苦しさを思い出すとともに、時間を細切れにせず漠然と過ごせている日々はある意味幸せだと思った。
著者の他の作品も読んでみたい。

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Posted by ブクログ 2022年11月22日

ノーベル文学賞つながりで、川端康成を本屋で買ったついでに平積みされているのをなんとなく購入。
私生活を書く人だと言うことくらいしか知らずに読む。

率直な感想は「私にはもはや遠い思い出」という感じ。
誰かを熱烈に想ったり待ち侘びたりする季節は過ぎ去ってしまった。

描写は簡潔でそっけないほどだ。

...続きを読む自己と対話するような語り口が同じフランス人作家のマルグリッド=デュラスを思い起こさせるが、例えば「ラマン(愛人)」や「太平洋の防波堤」のようにフランス領インドシナを舞台にした異国情緒による風景の拡がりみたいなものは感じられない。アニー=エルノーの描く世界は閉じた狭い街と部屋の中という感じがする。

今回、川端康成とアニー=エルノーを続けて読んで、ノーベル文学賞とはなんぞや?と改めて思った。
普段気に入った作家の小説ばかり読みがちなので、世間的に認められている本もちゃんと読んでおかないとなぁ!と反省しました。

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Posted by ブクログ 2022年11月12日

"passion"
元々の"受難"という意味もあり、
恋、情熱に生きるということは
自分の魂を奪われて、
意志が強く見える一方で、ある意味
主体性をなくしてしまっていることなのかも、なんて。

欲することの限界を向かえたいような、
向かえたくないような。
終わ...続きを読むりを意識しながら
美しき時を化粧しながら、
ただひたすら"待つ"。

もしかしたら、ギャンブルのように
"待つ"ことのゲームを
楽しんでいるのかもしれない。
(Aが好き、というより、相手はAであることが相応しい、という感覚もある?)

恋、情熱について
哲学しているようでもあり、
情熱の温度が少しずつ
下がっていく様子さえ、
丁寧に描かれているのが良い。

Aがくるため、用意されていた
ウイスキーの記述。

クラフトビールや、好きなアイスを
買っておいて、別離したあとに
なんでこんなに買ってたんだっけって
思ったことあったな、なんて
回想したり。
愛人関係でなくとも、
過去の誰かとの逢瀬、情事に
思いを馳せる、そんな純文学。

山田詠美さんも薦めておられたのか、納得。
詠美さんも久々に浸りたくなった。

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Posted by ブクログ 2022年10月30日

最後の終わり方が素晴らしかった。恋することにも、いろいろなランクがあるのだと知る。パッション、情熱、受難。フランスの大人の女。憧れるけど、全てがマネすらできない、今の私。

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Posted by ブクログ 2022年08月14日

原典、Passion Simple
邦題、シンプルな情熱
今の私には、贅沢とは、ひとりの男、またはひとりの女への"激しい恋”(=パッション)を生きることができる、ということでもあるように思えるように。


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Posted by ブクログ 2010年07月25日

どなたか知識人の女性がテレビでお勧めしていた1冊。
『ストレートに女の性を描いて話題騒然の書』と帯に書いてありますが性でびっくりしたのはプロローグだけ。
読み進むうちに片思いの切なさ、待つこと以外何もしたくない時間、恋の終わりの予感の妄想や苦しみ、など本気で人を好きになったら勝手に訪れてしまう感情た...続きを読むちがありありと甦って来ました。あの時のあの感情を冷静に文章にしようとしたら、この本が一字一句違わない表現してくれているはず。
自分ではどうにもできない苦しくて時間。アニー・エルノーは今の私位の年齢でこんな経験をしたんだなぁと思うとさっさと経験しておいて良かったかなと。今なら耐えられないよ、きっと私(笑)

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Posted by ブクログ 2023年07月30日

積読の本を「片付け」ようと思い手に取った。
ノーベル賞受賞アニー・エルノーの代表作。映画化されて大層話題にもなった。A役が有名なバレエダンサーで適役だということだったように思う。

さて、「シンプルな情熱」は、まさしく「シンプル」な「情熱」であった。(繰り返してる笑)
「シンプル」であることの剥き出...続きを読むしの「情熱」。(再び繰り返してるだけ笑)

そう、私(たち)はこのシンプルさにこそ感動し共感する。
近代人はこのシンプルさを捨てて生きてきた。人生は複雑だ。複雑であることは人間にとって重要で、シンプルさを追い求めることは「人間性」の否定でもあり、近代人である我々は複雑さをそのまま受け止めてきた。それが知的な在り方であり、今もそうあり続けている。
(時代は逆行し、シンプルで反知性的な社会になりつつあるがそれはさておき)
その中での出来事なのだ。
だからこの「シンプル」さは刹那的であり、だからこそ、振り切れなければならない。
この振り切れ方にこそ、この小説の魅力がある。
「沼にはまる」というが、「沼」にはまる自分をそのまま脚色なしに写しとってみせたのがこの小説だ。

諸男性作家が書く恋愛小説とは決定的に違う。
(快楽の仕組みと、権力構造が違うから?「沼」が性欲やフェチと切り離せないのが男性小説家の残念なところ?)
切実であり、客観性があり、ポルノ的な方向性とは真逆にあるものを描き出せたのは、エルノーが女性だったから、とも言えるだろう。

最後の斉藤由貴の解説が素晴らしく、そこにもまた感動。一つの場所にとどまらず、飛躍している女性は多い。(男性もいるとは思うが)

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Posted by ブクログ 2023年06月10日

おフランスの恋とはこのように没入的なのね…だけど時間をおくと、恋情もセックスもこのように乾いてカチリと表現できるのね。で、これがベストセラーになるのね。深いな、フランス。

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Posted by ブクログ 2023年03月19日

映画化を観て、
これが小説だとどのように表現されるのかと、
楽しみにして読んだ。

醒めた視点は共通するが、
原作はなんという内的な情熱の物語か。
独白とも異なり、
このような出来事があったという事柄は少なく、
あくまでも自己批判的、内省的なパッションと、
書くことに関する言語化というか、
何が私の...続きを読む中に起こっていたのか、
がひたすらに書かれていた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年02月03日

2022年 ノーベル文学賞受賞者アニーエルノーの代表作といってもよい作品。自身の不倫の経験を冷徹に観察することによって成立した作品。不倫相手を待つ苦しみ、不倫相手の離別との苦しみが主に描かれる。そして、情事の絶頂も少し触れる。情事の最中の肉体的な快感や葛藤には触れない。不倫という関係で得られる感情の...続きを読む起伏に人間の心理の真理があるのではないかとエルノーは考えているようだ。これは「場所」や「ある女」で自身の両親の心理に迫った手法で、自身の心理に迫ることで、人間の本質を捨象しより高い位置で理解したいと考えているようである。
 作品の前半、恋愛の苦しさにどうしようもなくなっている著者に日本なら和歌や短歌で思いを述べる方法があるのにと思って読んでいたが、読み進むとシャンソンに仮託する箇所がでてきて、やっぱりかと思った。

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Posted by ブクログ 2023年01月24日

とても短い小説なのですぐに読める。
内容もただ「恋」の話だから難しくもない。
文章もシンプル。
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原題は『Passion simple』

passionはもともと外部から被害を受けたときに生じる「苦しみ」「苦難」「苦悩」を意味する語であり、Passionとpを大文字で書くとイエス・キリストの「受...続きを読む難」の意味になるとあとがきで初めて知った。
この作品は正しくPassionで、その様が簡潔な文章で綴られている。

じっくり向かうとノーベル文学賞で、表面的に流すとただの不倫話。
本場フランスでは賛否両論だったらしいが、それもよく分かる。
否定的な批評は"平板な文体"と言い、支持派は"平板なのではなく簡潔""極限まで無駄を省いているのだ。剥き出しなのだ"と言う。
私も支持派の意見に同意する。無駄を省いた語りであるからこそ本質が分かりやすく顕になっていると思う。

女性読者が圧倒的に多いと思うが、エルノーの元に届いた手紙は"胸の内に秘めていた自分の体験に言葉を与えてくれたことに感謝する"という男性からのものが多かったらしい。

私も正にそうだった。
エルノーと全く同じで驚くほどだった。
同じ気持ち、同じ感覚。
だから共感しかなかった。

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Posted by ブクログ 2022年11月24日

ノーベル賞を受賞したので読んでみた。
評価ご真っ二つに分かれるとあった。女性の性について素直に書くと言う事、その時期を書き綴った事、を作品として評価されたものであるようだ。
一読で私は何とも表現しがたかった。やはり外国の人は性の捉え方が日本と違うように感じる。
読んで悪い本ではないが、また読み進めた...続きを読むいと思うような本でもなかった。

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Posted by ブクログ 2022年11月06日

ノーベル文学賞受賞。
初めて読む、アニー・エルノー作品。
生のすべてを捧ぐような情愛。道ならぬ恋。
同時にそれをどこか客観視するような筆致。

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Posted by ブクログ 2022年10月22日

今年のノーベル文学賞受賞したアニー・エルノーの文庫本が平積みされていたので衝動買いしました。

妻子ある外国人男性との不倫体験を回想し、まるで独り言のような脳内妄想をそのまま書き起こしたような印象。

この体験記が人の目に晒されることにも自覚的で、
恋に翻弄される女心を赤裸々に包み隠さず描写している...続きを読む

しかしそこにはまるで艶かしさは感じられない。
なぜならそれは過ぎ去ったことで、今の自分は空虚だからと言わんばかりだ。

しかし、ノーベル文学賞とのつながりは今ひとつ分からなかった。
映画化もされているそうだけど、
なんとなくエリック・ロメールの映画のイメージに近い気がした。

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