【感想・ネタバレ】シンプルな情熱のレビュー

あらすじ

年下男性との愛の体験を赤裸々に綴り衝撃を呼んだ、 ベストセラー小説 「昨年の九月以降わたしは、ある男性を待つこと──彼が電話をかけてくるのを、そして家へ訪ねてくるのを待つこと以外何ひとつしなくなった」離婚後独身でパリに暮らす女性教師が、妻子ある若い東欧の外交官と不倫の関係に。彼だけのことを思い、逢えばどこでも熱く抱擁する。その情熱はロマンチシズムからはほど遠い、激しく単純で肉体的なものだった。自分自身の体験を赤裸々に語り、大反響を呼んだ、衝撃の問題作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ




『シンプルな情熱』


フランスの作家 アニー・エルノー の
自分自身の体験を語った問題作♡



【早川書房創立80周年記念
ハヤカワ文庫の80冊】
今、ハヤカワ文庫の帯には
各界の著名人によ
推薦コメントが書いてあるんですよね!



この『シンプルな情熱』の帯は
金原ひとみさん 素敵でしょ(ღ*ˇ ˇ*)。o♡


なんて書いてあるかと言うと……

「ここまでの超常的な
俯瞰視点の達成は、
事件と言えるだろう。」



ですって!!!!!!
もう 嫌んなっちゃう♡
わかるなぁ



1993年1月に単行本として刊行
その時に 山田詠美さん や 小池真理子さんが
絶賛していて その時に読んだ記憶が
あるのだけれど 覚えていないのぉ
…で、今回改めて読んでみました♪♪



「昨年の九月以降わたしは、ある男性を
待つこと───彼が電話をかけてくるのを、
そして家へ訪ねて来るのを待つこと以外
何ひとつしなくなった」

妻子ある若い外交官と不倫の関係になり、
自分を見失う程に彼を
ただシンプルに情熱的に彼をおもう


ある夜更け、ふと、エイズ検査を受けてみたいという気持ちが湧き起こった。
「せめてそれだけは、あの人が私に残していったということになるもの……」って
凄すぎるでしょ



そんな感じで ずっと ずーっと
相手を思い続けるの


その情熱は激しくって単純


これが自分自身の体験だったりするから…
時代を感じてしまう。
今はこんな不倫の体験なんて
語れないでしょう?


解説は 皮肉にも 斉藤由貴さん
この小説が如何に好きかを
伝えているの
情熱的にね♡

0
2025年10月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2022年のノーベル文学賞。
読後、ポッドキャストの「翻訳文学試食会」、「空飛び猫たち」、「世界文学放談胡椒とマルガリータ」を聞いたり、ネット上での感想を漁ったり、した。
読んでいる最中も賛否両論だろうなと予期していたし、実際そうだった。
個人的には、どうーでもいいー体験がどうーでもいいー水準で綴られる文章だなー、と思っていた。
というのも、作者自身を思わせる語り手が、エッセイとも当時の覚書とも区分けしづらい文章を綴る、その行為自体を描くタイプの文章だから。
下世話な覚書を小説に昇華させようとする苦肉の策、とも。
性質上、作家たるワタクシが、子供もいる中年なのに、子なし妻ありの若い男と期間限定数か月の性愛関係を持つことってどういう意味を持つんよ、と内省する記述の諸々を、数年前当時のメモをもとに再現したりしなかったり、みたいな、敢えて感情を移入しづらい書き方をしているので、読み込もうとする喉に小骨が刺さり続けているような気がして。
先回りして、攻撃的になりそうな自分に対して書いて置いておくならば、作者の倫理として、行動ではなく感情を書くと凡庸になる、という意識は保たれている。その上、暴走的暴走はしない、冷静な書き手なのだ。
解説文に斉藤由貴が寄せているが、彼女のように自己体験込みで書けるものがあれば、スッキリするものだろうけれども。
あるいはセックスに突き抜ければ、言い訳っぽい記述って不要になるんろうが、まあそんな小説ってないよね。小説と言い訳って不可分。
逆に冷静な語り手を、性に突き動かす何かを突き止めようとする、峻厳な記述があるかといえば、そこまででもないし。
このユルさ、志の低い映画になりそうだなーと思っていたが、実際映画化されているらしい。
おそらく水準は低かろうなーと、予告編しか見ていないが、原作であえてぼかされた男がバッチリキャスティングされている段階で、見る気にになれない……これは匿名性を打ち出した、原作の魔力か?
いや、本作の中で、大島渚監督「愛のコリーダ」(阿部定事件)に言及されていたり、男をアラン・ドロン若き頃と描写していたりするので、映像化の欲望は盛り込まれているのだろうが。
その映画化に対して、林真理子がクッソテキトーなコメントを寄せていて、笑った。
に対して、小池真理子が原作に対して寄せた文章は、さすが。
個人的には、山崎ハコ「橋向こうの家」を思い出したり、した。
また、オートフィクションと、日本の私小説との違いを考えたりしたが、あまり益のない行為だと思った。
と、脈絡を欠いてしまったが、作品がそうだから感想もそうなってしまう。
回想したり、書き散らしたりする中で、書くこととは何かを意識していくって、この作品が行っていることだが、もしかしたらその後20年30年かけて、2ちゃんねるとか、私が知らないネットにて、文章だか動画だか知らぬうちに、同じ営為が行われているんじゃないか。
あえて言えば、数十年前の女性雑誌で書かれていた投稿コーナーとか、この十年数十年でインターネットに各人が(匿名性を維持しつつ)書いた文章の熱量と、等価なんじゃないかしらん。

0
2024年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2022年 ノーベル文学賞受賞者アニーエルノーの代表作といってもよい作品。自身の不倫の経験を冷徹に観察することによって成立した作品。不倫相手を待つ苦しみ、不倫相手の離別との苦しみが主に描かれる。そして、情事の絶頂も少し触れる。情事の最中の肉体的な快感や葛藤には触れない。不倫という関係で得られる感情の起伏に人間の心理の真理があるのではないかとエルノーは考えているようだ。これは「場所」や「ある女」で自身の両親の心理に迫った手法で、自身の心理に迫ることで、人間の本質を捨象しより高い位置で理解したいと考えているようである。
 作品の前半、恋愛の苦しさにどうしようもなくなっている著者に日本なら和歌や短歌で思いを述べる方法があるのにと思って読んでいたが、読み進むとシャンソンに仮託する箇所がでてきて、やっぱりかと思った。

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2023年02月03日

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