堀茂樹のレビュー一覧

  • 嫉妬/事件

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    仏映画 あのこと
    この原作が事件。エルノーの自伝的小説。それだけに生々しく、想像することを拒絶しそうになる。

    60年代フランスはIVG 人工妊娠中絶が違法。
    この時代背景でもって、彼女は苦しむ。
    果たして中絶することとは、権利であるのか。
    それとも。。。

    あとがきが秀逸であり、本当に考えさせられた。後にフランスにおいても合法となる中絶。
    実存主義的に考えるなら、人は無限に将来に向けて自分を発展させていく、まさに己が主体。そこで妊娠するとは、他者に主体を移すこと。
    ボーヴォアールによれば、
    子を持つことが女性にとって重荷だとすれば、
    それは風習が女性に子を持つ時期の選択を許さないから。

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    2023年02月12日
  • シンプルな情熱

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    ネタバレ

    2022年 ノーベル文学賞受賞者アニーエルノーの代表作といってもよい作品。自身の不倫の経験を冷徹に観察することによって成立した作品。不倫相手を待つ苦しみ、不倫相手の離別との苦しみが主に描かれる。そして、情事の絶頂も少し触れる。情事の最中の肉体的な快感や葛藤には触れない。不倫という関係で得られる感情の起伏に人間の心理の真理があるのではないかとエルノーは考えているようだ。これは「場所」や「ある女」で自身の両親の心理に迫った手法で、自身の心理に迫ることで、人間の本質を捨象しより高い位置で理解したいと考えているようである。
     作品の前半、恋愛の苦しさにどうしようもなくなっている著者に日本なら和歌や短歌

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    2023年02月03日
  • シンプルな情熱

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    とても短い小説なのですぐに読める。
    内容もただ「恋」の話だから難しくもない。
    文章もシンプル。
    .
    原題は『Passion simple』

    passionはもともと外部から被害を受けたときに生じる「苦しみ」「苦難」「苦悩」を意味する語であり、Passionとpを大文字で書くとイエス・キリストの「受難」の意味になるとあとがきで初めて知った。
    この作品は正しくPassionで、その様が簡潔な文章で綴られている。

    じっくり向かうとノーベル文学賞で、表面的に流すとただの不倫話。
    本場フランスでは賛否両論だったらしいが、それもよく分かる。
    否定的な批評は"平板な文体"と言い、支持派は"平板なのではな

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    2023年01月24日
  • 嫉妬/事件

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     2022年にノーベル文学賞を受賞したフランスの作家アニー・エルノーの短編集。『嫉妬』(堀茂樹訳)と『事件』(菊地よしみ訳)所収。

     自伝的フィクション(オートフィクション、autofiction)の作家だそうで、自身の経験をもとにしたフィクション。社会問題はさておき、そしてそのことと個人の経験が切り離せるかどうかもさておき、正直エルノーの人生に興味はないし、今回ノーベル文学賞を受賞したということと、そのために文学カフェで取り上げるようになったこと(私が提案したわけだけど)がなければ、わざわざ読むことはなかっただろうなと思う。ナルシシズムのかおりがするものを基本的に受けつけないというのもある

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    2023年01月16日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    平和な日本にいると、ロシアによるウクライナ侵攻は
    社会主義専制国家によるヨーロッパ民主主義国家への
    暴走行為のように見えてしまう。

    著者のエマニュエル・トッドはフランスの人口学者。
    経済と人口動態から世界の力関係を見ると、
    ロシアの脅威よりもEU、ドイツを利するシステムこそ
    ヨーロッパひいては世界の脅威になり得る。

    前提としてヨーロッパ主要国の最近の情勢が分かっていないと、なかなか理解できない点も多いが、
    人口動態や人類学的な観察にもとづく論説であり、
    ものの見方としてためになる。

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    2023年01月15日
  • シンプルな情熱

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    ノーベル賞を受賞したので読んでみた。
    評価ご真っ二つに分かれるとあった。女性の性について素直に書くと言う事、その時期を書き綴った事、を作品として評価されたものであるようだ。
    一読で私は何とも表現しがたかった。やはり外国の人は性の捉え方が日本と違うように感じる。
    読んで悪い本ではないが、また読み進めたいと思うような本でもなかった。

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    2022年11月24日
  • 我々はどこから来て、今どこにいるのか? 上 アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか

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    歴史人口学、家族人類学者のトッドらしい着眼点で、さまざまな国・地域の家族構成から、宗教や人々の経済基盤、ヒエラルキー、識字率などの統計を引きつつ、歴史をひもといていく。

    上巻前半はかなり学術的で、人類学素人の私にとっては、多少”体力”の要る読書になったが、後半は宗教改革から、プロテスタンティズムや印刷技術の普及による変化、都市文明と核家族化の関係、18世紀までさかのぼっても北欧の女性の識字率が高かったことなど、従来の身近な知識で読み進められる話になってくる。

    全体として、父系社会は、農耕が始まり定住して財産を蓄えるようになり、相続という行為が必要になって生まれてきたもので、実は核家族よりも

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    2022年11月13日
  • シンプルな情熱

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    ノーベル文学賞受賞。
    初めて読む、アニー・エルノー作品。
    生のすべてを捧ぐような情愛。道ならぬ恋。
    同時にそれをどこか客観視するような筆致。

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    2022年11月06日
  • シンプルな情熱

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    今年のノーベル文学賞受賞したアニー・エルノーの文庫本が平積みされていたので衝動買いしました。

    妻子ある外国人男性との不倫体験を回想し、まるで独り言のような脳内妄想をそのまま書き起こしたような印象。

    この体験記が人の目に晒されることにも自覚的で、
    恋に翻弄される女心を赤裸々に包み隠さず描写している。

    しかしそこにはまるで艶かしさは感じられない。
    なぜならそれは過ぎ去ったことで、今の自分は空虚だからと言わんばかりだ。

    しかし、ノーベル文学賞とのつながりは今ひとつ分からなかった。
    映画化もされているそうだけど、
    なんとなくエリック・ロメールの映画のイメージに近い気がした。

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    2022年10月22日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    「問題は英国ではない、EUなのだ」とよく似た内容ではあったが、EUの主導権を握っているのがドイツであり、EU自体が一枚岩になっていないことが理解できた。
    他民族が一緒に暮らすコンビビアリティの難しさを実感し、これから世界はどの方向に向かっていけばいいのかわからなくなった。

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    2022年08月17日
  • 第三の嘘

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    ■ Before(本の選定理由)
    「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く3作目。

    ■ 気づき
    明かされる真実。これまでの物語を根底から覆すような真実。これは果たして真実なのだろうか?虚実入り混ざるような、不安とアンバランスさを感じさせる。

    ■ Todo
    どうして著者は、前作の続きとしてこの本を描かざるを得なかったのか?それがもっとも気になる。

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    2022年08月10日
  • 悪童日記

    ネタバレ 購入済み

    残酷な戦時中のなかを生き抜く冷酷な兄弟の物語。ずっと読んできたらそこまで衝撃的な結末ではないように感じた。でも一気に読むほど面白かった。

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    2022年01月15日
  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論

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    ネタバレ

    カバー裏の窓には筆者の肩書として歴史人口学者・家族人類学者とあります。私は存じ上げなかったのですが、数字を引き合いに出して議論するちょっと面白いことをいうオジサンだな(失礼!)、という印象でした。

    何が面白いかというと、時事的なトピックについて欧州人として率直かつ分かりやすく語っている点。例えば表題ですが、Brexitの件です。私がぼんやり考えていたのは、折角国連みたいな連帯組織であるEUにいるのになぜに抜けてしまうのか? もったいないなー、英国、みたいなとらえ方です(バカ丸出し済みません)。筆者から言わせると、いやいやEUがやばいのであって、寧ろ英国はフツーですよ、と説きます。一部移民の制

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    2021年07月27日
  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論

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    トッド2冊目。ずっとカバンに入れてて細切れで読んだのと、中身も細切れなので印象は散漫。それでも面白い。こういうのは基本的にそのとき読むべきものなのだろうけど、少し遅れて読むとまた違う評価ができますよね。そろそろ主著に手を伸ばすべきだな。多作なので全部は無理だろうが。

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    2021年03月27日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    人類学者であるエマニュエル・トッド氏が欧州の力関係を明らかにし、ドイツの支配構造を浮き彫りにしたインタビュー集。第一章『ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る』では14年のクリミア危機を背景として、ロシア脅威論の裏に潜むドイツ帝国の覇権や欧州におけるアメリカの凋落、ドイツに隷属する周辺国家の思惑などが指摘されている。冷戦対立に起因する《西側諸国VSロシア》という固定観念を脱却し「各国間の諸システムの間の純然たる力関係を見る」ことで、《アメリカVSドイツ》の新たな対立構造が現れる。諸国の家族制度比較を通じて経済性質の差異を解説するなど、人口学者的な視点からの分析も印象的だ。第二章以降では、自由主義に追従

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    2019年09月21日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    アメリカシステムとは、ユーラシア大陸の2つの大きな産業国家、すなわちドイツと日本をアメリカがコントルールする事だ。

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    2019年03月05日
  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論

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    「ヨーロッパとは何か? ヨーロッパとはドイツを怖がる全ての国民の連合。そして、この定義はドイツ人を含む」という冗談がかつてEU本部のあるブリュッセルで流行った、とトッド氏は言います。EU内一強となったドイツを抑制する力が働かず、暴走する危険について氏は警鐘をならしています。

    トッド氏は、家族形態の分類から国家や地域の文化的背景を特定し、出生率、高齢化率、識字率などの統計データの動向により国家の発展や衰退を予測する手法で、ソ連の崩壊を予測したことで知られています。

    本書では、日本について言及した部分も多く興味深く読みました。日独の直系家族制度の類似性と相違点。日本の家族の重視とその功罪、など

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    2019年01月01日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    ・自由貿易は諸国民間の穏やかな商取引であるかのように語られますが、実際にはすべての国のすべての国に対する経済戦争の布告なのです。自由貿易はあのジャングル状態、今ヨーロッパを破壊しつつある力関係を生み出します。そして、国々をそれぞれの経済状況によって格付けする階層秩序に行き着いてしまいます
    ・上層階級が私にとって許しがたいのは、その階級の連中が発狂し、無責任になるときです

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    2018年11月04日
  • 問題は英国ではない、EUなのだ 21世紀の新・国家論

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    出版のタイミングとタイトルから、ブレグジットを中心として書かれた書籍かと思いましたが、それは話のきっかけでしかなく、内容は世界動向のなかでのEUについて記載されているもので特に独仏の現状を懸念する内容でした。

    予想していた内容とは若干異なりましたが、人口学や家族構成から世界の動向を探る見方は新鮮でした。

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    2018年03月04日
  • 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告

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    フランスの歴史人口学者のヨーロッパの見方が新鮮で興味深かった。自分は世界史を全然理解していないことがわかった。

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    2018年02月18日