あらすじ
戦争は終わった。過酷な時代を生き延びた双子の兄弟の一人は国境を越えて向こうの国へ。一人はおばあちゃんの家がある故国に留まり、別れた兄弟のために手記を書き続ける。強烈な印象を残した『悪童日記』の続篇。主人公と彼を取り巻く多彩な人物を通して、愛と絶望の深さをどこまでも透明に描いて共感を呼ぶ。
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冒頭部分では、悪童日記ほどの面白さはないだろうと思われたが
ヤスミーヌが出てきた辺りから、面白くなってくる。
そこから『あの時』までは一気に読みたくなるぐらい引き込まれた。
けれどその後の話は肝心な所が「え?どういうこと?」と思うままに終わってしまうので、早く続編が読みたくなる。
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ふたりの証拠
が
ある
けれど
ない
確かに町で有名な双子がかたわれだけになったのに、町のみんなは誰ひとりそのことに触れていなくて違和感があった。
アゴタ・クリストフも翻訳者様も天才では?
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戦争というものは、かくも人の心を傷つけ続けるものなのかとあらためて思う。リュカは激しい悲しみと孤独の人だけれど、他の人々もそれぞれひとりひとりが喪失の物語を持つ。ヴィクトールの「すべての人間は一冊の本を書くために生まれた」という言葉にあるように。
それにしても謎が回収されないままに終わってしまい、読者であるわたしは置いてけぼりだ。最大の謎は「兄弟」の存在だけれど、それ以外にもある。なぜリュカはこれほどまでにマティアスに執着したのか、なぜヤスミーヌを殺したのか、なぜ彼は神に祈らないのか...。3体の骸骨の下にある藁布団が「生温か」かったのはどういう意味なのかもよくわからなかった。アゴタ・クリストフは、読者に謎解きをさせて楽しませようとしているわけではないことだけはわかった。彼女はだれかにわかってもらいたくてこの本を書いたのではなくて、自分のために書いたんだなと思った。ということは、解釈も逆に自由なのではないかな。で、その解釈のためのテキストとして『第三の嘘』まで読み終えたら彼女の自伝『文盲』を読もうと思う。
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「悪童日記」の続編だけども、表現の仕方がガラッと変わる。「悪童日記」は子供の世界「ふたりの証拠」は青年から大人への世界。登場人物に名前の無い、肩書や属性や特徴だけだった世界に、名前とともに個性が与えられて、それぞれのしがらみで、分かたれた双子の片割れであるリュカを浮き上がらせる。もう片方のクラウスの人生が対比で語られるのかと思いきや、終盤まで出てこないばかりか、イマジナリーフレンドだったのではないかという疑念が湧いて、そう言えば「悪童日記」での靴屋のおじさんの受け答えは不自然だったかもしれないなと思い至る。
著者は、物事が人間の成長や変化に与える影響を、すごくよくわかっている人だと思う。
原理原則を自ら決めて誰にも従わないで成長したリュカと、受け止めて戦う事で成長しているマティアス。リュカとマティアスの、子どもとしての性格の違いが興味深く、マティアスの自我がリュカをどう変えていくのかが楽しみだったのに…
ヤスミーヌを殺したのはリュカなのか?リュカがなんとかして手に入れた愛がこぼれ落ちていく場面はこの上なく悲しい。
実在を確認できたのはおばあちゃんだけ??
大きなノートは6ヶ月で書き上げた??
これでさらに続編があることに驚くとともに楽しみでならない。
くわばらあきらさんの朗読、素晴らしいです。
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⚫︎受け取ったメッセージ
双子のひとり、リュカの暮らし
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
戦争は終わった。過酷な時代を生き延びた双子の兄弟の一人は国境を越えて向こうの国へ。一人はおばあちゃんの家がある故国に留まり、別れた兄弟のために手記を書き続ける。厳しい新体制が支配する国で、彼がなにを求め、どう生きたかを伝えるために―強烈な印象を残した『悪童日記』の待望の続篇。主人公と彼を取り巻く多彩な人物の物語を通して、愛と絶望の深さをどこまでも透明に描いて全世界の共感を呼んだ話題作。
(ネタバレ)
祖母のいなくなった家へ戻ったリュカ。15歳。知り合ったのは自らの父との子をもうけてしまったヤスミーヌという女性。その子は不具であったが非常に聡明であった。ヤスミーヌは街へ出ていき、残された子であるマティアスを我が子のように可愛がるリュカ。マティアスはリュカの愛を信じられず自殺。都会へ出ていったとリュカが説明していたヤスミーヌの遺体が見つかり、その次の日からリュカは30歳でいなくなった。
最後の章では双子のもう一人であるクラウス(CLAUS)が50歳で村へ戻ってくる。
⚫︎感想
「悪童日記」の続編。村に残った方のリュカ(LUCAS)の15〜22.3歳までの話。こちらは第三者視点で描かれる。
マティアスとのやりとりが中心だが、それでもリュカのクラウスに対する思いは唯一無二である。
本当にリュカ、クラウスという双子の兄弟が居たのか?同一人物なのか?55歳になって戻ってきたクラウスは、リュカではないのか?
日記をつける行為はリュカが続けていることがわかる。日記は創作物なのだが、虚偽と真実が入り混じっているのか?謎が残るまま、第三部「第三の嘘」へ。
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一作目の最後、国境を超えなかった「ぼく」の物語。「ぼく」は名前を持つことで、前作とは違った雰囲気を感じる。戦後下の厳しい環境で生きていく主人公は、他人に手を差し伸べながらも、常に孤独を抱えている。地の文に、主人公の感情は一切ない。それでも、彼の心情は、読者へ強く伝わってくる。予測できない展開に、はらはらさせられること必至。
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悪童日記の第二部。ここでようやく兄弟の名前が明かされ、村の人々の固有名詞が少しずつ出てくる。第三部の第三の嘘まで読んだが、これらは一気に読んだ方が良い。3冊に分かれているが、これら三つで一つの話が完結する。悪童日記の続きが二人の証拠であり連続性があるが第三の嘘になると様子が全く変わってくる
Posted by ブクログ
悪童日記では名前の分からなかった少年の名前がわかり双子のひとりの視線で物語が進んでいく
人間の感情を持たないようなサイコパスな少年だった彼が人間らしい感情を持っていたので安心した
嫉妬で自死する7歳の少年の感情が恐ろしかった
とにかく続きが早く読みたい終わり方だった
本当に彼ら双子は2人いたのだろうか
Posted by ブクログ
おもしろい。
前作に続きリュカの話。
前作よりも文章的には読みやすく、離れ離れになってから愛する子を得て失うまでの心の動きが人間らしかった。
続編が気になる。
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街に残った方の双子リュカ視点の話。
前作の悪童日記は日記風の文体だったが、今回は通常の物語の書き方だった。
その影響もあるのか前作では淡々としていたリュカがだいぶ人間らしくみえた。
子供を失ったところから、クラウスが出てくるまで怒涛の展開だった。急に時が流れ初老になっていて驚いた。最終巻は一体どんな展開が描かれているのか楽しみ。
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悪童日記の続編。
前作には出てこなかった双子の名はリュカとクラウス。町に残ったリュカがその後どのように過ごしたかが語られている。
悪童日記を読んで、双子がその後どうなったのかとても気になったので読んでみた。予想外のラストでさらに続きが読みたくなった。
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「悪童日記」の続編。
前作では一貫して「ぼくら」という描写しか出てこなかった双子だけど、国境を越え隣の国へ行った方がクラウス、元の国に留まった方がリュカという名前で登場する。本作はリュカの物語。リュカは国境を越えたクラウスの戻りを待ちながら、手記を書き続けている。
リュカは色んな女(男も)に愛されているけど、リュカが本当に愛したのはヤスミーヌの子供のマティアスだけだったように思う。リュカとマティアスは血は繋がっていないけど、不気味なほど似ている。自分の子供時代を重ねて見ているのかな…なんて思って読んでいたら、ラストの展開には驚かされた。えっそういうこと…???前作の物語が続編で丸っと覆るようなどんでん返しは初めて読んだかもしれない。鳥肌立ちました。
これ続編どうなるんだろう…続きも読みます。
Posted by ブクログ
前作とは異なり、本作では登場人物の一人一人が名前を持って現れる。身分証明書、労働、財産、子育て、と主人公の成長に従って取り巻く環境は社会性を帯び、登場人物たちの背負う人生の悲哀にしても、政治性が強いものが増える。しかし、双子という一人称複数形の特殊さがありながら「世界」は確固たるものだった前作とは異なり、本作では…一体この物語はどこに辿り着くのだろう。すぐに次作を読む。
Posted by ブクログ
・あらすじ
悪童日記の続編。悪童日記で別れた双子のうち地元に残った方のその後が綴られる。
・感想
飾り気のない平坦な文章は相変わらずだけど日記形式の前回とは違った形態で、それがふたりで完結していたそれまでの世界との違いを感じた。
相変わらず出てくる登場人物がみんな二癖くらいある人達で、唯一の良心(?)のペテールも実在してるの??してないの?
前作の最後もあっと驚いたけど今回もあれは結局どういうことなの…そういうことなの?ってなった。
なので読み終わったその日に続編を購入。
Posted by ブクログ
悪童日記では感情を持たないのかと思ったけれど、今回は小さなマティアスを慈しむ様子が意外であり救いにも思えた。とはいえみんな闇の中であることは変わらない。タイトルの意味が最後の方でつながったと思ったら、「あれっ?」・・・すぐ次の「第三の嘘」を読みます!
Posted by ブクログ
悪童日記の続編。
国境を越えなかったリュカのその後の生活を描いている。
悪童日記と比べ、ザ戦争描写は表立ってないが、
初めて女性、子供を愛すること、そしてその葛藤等が綴られてる。
と思ったら最後のどんでん返し!
Posted by ブクログ
アゴタ・クリストフ『ふたりの証拠』
『悪童日誌』の続編、第二弾
『悪童日誌』では語り手が双子兄弟の一人であり、固有名詞は出てこなかった
『ふたりの証拠』は、三人称で書かれた文であり、いきなり固有名詞が出て来る
もう冒頭から謎である
しかし、超ドライだが読みやすい文は変わらない
主役の双子兄弟の一人リュカは何処へ行ってしまったのか?
もう一人クラウスはなぜ戻ってきたのか?
今まで何処で何をしていたのか?
『悪童日誌』と思われる書物は創作なのか?
読み進めているとどんどん増える謎
そしてラストはまたもや衝撃!
もう第三弾『第三の嘘』は購入済み
早く読まないとーッ!
Posted by ブクログ
前作『悪童日記』に続いて、ラストが衝撃的だった。
『悪童日記』は、戦時中、魔女と呼ばれた「おばあちゃん」の家に疎開することになった双子の兄弟が、国境の町で強かに生き抜いた生活を日記という体裁で描いた物語だった。その前作は、双子の片方が、父親を犠牲に国境を越え、離れ離れになるところで終わった。今作は、国境を越えず町に残り、青年となった「リュカ」の物語である。
前作に引き続き、主観的な評価や描写を排した独特の文体で書かれているものの、もはや日記という体裁ではなく、普通の三人称小説として書き進められていく。リュカは、離れ離れになった双子の兄弟「クラウス」に読ませるため、手記を書き残していた。
しかし、物語の最後、リュカは町を去り、50歳となったクラウスが帰ってくると、実は、二人が同一人物であったのではないか、という疑問を残して終わる。クラウスは、残された手記が、兄弟リュカの存在を証明していると主張する。しかし、その手記の筆跡は、クラウスのものと完全に一致し、比較的短期間に書かれたものであるという鑑定結果が出た。
物語の展開と、三人称で書かれた文体から考えても、双子はきっと実在したのであろうと感じられる。たとえそうでなかったとしても、離れ離れになった双子は、お互いに孤独で、悲しい物語であった。
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リュカに焦点を当てて話が展開されていく…
《悪童日記》からの続編と言う事で兎に角面白い!
3rdstageはどんな展開が待っているのだろうか?
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当時の世相を反映したものになっているのかなとも思いました。いろいろなエピソードを入れ込んでいますが、これが最終巻でどのように収めてゆくのかなぁと。
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なるほど、何を書いても何かしらのネタバレに触れてしまいそうだが、一つ言えるのは悪童日記とは明確にテイストが異なるということ
前作のあの不気味で異様な平板さ、読者を突き放すような距離感とは違い、本作にはじわじわと迫ってくる現実味を帯びた不穏さがある
次の最終巻はいったいどこへ着地するのか、いやでも気になってしまう
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やはりか…という結末で終わってしまったのは残念だが、3作目でこの「やはり」が間違っている可能性も否めないので、次作を楽しみにする。
ただ、もし、次作で「やはり」じゃありませんでした!
となると、本作の冒頭はいったい何だったんだという話になるし、そもそもどこからどこまでを切り取っているのかよく分からなくなってしまう。
Posted by ブクログ
長い間、著者の『悪童日誌』に続編があると知らなかった。三部作であり、その続編が本書であると知り、手に取った。
双子の一人が辿るストーリーにフォーカスされる。二部ではさらに歳を取り青年になるが聡明な雰囲気は変わらない。同時に、どんよりとした小説全体の雰囲気は登場人物の生き辛さと相俟って更に印象を強める。
愛情表現も、優しさの示し方も、何か偏っているように感じる。一人だからだろうか。それは、孤独だからだという事なのだろうか。「ふたりの証拠」という意味深なタイトルが最初から読者をその世界に誘っていく。
それと、双子の一人は既にだいぶ落ち着いてはいるのだが、前作での悪事を思い出し、読者を何か落ち着かない気分にさせるというのも三部作の底に流れるような仕掛けであり、面白さだ。実際に何が起こるか、怒らないかのかは書くとネタバレになるので書かない。意味深なタイトルの意味も。
色んな意味で世界観に引き込まれる小説。三部目も読みたいと思った。
Posted by ブクログ
マティアス、いじめには負けなかったのに…
見てくれに対する劣等感?嫉妬?絶望?
前作では冷酷なスーパーマンみたいに感じた双子達が徐々に人間くさい感じ
Posted by ブクログ
ストーリーも文体も前作とはがらっと変わったがおもしろかった。
前作が傑作で期待しすぎてしまった部分はある。
作品を真実だと思い込んで読み進めていた自分を滑稽だと笑われているようで恥ずかしさを覚えた。
Posted by ブクログ
悪童日記とは趣きが変わり、ドストエフスキー的な登場人物をもっと性的に、暴力的に描いたような印象。だと思ってたら最後の章でさらに意外な展開に。
3部作全て読んでからまた振り返りたい。
Posted by ブクログ
どんな過酷な状況も、感じるより慣れることで飄々と乗り越えてきた双子の少年。その青年期となる本書ではそれなりに愛情や絶望に囚われる。
リュカを取り巻く登場人物も多彩で、それぞれがドラマチックだった。
現状を変えたくても、自分では変えられない、変われない。それゆえに生じる苦しみを何パターンも見せられているような感じだった。
にしても、ラストは謎過ぎる。
3作目も近いうちに借りよう。