【感想・ネタバレ】ふたりの証拠のレビュー

あらすじ

戦争は終わった。過酷な時代を生き延びた双子の兄弟の一人は国境を越えて向こうの国へ。一人はおばあちゃんの家がある故国に留まり、別れた兄弟のために手記を書き続ける。強烈な印象を残した『悪童日記』の続篇。主人公と彼を取り巻く多彩な人物を通して、愛と絶望の深さをどこまでも透明に描いて共感を呼ぶ。

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ネタバレ

ふたりの証拠

ある
けれど
ない

確かに町で有名な双子がかたわれだけになったのに、町のみんなは誰ひとりそのことに触れていなくて違和感があった。

アゴタ・クリストフも翻訳者様も天才では?

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2024年11月25日

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ネタバレ

戦争というものは、かくも人の心を傷つけ続けるものなのかとあらためて思う。リュカは激しい悲しみと孤独の人だけれど、他の人々もそれぞれひとりひとりが喪失の物語を持つ。ヴィクトールの「すべての人間は一冊の本を書くために生まれた」という言葉にあるように。
それにしても謎が回収されないままに終わってしまい、読者であるわたしは置いてけぼりだ。最大の謎は「兄弟」の存在だけれど、それ以外にもある。なぜリュカはこれほどまでにマティアスに執着したのか、なぜヤスミーヌを殺したのか、なぜ彼は神に祈らないのか...。3体の骸骨の下にある藁布団が「生温か」かったのはどういう意味なのかもよくわからなかった。アゴタ・クリストフは、読者に謎解きをさせて楽しませようとしているわけではないことだけはわかった。彼女はだれかにわかってもらいたくてこの本を書いたのではなくて、自分のために書いたんだなと思った。ということは、解釈も逆に自由なのではないかな。で、その解釈のためのテキストとして『第三の嘘』まで読み終えたら彼女の自伝『文盲』を読もうと思う。

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2024年10月16日

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ネタバレ

「悪童日記」の続編だけども、表現の仕方がガラッと変わる。「悪童日記」は子供の世界「ふたりの証拠」は青年から大人への世界。登場人物に名前の無い、肩書や属性や特徴だけだった世界に、名前とともに個性が与えられて、それぞれのしがらみで、分かたれた双子の片割れであるリュカを浮き上がらせる。もう片方のクラウスの人生が対比で語られるのかと思いきや、終盤まで出てこないばかりか、イマジナリーフレンドだったのではないかという疑念が湧いて、そう言えば「悪童日記」での靴屋のおじさんの受け答えは不自然だったかもしれないなと思い至る。

著者は、物事が人間の成長や変化に与える影響を、すごくよくわかっている人だと思う。

原理原則を自ら決めて誰にも従わないで成長したリュカと、受け止めて戦う事で成長しているマティアス。リュカとマティアスの、子どもとしての性格の違いが興味深く、マティアスの自我がリュカをどう変えていくのかが楽しみだったのに…
ヤスミーヌを殺したのはリュカなのか?リュカがなんとかして手に入れた愛がこぼれ落ちていく場面はこの上なく悲しい。

実在を確認できたのはおばあちゃんだけ??
大きなノートは6ヶ月で書き上げた?? 


これでさらに続編があることに驚くとともに楽しみでならない。

くわばらあきらさんの朗読、素晴らしいです。

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2024年04月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

⚫︎受け取ったメッセージ
双子のひとり、リュカの暮らし

⚫︎あらすじ(本概要より転載)
戦争は終わった。過酷な時代を生き延びた双子の兄弟の一人は国境を越えて向こうの国へ。一人はおばあちゃんの家がある故国に留まり、別れた兄弟のために手記を書き続ける。厳しい新体制が支配する国で、彼がなにを求め、どう生きたかを伝えるために―強烈な印象を残した『悪童日記』の待望の続篇。主人公と彼を取り巻く多彩な人物の物語を通して、愛と絶望の深さをどこまでも透明に描いて全世界の共感を呼んだ話題作。

(ネタバレ)
祖母のいなくなった家へ戻ったリュカ。15歳。知り合ったのは自らの父との子をもうけてしまったヤスミーヌという女性。その子は不具であったが非常に聡明であった。ヤスミーヌは街へ出ていき、残された子であるマティアスを我が子のように可愛がるリュカ。マティアスはリュカの愛を信じられず自殺。都会へ出ていったとリュカが説明していたヤスミーヌの遺体が見つかり、その次の日からリュカは30歳でいなくなった。
最後の章では双子のもう一人であるクラウス(CLAUS)が50歳で村へ戻ってくる。


⚫︎感想
「悪童日記」の続編。村に残った方のリュカ(LUCAS)の15〜22.3歳までの話。こちらは第三者視点で描かれる。
マティアスとのやりとりが中心だが、それでもリュカのクラウスに対する思いは唯一無二である。
本当にリュカ、クラウスという双子の兄弟が居たのか?同一人物なのか?55歳になって戻ってきたクラウスは、リュカではないのか?
日記をつける行為はリュカが続けていることがわかる。日記は創作物なのだが、虚偽と真実が入り混じっているのか?謎が残るまま、第三部「第三の嘘」へ。

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2023年11月30日

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ネタバレ

街に残った方の双子リュカ視点の話。
前作の悪童日記は日記風の文体だったが、今回は通常の物語の書き方だった。

その影響もあるのか前作では淡々としていたリュカがだいぶ人間らしくみえた。

子供を失ったところから、クラウスが出てくるまで怒涛の展開だった。急に時が流れ初老になっていて驚いた。最終巻は一体どんな展開が描かれているのか楽しみ。

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2024年12月27日

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ネタバレ

・あらすじ
悪童日記の続編。悪童日記で別れた双子のうち地元に残った方のその後が綴られる。

・感想
飾り気のない平坦な文章は相変わらずだけど日記形式の前回とは違った形態で、それがふたりで完結していたそれまでの世界との違いを感じた。
相変わらず出てくる登場人物がみんな二癖くらいある人達で、唯一の良心(?)のペテールも実在してるの??してないの?
前作の最後もあっと驚いたけど今回もあれは結局どういうことなの…そういうことなの?ってなった。
なので読み終わったその日に続編を購入。

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2024年03月06日

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ネタバレ

前作『悪童日記』に続いて、ラストが衝撃的だった。
『悪童日記』は、戦時中、魔女と呼ばれた「おばあちゃん」の家に疎開することになった双子の兄弟が、国境の町で強かに生き抜いた生活を日記という体裁で描いた物語だった。その前作は、双子の片方が、父親を犠牲に国境を越え、離れ離れになるところで終わった。今作は、国境を越えず町に残り、青年となった「リュカ」の物語である。

前作に引き続き、主観的な評価や描写を排した独特の文体で書かれているものの、もはや日記という体裁ではなく、普通の三人称小説として書き進められていく。リュカは、離れ離れになった双子の兄弟「クラウス」に読ませるため、手記を書き残していた。
しかし、物語の最後、リュカは町を去り、50歳となったクラウスが帰ってくると、実は、二人が同一人物であったのではないか、という疑問を残して終わる。クラウスは、残された手記が、兄弟リュカの存在を証明していると主張する。しかし、その手記の筆跡は、クラウスのものと完全に一致し、比較的短期間に書かれたものであるという鑑定結果が出た。

物語の展開と、三人称で書かれた文体から考えても、双子はきっと実在したのであろうと感じられる。たとえそうでなかったとしても、離れ離れになった双子は、お互いに孤独で、悲しい物語であった。

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2023年03月08日

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ネタバレ

マティアス、いじめには負けなかったのに…
見てくれに対する劣等感?嫉妬?絶望?
前作では冷酷なスーパーマンみたいに感じた双子達が徐々に人間くさい感じ

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2025年02月02日

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ネタバレ

双子の片割れリュカは祖母の家に残った。
一心同体だった二人がなぜ別々に生きることにしたのか。リュカたる人物が『あの双子』とは思えない程丸くなっている。何故?寂しさからか?私の頭は分からない事だらけだ。
そして不遇の子マティアス。なんと賢く忍耐強いことか。『双子』が自分達に試練を加えて鍛えていた頃を彷彿とさせるが、マティアスの心はあくまで清らかだ。常に愛を求めていた子供であった。
この小説は、上中下巻の『中巻』のようで、この先を読むしか私を納得させる術はない。

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2023年03月25日

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