王谷晶のレビュー一覧
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23編の環境も立場も違う「あたしたち」の関係性の物語。百合要素が強めだかそうではない問題を提議する関係も。恋の始まりや終わり、友情やふとすれ違っただけの交流まで徹底して女と女で構成されていて正に帯の「女の人生を変えるのは男だなんて、誰が決めたのさ?」をにやにやしながら叩きつけるのが爽快。23編もあるからなんだこりゃ?な話もあるけどその分刺さる話は直球でやって来る。「しすか·シグナル·シルエット」「だからその速度は」「あなたのこと考えると無駄になる」「ヤリマン名人伝」辺りが好み。「ときめきと私の肺を」や「東京の二十三時にアンナは」の辛い時に静かに横にいる、というのも染みる。
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ネタバレタイトルにある「探偵小説には向かない探偵」というのがまず気になる。素直に読めば、「探偵小説には向かない」探偵を主人公とした「探偵小説」というのだから、これはもう相当に挑戦的である。本書の説明には、登場する探偵はヘタレとある。だが、ヘタレは探偵小説に向いていないのか、定かではない。一般的には、探偵小説に登場する探偵は、少し変わり者で、何かに偏執的なこだわりを持っていて、鋭い観察眼あるいは深い洞察力(推理力)を備えている。本作に登場するヘタレ探偵は、いずれもほどほどにしか備えていない。別の作品では、資産家の出自で金にものを言わせて事件を解決する探偵もいたが、ヘタレ探偵は有名な探偵の末裔でありながら
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ネタバレ一言で言えば「人気のジェットコースターに乗った時の気分」
待ち時間は長く、走り出せば一気にひゃーっとなっている間に終点へ着いてしまい、「もう少し、この刺激を浴びていたい」と思わせる心地よい物足りなさ。ジェットコースターよう乗らんけど。
この疾走感を支えているのは、贅肉を削ぎ落とした文体の妙だ。全体のボリュームも190頁とコンパクト。
依子の背景は最小限の分量で語られ、尚子に至っては依子の視点という限定的な窓からのみ描かれる。この情報の絞り込みが、キャラクターにミステリアスな厚みを与えている。
導入の「チンピラとの喧嘩からヤクザの運転手へ」という急展開を「漫画的だ」とする評も見たけど、私は -
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英国推理作家協会賞であるダガー賞翻訳部門受賞という話題作(ダガー賞には全くなじみがなかったが)
読み始めてしばらくは、この暴力まみれ血塗れの超アクティブでパワフルなヤクザ小説のどこがミステリー??と思っていたが、一転なるほど。そこからもう一度読み返してしまった。
ババヤガという耳慣れない言葉の意味が作中で説明されることはない。スラブ民話の森の魔女らしく、会話の中に昔話の鬼婆として登場する。鶏の足の上に立つ小屋に住んでいるらしい。依子も尚子も鬼婆になりたいようだ。
柳はどこでどうしているのだろう。そこは知りたかった。
翻訳された英文を自分で読むことはないのだけれど、気になることが一点。日本語以 -
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「ババヤガの夜」を描いた人物がどのような人か気になり手に取ってみた。
また王谷さんと同世代であり、大人なくせに大人になりきれていない自分を持て余していたこともあり、このタイトルに惹かれた。
共感できる部分よりも共感できない部分が多くて、ある意味それに面白みを感じた。
エッセイ本に共感を求めすぎると、多分読んでいくのが苦痛になる。え、何この人、理解出来ない…的な。でもね、そもそも違う人間なのだから、全て共感できるほうがおかしいし、そんなんつまらん。
むしろ、自分と違う感性と考え方を持っている人に出会うと、なんだこの世界はー!と扉が開かれる感覚がしてワクワクする。この世界には人の数ほどの世界があ -
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全5話の短編集
以下、各話の感想です。
「おねえちゃんの儀」
前作「他人屋のゆうれい」の感想で、「この作品には続編が必要だ」みたいなこと書いたんだけど、続編ありました。続編というか、スピンオフっぽい作品ですが「ゆうれい」で気になってた姉妹?二人のお話です。
「あの子を知ってる」
現代版長屋話の続編だった「おねえちゃんの儀」と比べてポップな文章。そして、紗代子カッコいいな。振りまわされるまわりは迷惑だけど、、、
「リワインド」
三部けいさんの漫画のようなストーリー。でも小説ならではの心情描写が随所に見られ、面白いです。しかし、だんだん可愛くなっていく宮城野さんを漫画や実写などビジュアルで見