王谷晶のレビュー一覧
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ネタバレ本当にどの短編もよかった。王谷作品の恋愛は、自分が相手を好きすぎて困るとモダモダしたり、相手が自分のことを好きになってくれるだろうかとモヤモヤすることはあっても、人を好きになることに真っ直ぐなので気持ちがいい。
多分登場人物たちが自分の気持ちに常に正直なんだと思う。一般的な考えでは、不道徳で非常識で恥ずかしいようなことを思っていても自分にも誤魔化さないので、心と頭と体がつながっている健全さを感じる。王谷作品のこういうところすごく好き!
あとデティール組み方が怒涛で多彩。まずいのど飴の表現が「十円玉と雑草とユンケルとフリスクを混ぜたような味」という畳み掛けで、そのまずい味の感じ、舐めてないけ -
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「余談だが私は女と寝る女、つまりレズビアンなので、自分以外の乳とも幾度か対峙してきた。基本的に大きな機能は変わらない肉体同士なので、当然相手も乳の肉と腹の肉の感覚に大差はないことを知っているが、それでも「揉んでもよし」と言われると興奮と共に揉んでしまうのは、私の脳内にもまだ剝がしきれないおっぱいレッテルがあるのだなと忸怩たる気分になる。毎回。無為を極めるのも難しい。ちなみに相手もだいたい「人のはやっぱり揉んでしまう」と言う。「肉を揉まれたところでなあ……」と思っている同士が揉みあっているわけで、この行動はあまりにややこしいので「人の業」というフレーズで片付けておきたい。」
—『カラダは私の何 -
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ネタバレ色んな家族のお話。短編小説。
一つ一つが完成されてる感じがして、良かった。
読みやすいし、面白い。
今、話題の「ババヤガの夜」の作者さんだったのか!
って読み終わってから気づいた。
迷ってたけど、ババヤガも読んでみようと思った。
・同棲しているビアンカップルの日常と結婚考察のお話。
・年上彼女とその息子君との出会い。そして、これからの杉井くんのお話。
・タイムリープしてバイト仲間だった子を助ける主婦のお話。
・普通でいたい男子高校生の友情と生活、YouTuber?の実父の謎のお話。
・死んだ父親の家の片付けと、生前の人となりが見えてこない父に、思う事がある子ども達のお話。 -
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2019年に発売された『どうせカラダが目当てでしょ』を改題・加筆した文庫版です。
あとがきで著者が、「どうっすか、世界。ちょっとはマシになってますか」と問いかける部分がありますが、回答としては「いや、この本全然まだまだ賞味期限ありそうです」といったところでしょうか。
女性の肉体をパーツごとに(声、顔、目、足、爪など)論じたエッセイを集めたものですが、主軸となっているのは社会から押しつけられる「女性」についてです。
足に履くストッキング、ネイルアートに向けられる歪な視線、髪型に投影される恋愛模様、「女性はいい香り」の勝手なイメージなどなど、本を持ったまま頷きすぎて首が痛いくらいの話が大盛り -
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君の六月は凍った。すごい、すさまじい。
これは、恋…?ラブレター?熱烈な 性愛と友愛のあわいの、えもいえぬ感情が描かれている。
依存と自立、内と外(弁慶)の、ああこの感じすごくわかる…!(私は甘えたの方なので)そしてこの、居心地のわるさというか、いたたまれなさというか。あなたの知る私は半分だけ、と言った、ダーシー(ハートストッパーS2)だ、これは。いろいろと、ほんとうにいろいろと無限に、妄想してしまう。感情が…推しカプすぎる…バッドだけどグッドな。
誰もが持っていて、奥底に、忘れ…たくてしまっているような、こう、隠したい、後ろめたい記憶のような、でも穏やかで、フラッシュバックするようなものでは -
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短編集。
同著者の「ババヤガの夜」が面白かったので、他の作品も読んでみたいと思った次第。
百合系の恋愛もの、SF、昭和歌謡、ホラー、異国情緒もの、他、非常にバラエティーに富んだ内容で、どれもが全て短編じゃなく、長編で読みてー!と叫ばずにはいられないほど引き込まれる内容。
また、作者の独特の表現も素晴らしく、例えば、
「ゆっくりゆっくり歩いた。恋の速度に合わせて。」(「だからその速度は」より)
「~、私はくじ引きで当てた腐ったほうれん草のような色の折り畳み傘を広げ~」(「あなたのこと考えると無駄になる」より)
「~こんなところで終わる人間じゃないんだと毎日自分に言い聞かせていた。つまり私は -
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まずタイトルがむちゃくちゃ好き。(ダブルミーニングには英タイトル読んで初めて気づくという)
そして、サクサク読めてツッコミの切れ味鋭い語り口も大好き。ずっと浸っていたくなる感じ。収録されているのも、甘いものからおぞましいもの、ガンガン行く系まで幅広く最後まで飽きなかった。
「しずか・シグナル・シルエット」のみじめな2人同士のなんともいえない関係好き。
「だからその速度は」恋の突然来る感じと、恋したせいで世界が変わる感覚が鮮やかに書かれてて好き。
「陸のない海」のお先真っ暗なくせに爽やかな感じも、「夢で見た味」の不気味さ気持ち悪さも、「シオンと話せば」のどこかさみしい雰囲気も好き!