王谷晶のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「余談だが私は女と寝る女、つまりレズビアンなので、自分以外の乳とも幾度か対峙してきた。基本的に大きな機能は変わらない肉体同士なので、当然相手も乳の肉と腹の肉の感覚に大差はないことを知っているが、それでも「揉んでもよし」と言われると興奮と共に揉んでしまうのは、私の脳内にもまだ剝がしきれないおっぱいレッテルがあるのだなと忸怩たる気分になる。毎回。無為を極めるのも難しい。ちなみに相手もだいたい「人のはやっぱり揉んでしまう」と言う。「肉を揉まれたところでなあ……」と思っている同士が揉みあっているわけで、この行動はあまりにややこしいので「人の業」というフレーズで片付けておきたい。」
—『カラダは私の何 -
Posted by ブクログ
ネタバレ色んな家族のお話。短編小説。
一つ一つが完成されてる感じがして、良かった。
読みやすいし、面白い。
今、話題の「ババヤガの夜」の作者さんだったのか!
って読み終わってから気づいた。
迷ってたけど、ババヤガも読んでみようと思った。
・同棲しているビアンカップルの日常と結婚考察のお話。
・年上彼女とその息子君との出会い。そして、これからの杉井くんのお話。
・タイムリープしてバイト仲間だった子を助ける主婦のお話。
・普通でいたい男子高校生の友情と生活、YouTuber?の実父の謎のお話。
・死んだ父親の家の片付けと、生前の人となりが見えてこない父に、思う事がある子ども達のお話。 -
Posted by ブクログ
2019年に発売された『どうせカラダが目当てでしょ』を改題・加筆した文庫版です。
あとがきで著者が、「どうっすか、世界。ちょっとはマシになってますか」と問いかける部分がありますが、回答としては「いや、この本全然まだまだ賞味期限ありそうです」といったところでしょうか。
女性の肉体をパーツごとに(声、顔、目、足、爪など)論じたエッセイを集めたものですが、主軸となっているのは社会から押しつけられる「女性」についてです。
足に履くストッキング、ネイルアートに向けられる歪な視線、髪型に投影される恋愛模様、「女性はいい香り」の勝手なイメージなどなど、本を持ったまま頷きすぎて首が痛いくらいの話が大盛り -
Posted by ブクログ
君の六月は凍った。すごい、すさまじい。
これは、恋…?ラブレター?熱烈な 性愛と友愛のあわいの、えもいえぬ感情が描かれている。
依存と自立、内と外(弁慶)の、ああこの感じすごくわかる…!(私は甘えたの方なので)そしてこの、居心地のわるさというか、いたたまれなさというか。あなたの知る私は半分だけ、と言った、ダーシー(ハートストッパーS2)だ、これは。いろいろと、ほんとうにいろいろと無限に、妄想してしまう。感情が…推しカプすぎる…バッドだけどグッドな。
誰もが持っていて、奥底に、忘れ…たくてしまっているような、こう、隠したい、後ろめたい記憶のような、でも穏やかで、フラッシュバックするようなものでは -
Posted by ブクログ
短編集。
同著者の「ババヤガの夜」が面白かったので、他の作品も読んでみたいと思った次第。
百合系の恋愛もの、SF、昭和歌謡、ホラー、異国情緒もの、他、非常にバラエティーに富んだ内容で、どれもが全て短編じゃなく、長編で読みてー!と叫ばずにはいられないほど引き込まれる内容。
また、作者の独特の表現も素晴らしく、例えば、
「ゆっくりゆっくり歩いた。恋の速度に合わせて。」(「だからその速度は」より)
「~、私はくじ引きで当てた腐ったほうれん草のような色の折り畳み傘を広げ~」(「あなたのこと考えると無駄になる」より)
「~こんなところで終わる人間じゃないんだと毎日自分に言い聞かせていた。つまり私は -
Posted by ブクログ
まずタイトルがむちゃくちゃ好き。(ダブルミーニングには英タイトル読んで初めて気づくという)
そして、サクサク読めてツッコミの切れ味鋭い語り口も大好き。ずっと浸っていたくなる感じ。収録されているのも、甘いものからおぞましいもの、ガンガン行く系まで幅広く最後まで飽きなかった。
「しずか・シグナル・シルエット」のみじめな2人同士のなんともいえない関係好き。
「だからその速度は」恋の突然来る感じと、恋したせいで世界が変わる感覚が鮮やかに書かれてて好き。
「陸のない海」のお先真っ暗なくせに爽やかな感じも、「夢で見た味」の不気味さ気持ち悪さも、「シオンと話せば」のどこかさみしい雰囲気も好き! -
Posted by ブクログ
世界観が古風だなー。と思ってたら、そう言う事ね!というどんでん返しで、しかもトリックが作品テーマにも繋がってて上手い!バイオレンス小説の皮被りながら、我々の刷り込まれた価値観に鋭く斬り込んできます。
女が皆強くて、それもまた爽快。ラスト、そこまで辿り着いたらそれは愛と呼べるものだと、私は思いました。
表題のババヤガは鬼婆としか言及されてませんが、多分スラヴ民話に出てくるあのババヤガですよね。
子供を取って食おうとするかと思えば知恵を授けてくれる事もあるババヤガ。ババヤガを自称することが、社会の中で異端に分類される者の、自虐も含めた誇りのように思いました。 -
Posted by ブクログ
イギリスのダガー賞受賞で話題になっていたので気になっていました。
暴力的、ヤクザ⋯という馴染みのないジャンルで、果たして最後まで読み切れるのか?という不安を胸に手に取りましたが、それは杞憂で、あっという間に読み終えました。スピード感があり、グイグイと。
確かにリアルに想像しようとすると、うわぁ⋯という場面は幾つかあったものの、それだけではない、ヤクザとは無縁の女性がケンカの腕を買われて組長のお嬢さん付きになる⋯など、違う目線からの展開がなかなか良かったです。
ネタバレになるから書けないけれど、2場面代わる代わる出てきて、最後の方でええっ?!と驚かされました。自分だけ?
あとがきを読んで、そう -
Posted by ブクログ
ネタバレ2026/05/27 - 2026/5/30
ミステリというものをあまり読んできたことがなく、うまく世界観に浸れるか不安になりつつ、以前から作者の著書全般が気になっており、手に取った。
結果、あまりにも爽快、テンポの良さに驚きながらページを進める手を止めることができなかった。
時間が許すのであれば、きっと一日のうちに読み終えてしまっていたような作品だろう。
とにかく、暴力と物語に勢いがある。こちら側が全てを投げ打って食いつきたくなるような魅力がこの小説にはあった。
物語の核心に触れずにミステリ体験の感想を述べれば、「そういうことだったのか!」と膝を打った。
あまりにも物語が色鮮やかに、目ま