王谷晶のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
Audible!!
暴力しか知らない女性と、暴力に支配されてきた女性の物語。想像以上にハードボイルドで、かなり楽しめた作品でした。
まず、主人公の依子がとにかく強すぎる。肉体的にも精神的にも常軌を逸していて、「そこまでやる?」とツッコミたくなる場面も多かった。床に食べ物を落とされただけでそこまでやるか的な、、
ただ、依子は自分からは先に手を出さない。常に弱い立場に置かれ、「やられる側」でいることを強いられてきた女性として描かれているからこそ、この無茶な強さも、ぎりぎり成立しているように感じた。暴力を肯定するのではなく、暴力の世界に適応してしまった存在を淡々と描いているのが、逆に怖い。
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Posted by ブクログ
帯に踊る『日本人作家初!ダガー賞受賞作』の文言につられて購入。バイオレンス要素満載でエンタメ感の強い装丁の雰囲気にも惹かれた。
物語の世界観は圧倒的な暴力描写だったり、台詞回しがエグい。そうこうしていると、中盤以降にあっと驚く展開になってびっくり!なるほど、そういうことね!ってなった。
主人公の依子と尚子の関係性が、何ともイイ感じ。最初は反発しあうけど、ある事件をキッカケに距離が縮まり、お互いに離れられない強い絆が生まれる。言葉にすると、ちょっとありがちな展開かもしれないけど、共に過ごした時間を思うと胸熱だった。
そしてラストシーンは何ともエモい…。
ギスギスしたバイオレンス描写の後のこ -
Posted by ブクログ
お嬢さん、十八かそこらで、なんでそんなに悲しく笑う──。
世界各国でのショーレースで、数々の賞を受賞した巷で話題の本作。
すごーく気になってて、漸く読むことが出来ました。
普段は任侠モノの作品は読む機会がありませんでしたが、本作はかなりのめり込んで読むことが出来ました。
まず物語の疾走感が半端じゃない。停滞する時間がないけど、そのテンポの良さに対して飽きがこない。物語をクロスオーバーするように描かれた叙述トリックがアクセントになっているんでしょうね。
ページ数も多くないので、2時間くらいでサクッと読めちゃうのに、物語の世界観がハッキリとしている為、ちゃんと楽しむことができました -
Posted by ブクログ
オーディブルで聴きました。
面白かった!むちゃむちゃバイオレンスだけれど、カエル男の後だったので、これくらいなら許せた。
世の中には喧嘩というか、暴力で相手をとことんやっつけたいという人がいるとは思っていたけど、ここにいた。しかもボクシングとかのスポーツではルールに縛られるからやらないって、よほど好きなんだろう。そういう輩と関わらない人生でありたい。
そして世の中には、人に痛いことをして快感を得る普通の神経ではない人もいると思ってはいたが、多分本当にいるのでしょう。関わらない人生でありたい。
爺さんの執念はヤバい。爺さんの天下が続いていたこともびっくり。早めに諦めていたらもっといい人生だ -
Posted by ブクログ
圧倒的な暴力性と格闘能力を備えた女、新道依子は、街で絡んできたヤクザ者との大立ち回りの末に捕らえられ、内樹會会長の一人娘である尚子のボディガードを務めることになる。過酷な運命に抗う術を持たない尚子との交流がやがて、思いもよらない事態へと発展していく...
話題の作品ということで手に取ってみたものの、初めからバイオレンスな作風と分かっていて読むのは、「ミレニアム」シリーズを除けば、おそらく馳星周以来ではないかというくらい苦手なジャンルなのでかなり警戒していたのだが、あにはからんや、疾走感と爽快感あふれる快作であった。
バイオレンスとアクションとシスターフッドが渾然一体となった熱い展開と凝った構 -
Posted by ブクログ
短編集と言うにはあまりにも収録数の多い一冊。王谷晶は最近読んだ『ババガヤの夜』がすごく良かったのだけれど、これは何年も前に買って少し読んで放置していたものをふと思い出して読み直した。全部が面白いとは言わないけど、何編かに一度ハッとさせられるような鮮烈な作品があり、ドキッとするような居心地の悪さを残す不思議なものもあって、なかなか多彩なラインナップだった。それぞれの作品で登場人物の口調や文体がガラッと変わるのも印象的で、まさに変幻自在。これがとても面白かった。
「Same Sex, Different Day」と「陸のない海」は特に好き。さらに「ときめきと私の肺を」は自伝的なのかなと思いながら