王谷晶のレビュー一覧
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2019年に発売された『どうせカラダが目当てでしょ』を改題・加筆した文庫版です。
あとがきで著者が、「どうっすか、世界。ちょっとはマシになってますか」と問いかける部分がありますが、回答としては「いや、この本全然まだまだ賞味期限ありそうです」といったところでしょうか。
女性の肉体をパーツごとに(声、顔、目、足、爪など)論じたエッセイを集めたものですが、主軸となっているのは社会から押しつけられる「女性」についてです。
足に履くストッキング、ネイルアートに向けられる歪な視線、髪型に投影される恋愛模様、「女性はいい香り」の勝手なイメージなどなど、本を持ったまま頷きすぎて首が痛いくらいの話が大盛り -
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君の六月は凍った。すごい、すさまじい。
これは、恋…?ラブレター?熱烈な 性愛と友愛のあわいの、えもいえぬ感情が描かれている。
依存と自立、内と外(弁慶)の、ああこの感じすごくわかる…!(私は甘えたの方なので)そしてこの、居心地のわるさというか、いたたまれなさというか。あなたの知る私は半分だけ、と言った、ダーシー(ハートストッパーS2)だ、これは。いろいろと、ほんとうにいろいろと無限に、妄想してしまう。感情が…推しカプすぎる…バッドだけどグッドな。
誰もが持っていて、奥底に、忘れ…たくてしまっているような、こう、隠したい、後ろめたい記憶のような、でも穏やかで、フラッシュバックするようなものでは -
Posted by ブクログ
短編集。
同著者の「ババヤガの夜」が面白かったので、他の作品も読んでみたいと思った次第。
百合系の恋愛もの、SF、昭和歌謡、ホラー、異国情緒もの、他、非常にバラエティーに富んだ内容で、どれもが全て短編じゃなく、長編で読みてー!と叫ばずにはいられないほど引き込まれる内容。
また、作者の独特の表現も素晴らしく、例えば、
「ゆっくりゆっくり歩いた。恋の速度に合わせて。」(「だからその速度は」より)
「~、私はくじ引きで当てた腐ったほうれん草のような色の折り畳み傘を広げ~」(「あなたのこと考えると無駄になる」より)
「~こんなところで終わる人間じゃないんだと毎日自分に言い聞かせていた。つまり私は -
Posted by ブクログ
まずタイトルがむちゃくちゃ好き。(ダブルミーニングには英タイトル読んで初めて気づくという)
そして、サクサク読めてツッコミの切れ味鋭い語り口も大好き。ずっと浸っていたくなる感じ。収録されているのも、甘いものからおぞましいもの、ガンガン行く系まで幅広く最後まで飽きなかった。
「しずか・シグナル・シルエット」のみじめな2人同士のなんともいえない関係好き。
「だからその速度は」恋の突然来る感じと、恋したせいで世界が変わる感覚が鮮やかに書かれてて好き。
「陸のない海」のお先真っ暗なくせに爽やかな感じも、「夢で見た味」の不気味さ気持ち悪さも、「シオンと話せば」のどこかさみしい雰囲気も好き! -
Posted by ブクログ
ネタバレ67歳の父より、「この本ダガー賞獲ったんだって、ほい」と渡されたんだけど、どう考えても父親から譲り受ける本ではない(笑)
とにかく暴力的な描写が多くてこれは何を描いた本なの…?と途中までなっていたけどある時点で完全に腑に落ちました、これは女性たちの解放物語…!
そしてまんまと叙述トリックに引っ掛かり、はぁそういうことねと感嘆の溜息。
物語の大半をを覆っていた暴力性・残忍性が後半になるとかなり希釈化され(依子の中にはずっと眠っていたわけだけど)、内樹會から逃れた2人の慎ましくも穏やかな暮らしぶりが文章から伝わってくるのがとてもよかった。弓道も英語も習わせてくれてありがとう、尚子の會での日々も無意